辺境伯へ嫁ぎます。

アズやっこ

文字の大きさ
上 下
44 / 60

44.

しおりを挟む

国境へ向けて2部隊が出発しました。

出発する時に奥様や恋人、ご両親が辺境に来て各々ハンカチや渡したい物を渡し別れを惜しんでいました。

私は誰からもハンカチを受け取らない騎士に手渡しで渡しました。


「ご武運を」

「あ、ありがとうございます」


皆様私から受け取るのを恐縮されるみたいで…。年配の方も受け取ったらそそくさと何処かへ行かれました。もう少しお話を、と思っていたのですが…。

それになぜか後ろにいるジル様をチラチラと見ていました。なぜでしょう…?


出発を見届け、


「シア行くぞ」


ジル様に手を繋がれ歩いて邸に帰ります。

初めて騎士隊の方へ来たのですが、とても広くて驚きました。宿舎も何棟もあり、練習場も広く、何箇所かあるそうです。

騎士隊の詰所?なのでしょうか、本部も大きな建物で学園の校舎みたいでした。学園には通えませんでしたが、式典がある時に一度連れて行ってもらいました。お姉様もお兄様もお義姉様は1年だけですが通っていたので私も通えると思っていたのですが…、そこは少し残念です。

ですが、辺境へ来てジル様とお会いして学園の事などすっかり忘れるくらい辺境での生活に満足しています。


2部隊が国境へ到着すると2部隊が帰って来て準備を整えまた向かい、最後の1部隊が帰って来て準備を整えまた向かうそうです。

こちらに残る1部隊はボル様が団長の第四部隊です。邸に泊まり込む事を考慮して私と面識があるからだそうです。ゼフ様の部隊は若手が多いから経験を積ませる為に国境へ行かせると言っていました。

経験は大事ですものね!

こちらに残る第四部隊のノール様にもハンカチを渡しました。


「ノール様はこちらに残り私の警護や邸の警備ですが、こちらを。ご武運を」

「…………ども」

「ご迷惑をおかけしますがよろしくお願いします」

「…………あ、はい」


ノール様はハンカチを受け取りそそくさと何処かへ行かれました。


勿論ジル様には一番始めにお渡ししましたよ?


「ジル様、こちらを」

「ハンカチは分かるが、これは?」

「こちらは腰ベルトに付けて頂けると。王城の騎士達が付けていたので聞いたら妻に貰ったお守りみたいなものだと言っていたのでお作りしたのですが、辺境ではハンカチなのですね」

「そうだな」

「ジル様のご武運をお祈り申し上げます」

「ありがとう。早速付けさせて貰う」



横で歩くジル様の腰ベルトには私が贈ったお守りが付けてありました。


「ふふっ」

「どうした?」

「嬉しいものですね」

「ん?」

「贈ったものを付けてもらえるのは嬉しいものです」

「ハンカチも持っているぞ」


ジル様は胸ポケットに入っていたハンカチを取り出した。


「このハンカチ、シアの色だな」

「はい」

「シアが側にいるみたいだ。それに紋章まで大変だっただろ」

「ジル様を思い刺していたので大変ではありませんでしたよ?」


あれからハンカチにも紋章を刺繍したの。次の日はちょっと寝不足になったけど、疲れよりも幸せの方が上回ったから大変とも思わなかったわ。ジル様が私の色を持ってくれる事が嬉しいもの。


