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28 チャーリー視点
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次の日、本当に少女と青年が来た。俺をどうしてそっとしといてくれない。俺は少女を睨んだ。睨んでも少女はお構いなしに話し掛けてくる。
「お兄さん、今日の食料とお酒ここに置くね」
「もう貰わない。だから帰ってくれ」
「食べないと死んじゃうわ」
「死んじゃうか。それも良いかもな。だからもう来ないでくれ」
「ねぇ、お兄さん、死んじゃっても良いなら、その人生私にくれない?」
「何を言ってる」
「ねぇお兄さん、死んで楽になるの?」
「なる」
「そっか。でも死んだらそこで終わりだよ」
「終わって良いんだよ。俺の人生だ。好きにして良いだろ」
「お兄さんの命はお兄さんの物。だから好きにすれば良い。だけど、勿体ないと思わない?」
「は?」
「ねぇお兄さん、馬鹿な男の話聞きたくない?」
「聞きたくない」
「そっか。なら私、勝手に話すから聞いてて。あ!つまらなかったら寝ても良いから」
「………………」
「とある所に馬鹿な男が居たの。頭が良くて聡明。機転が早くて頭のキレも良いの。でもね、その人の婚約者が馬鹿? 違うな~う~ん、クソ?だったの。我儘で傲慢で自分をお姫様って思ってて。自分も王女だと勘違いしてるクソ女。王族の血が入ってる者だけが貴族で入ってない者は平民。そして平民は家畜。そう思ってるクソ女。
馬鹿な男はそんなクソ女でも婚約者として接した。だけどクソ女は婚約者を下僕の様に扱った。 文句を言い、自分の言いなりになる奴隷の様に婚約者を躾たの。 目の前でドレスや宝石を捨て、出掛ければ大声で見下した。 誰も逆らえない環境で育ち、誰も逆らえない場所で婚約者を見下し、いかに婚約者が出来損ないで、それでも婚約し続けてる自分はいかに心が広いか、皆んなに話したの。 自分は慈悲深い女なのだと。婚約者なのだと。
でも誰も信じる人なんていないわ。だって貴族は王族の血が入ってる者なんて少ないもの。それに平民が居て初めて貴族で居られるんだもの。 貴族が居るから陛下は陛下で居られる。 それを知らない者こそが家畜以下よ。 その者こそが生きてる価値のない者よ。
本当の家畜だって食料となり私達を助けてくれてるわ。 家畜だって重要なの。 平民だって平民が働いてくれてるお陰でお金が回るの。お金を作り出す平民は重要なの。 貴族だって平民が作り出したお金を管理して自領を発展させて平民の暮らしを維持させる。そして作り出したお金を国へ納めるの。貴族だって重要なの。
家畜がいて平民がいて貴族がいる。だから国が出来、国が存続し続けるの。国を存続し護るのが王族。その代表が陛下。 それを分からない者こそ生きてる価値はない。そう思わない?
馬鹿な男は違う女に心を求めた。そりゃあそうよね。クソ女の婚約者とずっと一緒に居たら心が壊れるわ。他に心を癒やして貰わないと人で居られなくなるもの。 癒やしを求めて毎日会いに行った。それだけ馬鹿な男は心が悲鳴を上げていた。心が壊れているのも気付かない程にね。 人として生きる事を許してくれた女に恋慕うのは当然の事。 恋慕う人に触れたいと思うのも当然の事。
でも貴族には許されない事だった。
婚約者が常識のある令嬢だったら馬鹿な男は婚約者に誠実だったはず。その相手を恋慕ったはず。 馬鹿な男は自分を律する事が出来る強い方だから。 人として扱われ、心が壊れなければ自分を客観的に見つめれるとても強い方だから。
婚約者と別れ、恋慕う人と別れ、家族と別れ、心が更に壊れた。 全て失った馬鹿な男は生きてる意味が分からなくなった。 生きてる価値が自分に無いと思った。 何の為に存在し何の為に生きてるのか。 馬鹿な男は自暴自棄になった。
馬鹿な男は本当に価値の無い男なの? 生きてる意味が無くても生きて、いつも頭の中で考えてる。 どうしてこうなったと。クソ女でも婚約者として耐えられたはずだと。もっと自分を律せたと。それだけ自分を見つめ直す事が出来る強い方なの。
ねぇお兄さん、貴方は生きてる。生きる事を諦めた人は死の為の行動をする。 でも貴方は生きてる。生きる方法を諦めないで。 貴方は自分で自分の生き方を決められる強い方なの。 賢い貴方なら分かるはずよ?」
俺は自然と涙が溢れた。 嫌、途中から自然と涙が溢れ出た。この少女は分かってくれてる。 俺の心が壊れていた事を。それを見て見ぬ振りをしていた事を。 俺も人間だ。心がある。心を傷つけられ続け、心を無くした。心を無くせば気にならなくなる。 だけど心を無くしても、結局癒やしを求めた。 癒やしを求めた段階で俺は限界だったんだ。 それをこの少女は分かってくれた。 それだけで俺は、俺の心は救われたよ。
「お兄さん、今日の食料とお酒ここに置くね」
「もう貰わない。だから帰ってくれ」
「食べないと死んじゃうわ」
「死んじゃうか。それも良いかもな。だからもう来ないでくれ」
「ねぇ、お兄さん、死んじゃっても良いなら、その人生私にくれない?」
「何を言ってる」
「ねぇお兄さん、死んで楽になるの?」
「なる」
「そっか。でも死んだらそこで終わりだよ」
「終わって良いんだよ。俺の人生だ。好きにして良いだろ」
「お兄さんの命はお兄さんの物。だから好きにすれば良い。だけど、勿体ないと思わない?」
「は?」
「ねぇお兄さん、馬鹿な男の話聞きたくない?」
「聞きたくない」
「そっか。なら私、勝手に話すから聞いてて。あ!つまらなかったら寝ても良いから」
「………………」
「とある所に馬鹿な男が居たの。頭が良くて聡明。機転が早くて頭のキレも良いの。でもね、その人の婚約者が馬鹿? 違うな~う~ん、クソ?だったの。我儘で傲慢で自分をお姫様って思ってて。自分も王女だと勘違いしてるクソ女。王族の血が入ってる者だけが貴族で入ってない者は平民。そして平民は家畜。そう思ってるクソ女。
馬鹿な男はそんなクソ女でも婚約者として接した。だけどクソ女は婚約者を下僕の様に扱った。 文句を言い、自分の言いなりになる奴隷の様に婚約者を躾たの。 目の前でドレスや宝石を捨て、出掛ければ大声で見下した。 誰も逆らえない環境で育ち、誰も逆らえない場所で婚約者を見下し、いかに婚約者が出来損ないで、それでも婚約し続けてる自分はいかに心が広いか、皆んなに話したの。 自分は慈悲深い女なのだと。婚約者なのだと。
でも誰も信じる人なんていないわ。だって貴族は王族の血が入ってる者なんて少ないもの。それに平民が居て初めて貴族で居られるんだもの。 貴族が居るから陛下は陛下で居られる。 それを知らない者こそが家畜以下よ。 その者こそが生きてる価値のない者よ。
本当の家畜だって食料となり私達を助けてくれてるわ。 家畜だって重要なの。 平民だって平民が働いてくれてるお陰でお金が回るの。お金を作り出す平民は重要なの。 貴族だって平民が作り出したお金を管理して自領を発展させて平民の暮らしを維持させる。そして作り出したお金を国へ納めるの。貴族だって重要なの。
家畜がいて平民がいて貴族がいる。だから国が出来、国が存続し続けるの。国を存続し護るのが王族。その代表が陛下。 それを分からない者こそ生きてる価値はない。そう思わない?
馬鹿な男は違う女に心を求めた。そりゃあそうよね。クソ女の婚約者とずっと一緒に居たら心が壊れるわ。他に心を癒やして貰わないと人で居られなくなるもの。 癒やしを求めて毎日会いに行った。それだけ馬鹿な男は心が悲鳴を上げていた。心が壊れているのも気付かない程にね。 人として生きる事を許してくれた女に恋慕うのは当然の事。 恋慕う人に触れたいと思うのも当然の事。
でも貴族には許されない事だった。
婚約者が常識のある令嬢だったら馬鹿な男は婚約者に誠実だったはず。その相手を恋慕ったはず。 馬鹿な男は自分を律する事が出来る強い方だから。 人として扱われ、心が壊れなければ自分を客観的に見つめれるとても強い方だから。
婚約者と別れ、恋慕う人と別れ、家族と別れ、心が更に壊れた。 全て失った馬鹿な男は生きてる意味が分からなくなった。 生きてる価値が自分に無いと思った。 何の為に存在し何の為に生きてるのか。 馬鹿な男は自暴自棄になった。
馬鹿な男は本当に価値の無い男なの? 生きてる意味が無くても生きて、いつも頭の中で考えてる。 どうしてこうなったと。クソ女でも婚約者として耐えられたはずだと。もっと自分を律せたと。それだけ自分を見つめ直す事が出来る強い方なの。
ねぇお兄さん、貴方は生きてる。生きる事を諦めた人は死の為の行動をする。 でも貴方は生きてる。生きる方法を諦めないで。 貴方は自分で自分の生き方を決められる強い方なの。 賢い貴方なら分かるはずよ?」
俺は自然と涙が溢れた。 嫌、途中から自然と涙が溢れ出た。この少女は分かってくれてる。 俺の心が壊れていた事を。それを見て見ぬ振りをしていた事を。 俺も人間だ。心がある。心を傷つけられ続け、心を無くした。心を無くせば気にならなくなる。 だけど心を無くしても、結局癒やしを求めた。 癒やしを求めた段階で俺は限界だったんだ。 それをこの少女は分かってくれた。 それだけで俺は、俺の心は救われたよ。
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