辺境伯へ嫁ぎます。

アズやっこ

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ジル様と私は神父様にお礼を言いに来ました。


「今日はありがとう」

「ありがとうございました」

「素敵な婚姻式でした。騎士達に見守られながら妻を迎え、嫁ぐ。神々が二人を祝福しています」

「神父様、一つお聞きしても良いですか?」

「どうぞ、辺境伯夫人」

「武神への誓いをジル様は剣に誓いました。私は家族に誓いましたが…」

「私が思う武神は騎士一人一人の心にいると思っています。そして夫人は辺境の騎士達を家族だと思っていると辺境伯から聞きました」

「はい、騎士達を家族だと思っています。だから武神を心に持つ家族に誓ったと言う事ですね?」

「はい、騎士達皆の祝福は武神の祝福です。今後も辺境は武神に護られる土地になることでしょう」

「はい、辺境は素敵な人達が集まる所です。私もその一員になれた事を幸せに思います」

「お幸せに」

「ありがとうございます」


ジル様は私の腰を抱き、私の頬に口付けをしました。

ジル様となら幸せになれると、私がジル様を幸せにしたいとそう思います。



騎士達は祝い酒を飲んで酔い潰れていて奥様や家族が連れて帰りました。明日は全員お休みだそうです。

お父様とお母様、叔父様と叔母様は邸に帰り4人で飲み直すそうです。


私は今夫婦の寝室でジル様を待っています。


「入るぞ」

「は、はい…」


薄暗い部屋の中、ジル様がベッドまで歩いて来て…、


「シア」

「は、はい!」

「そんなに緊張するな」

「します!」

「俺もしてる」


ジル様は私の横に座り、


「胸は小さいです。それに初めてなのでどうしたら良いか分かりません。あと、」

「シア、もう黙れ」

「何か話してないと心臓がうるさくて」

「俺もだ」


ジル様は私の手をジル様の心臓へあて、


「ジル様の心臓もうるさいですね」

「当たり前だろ?愛しい妻を今から抱くんだ、興奮もするし緊張もする」


ジル様が私を抱きしめ、


「シア愛してる。俺は幸せ者だ」

「私も幸せ者です。私もジル様を愛してます」


ジル様の唇が近づき目を閉じる。何度も重なる唇、ジル様はそのまま口付けを首すじへ移し、私の夜着の紐を解いた。

ジル様の優しい手が私を触り、口付けをし、痛みでこぼれた涙を優しく拭う。


「愛してる、愛してる、愛しいシア」


ジル様は何度もそう私に語りかけた。




「今日くらいは鍛錬休んでも良いよな」

「…休んで下さい。……私の側に居て下さい…」

「シア、起きたのか?」

「スースー」

「フッ、寝言か?」


私はジル様の温もりを求めるように抱きついていた。

目が覚め、


「ジル様……おはようございます」

「おはよう」

「……え?ジル様?ジル様がなんで?」

「シア?何を言ってる」

「あ!そうだ!昨日は………。すみません、私……」

「どうした?」

「恥ずかしいです……。だって私(キャー裸だわ)服着てません…。それなのに、それなのに、ジル様に抱きついているなんて」

「俺が離したくなかっただけだ」

「ジル様も……(裸です)」

「服を着せようかと思ったんだが(着せる気は更々なかったが)」

「いえ(今ジル様と離れたら見えちゃうわ)」

「悪い(まだシアの温もりを感じていたい、誰が離すか!)」

「鍛錬は良かったのですか?」

「フッ、こんな日くらいは休んでも良いだろ?」

「そうですね」

「シア愛してる。昨日は無理をさせたな」

「いえ…(ジル様は満足できたのかしら)」


私はジル様を見つめ、


「何だ?」

「ジル様、あまり見ないで下さい」


ジル様は私をずっと見つめています。


「愛しい妻を見つめて悪いか?」

「ジル様のお顔が」

「俺の顔?」

「素敵過ぎて見れません」


私はジル様の胸の中に顔を埋めた。


「俺がシアを見たいだけだ」

「そんな優しいお顔をされたら…」

「ん?」

「私、ジル様なしでは生きていけなくなります」

「それなら大丈夫だ、俺もシアのいない世界で生きていけない」

「ジル様」


私は顔をあげジル様を見つめた。


「幸せだな…」


ジル様のつぶやきが私の体に染み渡る。私はジル様に抱きついた。


「私も幸せです。ジル様の妻になれました」


ジル様は私を包みこみように抱きしめてくれました。




コンコン

「ジルベーク様」


ケイトの声が聞こえ、


「少し待ってくれ」


ジル様は私に何度も口付けてから私を離し、ガウンを羽織り扉まで行きました。

朝食を手に戻ってきたジル様。


「食べるか?」

「はい」

「起き上がれるか?」


私は布団に包まり起き上がり、ジル様は布団の上にトレイを置いた。


「シア」


渡されたサンドイッチを食べ、


「シア口を開けろ」


口を開ければふわふわの卵が口の中広がり、柑橘系の果物を口の中に入れられれば喉を潤した。

ジル様も食べ終わればトレイを部屋のテーブルに置き、ガウンを脱いでまた布団に入り私を抱きしめました。


「シア愛してる」


ジル様の唇が重なり、深い口付けになり、私は昨日を思い出しました。


「ジル様?」


顔を上げジル様を見ると、


「そんな可愛い顔をしないでくれ。俺は試されているのか?」

「何を試すのです?」

「この可愛いシアにどこまで耐えられるかだ」

「我慢はしないで下さい」

「言ったな?」


そう言うとジル様は突然私の唇に口付けし、私の体を触り体中に口付けをし、私の奥深いところで繋がった。



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