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マルボール伯爵家当主のジークリード様が侯爵邸にいらした。
「エミリーヌ嬢、この度は愚弟が申し訳ありませんでした。エミリーヌ嬢に度重なる迷惑もお掛けし、その上罵倒など。本当に申し訳ありませんでした」
マルボール伯爵は深々と頭を下げられました。
「マルボール伯爵、頭を上げて下さい。伯爵が頭を下げる必要はありませんわ」
マルボール伯爵は頭を上げ、
「いえ、愚弟はまだ伯爵令息です。当主の私が頭を下げるのが道理。エミリーヌ嬢に対して婚約者として蔑ろにした愚弟の代わりです」
「ジェフ様とはご縁が無かっただけの事ですわ」
「本当に申し訳ありません。それで妹君はご無事で?」
「サラですか…。まだ見つかりませんの」
「では心配ですね」
「ええ。王宮の騎士団の結論では家出だと」
「家出ですか。確か妹君はもう成人してますよね?」
「ええ。今年成人しましたの」
「なら家出も個人の意志。自己責任ですね」
「ええ。何があっても自己責任ですわ」
「誘拐とかで無くて良かったです」
「私もそう思いますわ」
「妹君の事は解決したので、本題に移りましょうか」
「そうですわね」
「今回は愚弟からの婚約破棄です。エミリーヌ嬢を罵倒し、令嬢を危険に晒そうとした。おまけに度重なる無礼。婚約者が居ながら妹君に心を移し蔑ろにした。で合ってますか?」
「そうですわね。ですが、私は解消で良いと申し上げましたが、ジェフ様が破棄で良いと」
「愚弟はエミリーヌ嬢の情けも分からなかった様です。愚弟の有責による婚約破棄ですので、ご要望は全て聞き入れます」
「ありがとうございます。まぁ一般的には慰謝料請求とかですが…、マルボール伯爵家の財上もお有りでしょうから、どう致しましょう」
「いえ、私共としましては成人した一個人ですので、当主として一切協力はしないと本人に伝えて有ります」
「ではジェフ様ご自身で返すと言う事ですの?」
「はい。マルボール家は一切協力はしません。慰謝料を立て替える事は致しません」
「ちなみにジェフ様は投資や商売などしておりませんの?」
「何もしておりません。次男ですが、学園に入る前にそちらの侯爵家に婿入りすると決まりましたから」
「そうでしたわね。では慰謝料は請求致しませんわ」
「良いのですか?」
「はい。ですが何も無しと言う訳には参りません。マルボール伯爵家にとってはお辛いとは思いますが…、それでもよろしいでしょうか」
「はい。どの様な事でも受け入れます」
「では、思う存分妹のサラフィスをお探しになって下さいとお伝え下さいませ」
「それでよろしいのですか?」
「ええ。後はマルボール伯爵にお任せしますわ」
「分かりました。お情けを頂きありがとうございます」
「お情けではありませんが、両親も今、サラフィスを見つける為に国中回っていますの。全部捨ててまで探したい大事な娘らしくて。ですからジェフ様も可愛いサラを存分にお探しになれば良いかと。お兄様に止められて探せないと申しておりましたもの。マルボール伯爵が良いと言えばジェフ様も探せますでしょ?」
「そうですね。思う存分探して見つけてくれる事でしょう。今度お会いする時はお互い当主として意見交換をしたいですね」
「あら、今でも私の事を当主として接しておいでですわよ」
「エミリーヌ嬢の噂は耳に入りますので。当主代理の器で収まりきらないと」
「まあ。良い噂だと良いのですが。ふふっ」
「では、愚弟の事は決まり次第ご連絡致します」
「ご連絡お待ちしておりますわ」
ジークリード様がお帰りになった。あんな素敵なお兄様でお若いのに当主としても立派なのに、弟のジェフ様はどうしてあんな風になったのかしら。
後日、ジークリード様から連絡が来て、ジェフ様は貴族籍を抜かれ平民としてサラを探し出すまで戻らないと約束させたと。これで思う存分可愛いサラを探せますわね。 貴族籍を抜いてあれば例え誘拐されても伯爵家は関係なくなるし、後は自己責任ですわね。
