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次の日早速警備を厳重にし、サラが来ても邸の中に入れない様、騎士達に伝えた。私はジムの待つ執務室へ行き、
「ジム、悪いけど、お父様とお母様の部屋とお父様の壺と絵画、それからサラの部屋を開けれない鍵で閉めて。 お祖父様の手続きが終わって多分2週間後ぐらいに帰ってくるわ。 家の物を持ち出されても困るもの。 あの人達が使った分を補填する為にも要らない物は売っちゃうから」
「壺や絵画は収集家に売れば多少お金になりますが、ドレスや宝石は難しいのでは?」
「商会で買い取るわ。宝石は全てギルに任せるつもりよ。台座を変えれば新品同様でしょ?台座も溶かせばまた利用できるわ。 ドレスは少し手を加えて格安で売っても良いし、最悪、本店に送るわ」
「隣国ですか?」
「最近ドレスのレンタルを始めたんですって。一度着たドレスは着ない人が多いから。仕立て直したり刺繍をしても、結局数度しか着ないって勿体ないわよね? それに下位貴族は毎度ドレスを作れないでしょ?レンタルだと安く済むし、保管しなくて良いから顧客が付いてるらしいわよ」
「チャーリー殿は次から次へと良く考えつきますね」
「本当にね。感心しちゃうわ。商会の代表にしておくのが勿体ないわよね。 私の代わりに領地の管理やってくれないかしら」
「お嬢様」
「冗談よ?だからそんな怖い顔しないでよ」
「後こちら、スティール公爵家から直々に届きました」
「ありがとう」
私は手紙を読み、
「何と」
「公爵領へ出向いて貰えるならお願いしたいって。侯爵領から派遣する者達の護衛も問題ないって。数ヶ月間の滞在先も用意して貰えるそうよ。詳しい人数を確認したいって。 ダンに急ぎで人数の詳細を書類で送ってって伝えて」
「急ぎ出させます」
「よろしくね。問題は視察ね」
「何と」
「跡継ぎの息子さんが来るそうよ。後、領地を管理してる数人だって。公爵令息が来るなら私も出迎えた方が良いわよね?」
「そうですね。相手は隣国とはいえ公爵家。王家とも繋がりが強いですから、侯爵当主として出迎えた方がよろしいかと」
「そうよね。分かったわ。ダンにも伝えておいて」
「分かりました」
「後、公爵家が来る前に陛下も視察に来たいんですって」
「はい? 陛下…ですか?」
「そう。陛下の場合は視察はついでよ? 名目が公爵家よりも先に視察しに来るってだけで」
「では何用で」
「サフェム様と陛下、そして宰相様と昔馴染みなんですって。ミリー商会で呼ばれた時にディーナと一緒に行ったでしょ?その時にまぁ色々あってね。サフェム様が領地に居る事を教えたのよ」
「ですが」
「サフェム様は一応罪人だからね、陛下が会うなんて公に出来ないでしょ? だから視察。視察で領地を巡っても別に変じゃないでしょ?」
「そういう事ですか。分かりました。王宮から予定が届きましたら早急に調整します」
「お願いね。あ~、サフェム様には伝わらない様にって伝言よ。 陛下が来るって聞いたらサフェム様隠れるでしょ? 一応罪人だもの。鉱山送りしたのに侯爵領に居たら変だもの。 サフェム様に逃げられない様にしたいみたいよ。その変もよろしくね」
「また厄介な。出来るだけ配慮します」
「お願いね」
「後、此方、チャーリー殿からいつものお手紙です」
「ありがとう」
手紙を受け取り中を読んだ。
「チャーリーも暇ね」
「何と」
「またドレスを作って支店に送ったそうよ。自分の為にお金を使えば良いのにね」
「チャーリー殿の気持ちでしょう」
「助けられた恩って実際私の方が助けられてるわ。私がチャーリーに贈らないと」
「手を差し伸べて貰えた事が嬉しかったのでしょう」
「それだって私の為よ?」
「それでもです。どん底の時に手を差し伸べて貰える事は普通ならあり得ません」
「確かにそうね。私にとってジムとメイはお父様お母様って感じだし、グレンはお兄様って感じだものね。 それとチャーリーの事もついでに話ちゃったから、宰相様に是非に会いに行って下さいって伝えちゃったのよね」
「その事チャーリー殿に一筆書いておかれた方がよろしいかと」
「やっぱり?」
「はい」
私はドレスのお礼とチャーリーの事、宰相様に話した事、会いに行く様に伝えた事、勝手に話した事の謝罪も書いて手紙を送る事にした。
