辺境伯へ嫁ぎます。

アズやっこ

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国境から帰ってきた2部隊を迎える為に騎士隊へ来ました。来ましたが…、

凄い!

皆様奥様や恋人を抱きしめ口付けを…。それはもういつまで続くの?と思うほど。

妻や恋人のいない方には目の毒では?と思いました。

が!

皆様気にせず同じ場にいる方や宿舎に戻られる方、私も労いの言葉をおかけしようと思っていたのですが、とてもそんな言葉をかけられる雰囲気ではなく、私はそっと目をそらしました。


「シア行くぞ」

「はい」


ジル様と手を繋ぎ邸に戻ります。


「凄かったです」

「だろ?」

「私、どこを見ていいのか…迷いました」

「フッ、それも慣れだ慣れ」

「慣れるでしょうか…。それに奥様や恋人がいない方が少し可哀想に思えてきました」

「だから女の取り合いになるんだろうな」

「確かに。ジル様は参加されなかったのですか?」

「そんな余裕が無かったのもあるが俺はモテないからな」

「ジル様は素敵な男性です。格好良くて、優しくて、その逞しいお体も包容力がありとても魅力的です。きっと女性の方は声をかけれなかっただけだと思いますよ?」

「それを言うのはシアだけだ」

「ジル様は自己評価が低すぎます」

「おかげでシアと出会えた」

「それもそうですね。ジル様に他に好きな女性がいたら私もジル様を愛することはできませんでした」

「だろ?」

「はい。そういえばキース様はいつこちらへ?」

「最後の部隊が戻って来るときに一緒に戻ってくる。準備をしたら直ぐに国境へ戻るが」

「その時お話ができればいいのですが」

「夕食でも一緒にするか」

「はい」


2部隊が出発し最後の部隊が帰ってしました。キース様を見つけ、


「キース様、お疲れ様でした」

「また直ぐに向かうけどね」

「キース様、辺境は皆様凄いですね」

「ああ、これ?」

「はい」

「ジルが可愛く見えるだろ?」

「ジル様は格好いいです。確かに可愛いお顔もされますが」

「う~ん、王女様も変わってないね」

「そうですか?私も馬鹿元王子を捕らえるのに協力したんですよ?」

「大変だったらしいね」

「少しはジル様に近付けたでしょうか」

「ジルに近付いてどうするの?」

「目指せジル様ですもの」

「もしかしてバカな事考えてないよね?ジルみたいに逞しい体になりたいとか」

「あ!それいいです!」

「王女様はそのままで。その方がジルが喜ぶからさ」

「このままでジル様が喜びますか?」

「間違いなく喜ぶね」

「ではこのままで。今日は一緒に夕食を食べて下さいね?」

「お邪魔じゃない?」

「そんな事はありませんよ?」

「なら良いけど。それよりジルは?」

「先程呼ばれて騎士隊の建物に入って行きました」

「王女様残して?」

「一緒に来るか?と聞かれたのでキース様をお迎えしますと」

「そうなんだ。で、ノールが後ろにいる訳か」

「はい。私も皆様に労いの言葉をおかけしたいのですが、皆様声がかけられる雰囲気ではないので、私は心の中で労いの言葉をおかけしています」

「久しぶりの再会だからね、邪魔をしないのが一番だよ」

「はい、そう思います」

「王女様はジル待ち?」

「先に戻った方が良いのならノール様もいるので先に戻るのですが…」

「そうだな、作戦会議もあるから先に送って行くよ」

「ノール様がいるので大丈夫です。では先に戻るとジル様にお伝え下さい」

「分かった。なら夕食にね」

「はい、お待ちしていますね」

「ノール頼むぞ」

「はい!」


ノール様と邸に戻り私は夕食まで刺繍を刺していた。

あれ?キース様って恋人いるのかしら?


「ノール様、キース様って恋人がいるのか知ってます?」

「…………さあ」


少し睨まれ、話しかけるなオーラを出され、

恋人がいるのかいないのか分からないからキース様のハンカチを作っておこうかしらね。

夕食までになんとか出来上がり、


コンコン

「シア、夕食にするぞ」

「ジル様!おかえりなさい」

「ただいま。ノールもお疲れさん。もう戻って良いぞ」

「はい。では失礼します」


ノール様が部屋から出て行き、ジル様は私を抱きしめ口付けをした。


「ただいま」


 チュッ


「おかえりなさい」


ジル様と手を繋ぎ一緒に食堂へ向かうと、もうキース様が座っていました。


「二人は相変わらずで良かったよ」

「当たり前だ」


キース様の前にジル様が座り、私はジル様の横に座った。

料理が運ばれ、


「お腹空いた~」


キース様の食べっぷりに驚きました。次から次へと料理がなくなりました。ジル様もですが、騎士の方は食べっぷりが豪快です。


「王女様、ボーっとしてるとなくなるよ?」

「お二人の食べっぷりでお腹がいっぱいになりそうです」

「シアも食べろ」


ジル様は私のお皿に料理を置いてくれました。


「ありがとうございます」

「ベンの料理は美味しいからいくらでも食べれるよ。向こうでは見習い達が作るからほとんど同じ料理だし、できればバンかレイかライの誰か一人を連れて行きたい」

「気持ちは分からんでもないな」

「だろ?」


国境は大変なんですね。特に食が。食は騎士にとって大事ですもの。お腹が空いていては戦えませんし、力も出ません。

改善の余地は…無いですよね。危険な所に誰も行きたくないですもの。




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