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私はサラに書類を見せた。
「これは…どういう事? え? お姉様、どういう事なの?」
「見たままよ」
「え? お姉様が侯爵当主?嘘よ!嘘よ!嘘よ!」
「残念だけど本当よ。王命って書いてあるでしょ?それに国王陛下のサインも印もあるわ。正真正銘当主交代の書類と私が当主になった書類よ」
「じゃあお父様は?」
「さぁ? 当主の仕事は今迄一度もしてないけど、名前だけは当主だったわね」
「え?」
「当主の仕事は次期当主の私が当主代理として、してきたのよ」
「え?次期当主は私じゃないの?」
「何を言ってるの?国への報告も次期当主は私になってるわよ?」
「え?だってお父様が…」
「当主の仕事もしてない人が次期当主が誰かなんて知らないでしょうね。それに貴女が次期当主だって言うなら、何故仕事をしないの? 仕事もしてない人が次期当主?笑わせないで」
「だってお父様が何もしなくてもお金が入って来るからって」
「何もしなくてお金が勝手に入って来るって本当に思ってたの? 私がお父様の代わりに当主の仕事をしてたからお金が入って来てたのよ? 誰も仕事をしてなかったら侯爵家なんてもう潰れていたわ」
「お父様の代わりって…」
「貴女が1歳の時だから私が2歳ね。その時お父様が当主になったけど、お祖父様が数年はお金の管理をしてたわ。お祖父様が居た時はまだ良かった。お祖父様から完全に受け継いでから、お金を使い始めて数年でお祖父様が蓄えたお金が底をついた。 見兼ねたジムがお祖父様に相談したの。 あの時私は10歳だったわ。お祖父様とジムに教えられながらお父様の代わりに当主の仕事をしたの。 当主代理として侯爵家を支えてたのは私よ。お父様じゃない」
「え?」
「残念だけど、貴女が次期当主になる事は絶対にないわ。現当主の私が絶対に認めないから」
「じゃあ私はどうなるの?」
「貴女もさっき言ったじゃない。当主が一番偉いって。現当主は私。侯爵家で今一番偉いのは当主の私。それは貴女でも分かるわね?」
「ええ」
「なら先程まで私は貴女に何と言ったかしら?」
「侯爵家のお金を使うなと…え?待って!待ってお姉様!」
「現当主として貴女に話があって今日此処に来たの。こっちが本題よ」
私はサラの貴族籍抹消の書類を見せた。
「え?お姉様どういう事なの?どうして私が貴族籍を抜かれるの?」
「サラフィス、貴女が貴族として貴族令嬢として軽率な行動をした代償です」
「酷いわ!お姉様、酷いわ!可愛い妹にこんな酷い仕打ちをして許さると思ってるの?」
「サラフィス、私は個人的な感情で言っているのではありません。侯爵家当主としての判断です」
「お姉様は私を虐めてるだけよ!お父様達の愛情を一人占めした私を虐めてるだけよ!」
「サラフィス、貴女はもう成人した一個人です。成人した以上、自分の行動に責任を持たないといけない。そしてそれに対する代償も受け入れないといけない」
「嫌よ!」
「貴女が嫌でも関係ありません。成人したとはそういう事です」
「嫌よ!嫌よ!」
「貴族が平民街で暮らすと言う事が危険と言う事は貴女でも分かりますね?平民街で暮らす以上、貴族で居る事は出来ません」
「嫌よ!嫌よ!嫌! なら私は帰るわ。それなら良いでしょ?」
「いい加減になさい!サラフィス! 貴女は自分の意思で彼に付いてきた。平民になる覚悟も無いなら彼に付いてくるべきでは無かった」
「お願い、お願いよ、お姉様!」
「当主としての判断です。覆る事はありません」
「そんな………」
「はぁぁ。 良い?貴女はもう平民になったの。貴族もだけど平民も働かないとお金は稼げないのよ。お金は勝手には入ってこないの。 使えば減るし稼がないと増えないの。分かるわね?」
