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しおりを挟むジルベーク視点
シアと街へ行こうと思っていたが、朝早く国境から鷹が飛んできた。
「隣国不穏な動き」
と書いてあった。王弟の使いの者がこちらに接触してきた事と関係があるのか?
シアには先に街へ行ってもらい俺は急いで第五部隊団長と副団長を呼び指示を出す。
「キースの報告待ちだが一応戦の準備をしてほしい。備品のチェックも忘れずにな。足りない物があったら早急に揃えてほしい」
「分かりました」
「俺は街へ行くが何かまた連絡がきたら鷹を飛ばせ。ボルが鷹を連れて行ったが街で何かあってもお前達はここに残れ。2部隊王女に付けた以上ここが手薄になるのは困る」
「分かりました」
俺は第五部隊に任せ街へ向かう。馬車なら1時間かかるが馬なら半分の時間で行ける。もう街へ着いた頃だ、俺は急いで向かった。
「ブレーブ、シアが待ってる、できるだけ急ぐぞ」
ブルル
街へ着き、馬車の所に来た。
「変わりはないか?」
「はい」
「俺の馬も頼む」
馬車の見張りの騎士にブレーブを預け街へ入って行く。手芸店の前に着き、
「ボルどうだ」
「隊長、今は店内にいます。俺達は邪魔かと思い外で待機中です」
「外から中の様子は見えるし問題ない。後ろに付いていると急かすだけだしな。あの様子じゃあまだ掛かりそうだな、俺も少し商会に顔を出してくる。後、苗は受け取ったか?」
「若手の騎士に頼んであります」
「そうか分かった」
楽しそうにケイトと買い物をしているシアを見つめ、俺は商会に顔を出した。
「悪いが急ぎで剣を仕上げてくれ」
「戦ですか?」
「まだ確定はしてないが、あやしいな」
「分かりました」
「仕上がった分は騎士隊へ届けてくれ」
「隊長の剣はいつもの調整で良いですか?」
「それで頼む。暫く王都や他の辺境の注文は待ってもらう。事情を話せば分かってくれるだろ」
商会を出て俺は花屋に向かった。
「悪いが花束を頼めるか」
「はい、どの花にしますか?」
「その、薔薇を…」
「恋人への贈り物ですか?」
「ああ、もうすぐ妻になる」
「奥様ですか。では薔薇の花の色はどうしますか?」
「色か、」
「赤は皆さんご存知の「あなたを愛してます」で、ピンクだと「しとやか、上品、可愛い人、美しい少女、愛の誓い」ですね」
「赤も良いしピンクも良いな」
「では色は置いておいて先に本数を決めましょうか。本数はどうしますか?」
「本数?」
「本数でも愛を伝えられますよ?ちなみにどういう気持ちを奥様に伝えたいですか?」
「出会えた事に感謝している」
「なら5本はどうですか?5本には「あなたに出会えた事の心からの喜び」と言う意味があります」
「ちなみに5本以外だと?」
「そうですね、6本だと「あなたに夢中、お互い敬い、愛し、分かち合いましょう」と言う意味があります。ほかだと、」
「ありがとう、大丈夫だ。6本も良いな…5本も捨てがたいが…」
「では5本を赤の薔薇にして6本をピンクの薔薇にしてはどうです?11本は「最愛」と言う意味がありますよ?」
「ではそれで頼む。後、かすみ草を入れてくれないか?」
「かすみ草「幸福」ですか?」
「ああ」
「奥様は幸せですね」
花屋の女性が花束にしてくれている間にメッセージカードもどうぞ!と言われたが…、カードを見つめる事数分…。
ようやく書けたカードを添えて花束を馬車の中に置いた。
見張りの騎士達に目を反らされたが、俺に花が似合わないくらい分かってるさ。
「花の苗は受け取って来たか?」
「はい、荷馬車にあります」
「後は頼む」
俺は馬車から手芸店へ速歩きで向かった。向かう途中、慌てた顔をした騎士がこっちへ走って来た。
「隊長!!」
「どうした!」
「急いで来て下さい!」
「シアに何かあったのか!」
「それが!」
俺は走って手芸店へ向かった。
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