そうそう、あの馬鹿元王子は今回国境へ向かった部隊が連れて行ったそうです。


「シア、邸に数人騎士達がいるが大丈夫か?声をかけられたりしてないか?」

「それが皆様声をかけるどころか私の顔を見るとそそくさと何処かへ行かれるので私は大丈夫です。ノール様には毎日申し訳ないのですが」


今は毎日ノール様が私の護衛に付いてくれている。


「ボルは騎士隊の方を見て貰っているからな」

「午前中はケイト達とハンカチの刺繍を刺して、午後は一人で刺繍をしたり読書をしたりしているので護衛が必要なのか分かりませんが」

「万が一だ」

「そうですが、申し訳なくて…」


私は部屋にずっと居るし、ノール様も扉の所で立っているだけ。一度話しかけてみたけどノール様から話しかけるなオーラが凄くてそれっきり話しかけていない。

きっと稽古をしたいんだろうな、とは思っているんだけど…。


「今日は驚きました。皆様他の方が居ても気にしないで口付けをするのですね」


そうなんです。奥様と口付けをする方や恋人と口付けする方、目に入り私の方が照れてしまいました。


「あれか、恒例といえば恒例だな。皆気にしない。見て見ぬ振りだな」

「そうなのですね。だからジル様も気にしないのですね」

「俺はシアとしたいだけだ」


 チュッ


「ジル様!外です!」

「誰も見てないし誰も気にしない。もし見ても仲が良いんだなで終わる」

「確かに皆様仲が良いと思いました」

「だろ?戦になれば今度いつ会えるか、もしかしたら会えないかもしれない。だから今伝える事は伝えるし、人前だろうとキスもする」

「だから皆様気にしないのですね」

「休みの時にしか会えないしな。国境から帰って来た時の方が凄いぞ?」

「今日よりもですか?」

「ああ」


今日よりも凄いって…、でも仲が良いのは良い事だものね。





しおりを挟む
感想 59

あなたにおすすめの小説

余命六年の幼妻の願い~旦那様は私に興味が無い様なので自由気ままに過ごさせて頂きます。~

流雲青人
恋愛
商人と商品。そんな関係の伯爵家に生まれたアンジェは、十二歳の誕生日を迎えた日に医師から余命六年を言い渡された。 しかし、既に公爵家へと嫁ぐことが決まっていたアンジェは、公爵へは病気の存在を明かさずに嫁ぐ事を余儀なくされる。 けれど、幼いアンジェに公爵が興味を抱く訳もなく…余命だけが過ぎる毎日を過ごしていく。

【短編】旦那様、2年後に消えますので、その日まで恩返しをさせてください

あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
「二年後には消えますので、ベネディック様。どうかその日まで、いつかの恩返しをさせてください」 「恩? 私と君は初対面だったはず」 「そうかもしれませんが、そうではないのかもしれません」 「意味がわからない──が、これでアルフの、弟の奇病も治るのならいいだろう」 奇病を癒すため魔法都市、最後の薬師フェリーネはベネディック・バルテルスと契約結婚を持ちかける。 彼女の目的は遺産目当てや、玉の輿ではなく──?

【完結】私の婚約者は、いつも誰かの想い人

キムラましゅろう
恋愛
私の婚約者はとても素敵な人。 だから彼に想いを寄せる女性は沢山いるけど、私はべつに気にしない。 だって婚約者は私なのだから。 いつも通りのご都合主義、ノーリアリティなお話です。 不知の誤字脱字病に罹患しております。ごめんあそばせ。(泣) 小説家になろうさんにも時差投稿します。

とまどいの花嫁は、夫から逃げられない

椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ 初夜、夫は愛人の家へと行った。 戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。 「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」 と言い置いて。 やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に 彼女は強い違和感を感じる。 夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り 突然彼女を溺愛し始めたからだ ______________________ ✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定) ✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです ✴︎なろうさんにも投稿しています 私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ

婚約者が私にだけ冷たい理由を、実は私は知っている

恋愛
一見クールな公爵令息ユリアンは、婚約者のシャルロッテにも大変クールで素っ気ない。しかし最初からそうだったわけではなく、貴族学院に入学してある親しい友人ができて以来、シャルロッテへの態度が豹変した。

婚約者様は大変お素敵でございます

ましろ
恋愛
私シェリーが婚約したのは16の頃。相手はまだ13歳のベンジャミン様。当時の彼は、声変わりすらしていない天使の様に美しく可愛らしい少年だった。 あれから2年。天使様は素敵な男性へと成長した。彼が18歳になり学園を卒業したら結婚する。 それまで、侯爵家で花嫁修業としてお父上であるカーティス様から仕事を学びながら、嫁ぐ日を指折り数えて待っていた── 設定はゆるゆるご都合主義です。

【完結】欲しがり義妹に王位を奪われ偽者花嫁として嫁ぎました。バレたら処刑されるとドキドキしていたらイケメン王に溺愛されてます。

美咲アリス
恋愛
【Amazonベストセラー入りしました(長編版)】「国王陛下!わたくしは偽者の花嫁です!どうぞわたくしを処刑してください!!」「とりあえず、落ち着こうか?(にっこり)」意地悪な義母の策略で義妹の代わりに辺境国へ嫁いだオメガ王女のフウル。正直な性格のせいで嘘をつくことができずに命を捨てる覚悟で夫となる国王に真実を告げる。だが美貌の国王リオ・ナバはなぜかにっこりと微笑んだ。そしてフウルを甘々にもてなしてくれる。「きっとこれは処刑前の罠?」不幸生活が身についたフウルはビクビクしながら城で暮らすが、実は国王にはある考えがあって⋯⋯? 

私の容姿は中の下だと、婚約者が話していたのを小耳に挟んでしまいました

山田ランチ
恋愛
想い合う二人のすれ違いラブストーリー。 ※以前掲載しておりましたものを、加筆の為再投稿致しました。お読み下さっていた方は重複しますので、ご注意下さいませ。 コレット・ロシニョール 侯爵家令嬢。ジャンの双子の姉。 ジャン・ロシニョール 侯爵家嫡男。コレットの双子の弟。 トリスタン・デュボワ 公爵家嫡男。コレットの婚約者。 クレマン・ルゥセーブル・ジハァーウ、王太子。 シモン・ノアイユ 辺境伯家嫡男。コレットの従兄。 ルネ ロシニョール家の侍女でコレット付き。 シルヴィー・ペレス 子爵令嬢。 〈あらすじ〉  コレットは愛しの婚約者が自分の容姿について話しているのを聞いてしまう。このまま大好きな婚約者のそばにいれば疎まれてしまうと思ったコレットは、親類の領地へ向かう事に。そこで新しい商売を始めたコレットは、知らない間に国の重要人物になってしまう。そしてトリスタンにも女性の影が見え隠れして……。  ジレジレ、すれ違いラブストーリー

処理中です...