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29 チャーリー視点
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「ねぇお兄さん、ついでに馬鹿な女の話もあるの。聞いててね。 馬鹿な女には一つ年下の妹がいるの。 両親は妹が産まれてから妹ばかりを可愛いがった。 笑えば褒めて、歩けば褒めて、言葉を発すれば褒めて、何かする度に褒めた。
一つしか違わない馬鹿な女は何をしても褒められない。そもそも両親に見られる事なんて無いの。興味が無いんじゃない、娘と言う存在が両親の心の中には居ないの。
両親に取って子供は妹だけ。 だから妹には何でも買い与えた。欲しいと言ったぬいぐるみ、欲しいと言った絵本。服も靴も何もかも全て買い与えた。食事も3人、出掛けるのも3人。
馬鹿な女が幼い頃はお爺さんとお婆さんと一緒に住んでた。その時はまだ良かった。だけどお爺さんとお婆さんは数年したら家を出て行った。 それから馬鹿な女は与えられた隅の部屋でただ静かに本を読んでいた。家にあったとても難しい本。字も教えて貰えないからメイドに教えて貰い本を読んだ。本を読む事しかなかったから。 食事はメイド達と一緒に食べる。服も靴もメイドの妹のお下がりを直して着ていた。お風呂も両親が寝た後にメイドと一緒に入った。
最低限の生活はメイドの手によってさせて貰えた。働く事もしない。お金を使う事だけしか考えてない両親。妹の為に高いお金を出してドレスを作り宝石を買う。
ある時馬鹿な女は父親の代わりに仕事をした。お金を作り使用人と自領の平民の生活を護った。お金を作っても全て使い果たす両親と妹。馬鹿な女は両親と妹の為に仕事をしてお金を作り続けた。自分の服さえも買って貰えず、妹の捨てたドレスを拾って自分の服を作り直した。
馬鹿な女も心を無くした。産まれて直ぐ居ない者とされ、使えないお金を作り続けるだけ。 生きてる価値はお金を作り続ける為の道具。 馬鹿な女の価値は道具でしか無いの。道具で居るのをやめたら価値も無い。壊れて捨てられる道具と一緒。 幼い、それも物心つく前に心を無くした馬鹿な女は心が傷ついているのも分からない。 支えてくれる数人の使用人の為に、自領の平民の為に、家の存続の為にそれだけの為だけに生きてる馬鹿な女もいるの」
「泣かないのか?」
「涙は出ないわね。もう何年と泣いてないわ」
「そうか」
「ねぇお兄さん、貴方はブラウニー侯爵家のチャーリー様なの?」
「ああ。まぁ元だけどな。今は平民だ。家名は無い。ただのチャーリーだ」
「ほらね、やっぱりそうだった」
「俺を探してどうするつもりだ?」
「貴方の人生を私に預けてくれない?」
「分かった」
「え?良いの?何するか聞いてないのに」
「何するかが重要じゃない。信じられる人かどうかが重要なんだ」
「そう。私は信じられるの?」
「ああ、信じられる」
「そっか」
(お前はそうやって笑ってろ。俺がお前を護ってやる。俺の人生を掛けてお前を護ってやる)
「で、お前は誰だ?」
「あ!私はエミリーヌ・キャメルよ」
「キャメル、侯爵家か」
(あの侯爵家か。前侯爵は頭のキレた人なのに息子は確か馬鹿だったな。確か壺とか絵画を見る目はあるが、その他は駄目な残念侯爵だったな。自分の子供なのに存在を認めないなんてどれだけろくでなしなんだ)
「お前、幾つの時から家の当主の仕事をしてた」
「10歳の時からね」
「本って何を読んでた」
「家に置いてあった、経営の本や投資の本とかよ」
(前侯爵は孫娘の頭の賢さに気付いたか。あのろくでなしに任せたら没落するか乗っ取られただろうな。キャメル侯爵家と言えば小麦が主だったはず。今ではこの国の小麦の大半は侯爵家の小麦だ。乗っ取る貴族が居てもおかしくないしな)
「お前今幾つだ」
「15歳よ」
「来年は貴族学園に通うのか」
「そう。だから貴方を探してたの」
「良く見つけたな。以前とは別人のはずだが」
「以前一度見かけた時、貴方は心が壊れてた。だから覚えていたのかも」
「以前?」
「そう。3~4年前だったかな?」
「俺はそんな前から壊れていたのか?」
「貴方が気が付いていなかっただけ。だけど貴方を探したのは違うわよ」
「何だ」
「貴方の頭の賢さ。そして機転の速さ。そしてキレの良さ。それを貸して欲しくて探してたの」
「そんな物もう役にも立たないな」
「私には役に立つの。貴方の人生に私は投資するわ」
「俺は平民だぞ」
「平民だと駄目なの?貴方の頭の賢さは武器よ。平民だから武器を使わないの?」
「賢い奴は他にも居る」
「賢いだけの人はね。賢いだけなら私は要らないの。賢くて、物事を見る力があって、人を動かす心が無いと。それに柔軟に考えられる人。それ等を含めて先を見る目、物事を見る目、そして状況を人を見抜く目。後は自分で判断し決断する。自分を信じれる強い人が必要なの」
「俺はそこまで出来た奴じゃない」
「そうかしら。自分の価値は自分では気付かないものよ。貴方には全て備わってるわ」
