27 / 187
26 チャーリー視点
しおりを挟む
公爵家と侯爵家の話し合いで、俺の不貞により婚約は破棄。慰謝料請求された。だが、それだけでは済まなかった。公爵夫人、婚約者の母君と婚約者は俺の顔も見たくないと。凄まじい剣幕で怒り罵られた。
侯爵家に戻り、父上と母上と俺で話をした。
父上は公爵家に、王妹の元王女に何も言わなかった。と言うより言えなかった。言う隙きさえ与えられ無かった。 慰謝料も高額を請求された。それも仕方ない。俺が不貞をしたんだ。
「お前は何という事をした。次期宰相として自分を律する事も出来んとはな」
「あなた、チャーリーも我慢したのよ。私だってお茶会や夜会で他家の夫人に教えて貰ったわ。チャーリーを馬鹿にする発言ばかり。それに贈ったドレスや宝石は捨てたって自慢気に話してたらしいわ。私も息子を馬鹿にされて、侯爵家を馬鹿にされて悔しかったわ。 チャーリーは婚約者としてきちんと尽くしたの。デートに誘い、事ある事にドレスや宝石を贈り。それなのに…」
「我儘な事は分かっていたはずだ。それを手懐けるのも婚約者の努めだ」
「我儘だからって言って良い事と悪い事はあるわ。それにやって良い事と悪い事もあるでしょ? 婚約者なのよ?いずれ夫婦になるのよ? チャーリーだけが頑張る事なの? 違うでしょ? 彼女も尽くすべきだわ。それなのに、文句ばかり…」
「相手が悪いんだ。王妹の娘だぞ。それに一人娘だ。甘やかされて育ったんだ。 多少の我儘は目を瞑るべきだ」
「ではあなたは息子が心を無くしても良いと言うのね」
「そうではない」
「分かりましたわ。この指輪、侯爵家の嫁に代々受け継がれる大事な物ですわよね?」
「ああ、そうだ」
「私、要らないから捨てるわ」
母上は自分の指にはめていた指輪をゴミ箱へ捨てに行った。
「おい!何をしてる!大事な指輪だぞ!お前は侯爵家を愚弄する気か!」
「どうして?チャーリーがいつもされてた事よ? あなたはどう思ったの?」
「そうだが、侯爵家の代々受け継がれる指輪とは違うだろ」
「そうかしら。この指輪だってお嫁に来たら直ぐに捨てられるわよ? それにあなたは私にはめて欲しいと思ったから贈ってくれたのでしょ?」
「そうだ」
「それは親に決められた婚約者だったから?」
「確かに決められた婚約者だったが、お前に渡したいと思ったからだ」
「それは仕方なく?」
「違う。お前と夫婦になりたかった」
「私もあなたと夫婦になりたいと思ったから受け取ったわ。それはあなたを愛したからよ」
「ああ、分かってる」
母上はゴミ箱に捨てた指輪を拾い、自分の指に大切にはめた。そして愛おしそうに指輪を撫で、
「私とあなたも親に決められた婚約者だった。初めからお互いに好意を持ってた訳ではなかったでしょ? だけどあなたの優しさや一緒に出掛けて楽しかった事、それに婚約して初めてあなたから贈られたあなたの色のドレス。私嬉しかったわ。あなたの色を着せたいと思ってくれた事が。 確かに婚約者には自分の色のドレスを贈るわ。例え形式にのって贈ったとしてても私は嬉しかったの。 私はあなたの婚約者ってあなたが皆んなに教えてるみたいで。あなたに護られてるみたいで嬉しかったの。 でもその思いになったのは一緒の時間を共に過ごしたからよ? あなたは私との時間を作ってくれた。だからよ?」
「ああ、分かってる」
「チャーリーは婚約者と時間を作って過ごした。デートに出掛け、流行りの演劇を見に行ったり、流行りのケーキ店に行ったり。婚約者に尽くしたの。自分の色のドレスも宝石も贈った。それを彼女は文句を言い、自分の色のドレスと宝石を捨てた。例え自分の色の物と言っても、自分が捨てられてると感じるわ。 婚約者は互いに尽くす努力をしないと駄目よ。 片方だけが尽くすのは奴隷と同じだわ。 我儘だから?甘やかされたから? チャーリーにも心があるのよ?」
「分かった。だが不貞をしたのは此奴だぞ」
「勿論不貞は駄目よ。例え婚約者が嫌でも不貞は駄目。何でそんな事したの?母様、何を聞いても大丈夫よ。だから教えて、ね?」
「初めは友の誘惑だった。平民の女を恋人にして、その………」
「遊んでみたかった?」
「はい。平民街で知り合い、会い話してるうちに癒やしを求める様になって。婚約者には毎度文句を言われ嫌気もさしてたし。だけどただ癒やしを求めてただけです。恋人同士がする手を繋いだり、口付けしたり。ただそれだけでした。 婚約者と婚姻する以上一線を越えるつもりは無かった。だけど、ある茶会で他の令嬢に話してるのを聞いて」
「何て話してたの?」
「俺は婚約者失格と。それに子供には貴族の血を混ぜたくないと。王家の血筋が少しでも残っている男性と子供を作り、俺との子供にすると」
「そう。そんな事を…」
「その言葉を聞いて初めて彼女と一線を越えた。彼女を囲い愛人にして俺との子供を産んで育てようと。そこで俺の血をひいた子と家族を作ろうと」
「そう。でもね、癒やしだけにするべきだったわね。一線を越えてはいけなかった。 愛人を囲うのは褒められた事ではないけど、愛人を囲う貴族の男性が多いのは私も知ってるわ。 妻とは家同士の婚姻。愛人に癒やしを求める。 褒められた事ではないけど仕方のない事なのかもしれないわね。 でも婚姻してからにするべきだったわ。 婚約中に一線を越えてはいけなかったの。貴方は耐えなくてはいけなかった。それが貴族よ?」