「分かるけど…」
「侯爵家から籍を抜いた以上、侯爵家のお金を使う事も出来ないの。勝手に使えば貴女は泥棒と一緒よ? 悪い事をすれば牢屋に入るの。それは嫌よね?」
「勿論嫌よ…」
「そうよね?なら貴女は働いてお金を稼がないといけないのよ。生活する為にはお金が必要なの。 生きていく為には何か食べないと死んじゃうわよね?」
「うん…」
「食べる為には食べ物を買わないといけないの。お金も払わず持って来たら泥棒よね?」
「うん…」
「何か買う為にはお金が必要なの。そのお金は働いて稼ぐのよ? 働いた対価でしかお金を手に出来ないの。分かるわね?」
「それは分かるわ。だけど働くなんて無理よ」
「彼も貴女の為に酒場で働いてるでしょ? 彼の稼いだお金で貴女は今生活している。そうよね?」
「そう…だけど……」
「貴女が働けないって言うなら、彼の稼ぎだけで生活する様にするしかないわ」
「それだけじゃあ生活出来ないの!」
「彼の稼ぎだけで生活出来ないのなら貴女も働いて一緒に支え合うしかないのよ? 彼と一緒に居たいって家を出たのよね?彼と結婚したいのよね? 夫婦は支え合わないといけないの」
「そんな……彼と一緒に侯爵家に帰れないの?」
「帰って来てどうするの?メイドとして働くの?」
「離れを建ててくれないの?」
「どうして私が建てないといけないの?家を建てるのにもお金はかかるのよ?そのお金はどうするの?」
「お父様に…」
「お父様ももう自由に出来るお金はないわよ?」
「じゃあ、私はどうなるの?」
「生活する為に自分で働いて稼ぐしかないわ」
「何処で働くって言うの?」
「メイドとして働きたいって言うなら使用人として雇う事は出来るわ。他の使用人と同じ様に部屋も与えるし賃金も出すわ。でも元妹だからって贔屓もしないわ。下積みから初めて貰うわよ」
「そんな………」
「これは…どういう事? え? お姉様、どういう事なの?」
「見たままよ」
「え? お姉様が侯爵当主?嘘よ!嘘よ!嘘よ!」
「残念だけど本当よ。王命って書いてあるでしょ?それに国王陛下のサインも印もあるわ。正真正銘当主交代の書類と私が当主になった書類よ」
「じゃあお父様は?」
「さぁ? 当主の仕事は今迄一度もしてないけど、名前だけは当主だったわね」
「え?」
「当主の仕事は次期当主の私が当主代理として、してきたのよ」
「え?次期当主は私じゃないの?」
「何を言ってるの?国への報告も次期当主は私になってるわよ?」
「え?だってお父様が…」
「当主の仕事もしてない人が次期当主が誰かなんて知らないでしょうね。それに貴女が次期当主だって言うなら、何故仕事をしないの? 仕事もしてない人が次期当主?笑わせないで」
「だってお父様が何もしなくてもお金が入って来るからって」
「何もしなくてお金が勝手に入って来るって本当に思ってたの? 私がお父様の代わりに当主の仕事をしてたからお金が入って来てたのよ? 誰も仕事をしてなかったら侯爵家なんてもう潰れていたわ」
「お父様の代わりって…」
「貴女が1歳の時だから私が2歳ね。その時お父様が当主になったけど、お祖父様が数年はお金の管理をしてたわ。お祖父様が居た時はまだ良かった。お祖父様から完全に受け継いでから、お金を使い始めて数年でお祖父様が蓄えたお金が底をついた。 見兼ねたジムがお祖父様に相談したの。 あの時私は10歳だったわ。お祖父様とジムに教えられながらお父様の代わりに当主の仕事をしたの。 当主代理として侯爵家を支えてたのは私よ。お父様じゃない」
「え?」
「残念だけど、貴女が次期当主になる事は絶対にないわ。現当主の私が絶対に認めないから」
「じゃあ私はどうなるの?」
「貴女もさっき言ったじゃない。当主が一番偉いって。現当主は私。侯爵家で今一番偉いのは当主の私。それは貴女でも分かるわね?」
「ええ」
「なら先程まで私は貴女に何と言ったかしら?」
「侯爵家のお金を使うなと…え?待って!待ってお姉様!」
「現当主として貴女に話があって今日此処に来たの。こっちが本題よ」
私はサラの貴族籍抹消の書類を見せた。
「え?お姉様どういう事なの?どうして私が貴族籍を抜かれるの?」
「サラフィス、貴女が貴族として貴族令嬢として軽率な行動をした代償です」
「酷いわ!お姉様、酷いわ!可愛い妹にこんな酷い仕打ちをして許さると思ってるの?」
「サラフィス、私は個人的な感情で言っているのではありません。侯爵家当主としての判断です」
「お姉様は私を虐めてるだけよ!お父様達の愛情を一人占めした私を虐めてるだけよ!」
「サラフィス、貴女はもう成人した一個人です。成人した以上、自分の行動に責任を持たないといけない。そしてそれに対する代償も受け入れないといけない」
「嫌よ!」
「貴女が嫌でも関係ありません。成人したとはそういう事です」
「嫌よ!嫌よ!」
「貴族が平民街で暮らすと言う事が危険と言う事は貴女でも分かりますね?平民街で暮らす以上、貴族で居る事は出来ません」
「嫌よ!嫌よ!嫌! なら私は帰るわ。それなら良いでしょ?」
「いい加減になさい!サラフィス! 貴女は自分の意思で彼に付いてきた。平民になる覚悟も無いなら彼に付いてくるべきでは無かった」
「お願い、お願いよ、お姉様!」
「当主としての判断です。覆る事はありません」
「そんな………」
「はぁぁ。 良い?貴女はもう平民になったの。貴族もだけど平民も働かないとお金は稼げないのよ。お金は勝手には入ってこないの。 使えば減るし稼がないと増えないの。分かるわね?」
「分かるけど…」
「侯爵家から籍を抜いた以上、侯爵家のお金を使う事も出来ないの。勝手に使えば貴女は泥棒と一緒よ? 悪い事をすれば牢屋に入るの。それは嫌よね?」
「勿論嫌よ…」
「そうよね?なら貴女は働いてお金を稼がないといけないのよ。生活する為にはお金が必要なの。 生きていく為には何か食べないと死んじゃうわよね?」
「うん…」
「食べる為には食べ物を買わないといけないの。お金も払わず持って来たら泥棒よね?」
「うん…」
「何か買う為にはお金が必要なの。そのお金は働いて稼ぐのよ? 働いた対価でしかお金を手に出来ないの。分かるわね?」
「それは分かるわ。だけど働くなんて無理よ」
「彼も貴女の為に酒場で働いてるでしょ? 彼の稼いだお金で貴女は今生活している。そうよね?」
「そう…だけど……」
「貴女が働けないって言うなら、彼の稼ぎだけで生活する様にするしかないわ」
「それだけじゃあ生活出来ないの!」
「彼の稼ぎだけで生活出来ないのなら貴女も働いて一緒に支え合うしかないのよ? 彼と一緒に居たいって家を出たのよね?彼と結婚したいのよね? 夫婦は支え合わないといけないの」
「そんな……彼と一緒に侯爵家に帰れないの?」
「帰って来てどうするの?メイドとして働くの?」
「離れを建ててくれないの?」
「どうして私が建てないといけないの?家を建てるのにもお金はかかるのよ?そのお金はどうするの?」
「お父様に…」
「お父様ももう自由に出来るお金はないわよ?」
「じゃあ、私はどうなるの?」
「生活する為に自分で働いて稼ぐしかないわ」
「何処で働くって言うの?」
「メイドとして働きたいって言うなら使用人として雇う事は出来るわ。他の使用人と同じ様に部屋も与えるし賃金も出すわ。でも元妹だからって贔屓もしないわ。下積みから初めて貰うわよ」
「そんな………」
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