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侯爵当主になり、初めての決裁がサラの貴族籍の抹消とは…。
「ジム、この書類を直ぐに提出してきてくれない?」
「サラお嬢様を貴族籍から抜く書類ですね。急ぎ提出してきます」
「お願いね。お祖父様の書類もあるから、それもお願い」
お祖父様はもう暫く此方の邸に滞在する事になった。 あの人達の事、サラの事、急いで書類を提出する為に力を貸してくれてる。
あの人達が侯爵家のお金を自由に使えない様に手続きもしないといけない。
「はぁぁ、今月もどれだけ使ったのよ!」
今月の請求書が届き、怒りを通り越して呆れてしまった。
「これだけ良く使えるわね!」
王命が下った事により、貴族に一斉に侯爵当主の交代のお触れが出た。それにより、ヘイニー子爵は当主でないお父様にお金の管理が無くなった事を知ったはず。違法賭博で負債した分を現侯爵当主になった私に支払う義務は無い。 ヘイニー子爵も馬鹿ではない。どちらかと言うと悪知恵に関しては頭が切れる方だと思う。 その知恵を良い方に使っていたなら今頃は伯爵ぐらいになれてたのに…。
賭博へ出入りを禁止されたあの人達がまたサラを探す旅に出ても、お祖父様の提出した書類が決裁されたら、今迄サイン一つで支払えてたのが出来なくなる。そうなると急いで帰ってくるわね。あの人達はお祖父様に任せるとして、私はサラに一度会いに行くしかないわね。
ジムと入れ代わりに入って来たメイに、グレンを呼んで来て貰うように伝え、メイは執務室を出て行った。暫くしてグレンが来て、
「当主、何か用ですか?」
「ちょっと、やめてよ!気持ち悪い!いつも通りにして」
「あっそう。エミーどうした?」
「今ジムが書類を提出に行ったわ」
「サラのか?」
「そう。数日でサラは貴族籍が抜けるわ。そしたらサラに会いに行こうと思うの」
「馬車は侯爵家のでいいよな?護衛は何人用意する?」
「馬車は侯爵家のでいいわ。その代わり、護衛は腕の立つ者数人にして。ぞろぞろ連れて歩くなんて嫌よ」
「お前、当主になったんだぞ?それくらい我慢しろよ」
「只でさえあの人達が数人連れて行ってるのよ?私まで連れて出たら此処を護る人が居なくなるでしょ。それに平民街へ行くのよ?貴族が来ましたって宣伝してるようなものじゃない」
「そうだけどさぁ。まぁ分かった。護衛の件は任せとけ」
「お願いね。後、多分、数週間後にはあの人達が帰って来るわ。お祖父様の書類も提出しに行ったから。急ぎで悪いんだけど、商会に行って少しでも出来上がった物を見たいってディーナに伝えて来て」
「あれからまだ数週間だろ?まだ出来上がってないだろ?」
「あの人達が帰って来たら厄介な事になるでしょ?その前にサラを隠すしかないの」
「隣国へ送るのか?」
「それは最終手段ね。商会が管理してる部屋に籠もって貰うつもりよ。それでも出来が期待以上か以下かで手を出すか、それとも見切りを付けるか考えないと」
「見切りか。見切り付けたらサラの旦那に手を貸さないって事か?」
「そうね。此方も商売だもの。売れそうもない物にお金は出せないわ」
「そりゃあそうだな」
「その時はあの人達と仲良く平民街で暮らせば良いんじゃない?」
「旦那が気の毒だが、仕方ないか」
「その時はサラも働くでしょ。貴族じゃないんだから、自分も働かないと生活出来ない事くらい分かってるでしょ?」
「分かってれば良いけどな」
「そこまで責任取れないわね」
「ジム、この書類を直ぐに提出してきてくれない?」
「サラお嬢様を貴族籍から抜く書類ですね。急ぎ提出してきます」
「お願いね。お祖父様の書類もあるから、それもお願い」
お祖父様はもう暫く此方の邸に滞在する事になった。 あの人達の事、サラの事、急いで書類を提出する為に力を貸してくれてる。
あの人達が侯爵家のお金を自由に使えない様に手続きもしないといけない。
「はぁぁ、今月もどれだけ使ったのよ!」
今月の請求書が届き、怒りを通り越して呆れてしまった。
「これだけ良く使えるわね!」
王命が下った事により、貴族に一斉に侯爵当主の交代のお触れが出た。それにより、ヘイニー子爵は当主でないお父様にお金の管理が無くなった事を知ったはず。違法賭博で負債した分を現侯爵当主になった私に支払う義務は無い。 ヘイニー子爵も馬鹿ではない。どちらかと言うと悪知恵に関しては頭が切れる方だと思う。 その知恵を良い方に使っていたなら今頃は伯爵ぐらいになれてたのに…。
賭博へ出入りを禁止されたあの人達がまたサラを探す旅に出ても、お祖父様の提出した書類が決裁されたら、今迄サイン一つで支払えてたのが出来なくなる。そうなると急いで帰ってくるわね。あの人達はお祖父様に任せるとして、私はサラに一度会いに行くしかないわね。
ジムと入れ代わりに入って来たメイに、グレンを呼んで来て貰うように伝え、メイは執務室を出て行った。暫くしてグレンが来て、
「当主、何か用ですか?」
「ちょっと、やめてよ!気持ち悪い!いつも通りにして」
「あっそう。エミーどうした?」
「今ジムが書類を提出に行ったわ」
「サラのか?」
「そう。数日でサラは貴族籍が抜けるわ。そしたらサラに会いに行こうと思うの」
「馬車は侯爵家のでいいよな?護衛は何人用意する?」
「馬車は侯爵家のでいいわ。その代わり、護衛は腕の立つ者数人にして。ぞろぞろ連れて歩くなんて嫌よ」
「お前、当主になったんだぞ?それくらい我慢しろよ」
「只でさえあの人達が数人連れて行ってるのよ?私まで連れて出たら此処を護る人が居なくなるでしょ。それに平民街へ行くのよ?貴族が来ましたって宣伝してるようなものじゃない」
「そうだけどさぁ。まぁ分かった。護衛の件は任せとけ」
「お願いね。後、多分、数週間後にはあの人達が帰って来るわ。お祖父様の書類も提出しに行ったから。急ぎで悪いんだけど、商会に行って少しでも出来上がった物を見たいってディーナに伝えて来て」
「あれからまだ数週間だろ?まだ出来上がってないだろ?」
「あの人達が帰って来たら厄介な事になるでしょ?その前にサラを隠すしかないの」
「隣国へ送るのか?」
「それは最終手段ね。商会が管理してる部屋に籠もって貰うつもりよ。それでも出来が期待以上か以下かで手を出すか、それとも見切りを付けるか考えないと」
「見切りか。見切り付けたらサラの旦那に手を貸さないって事か?」
「そうね。此方も商売だもの。売れそうもない物にお金は出せないわ」
「そりゃあそうだな」
「その時はあの人達と仲良く平民街で暮らせば良いんじゃない?」
「旦那が気の毒だが、仕方ないか」
「その時はサラも働くでしょ。貴族じゃないんだから、自分も働かないと生活出来ない事くらい分かってるでしょ?」
「分かってれば良いけどな」
「そこまで責任取れないわね」
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