「はい。分かってます」
侯爵家に戻り、父上と母上と俺で話をした。
父上は公爵家に、王妹の元王女に何も言わなかった。と言うより言えなかった。言う隙きさえ与えられ無かった。 慰謝料も高額を請求された。それも仕方ない。俺が不貞をしたんだ。
「お前は何という事をした。次期宰相として自分を律する事も出来んとはな」
「あなた、チャーリーも我慢したのよ。私だってお茶会や夜会で他家の夫人に教えて貰ったわ。チャーリーを馬鹿にする発言ばかり。それに贈ったドレスや宝石は捨てたって自慢気に話してたらしいわ。私も息子を馬鹿にされて、侯爵家を馬鹿にされて悔しかったわ。 チャーリーは婚約者としてきちんと尽くしたの。デートに誘い、事ある事にドレスや宝石を贈り。それなのに…」
「我儘な事は分かっていたはずだ。それを手懐けるのも婚約者の努めだ」
「我儘だからって言って良い事と悪い事はあるわ。それにやって良い事と悪い事もあるでしょ? 婚約者なのよ?いずれ夫婦になるのよ? チャーリーだけが頑張る事なの? 違うでしょ? 彼女も尽くすべきだわ。それなのに、文句ばかり…」
「相手が悪いんだ。王妹の娘だぞ。それに一人娘だ。甘やかされて育ったんだ。 多少の我儘は目を瞑るべきだ」
「ではあなたは息子が心を無くしても良いと言うのね」
「そうではない」
「分かりましたわ。この指輪、侯爵家の嫁に代々受け継がれる大事な物ですわよね?」
「ああ、そうだ」
「私、要らないから捨てるわ」
母上は自分の指にはめていた指輪をゴミ箱へ捨てに行った。
「おい!何をしてる!大事な指輪だぞ!お前は侯爵家を愚弄する気か!」
「どうして?チャーリーがいつもされてた事よ? あなたはどう思ったの?」
「そうだが、侯爵家の代々受け継がれる指輪とは違うだろ」
「そうかしら。この指輪だってお嫁に来たら直ぐに捨てられるわよ? それにあなたは私にはめて欲しいと思ったから贈ってくれたのでしょ?」
「そうだ」
「それは親に決められた婚約者だったから?」
「確かに決められた婚約者だったが、お前に渡したいと思ったからだ」
「それは仕方なく?」
「違う。お前と夫婦になりたかった」
「私もあなたと夫婦になりたいと思ったから受け取ったわ。それはあなたを愛したからよ」
「ああ、分かってる」
母上はゴミ箱に捨てた指輪を拾い、自分の指に大切にはめた。そして愛おしそうに指輪を撫で、
「私とあなたも親に決められた婚約者だった。初めからお互いに好意を持ってた訳ではなかったでしょ? だけどあなたの優しさや一緒に出掛けて楽しかった事、それに婚約して初めてあなたから贈られたあなたの色のドレス。私嬉しかったわ。あなたの色を着せたいと思ってくれた事が。 確かに婚約者には自分の色のドレスを贈るわ。例え形式にのって贈ったとしてても私は嬉しかったの。 私はあなたの婚約者ってあなたが皆んなに教えてるみたいで。あなたに護られてるみたいで嬉しかったの。 でもその思いになったのは一緒の時間を共に過ごしたからよ? あなたは私との時間を作ってくれた。だからよ?」
「ああ、分かってる」
「チャーリーは婚約者と時間を作って過ごした。デートに出掛け、流行りの演劇を見に行ったり、流行りのケーキ店に行ったり。婚約者に尽くしたの。自分の色のドレスも宝石も贈った。それを彼女は文句を言い、自分の色のドレスと宝石を捨てた。例え自分の色の物と言っても、自分が捨てられてると感じるわ。 婚約者は互いに尽くす努力をしないと駄目よ。 片方だけが尽くすのは奴隷と同じだわ。 我儘だから?甘やかされたから? チャーリーにも心があるのよ?」
「分かった。だが不貞をしたのは此奴だぞ」
「勿論不貞は駄目よ。例え婚約者が嫌でも不貞は駄目。何でそんな事したの?母様、何を聞いても大丈夫よ。だから教えて、ね?」
「初めは友の誘惑だった。平民の女を恋人にして、その………」
「遊んでみたかった?」
「はい。平民街で知り合い、会い話してるうちに癒やしを求める様になって。婚約者には毎度文句を言われ嫌気もさしてたし。だけどただ癒やしを求めてただけです。恋人同士がする手を繋いだり、口付けしたり。ただそれだけでした。 婚約者と婚姻する以上一線を越えるつもりは無かった。だけど、ある茶会で他の令嬢に話してるのを聞いて」
「何て話してたの?」
「俺は婚約者失格と。それに子供には貴族の血を混ぜたくないと。王家の血筋が少しでも残っている男性と子供を作り、俺との子供にすると」
「そう。そんな事を…」
「その言葉を聞いて初めて彼女と一線を越えた。彼女を囲い愛人にして俺との子供を産んで育てようと。そこで俺の血をひいた子と家族を作ろうと」
「そう。でもね、癒やしだけにするべきだったわね。一線を越えてはいけなかった。 愛人を囲うのは褒められた事ではないけど、愛人を囲う貴族の男性が多いのは私も知ってるわ。 妻とは家同士の婚姻。愛人に癒やしを求める。 褒められた事ではないけど仕方のない事なのかもしれないわね。 でも婚姻してからにするべきだったわ。 婚約中に一線を越えてはいけなかったの。貴方は耐えなくてはいけなかった。それが貴族よ?」
「はい。分かってます」
262
お気に入りに追加
2,538
あなたにおすすめの小説
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
