辺境伯へ嫁ぎます。

アズやっこ

文字の大きさ
上 下
35 / 60

35.

しおりを挟む

ジルベーク視点


シアと街へ行こうと思っていたが、朝早く国境から鷹が飛んできた。


「隣国不穏な動き」


と書いてあった。王弟の使いの者がこちらに接触してきた事と関係があるのか?


シアには先に街へ行ってもらい俺は急いで第五部隊団長と副団長を呼び指示を出す。


「キースの報告待ちだが一応戦の準備をしてほしい。備品のチェックも忘れずにな。足りない物があったら早急に揃えてほしい」

「分かりました」

「俺は街へ行くが何かまた連絡がきたら鷹を飛ばせ。ボルが鷹を連れて行ったが街で何かあってもお前達はここに残れ。2部隊王女に付けた以上ここが手薄になるのは困る」

「分かりました」


俺は第五部隊に任せ街へ向かう。馬車なら1時間かかるが馬なら半分の時間で行ける。もう街へ着いた頃だ、俺は急いで向かった。

「ブレーブ、シアが待ってる、できるだけ急ぐぞ」

ブルル


街へ着き、馬車の所に来た。

「変わりはないか?」

「はい」

「俺の馬も頼む」


馬車の見張りの騎士にブレーブを預け街へ入って行く。手芸店の前に着き、


「ボルどうだ」

「隊長、今は店内にいます。俺達は邪魔かと思い外で待機中です」

「外から中の様子は見えるし問題ない。後ろに付いていると急かすだけだしな。あの様子じゃあまだ掛かりそうだな、俺も少し商会に顔を出してくる。後、苗は受け取ったか?」

「若手の騎士に頼んであります」

「そうか分かった」


楽しそうにケイトと買い物をしているシアを見つめ、俺は商会に顔を出した。


「悪いが急ぎで剣を仕上げてくれ」

「戦ですか?」

「まだ確定はしてないが、あやしいな」

「分かりました」

「仕上がった分は騎士隊へ届けてくれ」

「隊長の剣はいつもの調整で良いですか?」

「それで頼む。暫く王都や他の辺境の注文は待ってもらう。事情を話せば分かってくれるだろ」


商会を出て俺は花屋に向かった。


「悪いが花束を頼めるか」

「はい、どの花にしますか?」

「その、薔薇を…」

「恋人への贈り物ですか?」

「ああ、もうすぐ妻になる」

「奥様ですか。では薔薇の花の色はどうしますか?」

「色か、」

「赤は皆さんご存知の「あなたを愛してます」で、ピンクだと「しとやか、上品、可愛い人、美しい少女、愛の誓い」ですね」

「赤も良いしピンクも良いな」

「では色は置いておいて先に本数を決めましょうか。本数はどうしますか?」

「本数?」

「本数でも愛を伝えられますよ?ちなみにどういう気持ちを奥様に伝えたいですか?」

「出会えた事に感謝している」

「なら5本はどうですか?5本には「あなたに出会えた事の心からの喜び」と言う意味があります」

「ちなみに5本以外だと?」

「そうですね、6本だと「あなたに夢中、お互い敬い、愛し、分かち合いましょう」と言う意味があります。ほかだと、」

「ありがとう、大丈夫だ。6本も良いな…5本も捨てがたいが…」

「では5本を赤の薔薇にして6本をピンクの薔薇にしてはどうです?11本は「最愛」と言う意味がありますよ?」

「ではそれで頼む。後、かすみ草を入れてくれないか?」

「かすみ草「幸福」ですか?」

「ああ」

「奥様は幸せですね」


花屋の女性が花束にしてくれている間にメッセージカードもどうぞ!と言われたが…、カードを見つめる事数分…。

ようやく書けたカードを添えて花束を馬車の中に置いた。

見張りの騎士達に目を反らされたが、俺に花が似合わないくらい分かってるさ。


「花の苗は受け取って来たか?」

「はい、荷馬車にあります」

「後は頼む」


俺は馬車から手芸店へ速歩きで向かった。向かう途中、慌てた顔をした騎士がこっちへ走って来た。


「隊長!!」

「どうした!」

「急いで来て下さい!」

「シアに何かあったのか!」

「それが!」


俺は走って手芸店へ向かった。





しおりを挟む
感想 59

あなたにおすすめの小説

余命六年の幼妻の願い~旦那様は私に興味が無い様なので自由気ままに過ごさせて頂きます。~

流雲青人
恋愛
商人と商品。そんな関係の伯爵家に生まれたアンジェは、十二歳の誕生日を迎えた日に医師から余命六年を言い渡された。 しかし、既に公爵家へと嫁ぐことが決まっていたアンジェは、公爵へは病気の存在を明かさずに嫁ぐ事を余儀なくされる。 けれど、幼いアンジェに公爵が興味を抱く訳もなく…余命だけが過ぎる毎日を過ごしていく。

