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26 チャーリー視点
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公爵家と侯爵家の話し合いで、俺の不貞により婚約は破棄。慰謝料請求された。だが、それだけでは済まなかった。公爵夫人、婚約者の母君と婚約者は俺の顔も見たくないと。凄まじい剣幕で怒り罵られた。
侯爵家に戻り、父上と母上と俺で話をした。
父上は公爵家に、王妹の元王女に何も言わなかった。と言うより言えなかった。言う隙きさえ与えられ無かった。 慰謝料も高額を請求された。それも仕方ない。俺が不貞をしたんだ。
「お前は何という事をした。次期宰相として自分を律する事も出来んとはな」
「あなた、チャーリーも我慢したのよ。私だってお茶会や夜会で他家の夫人に教えて貰ったわ。チャーリーを馬鹿にする発言ばかり。それに贈ったドレスや宝石は捨てたって自慢気に話してたらしいわ。私も息子を馬鹿にされて、侯爵家を馬鹿にされて悔しかったわ。 チャーリーは婚約者としてきちんと尽くしたの。デートに誘い、事ある事にドレスや宝石を贈り。それなのに…」
「我儘な事は分かっていたはずだ。それを手懐けるのも婚約者の努めだ」
「我儘だからって言って良い事と悪い事はあるわ。それにやって良い事と悪い事もあるでしょ? 婚約者なのよ?いずれ夫婦になるのよ? チャーリーだけが頑張る事なの? 違うでしょ? 彼女も尽くすべきだわ。それなのに、文句ばかり…」
「相手が悪いんだ。王妹の娘だぞ。それに一人娘だ。甘やかされて育ったんだ。 多少の我儘は目を瞑るべきだ」
「ではあなたは息子が心を無くしても良いと言うのね」
「そうではない」
「分かりましたわ。この指輪、侯爵家の嫁に代々受け継がれる大事な物ですわよね?」
「ああ、そうだ」
「私、要らないから捨てるわ」
母上は自分の指にはめていた指輪をゴミ箱へ捨てに行った。
「おい!何をしてる!大事な指輪だぞ!お前は侯爵家を愚弄する気か!」
「どうして?チャーリーがいつもされてた事よ? あなたはどう思ったの?」
「そうだが、侯爵家の代々受け継がれる指輪とは違うだろ」
「そうかしら。この指輪だってお嫁に来たら直ぐに捨てられるわよ? それにあなたは私にはめて欲しいと思ったから贈ってくれたのでしょ?」
「そうだ」
「それは親に決められた婚約者だったから?」
「確かに決められた婚約者だったが、お前に渡したいと思ったからだ」
「それは仕方なく?」
「違う。お前と夫婦になりたかった」
「私もあなたと夫婦になりたいと思ったから受け取ったわ。それはあなたを愛したからよ」
「ああ、分かってる」
母上はゴミ箱に捨てた指輪を拾い、自分の指に大切にはめた。そして愛おしそうに指輪を撫で、
「私とあなたも親に決められた婚約者だった。初めからお互いに好意を持ってた訳ではなかったでしょ? だけどあなたの優しさや一緒に出掛けて楽しかった事、それに婚約して初めてあなたから贈られたあなたの色のドレス。私嬉しかったわ。あなたの色を着せたいと思ってくれた事が。 確かに婚約者には自分の色のドレスを贈るわ。例え形式にのって贈ったとしてても私は嬉しかったの。 私はあなたの婚約者ってあなたが皆んなに教えてるみたいで。あなたに護られてるみたいで嬉しかったの。 でもその思いになったのは一緒の時間を共に過ごしたからよ? あなたは私との時間を作ってくれた。だからよ?」
「ああ、分かってる」
「チャーリーは婚約者と時間を作って過ごした。デートに出掛け、流行りの演劇を見に行ったり、流行りのケーキ店に行ったり。婚約者に尽くしたの。自分の色のドレスも宝石も贈った。それを彼女は文句を言い、自分の色のドレスと宝石を捨てた。例え自分の色の物と言っても、自分が捨てられてると感じるわ。 婚約者は互いに尽くす努力をしないと駄目よ。 片方だけが尽くすのは奴隷と同じだわ。 我儘だから?甘やかされたから? チャーリーにも心があるのよ?」
「分かった。だが不貞をしたのは此奴だぞ」
「勿論不貞は駄目よ。例え婚約者が嫌でも不貞は駄目。何でそんな事したの?母様、何を聞いても大丈夫よ。だから教えて、ね?」
「初めは友の誘惑だった。平民の女を恋人にして、その………」
「遊んでみたかった?」
「はい。平民街で知り合い、会い話してるうちに癒やしを求める様になって。婚約者には毎度文句を言われ嫌気もさしてたし。だけどただ癒やしを求めてただけです。恋人同士がする手を繋いだり、口付けしたり。ただそれだけでした。 婚約者と婚姻する以上一線を越えるつもりは無かった。だけど、ある茶会で他の令嬢に話してるのを聞いて」
「何て話してたの?」
「俺は婚約者失格と。それに子供には貴族の血を混ぜたくないと。王家の血筋が少しでも残っている男性と子供を作り、俺との子供にすると」
「そう。そんな事を…」
「その言葉を聞いて初めて彼女と一線を越えた。彼女を囲い愛人にして俺との子供を産んで育てようと。そこで俺の血をひいた子と家族を作ろうと」
「そう。でもね、癒やしだけにするべきだったわね。一線を越えてはいけなかった。 愛人を囲うのは褒められた事ではないけど、愛人を囲う貴族の男性が多いのは私も知ってるわ。 妻とは家同士の婚姻。愛人に癒やしを求める。 褒められた事ではないけど仕方のない事なのかもしれないわね。 でも婚姻してからにするべきだったわ。 婚約中に一線を越えてはいけなかったの。貴方は耐えなくてはいけなかった。それが貴族よ?」
