妹がいなくなった

アズやっこ

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24 チャーリー視点

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 隣国、俺の産まれ育った国からエミリーヌ嬢から手紙が届いた。ドレスのお礼だろうと思っていたらそれだけでは無かった。


 俺は宰相を父に持つブラウニー侯爵家の嫡男として産まれた。俺も次期宰相に成るべく厳しく鍛えられた。 だが、努力せずとも勉強は出来たし上手く立ち回る事も出来た。産まれてこのかた努力をした事がない。

 俺は今、産まれ育った国ではなく、隣国この国に暮らしていて、宰相ではなく商会の代表をしている。俺は今の生活が楽しいんだ。 努力せず生きてきたけど、今は努力をしないと生きていけない。 努力しても報われない事があると初めて知った。 そして努力が実を結んだ時、これ程の喜びだと初めて知った。


 俺は陛下の妹君が嫁いだ公爵家の同じ歳の令嬢と婚約してした。俺達が12歳の時だ。 一人娘で両親に甘やかされて育った為か我儘で、母親が元王女だからか人を見下す言動をする婚約者が嫌だった。 だが俺も貴族の令息、自分を律し耐えた。
 
 貴族とは家と家の繋がりだ。そこに感情など必要ない。 俺はいずれ父上の跡を継ぎ宰相になる。宰相になったら邸に帰る事など少ないだろう。 会う機会が多い婚約中とは違い、婚姻したら最低限会うだけだ。と思っていた。

 貴族学園も残り半年を過ぎた頃、俺は友と一緒に、普段、貴族が出掛ける貴族街ではなく、平民が暮らす街へ行った。 危険も伴う為、服装も変えた。 友は婚約者とは別に平民の恋人がいるらしい。

 貴族の令嬢は身持ちが堅い。婚約中であっても初夜まで交わる事はない。だけど平民の女は違う。交わる事も出来る。 俺達だって男だ。どうしても溜まるものは溜まる。 成人するまで娼館には行けないしな。 自分で慰めるのも虚しい。 婚約者は大事だが情はない。


 俺は友の甘い誘惑に耳を傾けてしまった。 婚約者に情があれば絶対に誘惑には乗らなかった。 婚約者が普通の令嬢なら俺だって愛しただろう。


 俺だって、可愛い我儘なら聞いたさ。 だけどデートに誘えば、つまらない、こんな所に来たくなかったと。人気のケーキ店に行ったら、待つなんて信じられないと怒りだし、しまいには、こんな大勢と一緒に食べたくないと大声で言う始末。 他の貴族もいる中でなんて事を言うのかと俺が慌てたよ。 

 お茶会や夜会のドレスを贈れば、気にくわない、色が嫌だ、形が嫌だ、センスがないと。色は俺の色だよ。婚約中なんだから当たり前だろ? 宝石を贈れば、こんな小さいのしか贈れないの?と馬鹿にされ、可愛くないから要らないって目の前で捨てられた。

 これが可愛い我儘か?

 それでもデートに誘い、ドレスや宝石を贈った。婚約者としての義務と割り切って。 婚約者はいつも言う。


「私は公爵令嬢なのよ。私は高貴な人間なの。貴方みたいな下々とは違うの!」


 って。それでも俺は耐えた。嫌、聞き流した。



 友の誘惑に負けた俺は街の食堂で働いてる平民の子に癒やしを求めた。 初めは元気に笑い掛けてくれるのが嬉しかった。まぁ俺が客だからなんだけど…。 それでも何度も通う様になって話をしたり、二人で会ったり、恋人になるのに時間は掛からなかった。

 デートに行けば喜んでくれる。例え公園でも芝生しかない広場でも喜んでくれた。 露店で売ってる安い髪飾りを贈れば大切に使ってくれる。 俺が何か言えば素直に反応してくれる。 俺はどんどん彼女が好きになった。 婚約者と会い、その足で恋人へ癒やしを求めに会いに行く。 手を繋ぎ、口付けをする。それだけで俺の心は満たされた。

 我儘で人を見下す婚約者、俺を癒やしてくれお互い好意を持ってる恋人。



 学園を卒業し、俺は成人となった。
 成人になり初めてのお茶会。婚約者をエスコートし他家の侯爵家のお茶会へ行った時、俺が贈ったドレスや宝石を身に着けないのも今に始まったことではないし気にしなかった。 贈った以上、どうするかは自由、そう思う様になったからだ。

 そのお茶会に着いて暫くして婚約者は他の令嬢と居た。

「チャーリー様はわたくしの婚約者としては失格ですの。わたくしは王族の血筋。ですがチャーリー様は貴族と言うだけ。ただの貴族の血筋など平民と一緒ですわ。わたくしの様な高貴の血筋を平民如きと一緒になるなんてわたくしの子は可哀想ですわ。わたくし子を作るなら王族の血筋が少なくとも入ってる殿方と作りますわ。その子をチャーリー様の子として育てますの」

 って仲の良い令嬢に話してた。近くに居た俺や他の令息にも聞こえるくらい大声で。 年配の方達は冷たい目で見ていたし、王族の血筋ではない貴族はその発言に怒りを露わにしていた。 王族の血筋を持たない貴族ばかりのこのお茶会で発言したのは不味いとは思ったが、王妹の娘、誰も何も言えない。それに俺は馬鹿にされた。

 なんとか顔を作ってエスコートし送り届け、その足で恋人の元へ行った。 貴族令息として情は持っても一線は越えるつもりはなかったが、その日俺は彼女を抱いた。 婚約者が俺と子を作る気がないなら俺は恋人に俺の子を産んで貰おうとそう思い、一線を越えた。

 彼女を抱いてから毎日の様に通い彼女を求め抱いた。 俺の下で淫らに乱れる彼女を美しく思い、俺を求める彼女に俺は答えて身体を重ねる。 また俺で乱れる姿を見たくて激しく抱いた。 俺は彼女に彼女の身体の虜になり、毎日抱き潰した。 彼女の甘い匂い、柔らかな身体、可愛い喘ぎ声、どんどんかすれていく声、彼女の全てに魅力され俺は彼女が手放せなくなった。


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