「エミリーヌ嬢、この度は愚弟が申し訳ありませんでした。エミリーヌ嬢に度重なる迷惑もお掛けし、その上罵倒など。本当に申し訳ありませんでした」
マルボール伯爵は深々と頭を下げられました。
「マルボール伯爵、頭を上げて下さい。伯爵が頭を下げる必要はありませんわ」
マルボール伯爵は頭を上げ、
「いえ、愚弟はまだ伯爵令息です。当主の私が頭を下げるのが道理。エミリーヌ嬢に対して婚約者として蔑ろにした愚弟の代わりです」
「ジェフ様とはご縁が無かっただけの事ですわ」
「本当に申し訳ありません。それで妹君はご無事で?」
「サラですか…。まだ見つかりませんの」
「では心配ですね」
「ええ。王宮の騎士団の結論では家出だと」
「家出ですか。確か妹君はもう成人してますよね?」
「ええ。今年成人しましたの」
「なら家出も個人の意志。自己責任ですね」
「ええ。何があっても自己責任ですわ」
「誘拐とかで無くて良かったです」
「私もそう思いますわ」
「妹君の事は解決したので、本題に移りましょうか」
「そうですわね」
「今回は愚弟からの婚約破棄です。エミリーヌ嬢を罵倒し、令嬢を危険に晒そうとした。おまけに度重なる無礼。婚約者が居ながら妹君に心を移し蔑ろにした。で合ってますか?」
「そうですわね。ですが、私は解消で良いと申し上げましたが、ジェフ様が破棄で良いと」
「愚弟はエミリーヌ嬢の情けも分からなかった様です。愚弟の有責による婚約破棄ですので、ご要望は全て聞き入れます」
「ありがとうございます。まぁ一般的には慰謝料請求とかですが…、マルボール伯爵家の財上もお有りでしょうから、どう致しましょう」
「いえ、私共としましては成人した一個人ですので、当主として一切協力はしないと本人に伝えて有ります」
「ではジェフ様ご自身で返すと言う事ですの?」
「はい。マルボール家は一切協力はしません。慰謝料を立て替える事は致しません」
「ちなみにジェフ様は投資や商売などしておりませんの?」
「何もしておりません。次男ですが、学園に入る前にそちらの侯爵家に婿入りすると決まりましたから」
「そうでしたわね。では慰謝料は請求致しませんわ」
「良いのですか?」
「はい。ですが何も無しと言う訳には参りません。マルボール伯爵家にとってはお辛いとは思いますが…、それでもよろしいでしょうか」
「はい。どの様な事でも受け入れます」
「では、思う存分妹のサラフィスをお探しになって下さいとお伝え下さいませ」
「それでよろしいのですか?」
「ええ。後はマルボール伯爵にお任せしますわ」
「分かりました。お情けを頂きありがとうございます」
「お情けではありませんが、両親も今、サラフィスを見つける為に国中回っていますの。全部捨ててまで探したい大事な娘らしくて。ですからジェフ様も可愛いサラを存分にお探しになれば良いかと。お兄様に止められて探せないと申しておりましたもの。マルボール伯爵が良いと言えばジェフ様も探せますでしょ?」
「そうですね。思う存分探して見つけてくれる事でしょう。今度お会いする時はお互い当主として意見交換をしたいですね」
「あら、今でも私の事を当主として接しておいでですわよ」
「エミリーヌ嬢の噂は耳に入りますので。当主代理の器で収まりきらないと」
「まあ。良い噂だと良いのですが。ふふっ」
「では、愚弟の事は決まり次第ご連絡致します」
「ご連絡お待ちしておりますわ」
ジークリード様がお帰りになった。あんな素敵なお兄様でお若いのに当主としても立派なのに、弟のジェフ様はどうしてあんな風になったのかしら。
後日、ジークリード様から連絡が来て、ジェフ様は貴族籍を抜かれ平民としてサラを探し出すまで戻らないと約束させたと。これで思う存分可愛いサラを探せますわね。 貴族籍を抜いてあれば例え誘拐されても伯爵家は関係なくなるし、後は自己責任ですわね。
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