全てを捨てて、わたしらしく生きていきます。
彩華(あやはな)
恋愛
3年前にリゼッタお姉様が風邪で死んだ後、お姉様の婚約者であるバルト様と結婚したわたし、サリーナ。バルト様はお姉様の事を愛していたため、わたしに愛情を向けることはなかった。じっと耐えた3年間。でも、人との出会いはわたしを変えていく。自由になるために全てを捨てる覚悟を決め、わたしはわたしらしく生きる事を決意する。

なんで私だけ我慢しなくちゃならないわけ?
ワールド
恋愛
私、フォン・クラインハートは、由緒正しき家柄に生まれ、常に家族の期待に応えるべく振る舞ってまいりましたわ。恋愛、趣味、さらには私の将来に至るまで、すべては家名と伝統のため。しかし、これ以上、我慢するのは終わりにしようと決意いたしましたわ。
だってなんで私だけ我慢しなくちゃいけないと思ったんですもの。
これからは好き勝手やらせてもらいますわ。
【完結】妖精姫と忘れられた恋~好きな人が結婚するみたいなので解放してあげようと思います~
塩羽間つづり
恋愛
お気に入り登録やエールいつもありがとうございます!
2.23完結しました!
ファルメリア王国の姫、メルティア・P・ファルメリアは、幼いころから恋をしていた。
相手は幼馴染ジーク・フォン・ランスト。
ローズの称号を賜る名門一族の次男だった。
幼いころの約束を信じ、いつかジークと結ばれると思っていたメルティアだが、ジークが結婚すると知り、メルティアの生活は一変する。
好きになってもらえるように慣れないお化粧をしたり、着飾ったりしてみたけれど反応はいまいち。
そしてだんだんと、メルティアは恋の邪魔をしているのは自分なのではないかと思いあたる。
それに気づいてから、メルティアはジークの幸せのためにジーク離れをはじめるのだが、思っていたようにはいかなくて……?
妖精が見えるお姫様と近衛騎士のすれ違う恋のお話
切なめ恋愛ファンタジー

【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。
くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」
「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」
いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。
「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と……
私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。
「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」
「はい、お父様、お母様」
「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」
「……はい」
「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」
「はい、わかりました」
パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、
兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。
誰も私の言葉を聞いてくれない。
誰も私を見てくれない。
そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。
ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。
「……なんか、馬鹿みたいだわ!」
もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる!
ふるゆわ設定です。
※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい!
※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ!
追加文
番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが
さよなら、皆さん。今宵、私はここを出ていきます
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【復讐の為、今夜私は偽の家族と婚約者に別れを告げる―】
私は伯爵令嬢フィーネ・アドラー。優しい両親と18歳になったら結婚する予定の婚約者がいた。しかし、幸せな生活は両親の突然の死により、もろくも崩れ去る。私の後見人になると言って城に上がり込んできた叔父夫婦とその娘。私は彼らによって全てを奪われてしまった。愛する婚約者までも。
もうこれ以上は限界だった。復讐する為、私は今夜皆に別れを告げる決意をした―。
※マークは残酷シーン有り
※(他サイトでも投稿中)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる