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「お父様もお母様もお祖父様が二人共貴族籍から抜く為に手続きをしてるわ。お父様達に頼る事は出来ないのよ」
「そんな…」
「お父様達も平民になるのよ。平民になったら貴女を頼って来るかもしれないわ」
「どうして私がお父様達の面倒を見ないといけないの?お姉様が面倒見れば良いじゃない」
「どうして私が面倒見ないといけないの?」
「お姉様は長女でしょ?それに当主になったんでしょ?」
「当主だけど、貴族籍を抜かれた人達を面倒見る義務はないわ」
「どうして?お姉様の親じゃない」
「親……ねぇ…。私は親とは思った事ないわ。生物学的には親だけど、それだけね。親らしい事もされた事ないし、当主の仕事もしない。そんな人達を親と思った事もないわね」
「お姉様は冷たいわ」
「そうね。服も与えない、食事は使用人と一緒、ドレスも宝石も買って貰った事もない。お茶会や夜会も連れて行って貰った事もない。 おまけに飾りもしない壺や絵画を買って、お茶会や夜会の度にドレスと宝石を買って、お金を使うだけ。 私は尻拭いだけさせられて、それなのに親?笑わせないで。 私には親は居ないわ。 冷たい?そうね。愛情を貰えないと理解した時から情なんてもの無いわね」
「お姉様は私だけお父様達からの愛情を貰っていて嫉妬してるから私に酷い事をするのね?」
「それも違うわね。嫉妬する気持ちも無いもの。 でもそうね。貴女は違うでしょ?愛情もドレスも宝石も貰ったじゃない。二人を親としての愛情もあるでしょ?」
「愛情と面倒見るのは違うわ」
「そう?ならあの人達はあの人達で暮らすでしょ。貴女は貴女で彼と暮らせば良い。そうでしょ?」
「私は違うでしょ?私には情があるわよね?私達は姉妹だもの」
「貴女に情ね…。あるかしら? 着なくなったドレスを貰った事は感謝してるわね。でも感謝だけ。私は施しを貰っただけだもの」
「そうよ。私はお姉様にドレスをあげたわ」
「貴女が着なくなったドレスを捨てたから私はそれを拾っただけよ」
「でもお姉様は着てたわ」
「着てたわね。着る服さえ与えて貰えないのに、じゃあ私は何を着れば良かったの? 貴女もあの人達も私が服も与えられてないのに、服を着てる事に疑問も抱かなかったでしょ?」
「お姉様も買って貰ってたと思ってたわ」
「お父様のサインがないのにどうやって買うの?」
「自分でサインしてたんじゃないの?」
「成人してない子供がサインして買えると思ってるの?」
「買えないの?」
「買えないわ。責任も取れない子供にサイン一つで買える物は一つもないわ」
「え?」
「貴女本当にそれで貴族学園卒業出来たわね。ちゃんと勉強してたの?」
「煩いわね」
「成人してない子供は当主の庇護下にあるの。だから衣食住と学は当主としての義務ね。義務を怠れば厳しい罰が下される。まぁ、最低限の生活をさせてれば問題はないわ。私の様にね」
「最低限ってお父様がそんな事する訳ないじゃない」
「じゃあ、私は貴女やあの人達と一緒に食事を取った事ある?」
「そういえば無いかも…」
「私はいつも使用人達と一緒に食事をしていたわ。勿論使用人達と同じ食事をね。じゃあ、貴女やお母様がドレスや宝石を選んでいる時、私も側に居たかしら?」
「居なかったけど、要らなかったからでしょ?」
「貴女とお母様は1年に何着ドレスを買った?その一回でも私は側に居た?私だって成長するわ。それなのに一着も買わないなんて事あると思うの?」
「そうだけど…一人で買ってると思ってたわ。本当よ?」
「さっきも言った様に成人してない子供に買う事は出来ないの。それにはきちんと理由もあるのよ? 学園に入学する前にデビュタントがあるわね?それで貴族の仲間入りしたと国に認められたの。それから貴族だけは学園に通うわよね?貴女も通ったでしょ?」
「うん」
「貴族には義務があるの。分かる?」
「え?義務?」
「はぁぁ。 そこから説明するわ。 貴族には何処の邸にも少なくとも数人の使用人が居るわよね? その使用人達の生活を保証する義務があるの。 そして貴族には大小と様々だけど領地が与えられてるわよね? 自領の領民達の生活を保証する義務があるのよ? 使用人や領民達が働いてくれて貴族家の当主がお金を管理して使用人や領民達へお金を支払うの。働いた対価ね。 そして働きやすい環境を作る為に管理しているお金を使うの。お金を管理して自領を発展させ、そこで得たお金が貴族の生活を支えるの。 分かる?」
「何となく」
「貴族がお茶会や夜会へ出席するのは繋がりを得る為なのよ?自領で作ってる物を売らないとお金は入ってこないでしょ? お茶会や夜会でドレスを着るのは見栄よ? 自領が豊かだからドレスも華やかな物が着れると見栄を張る為。自領が栄えてない貴族と繋がりたいって貴女は思う?」
「思わないわ」
「そんな…」
「お父様達も平民になるのよ。平民になったら貴女を頼って来るかもしれないわ」
「どうして私がお父様達の面倒を見ないといけないの?お姉様が面倒見れば良いじゃない」
「どうして私が面倒見ないといけないの?」
「お姉様は長女でしょ?それに当主になったんでしょ?」
「当主だけど、貴族籍を抜かれた人達を面倒見る義務はないわ」
「どうして?お姉様の親じゃない」
「親……ねぇ…。私は親とは思った事ないわ。生物学的には親だけど、それだけね。親らしい事もされた事ないし、当主の仕事もしない。そんな人達を親と思った事もないわね」
「お姉様は冷たいわ」
「そうね。服も与えない、食事は使用人と一緒、ドレスも宝石も買って貰った事もない。お茶会や夜会も連れて行って貰った事もない。 おまけに飾りもしない壺や絵画を買って、お茶会や夜会の度にドレスと宝石を買って、お金を使うだけ。 私は尻拭いだけさせられて、それなのに親?笑わせないで。 私には親は居ないわ。 冷たい?そうね。愛情を貰えないと理解した時から情なんてもの無いわね」
「お姉様は私だけお父様達からの愛情を貰っていて嫉妬してるから私に酷い事をするのね?」
「それも違うわね。嫉妬する気持ちも無いもの。 でもそうね。貴女は違うでしょ?愛情もドレスも宝石も貰ったじゃない。二人を親としての愛情もあるでしょ?」
「愛情と面倒見るのは違うわ」
「そう?ならあの人達はあの人達で暮らすでしょ。貴女は貴女で彼と暮らせば良い。そうでしょ?」
「私は違うでしょ?私には情があるわよね?私達は姉妹だもの」
「貴女に情ね…。あるかしら? 着なくなったドレスを貰った事は感謝してるわね。でも感謝だけ。私は施しを貰っただけだもの」
「そうよ。私はお姉様にドレスをあげたわ」
「貴女が着なくなったドレスを捨てたから私はそれを拾っただけよ」
「でもお姉様は着てたわ」
「着てたわね。着る服さえ与えて貰えないのに、じゃあ私は何を着れば良かったの? 貴女もあの人達も私が服も与えられてないのに、服を着てる事に疑問も抱かなかったでしょ?」
「お姉様も買って貰ってたと思ってたわ」
「お父様のサインがないのにどうやって買うの?」
「自分でサインしてたんじゃないの?」
「成人してない子供がサインして買えると思ってるの?」
「買えないの?」
「買えないわ。責任も取れない子供にサイン一つで買える物は一つもないわ」
「え?」
「貴女本当にそれで貴族学園卒業出来たわね。ちゃんと勉強してたの?」
「煩いわね」
「成人してない子供は当主の庇護下にあるの。だから衣食住と学は当主としての義務ね。義務を怠れば厳しい罰が下される。まぁ、最低限の生活をさせてれば問題はないわ。私の様にね」
「最低限ってお父様がそんな事する訳ないじゃない」
「じゃあ、私は貴女やあの人達と一緒に食事を取った事ある?」
「そういえば無いかも…」
「私はいつも使用人達と一緒に食事をしていたわ。勿論使用人達と同じ食事をね。じゃあ、貴女やお母様がドレスや宝石を選んでいる時、私も側に居たかしら?」
「居なかったけど、要らなかったからでしょ?」
「貴女とお母様は1年に何着ドレスを買った?その一回でも私は側に居た?私だって成長するわ。それなのに一着も買わないなんて事あると思うの?」
「そうだけど…一人で買ってると思ってたわ。本当よ?」
「さっきも言った様に成人してない子供に買う事は出来ないの。それにはきちんと理由もあるのよ? 学園に入学する前にデビュタントがあるわね?それで貴族の仲間入りしたと国に認められたの。それから貴族だけは学園に通うわよね?貴女も通ったでしょ?」
「うん」
「貴族には義務があるの。分かる?」
「え?義務?」
「はぁぁ。 そこから説明するわ。 貴族には何処の邸にも少なくとも数人の使用人が居るわよね? その使用人達の生活を保証する義務があるの。 そして貴族には大小と様々だけど領地が与えられてるわよね? 自領の領民達の生活を保証する義務があるのよ? 使用人や領民達が働いてくれて貴族家の当主がお金を管理して使用人や領民達へお金を支払うの。働いた対価ね。 そして働きやすい環境を作る為に管理しているお金を使うの。お金を管理して自領を発展させ、そこで得たお金が貴族の生活を支えるの。 分かる?」
「何となく」
「貴族がお茶会や夜会へ出席するのは繋がりを得る為なのよ?自領で作ってる物を売らないとお金は入ってこないでしょ? お茶会や夜会でドレスを着るのは見栄よ? 自領が豊かだからドレスも華やかな物が着れると見栄を張る為。自領が栄えてない貴族と繋がりたいって貴女は思う?」
「思わないわ」
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