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しおりを挟むキース様が戻り、それからも色々な店を見て、最後に宝石店に来ました。
「宝石ですか?」
「ああ。その、婚約指輪と結婚指輪を選びたくてな」
「ですが、ジル様は指輪ははめませんよね?」
「ああ。だが、シアには贈りたい。シアはずっと身に付けててくれるか?」
「ジル様から頂いた物でしたらずっと身に付けていたいです」
「そうか、良かった。なら選ぼう。まずは婚約指輪からだな」
「婚約指輪ですか?婚約式はしませんが」
「簡単にだが、やろうと思っている」
「そうなのですね」
「それでだな、シアさえ嫌でないなら、俺の瞳の色の宝石でも良いか?」
「はい。私もジル様の色を頂きたいです」
「そうか」
宝石商の店主にジル様の瞳の色のエメラルドの宝石を見せて貰い、指のサイズを測り、仕上げて後日邸まで届けて頂けるそうです。
「今度は結婚指輪だな。どれが良い?」
「どれも素敵です。ジル様のもお作りしますでしょ?」
「ああ。結婚式でははめるからな」
「なら、これが良いです」
とてもシンプルなデザインにしました。
結婚指輪も指のサイズに合わせて作ってから届けて頂けるそうです。
ジル様はまだ何か見ていたので、私は店内をウロウロと見て回り、お目当ての首から下げるチェーンを見つけ、こっそり購入し、鞄の中にしまった。
ネックレスも売っていて、ジル様の髪の色の黒色の宝石が付いてるだけのとてもシンプルなデザインで、普段使い用と言うか、いつも身に付けていても邪魔にならないデザイン。それに何かジル様に護られてる様な、いつも側に居てくれてる様なそんな感じがして…。それに黒色の石に惹かれたのでまたこっそりと購入しようと店員さんに見せて貰っていたら、
「それが欲しいのか?」
「ジル様?いえ、見せてもらっていただけです」
「買うか?」
「いえ、見ていただけです」
「本当か?」
「本当です」
「なら行こうか」
「はい」
外で待つキース様と店を後にして、私はまたキョロキョロと外から店を覗いていたの。
「キース、さっきの店のシアが見ていたネックレスを買ってきてくれ」
「了解」
ジル様から財布を受け取り、キース様はネックレスを購入しに行きました。
私は店を覗いていたからキース様が居なくなっていた事も知らなかったけど。
いつの間にかキース様は合流していて、休憩しようとケーキ屋さんに入り、私はジル様の隣に座り、キース様はジル様の向いに座った。
ケーキと紅茶が机に並べられ食べ始め、
「ジル様、とても美味しいです。ジル様のは美味しいですか?」
「食べて見るか?」
「良いのですか?」
ジル様はラズベリーのムースを頼んで、私はチョコムースを頼んだの。
「ラズベリーも美味しいです。ジル様も私のチョコムース食べてみて下さい」
「シアの方も美味しいな」
「はい。上に乗ってるクリームもなめらかで美味しいです」
キース様はケーキを二個も食べていて驚いたわ。ゆっくり紅茶を飲んで、お店を後にした。
もう少し先に行くと酒場や宿、娼館とかが立ち並んでいるそうです。
私達は来た道を戻り馬車まで向かいました。
馬車に着いて暫くしたら巡回の終わった騎士達が戻って来ていて、ジル様と話をしていた。私は騎士達が来る前に馬車の中に乗せられたからまた挨拶も出来なかったわ…。
行きも馬車から降りた時には巡回に行かれて挨拶出来なかったから帰りこそはと思っていたのに…。 邸に着いてから挨拶出来ると良いけど…。
ジル様が馬車に乗り込み、邸に帰ります。
馬車が走り出し、
「ジル様、今日はとても楽しかったです。また一緒に来ましょうね」
「そうだな」
「明日は馬に乗せて頂けますか?」
「ああ、明日は馬に乗って邸の外を走ろう」
「はい。楽しみにしてます」
「シア、横に座っても良いか?」
「良いですけど、動いて危なくないのですか?」
ジル様は私の横に座り、
「シア、手を繋いでも良いか?」
「はい」
ジル様が私の手を握り、手を繋いだ。
「今日はとても楽しかったです。初めての事ばかりでした。ジル様はデート楽しかったですか?」
「楽しかった。シアはデート楽しかったか?」
「はい。こうして手を繋ぐ事も出来ましたし、お互いのケーキを食べあったり、一緒に並んだり、とても楽しいデートでした。またデートしましょうね」
「明日もデートだな」
「そうですね。明日もデートです」
私は歩き疲れたのか途中で寝てしまい、ジル様の肩にもたれ掛かって眠ってしまいました。ジル様が私の髪を撫でてる手がとても優しくて、とても心地良くて、安心して寝てしまいました。
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