「ジム、悪いけど、お父様とお母様の部屋とお父様の壺と絵画、それからサラの部屋を開けれない鍵で閉めて。 お祖父様の手続きが終わって多分2週間後ぐらいに帰ってくるわ。 家の物を持ち出されても困るもの。 あの人達が使った分を補填する為にも要らない物は売っちゃうから」
「壺や絵画は収集家に売れば多少お金になりますが、ドレスや宝石は難しいのでは?」
「商会で買い取るわ。宝石は全てギルに任せるつもりよ。台座を変えれば新品同様でしょ?台座も溶かせばまた利用できるわ。 ドレスは少し手を加えて格安で売っても良いし、最悪、本店に送るわ」
「隣国ですか?」
「最近ドレスのレンタルを始めたんですって。一度着たドレスは着ない人が多いから。仕立て直したり刺繍をしても、結局数度しか着ないって勿体ないわよね? それに下位貴族は毎度ドレスを作れないでしょ?レンタルだと安く済むし、保管しなくて良いから顧客が付いてるらしいわよ」
「チャーリー殿は次から次へと良く考えつきますね」
「本当にね。感心しちゃうわ。商会の代表にしておくのが勿体ないわよね。 私の代わりに領地の管理やってくれないかしら」
「お嬢様」
「冗談よ?だからそんな怖い顔しないでよ」
「後こちら、スティール公爵家から直々に届きました」
「ありがとう」
私は手紙を読み、
「何と」
「公爵領へ出向いて貰えるならお願いしたいって。侯爵領から派遣する者達の護衛も問題ないって。数ヶ月間の滞在先も用意して貰えるそうよ。詳しい人数を確認したいって。 ダンに急ぎで人数の詳細を書類で送ってって伝えて」
「急ぎ出させます」
「よろしくね。問題は視察ね」
「何と」
「跡継ぎの息子さんが来るそうよ。後、領地を管理してる数人だって。公爵令息が来るなら私も出迎えた方が良いわよね?」
「そうですね。相手は隣国とはいえ公爵家。王家とも繋がりが強いですから、侯爵当主として出迎えた方がよろしいかと」
「そうよね。分かったわ。ダンにも伝えておいて」
「分かりました」
「後、公爵家が来る前に陛下も視察に来たいんですって」
「はい? 陛下…ですか?」
「そう。陛下の場合は視察はついでよ? 名目が公爵家よりも先に視察しに来るってだけで」
「では何用で」
「サフェム様と陛下、そして宰相様と昔馴染みなんですって。ミリー商会で呼ばれた時にディーナと一緒に行ったでしょ?その時にまぁ色々あってね。サフェム様が領地に居る事を教えたのよ」
「ですが」
「サフェム様は一応罪人だからね、陛下が会うなんて公に出来ないでしょ? だから視察。視察で領地を巡っても別に変じゃないでしょ?」
「そういう事ですか。分かりました。王宮から予定が届きましたら早急に調整します」
「お願いね。あ~、サフェム様には伝わらない様にって伝言よ。 陛下が来るって聞いたらサフェム様隠れるでしょ? 一応罪人だもの。鉱山送りしたのに侯爵領に居たら変だもの。 サフェム様に逃げられない様にしたいみたいよ。その変もよろしくね」
「また厄介な。出来るだけ配慮します」
「お願いね」
「後、此方、チャーリー殿からいつものお手紙です」
「ありがとう」
手紙を受け取り中を読んだ。
「チャーリーも暇ね」
「何と」
「またドレスを作って支店に送ったそうよ。自分の為にお金を使えば良いのにね」
「チャーリー殿の気持ちでしょう」
「助けられた恩って実際私の方が助けられてるわ。私がチャーリーに贈らないと」
「手を差し伸べて貰えた事が嬉しかったのでしょう」
「それだって私の為よ?」
「それでもです。どん底の時に手を差し伸べて貰える事は普通ならあり得ません」
「確かにそうね。私にとってジムとメイはお父様お母様って感じだし、グレンはお兄様って感じだものね。 それとチャーリーの事もついでに話ちゃったから、宰相様に是非に会いに行って下さいって伝えちゃったのよね」
「その事チャーリー殿に一筆書いておかれた方がよろしいかと」
「やっぱり?」
「はい」
私はドレスのお礼とチャーリーの事、宰相様に話した事、会いに行く様に伝えた事、勝手に話した事の謝罪も書いて手紙を送る事にした。
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