「俺は弱い」
「貴方は弱くない。今の状況も分かってる。そして頭では理解してる。弱いと逃げてるだけ」
「逃げるか。確かにな」
「逃げるのをやめたら、貴方は大丈夫よ」
一つしか違わない馬鹿な女は何をしても褒められない。そもそも両親に見られる事なんて無いの。興味が無いんじゃない、娘と言う存在が両親の心の中には居ないの。
両親に取って子供は妹だけ。 だから妹には何でも買い与えた。欲しいと言ったぬいぐるみ、欲しいと言った絵本。服も靴も何もかも全て買い与えた。食事も3人、出掛けるのも3人。
馬鹿な女が幼い頃はお爺さんとお婆さんと一緒に住んでた。その時はまだ良かった。だけどお爺さんとお婆さんは数年したら家を出て行った。 それから馬鹿な女は与えられた隅の部屋でただ静かに本を読んでいた。家にあったとても難しい本。字も教えて貰えないからメイドに教えて貰い本を読んだ。本を読む事しかなかったから。 食事はメイド達と一緒に食べる。服も靴もメイドの妹のお下がりを直して着ていた。お風呂も両親が寝た後にメイドと一緒に入った。
最低限の生活はメイドの手によってさせて貰えた。働く事もしない。お金を使う事だけしか考えてない両親。妹の為に高いお金を出してドレスを作り宝石を買う。
ある時馬鹿な女は父親の代わりに仕事をした。お金を作り使用人と自領の平民の生活を護った。お金を作っても全て使い果たす両親と妹。馬鹿な女は両親と妹の為に仕事をしてお金を作り続けた。自分の服さえも買って貰えず、妹の捨てたドレスを拾って自分の服を作り直した。
馬鹿な女も心を無くした。産まれて直ぐ居ない者とされ、使えないお金を作り続けるだけ。 生きてる価値はお金を作り続ける為の道具。 馬鹿な女の価値は道具でしか無いの。道具で居るのをやめたら価値も無い。壊れて捨てられる道具と一緒。 幼い、それも物心つく前に心を無くした馬鹿な女は心が傷ついているのも分からない。 支えてくれる数人の使用人の為に、自領の平民の為に、家の存続の為にそれだけの為だけに生きてる馬鹿な女もいるの」
「泣かないのか?」
「涙は出ないわね。もう何年と泣いてないわ」
「そうか」
「ねぇお兄さん、貴方はブラウニー侯爵家のチャーリー様なの?」
「ああ。まぁ元だけどな。今は平民だ。家名は無い。ただのチャーリーだ」
「ほらね、やっぱりそうだった」
「俺を探してどうするつもりだ?」
「貴方の人生を私に預けてくれない?」
「分かった」
「え?良いの?何するか聞いてないのに」
「何するかが重要じゃない。信じられる人かどうかが重要なんだ」
「そう。私は信じられるの?」
「ああ、信じられる」
「そっか」
(お前はそうやって笑ってろ。俺がお前を護ってやる。俺の人生を掛けてお前を護ってやる)
「で、お前は誰だ?」
「あ!私はエミリーヌ・キャメルよ」
「キャメル、侯爵家か」
(あの侯爵家か。前侯爵は頭のキレた人なのに息子は確か馬鹿だったな。確か壺とか絵画を見る目はあるが、その他は駄目な残念侯爵だったな。自分の子供なのに存在を認めないなんてどれだけろくでなしなんだ)
「お前、幾つの時から家の当主の仕事をしてた」
「10歳の時からね」
「本って何を読んでた」
「家に置いてあった、経営の本や投資の本とかよ」
(前侯爵は孫娘の頭の賢さに気付いたか。あのろくでなしに任せたら没落するか乗っ取られただろうな。キャメル侯爵家と言えば小麦が主だったはず。今ではこの国の小麦の大半は侯爵家の小麦だ。乗っ取る貴族が居てもおかしくないしな)
「お前今幾つだ」
「15歳よ」
「来年は貴族学園に通うのか」
「そう。だから貴方を探してたの」
「良く見つけたな。以前とは別人のはずだが」
「以前一度見かけた時、貴方は心が壊れてた。だから覚えていたのかも」
「以前?」
「そう。3~4年前だったかな?」
「俺はそんな前から壊れていたのか?」
「貴方が気が付いていなかっただけ。だけど貴方を探したのは違うわよ」
「何だ」
「貴方の頭の賢さ。そして機転の速さ。そしてキレの良さ。それを貸して欲しくて探してたの」
「そんな物もう役にも立たないな」
「私には役に立つの。貴方の人生に私は投資するわ」
「俺は平民だぞ」
「平民だと駄目なの?貴方の頭の賢さは武器よ。平民だから武器を使わないの?」
「賢い奴は他にも居る」
「賢いだけの人はね。賢いだけなら私は要らないの。賢くて、物事を見る力があって、人を動かす心が無いと。それに柔軟に考えられる人。それ等を含めて先を見る目、物事を見る目、そして状況を人を見抜く目。後は自分で判断し決断する。自分を信じれる強い人が必要なの」
「俺はそこまで出来た奴じゃない」
「そうかしら。自分の価値は自分では気付かないものよ。貴方には全て備わってるわ」
「俺は弱い」
「貴方は弱くない。今の状況も分かってる。そして頭では理解してる。弱いと逃げてるだけ」
「逃げるか。確かにな」
「逃げるのをやめたら、貴方は大丈夫よ」
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