妹がいなくなった

アズやっこ

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25 チャーリー視点

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 俺は19歳になった。相変わらず我儘な婚約者に嫌気がさし、近頃は嫌悪感まで持つ様になった。心の癒やしを求めて平民の彼女に会いに行く。 彼女を手放す事が出来なくなった俺はいずれ彼女を愛人にし囲うつもりだ。彼女に俺の子を産んで貰い、そこで俺の本当の家族を作る。

 俺は卒業してからブラウニー侯爵家の領地を任されていた。次期宰相として父上の補佐に付くのは俺が婚姻してから。

 そんな時、父上から王宮に来るように言われ俺は父上の部屋へ向かった。そこには母上まで来ていて、俺達3人はそのまま国王陛下が待つ部屋へ向かった。

 部屋の中には国王陛下、王妃殿下、婚約者の父君の公爵、公爵夫人の王妹、そして婚約者が居た。


「お主、私の姪と婚姻するつもりがあるのか?」

「発言をお許し頂けますか?」

「許す」

「ありがとうございます。国王陛下。 勿論婚姻するつもりです」

「そうか。お主が次期宰相となり、私の息子の片腕になってくれると思っていた。だが、お主には他に心を寄せている者がおろう」

「はい?」

「正直に申せ。調べはついておる」

「はい。おります」

「その娘をどうするつもりなのだ?」

「いずれは囲うつもりです」

「愛人か?」

「はい」

「お主は私を騙す事も出来た。だが正直に話した。何故だ?」

「私も陛下の臣下。臣下たる者陛下に嘘を付くなど出来ません。それにいずれ父上の跡を継ぎ宰相と成るべく邁進しております。嘘を付く者を側に誰が置きましょう」

「その通りだ。だが婚約者ではない者へ現を抜かす者が信頼に値できるのか? お主は私の姪では不満か?」

「不満ですか…。不満とかではなく、私の心が折れたのです」

「やはりそうか。姪の事では他の者から色々聞いている。だが、私にとって可愛い姪なのだ。例え姪が悪くともな」

「はい。申し訳ありません」

「この婚約は白紙に戻そう。良いな」

「おじ様、お待ちになって」

「なんだ」

「白紙?わたくしは心を傷つけられましたのよ。白紙なんて甘いですわ。それに平民の女ですのよ。そんな家畜とお会いしてましたのよ。わたくし許せませんわ」

「それもお主が招いた結果だ」

「わたくしは何もしていませんわ。たかが貴族の癖にわたくしより家畜の女を相手にしてましたのよ」

「お主のその考え方だ」

「どうしてですの?わたくしは王族の血筋。わたくしは高貴な血筋ですのよ」

「お主は公爵令嬢だ。お主も貴族ではないか」

「ですが、だからと言ってわたくしと言う婚約者が居ながら他に心を寄せるなど。それも平民ですわよ。わたくしはこの男を許す事など出来ませんわ。それにその家畜と不貞をしていますのよ。汚らしい」

「うっ!」

「それも一度や二度ではありませんわ。もう一年以上も家畜相手に不貞をしてますのよ。わたくしもこんな汚らわしい男、嫌ですわ。もしこのまま婚姻したらわたくしまで穢れますわ。家畜を抱いた手でよくわたくしの側に寄れましたわね」

「うっ!」

「おじ様、家畜と不貞をしたこんな汚らわしい男を白紙ですか?」

「不貞を働いた事は罰だ。だが、お主のその考え方が招いた結果でもある。確かにお主の母は私の妹だ。だがもう貴族だ。王族ではない。血筋は王家の血を引いていてもだ。お主の貴族を見下す発言、平民を家畜と呼ぶその発言がいかに不況を買うか分かっておるのか」

「わたくしは本当の事を言ったまでですのよ。この男は貴族としても婚約者としてもしてはいけない事をしましたのよ。平民の女を家畜呼ばわりしたのもわたくしの婚約者を寝取ったからですわ」

「分かった。ではこの婚約は破棄にする。ブラウニー侯爵子息よ、不貞を働いたのはお主だ。良いな」

「はい」

「後は公爵家と侯爵家の話し合いだ。お互い成人した者同士だ。だが今回は両家で話し合え。良いな」

「はい。国王陛下」

「後、公爵、お主は娘の教育をし直せ。私からの命令だ。 不貞を働いた子息も悪いが、お主の娘の発言も至る所で耳にする。他の貴族からも反感が出ておるぞ」

「はい。国王陛下」

「妹よ。お主も一人娘とはいえ、甘やかし過ぎた。娘をもう一度教育し直せ。良いな」

「お兄様、娘は悪くありませんわ」

「婚約者を蔑ろにしていたのにか?」

「蔑ろにされたのはわたくしの娘ですわ」

「子息は婚約者としてきちんとしておった。お主の娘が文句ばかり言っておったのだろう」

「この娘は何も言ってませんわ」

「そうか?私が聞いた話では、一緒に出掛けてもつまらないと文句ばかり。お茶に誘えば待つのは嫌だ、他の者と一緒は嫌だと言い、ドレスや宝石を贈れば気にくわないと捨てる。違うか?」

「それは。ですが、娘の気に入る物を贈れば良いだけの事ですわ」

「そうか?子息は有名なデザイナーに頼んだり、流行りの物を贈っていたのではないのか?子息も婚約者を大事にしていたのだ。だがその度に文句を言われ捨てられたら誰でも心が折れよう」

「誰が言ってましたの?」

「お主の娘は外で大声でいつも言っておるぞ?知らぬのか? 私も一度夜会で聞いたぞ? 高貴の血の子なのに子息が贈ったドレスや宝石を身に付けたら身体が穢れるとな」

「それは不貞を知った後ですわ」

「嫌、聞いたのは学園に入学した直ぐの時だ。その時からその様に言われ続けておれば心も折れよう。不貞をしたのは許せんが、お主の娘だけが傷つけられたのではない。子息も傷ついたのだ。お主の娘が婚約者を思い言葉を掛けておれば子息とて心を他に寄せる事も不貞を働く事もなかったであろう」

「お兄様は姪が可愛くないのですか?」

「可愛いからこそ、次の婚約者とはこの様になって欲しくないのだ。もう一度教育し直せ。姪の考え方が変わらぬ以上、婚約など出来ん。誰も相手になりたがらないだろう。良いな」


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