8 / 187
8
しおりを挟む
お父様とお母様がサラを探しに出て1ヶ月。
「何なの!この請求書の額!あの馬鹿達は!」
「お嬢様どうされますか?」
「払うしかないでしょ!」
「仕方ありません」
「ねぇ、あの人達って馬鹿なの?馬鹿だと思ってたけど、ここまで馬鹿だとは思って無かったわ」
「だからお手上げだと以前申し上げました」
「ええ聞いたわよ。だけどここまでとは思って無かったの。ジムも見たでしょ?この請求書!どうして毎日高級ホテルに泊まって、一番高い部屋に泊まって、高級ディナーを食べる必要があるの?サラを探してるのよね?旅行じゃないわよね?」
「一応サラフィスお嬢様を探す旅ですね。旅ですが旅行では無いはずです」
「なのに観光地でお土産買って、しまいにはドレスまで買ってるってどういう事なの?どこの馬鹿が家出した娘が観光地にいるのよ。お金も持ってない子が高級ホテルになんか泊まる訳ないでしょ?泊まっても安い宿よ。おまけに昼食もこんな高級な所で食べてないで下町の食堂とかに行けば良いのに。本当に役立たずの穀潰しなんだから!」
「あのお二人には無理ですね」
コンコン
「誰?」
扉が開いてグレンが顔を出した。
「エミー大声出してどうした?廊下まで聞こえたぞ」
「グレン見てよ!あの人達本当にやってくれるわ!」
「わお!これは凄いな。ここまで使えるのはあの人達だけだろうな」
「関心してる場合?これを何ヶ月続けるとおもってるの?」
「サラが見つかるまで?」
「見当違いな所ばっかり探しててみつかる訳ないわよ!で、グレンの方はどうなの?」
「サラ見つけたぞ。俺も確認した」
「そう。で?」
「結論から言うと家出と言うより駆け落ちだな」
「やっぱりね」
「エミーは知ってたのか?」
「まさか。ただサラの部屋のワンピースが数枚無くなってるのと、大事にしてた安い髪飾りが無くなってる事からその可能性もあるだろうなって思ってただけよ」
「そっか。相手知りたい?」
「早く報告して」
「貴族下がりの平民でな、その髪飾りを作った本人だと思う。作った髪飾りやイヤリング、ネックレスを露天商に売ってそれで生活してる」
「貴族下がり?」
「サラと同じ歳で学園の同級生。どうやら学園の時から恋人同士だったらしい。男の方は男爵の一人息子だったけど、本人はアクセサリー職人になりたかった。親に反対され家出同然でサラと駆け落ちをした。男爵の方にも探りを入れたら、もう勘当した息子だから知らないと」
「そう。我が家から抗議が来ない様にする為かしら」
「それは知らなかったらしい。勘当したのも職人になると言ったからだと」
「そう。それでサラは今どうしてるの?」
「長屋の一部屋に住んで細々と暮らしてる。アクセサリーが売れないと金は入らないからな。材料費もかかるし、男の方が夜は酒場で働いてたよ」
「そう。あの子、料理も洗濯も出来ないのに暮らせてるの?」
「周りの奥様方に聞きながらやってたよ。ご飯もたまにおかずを貰ったりするみたいだぞ」
「あの子なら周りが手助けしてくれるわね。サラは幸せそう?」
「幸せそうに暮らしてる。で、どうする?」
「幸せそうならそっとしておくわ。露天商からアクセサリー何店か購入してきて」
「売上に貢献するのか?」
「違うわよ。アクセサリーの出来を知りたいだけよ」
「あ~、分かった。適当に買ってくるよ」
「お願いね」
グレンが執務室から出て行き、
「お嬢様、どうするおつもりで?」
「物を見てから考えるけど、腕が良いなら投資するつもりよ」
「またですか」
「またってやめてよ。腕が良いならそれだけで価値があるわ。売れる場所を提供すれば職人として食べていける。そしたらサラを平民にするわ」
「そうするしかありませんね」
「貴族のままでは無理矢理でも連れ帰らないと。今でも危ない状況だわ」
「そうですね」
「サラはきちんと現実を見てそれに合った暮らしをしてるわ。現実を見てないのはあの人達だけよ」
「本当に。大旦那様にご報告しますか?」
「う~ん、ちょっと待って。アクセサリーの出来を見てから判断するわ」
「承知しました」
とりあえずサラの問題は片付きそう。問題はあの馬鹿二人よ。頭が痛いわ。
「何なの!この請求書の額!あの馬鹿達は!」