「はい。分かってます」
侯爵家に戻り、父上と母上と俺で話をした。
父上は公爵家に、王妹の元王女に何も言わなかった。と言うより言えなかった。言う隙きさえ与えられ無かった。 慰謝料も高額を請求された。それも仕方ない。俺が不貞をしたんだ。
「お前は何という事をした。次期宰相として自分を律する事も出来んとはな」
「あなた、チャーリーも我慢したのよ。私だってお茶会や夜会で他家の夫人に教えて貰ったわ。チャーリーを馬鹿にする発言ばかり。それに贈ったドレスや宝石は捨てたって自慢気に話してたらしいわ。私も息子を馬鹿にされて、侯爵家を馬鹿にされて悔しかったわ。 チャーリーは婚約者としてきちんと尽くしたの。デートに誘い、事ある事にドレスや宝石を贈り。それなのに…」
「我儘な事は分かっていたはずだ。それを手懐けるのも婚約者の努めだ」
「我儘だからって言って良い事と悪い事はあるわ。それにやって良い事と悪い事もあるでしょ? 婚約者なのよ?いずれ夫婦になるのよ? チャーリーだけが頑張る事なの? 違うでしょ? 彼女も尽くすべきだわ。それなのに、文句ばかり…」
「相手が悪いんだ。王妹の娘だぞ。それに一人娘だ。甘やかされて育ったんだ。 多少の我儘は目を瞑るべきだ」
「ではあなたは息子が心を無くしても良いと言うのね」
「そうではない」
「分かりましたわ。この指輪、侯爵家の嫁に代々受け継がれる大事な物ですわよね?」
「ああ、そうだ」
「私、要らないから捨てるわ」
母上は自分の指にはめていた指輪をゴミ箱へ捨てに行った。
「おい!何をしてる!大事な指輪だぞ!お前は侯爵家を愚弄する気か!」
「どうして?チャーリーがいつもされてた事よ? あなたはどう思ったの?」
「そうだが、侯爵家の代々受け継がれる指輪とは違うだろ」
「そうかしら。この指輪だってお嫁に来たら直ぐに捨てられるわよ? それにあなたは私にはめて欲しいと思ったから贈ってくれたのでしょ?」
「そうだ」
「それは親に決められた婚約者だったから?」
「確かに決められた婚約者だったが、お前に渡したいと思ったからだ」
「それは仕方なく?」
「違う。お前と夫婦になりたかった」
「私もあなたと夫婦になりたいと思ったから受け取ったわ。それはあなたを愛したからよ」
「ああ、分かってる」
母上はゴミ箱に捨てた指輪を拾い、自分の指に大切にはめた。そして愛おしそうに指輪を撫で、
「私とあなたも親に決められた婚約者だった。初めからお互いに好意を持ってた訳ではなかったでしょ? だけどあなたの優しさや一緒に出掛けて楽しかった事、それに婚約して初めてあなたから贈られたあなたの色のドレス。私嬉しかったわ。あなたの色を着せたいと思ってくれた事が。 確かに婚約者には自分の色のドレスを贈るわ。例え形式にのって贈ったとしてても私は嬉しかったの。 私はあなたの婚約者ってあなたが皆んなに教えてるみたいで。あなたに護られてるみたいで嬉しかったの。 でもその思いになったのは一緒の時間を共に過ごしたからよ? あなたは私との時間を作ってくれた。だからよ?」
「ああ、分かってる」
「チャーリーは婚約者と時間を作って過ごした。デートに出掛け、流行りの演劇を見に行ったり、流行りのケーキ店に行ったり。婚約者に尽くしたの。自分の色のドレスも宝石も贈った。それを彼女は文句を言い、自分の色のドレスと宝石を捨てた。例え自分の色の物と言っても、自分が捨てられてると感じるわ。 婚約者は互いに尽くす努力をしないと駄目よ。 片方だけが尽くすのは奴隷と同じだわ。 我儘だから?甘やかされたから? チャーリーにも心があるのよ?」
「分かった。だが不貞をしたのは此奴だぞ」
「勿論不貞は駄目よ。例え婚約者が嫌でも不貞は駄目。何でそんな事したの?母様、何を聞いても大丈夫よ。だから教えて、ね?」
「初めは友の誘惑だった。平民の女を恋人にして、その………」
「遊んでみたかった?」
「はい。平民街で知り合い、会い話してるうちに癒やしを求める様になって。婚約者には毎度文句を言われ嫌気もさしてたし。だけどただ癒やしを求めてただけです。恋人同士がする手を繋いだり、口付けしたり。ただそれだけでした。 婚約者と婚姻する以上一線を越えるつもりは無かった。だけど、ある茶会で他の令嬢に話してるのを聞いて」
「何て話してたの?」
「俺は婚約者失格と。それに子供には貴族の血を混ぜたくないと。王家の血筋が少しでも残っている男性と子供を作り、俺との子供にすると」
「そう。そんな事を…」
「その言葉を聞いて初めて彼女と一線を越えた。彼女を囲い愛人にして俺との子供を産んで育てようと。そこで俺の血をひいた子と家族を作ろうと」
「そう。でもね、癒やしだけにするべきだったわね。一線を越えてはいけなかった。 愛人を囲うのは褒められた事ではないけど、愛人を囲う貴族の男性が多いのは私も知ってるわ。 妻とは家同士の婚姻。愛人に癒やしを求める。 褒められた事ではないけど仕方のない事なのかもしれないわね。 でも婚姻してからにするべきだったわ。 婚約中に一線を越えてはいけなかったの。貴方は耐えなくてはいけなかった。それが貴族よ?」
「はい。分かってます」
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