【短編】旦那様、2年後に消えますので、その日まで恩返しをさせてください

あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
「二年後には消えますので、ベネディック様。どうかその日まで、いつかの恩返しをさせてください」 「恩? 私と君は初対面だったはず」 「そうかもしれませんが、そうではないのかもしれません」 「意味がわからない──が、これでアルフの、弟の奇病も治るのならいいだろう」 奇病を癒すため魔法都市、最後の薬師フェリーネはベネディック・バルテルスと契約結婚を持ちかける。 彼女の目的は遺産目当てや、玉の輿ではなく──?

【完結】私の婚約者は、いつも誰かの想い人

キムラましゅろう
恋愛
私の婚約者はとても素敵な人。 だから彼に想いを寄せる女性は沢山いるけど、私はべつに気にしない。 だって婚約者は私なのだから。 いつも通りのご都合主義、ノーリアリティなお話です。 不知の誤字脱字病に罹患しております。ごめんあそばせ。(泣) 小説家になろうさんにも時差投稿します。

とまどいの花嫁は、夫から逃げられない

椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ 初夜、夫は愛人の家へと行った。 戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。 「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」 と言い置いて。 やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に 彼女は強い違和感を感じる。 夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り 突然彼女を溺愛し始めたからだ ______________________ ✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定) ✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです ✴︎なろうさんにも投稿しています 私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ

【完結】旦那様、わたくし家出します。

さくらもち
恋愛
とある王国のとある上級貴族家の新妻は政略結婚をして早半年。 溜まりに溜まった不満がついに爆破し、家出を決行するお話です。 名前無し設定で書いて完結させましたが、続き希望を沢山頂きましたので名前を付けて文章を少し治してあります。 名前無しの時に読まれた方は良かったら最初から読んで見てください。 登場人物のサイドストーリー集を描きましたのでそちらも良かったら読んでみてください( ˊᵕˋ*) 第二王子が10年後王弟殿下になってからのストーリーも別で公開中

婚約者が私にだけ冷たい理由を、実は私は知っている

恋愛
一見クールな公爵令息ユリアンは、婚約者のシャルロッテにも大変クールで素っ気ない。しかし最初からそうだったわけではなく、貴族学院に入学してある親しい友人ができて以来、シャルロッテへの態度が豹変した。

婚約者様は大変お素敵でございます

ましろ
恋愛
私シェリーが婚約したのは16の頃。相手はまだ13歳のベンジャミン様。当時の彼は、声変わりすらしていない天使の様に美しく可愛らしい少年だった。 あれから2年。天使様は素敵な男性へと成長した。彼が18歳になり学園を卒業したら結婚する。 それまで、侯爵家で花嫁修業としてお父上であるカーティス様から仕事を学びながら、嫁ぐ日を指折り数えて待っていた── 設定はゆるゆるご都合主義です。

【完結】欲しがり義妹に王位を奪われ偽者花嫁として嫁ぎました。バレたら処刑されるとドキドキしていたらイケメン王に溺愛されてます。

美咲アリス
恋愛
【Amazonベストセラー入りしました(長編版)】「国王陛下!わたくしは偽者の花嫁です!どうぞわたくしを処刑してください!!」「とりあえず、落ち着こうか?(にっこり)」意地悪な義母の策略で義妹の代わりに辺境国へ嫁いだオメガ王女のフウル。正直な性格のせいで嘘をつくことができずに命を捨てる覚悟で夫となる国王に真実を告げる。だが美貌の国王リオ・ナバはなぜかにっこりと微笑んだ。そしてフウルを甘々にもてなしてくれる。「きっとこれは処刑前の罠?」不幸生活が身についたフウルはビクビクしながら城で暮らすが、実は国王にはある考えがあって⋯⋯? 

処理中です...