「お嬢様どうされますか?」
「払うしかないでしょ!」
「仕方ありません」
「ねぇ、あの人達って馬鹿なの?馬鹿だと思ってたけど、ここまで馬鹿だとは思って無かったわ」
「だからお手上げだと以前申し上げました」
「ええ聞いたわよ。だけどここまでとは思って無かったの。ジムも見たでしょ?この請求書!どうして毎日高級ホテルに泊まって、一番高い部屋に泊まって、高級ディナーを食べる必要があるの?サラを探してるのよね?旅行じゃないわよね?」
「一応サラフィスお嬢様を探す旅ですね。旅ですが旅行では無いはずです」
「なのに観光地でお土産買って、しまいにはドレスまで買ってるってどういう事なの?どこの馬鹿が家出した娘が観光地にいるのよ。お金も持ってない子が高級ホテルになんか泊まる訳ないでしょ?泊まっても安い宿よ。おまけに昼食もこんな高級な所で食べてないで下町の食堂とかに行けば良いのに。本当に役立たずの穀潰しなんだから!」
「あのお二人には無理ですね」
コンコン
「誰?」
扉が開いてグレンが顔を出した。
「エミー大声出してどうした?廊下まで聞こえたぞ」
「グレン見てよ!あの人達本当にやってくれるわ!」
「わお!これは凄いな。ここまで使えるのはあの人達だけだろうな」
「関心してる場合?これを何ヶ月続けるとおもってるの?」
「サラが見つかるまで?」
「見当違いな所ばっかり探しててみつかる訳ないわよ!で、グレンの方はどうなの?」
「サラ見つけたぞ。俺も確認した」
「そう。で?」
「結論から言うと家出と言うより駆け落ちだな」
「やっぱりね」
「エミーは知ってたのか?」
「まさか。ただサラの部屋のワンピースが数枚無くなってるのと、大事にしてた安い髪飾りが無くなってる事からその可能性もあるだろうなって思ってただけよ」
「そっか。相手知りたい?」
「早く報告して」
「貴族下がりの平民でな、その髪飾りを作った本人だと思う。作った髪飾りやイヤリング、ネックレスを露天商に売ってそれで生活してる」
「貴族下がり?」
「サラと同じ歳で学園の同級生。どうやら学園の時から恋人同士だったらしい。男の方は男爵の一人息子だったけど、本人はアクセサリー職人になりたかった。親に反対され家出同然でサラと駆け落ちをした。男爵の方にも探りを入れたら、もう勘当した息子だから知らないと」
「そう。我が家から抗議が来ない様にする為かしら」
「それは知らなかったらしい。勘当したのも職人になると言ったからだと」
「そう。それでサラは今どうしてるの?」
「長屋の一部屋に住んで細々と暮らしてる。アクセサリーが売れないと金は入らないからな。材料費もかかるし、男の方が夜は酒場で働いてたよ」
「そう。あの子、料理も洗濯も出来ないのに暮らせてるの?」
「周りの奥様方に聞きながらやってたよ。ご飯もたまにおかずを貰ったりするみたいだぞ」
「あの子なら周りが手助けしてくれるわね。サラは幸せそう?」
「幸せそうに暮らしてる。で、どうする?」
「幸せそうならそっとしておくわ。露天商からアクセサリー何店か購入してきて」
「売上に貢献するのか?」
「違うわよ。アクセサリーの出来を知りたいだけよ」
「あ~、分かった。適当に買ってくるよ」
「お願いね」
グレンが執務室から出て行き、
「お嬢様、どうするおつもりで?」
「物を見てから考えるけど、腕が良いなら投資するつもりよ」
「またですか」
「またってやめてよ。腕が良いならそれだけで価値があるわ。売れる場所を提供すれば職人として食べていける。そしたらサラを平民にするわ」
「そうするしかありませんね」
「貴族のままでは無理矢理でも連れ帰らないと。今でも危ない状況だわ」
「そうですね」
「サラはきちんと現実を見てそれに合った暮らしをしてるわ。現実を見てないのはあの人達だけよ」
「本当に。大旦那様にご報告しますか?」
「う~ん、ちょっと待って。アクセサリーの出来を見てから判断するわ」
「承知しました」
とりあえずサラの問題は片付きそう。問題はあの馬鹿二人よ。頭が痛いわ。
210
お気に入りに追加
2,328
あなたにおすすめの小説
【完結済み】妹に婚約者を奪われたので実家の事は全て任せます。あぁ、崩壊しても一切責任は取りませんからね?
早乙女らいか
恋愛
当主であり伯爵令嬢のカチュアはいつも妹のネメスにいじめられていた。
物も、立場も、そして婚約者も……全てネメスに奪われてしまう。
度重なる災難に心が崩壊したカチュアは、妹のネメアに言い放つ。
「実家の事はすべて任せます。ただし、責任は一切取りません」
そして彼女は自らの命を絶とうとする。もう生きる気力もない。
全てを終わらせようと覚悟を決めた時、カチュアに優しくしてくれた王子が現れて……
父が死んだのでようやく邪魔な女とその息子を処分できる
兎屋亀吉
恋愛
伯爵家の当主だった父が亡くなりました。これでようやく、父の愛妾として我が物顔で屋敷内をうろつくばい菌のような女とその息子を処分することができます。父が死ねば息子が当主になれるとでも思ったのかもしれませんが、父がいなくなった今となっては思う通りになることなど何一つありませんよ。今まで父の威を借りてさんざんいびってくれた仕返しといきましょうか。根に持つタイプの陰険女主人公。
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
裏切りの代償
志波 連
恋愛
伯爵令嬢であるキャンディは婚約者ニックの浮気を知り、婚約解消を願い出るが1年間の再教育を施すというニックの父親の言葉に願いを取り下げ、家出を決行した。
家庭教師という職を得て充実した日々を送るキャンディの前に父親が現れた。
連れ帰られ無理やりニックと結婚させられたキャンディだったが、子供もできてこれも人生だと思い直し、ニックの妻として人生を全うしようとする。
しかしある日ニックが浮気をしていることをしり、我慢の限界を迎えたキャンディは、友人の手を借りながら人生を切り開いていくのだった。
他サイトでも掲載しています。
R15を保険で追加しました。
表紙は写真AC様よりダウンロードしました。
一番悪いのは誰
jun
恋愛
結婚式翌日から屋敷に帰れなかったファビオ。
ようやく帰れたのは三か月後。
愛する妻のローラにやっと会えると早る気持ちを抑えて家路を急いだ。
出迎えないローラを探そうとすると、執事が言った、
「ローラ様は先日亡くなられました」と。
何故ローラは死んだのは、帰れなかったファビオのせいなのか、それとも・・・
【完結】「冤罪で処刑された公爵令嬢はタイムリープする〜二度目の人生は殺(や)られる前に殺(や)ってやりますわ!」
まほりろ
恋愛
【完結しました】
アリシア・フォスターは第一王子の婚約者だった。
だが卒業パーティで第一王子とその仲間たちに冤罪をかけられ、弁解することも許されず、その場で斬り殺されてしまう。
気がつけば、アリシアは十歳の誕生日までタイムリープしていた。
「二度目の人生は|殺《や》られる前に|殺《や》ってやりますわ!」
アリシアはやり直す前の人生で、自分を殺した者たちへの復讐を誓う。
敵は第一王子のスタン、男爵令嬢のゲレ、義弟(いとこ)のルーウィー、騎士団長の息子のジェイ、宰相の息子のカスパーの五人。
アリシアは父親と信頼のおけるメイドを仲間につけ、一人づつ確実に報復していく。
前回の人生では出会うことのなかった隣国の第三皇子に好意を持たれ……。
☆
※ざまぁ有り(死ネタ有り)
※虫を潰すように、さくさく敵を抹殺していきます。
※ヒロインのパパは味方です。
※他サイトにも投稿しています。
「Copyright(C)2021-九頭竜坂まほろん」
表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。
※本編1〜14話。タイムリープしたヒロインが、タイムリープする前の人生で自分を殺した相手を、ぷちぷちと潰していく話です。
※番外編15〜26話。タイムリープする前の時間軸で、娘を殺された公爵が、娘を殺した相手を捻り潰していく話です。
2022年3月8日HOTランキング7位! ありがとうございます!
待つわけないでしょ。新しい婚約者と幸せになります!
風見ゆうみ
恋愛
「1番愛しているのは君だ。だから、今から何が起こっても僕を信じて、僕が迎えに行くのを待っていてくれ」彼は、辺境伯の長女である私、リアラにそうお願いしたあと、パーティー会場に戻るなり「僕、タントス・ミゲルはここにいる、リアラ・フセラブルとの婚約を破棄し、公爵令嬢であるビアンカ・エッジホールとの婚約を宣言する」と叫んだ。
婚約破棄した上に公爵令嬢と婚約?
憤慨した私が婚約破棄を受けて、新しい婚約者を探していると、婚約者を奪った公爵令嬢の元婚約者であるルーザー・クレミナルが私の元へ訪ねてくる。
アグリタ国の第5王子である彼は整った顔立ちだけれど、戦好きで女性嫌い、直属の傭兵部隊を持ち、冷酷な人間だと貴族の中では有名な人物。そんな彼が私との婚約を持ちかけてくる。話してみると、そう悪い人でもなさそうだし、白い結婚を前提に婚約する事にしたのだけど、違うところから待ったがかかり…。
※暴力表現が多いです。喧嘩が強い令嬢です。
※史実とは関係ない異世界の世界観であり、設定はゆるゆるで、ご都合主義です。魔法も存在します。
格闘シーンがお好きでない方、浮気男に過剰に反応される方は読む事をお控え下さい。感想をいただけるのは大変嬉しいのですが、感想欄での感情的な批判、暴言などはご遠慮願います。
両親も義両親も婚約者も妹に奪われましたが、評判はわたしのものでした
朝山みどり
恋愛
婚約者のおじいさまの看病をやっている間に妹と婚約者が仲良くなった。子供ができたという妹を両親も義両親も大事にしてわたしを放り出した。
わたしはひとりで家を町を出た。すると彼らの生活は一変した。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる