7 / 60
7.
しおりを挟む使用人の紹介をしてもらい、邸の案内をしてもらった。私の部屋は当主婦人の部屋でジルベーク様の自室と繋がっていて、結婚したら間の寝室で一緒に寝る事になる。後はジルベーク様の執務室、書斎、私の執務室、ジルベーク様が戦で邸を留守にする間、代わりに書類の仕事をする為に私専用の執務室があるみたい。後は客室が数部屋と図書室。
イザークとケイト、ベン家族、ベンの弟家族は邸の裏に各自家があり、夜は家に戻るそう。
夜はジルベーク様と私しか邸には居ないと言われた。夜、何か困った事があれば遠慮せず部屋に訪ねに来て欲しいとジルベーク様に言われたけど……、ね?無理よ。
ケイトに、ジルベーク様に言えないならいつでも家まで来てくれて構わないからと言ってくれた。息子達の部屋が空いてるからと。
後、騎士隊の宿舎と訓練場は邸からかなり離れていて、騎士達と会う事はない。ジルベーク様は基本騎士隊の施設に居て、訓練や指導をしていると。
一度、騎士達の訓練風景も見て見たかったのだけど、見せてもらえるのかしら?でも、ここに150人居るのよね?ちょっと怖いかも?
邸の案内も終わり、
「昨日は夜遅くて話す事が出来なかった。今から少し話さないか?」
「はい。私もお話がしたいです」
「なら、俺の執務室でいいか?」
「はい」
ジルベーク様の後について行き執務室に入った。執務室の中に一人の男性が居て、
「アリシア王女殿下、お初にお目にかかります。私は辺境の地の騎士隊の副隊長を務めます、キースと申します。これから度々顔を合わせる機会が増えると思いますのでよろしくお願いします」
キースは右手を左胸に当て、お辞儀をした。 私はカーテシーをしてから、
「キース様、私は第二王女アリシアと申します。以後お見知りおきを。これからこちらでお世話になります。こちらこそよろしくお願いします」
私も頭を下げた。キース様はとても気さくな方で「膝を付いた挨拶もしましょうか?」と、私は丁寧にお断りしたわ。
なんでも辺境の地では、命を掛けて戦う為、自分の心臓を掛けて忠誠を誓うという意味だと教えて貰った。
キース様と私の挨拶も終わり、ジルベーク様がソファーに座り、私は反対側のソファーに座った。キース様はジルベーク様の後ろに立ち、
「アリシア王女殿下、当分の間、キースに貴女の護衛をしてもらうつもりだ」
「護衛ですか?」
「俺が邸から離れる時は勿論だが、邸の外へ出掛ける時、邸にいる間も部屋の外で待機してもらうつもりだ。ゆくゆくは騎士隊の団長か副団長のどちらかを貴女に付ける予定だが、今は調整中だ」
「キース様もですが、団長様や副団長様にご迷惑ではありませんか?」
「国境では常に3部隊が任務に付いているが、貴女がこの邸に居る以上、邸が手薄になるのは困る。何かが起こってからでは遅いからな。貴女には悪いが我慢してくれ」
「分かりました。皆様にご迷惑をおかけしますがよろしくお願いします」
「もし街へ行きたいのなら出来れば早めに言って欲しい。街と言っても一時間以上かかるが、必ず数人の護衛と行動して欲しい。それでだな…未婚の女性が馬車の中という狭い空間に男性と乗るのは嫌だろうが、騎士一人と乗ってもらう事になる。貴女が馬車の中に乗っている事ぐらい敵も分かってるはずだからな。馬車の中で貴女を護る為だ。了承してくれ。万が一馬車から出て逃げる事になった場合、騎士が貴女を抱えて逃げる事があるかもしれない。その時は少し手荒になるかもしれんが騎士に従って欲しい」
「分かりました。その時は騎士の指示に従います。馬車の中に騎士が乗り込む事も了承しました。ですが、ジルベーク様は付いて来てくれないのですか?」
「いや、言われれば付いて行くが…」
「それならジルベーク様にお願いしたいです」
「ああ」
「王女殿下、ジルの予定はあってないようなものだからいつでも声を掛けてください」
「おい、キース」
「ふふっ、では今度お声掛けします」
「あ、ああ…」
ジルベーク様は何ともいえない顔をしていました。
今の所街へ行くつもりは無かったけど、今度お誘いしてみようかしら。
70
お気に入りに追加
2,151
あなたにおすすめの小説
余命六年の幼妻の願い~旦那様は私に興味が無い様なので自由気ままに過ごさせて頂きます。~
流雲青人
恋愛
商人と商品。そんな関係の伯爵家に生まれたアンジェは、十二歳の誕生日を迎えた日に医師から余命六年を言い渡された。
しかし、既に公爵家へと嫁ぐことが決まっていたアンジェは、公爵へは病気の存在を明かさずに嫁ぐ事を余儀なくされる。
けれど、幼いアンジェに公爵が興味を抱く訳もなく…余命だけが過ぎる毎日を過ごしていく。

女性として見れない私は、もう不要な様です〜俺の事は忘れて幸せになって欲しい。と言われたのでそうする事にした結果〜
流雲青人
恋愛
子爵令嬢のプレセアは目の前に広がる光景に静かに涙を零した。
偶然にも居合わせてしまったのだ。
学園の裏庭で、婚約者がプレセアの友人へと告白している場面に。
そして後日、婚約者に呼び出され告げられた。
「君を女性として見ることが出来ない」
幼馴染であり、共に過ごして来た時間はとても長い。
その中でどうやら彼はプレセアを友人以上として見れなくなってしまったらしい。
「俺の事は忘れて幸せになって欲しい。君は幸せになるべき人だから」
大切な二人だからこそ、清く身を引いて、大好きな人と友人の恋を応援したい。
そう思っている筈なのに、恋心がその気持ちを邪魔してきて...。
※
ゆるふわ設定です。
完結しました。
【完結】妖精姫と忘れられた恋~好きな人が結婚するみたいなので解放してあげようと思います~
塩羽間つづり
恋愛
お気に入り登録やエールいつもありがとうございます!
2.23完結しました!
ファルメリア王国の姫、メルティア・P・ファルメリアは、幼いころから恋をしていた。
相手は幼馴染ジーク・フォン・ランスト。
ローズの称号を賜る名門一族の次男だった。
幼いころの約束を信じ、いつかジークと結ばれると思っていたメルティアだが、ジークが結婚すると知り、メルティアの生活は一変する。
好きになってもらえるように慣れないお化粧をしたり、着飾ったりしてみたけれど反応はいまいち。
そしてだんだんと、メルティアは恋の邪魔をしているのは自分なのではないかと思いあたる。
それに気づいてから、メルティアはジークの幸せのためにジーク離れをはじめるのだが、思っていたようにはいかなくて……?
妖精が見えるお姫様と近衛騎士のすれ違う恋のお話
切なめ恋愛ファンタジー
私のことはお気になさらず
みおな
恋愛
侯爵令嬢のティアは、婚約者である公爵家の嫡男ケレスが幼馴染である伯爵令嬢と今日も仲睦まじくしているのを見て決意した。
そんなに彼女が好きなのなら、お二人が婚約すればよろしいのよ。
私のことはお気になさらず。

【完結】長い眠りのその後で
maruko
恋愛
伯爵令嬢のアディルは王宮魔術師団の副団長サンディル・メイナードと結婚しました。
でも婚約してから婚姻まで一度も会えず、婚姻式でも、新居に向かう馬車の中でも目も合わせない旦那様。
いくら政略結婚でも幸せになりたいって思ってもいいでしょう?
このまま幸せになれるのかしらと思ってたら⋯⋯アレッ?旦那様が2人!!
どうして旦那様はずっと眠ってるの?
唖然としたけど強制的に旦那様の為に動かないと行けないみたい。
しょうがないアディル頑張りまーす!!
複雑な家庭環境で育って、醒めた目で世間を見ているアディルが幸せになるまでの物語です
全50話(2話分は登場人物と時系列の整理含む)
※他サイトでも投稿しております
ご都合主義、誤字脱字、未熟者ですが優しい目線で読んで頂けますと幸いです

【完結】お姉様の婚約者
七瀬菜々
恋愛
姉が失踪した。それは結婚式当日の朝のことだった。
残された私は家族のため、ひいては祖国のため、姉の婚約者と結婚した。
サイズの合わない純白のドレスを身に纏い、すまないと啜り泣く父に手を引かれ、困惑と同情と侮蔑の視線が交差するバージンロードを歩き、彼の手を取る。
誰が見ても哀れで、惨めで、不幸な結婚。
けれど私の心は晴れやかだった。
だって、ずっと片思いを続けていた人の隣に立てるのだから。
ーーーーーそう、だから私は、誰がなんと言おうと、シアワセだ。

私は側妃なんかにはなりません!どうか王女様とお幸せに
Karamimi
恋愛
公爵令嬢のキャリーヌは、婚約者で王太子のジェイデンから、婚約を解消して欲しいと告げられた。聞けば視察で来ていたディステル王国の王女、ラミアを好きになり、彼女と結婚したいとの事。
ラミアは非常に美しく、お色気むんむんの女性。ジェイデンが彼女の美しさの虜になっている事を薄々気が付いていたキャリーヌは、素直に婚約解消に応じた。
しかし、ジェイデンの要求はそれだけでは終わらなかったのだ。なんとキャリーヌに、自分の側妃になれと言い出したのだ。そもそも側妃は非常に問題のある制度だったことから、随分昔に廃止されていた。
もちろん、キャリーヌは側妃を拒否したのだが…
そんなキャリーヌをジェイデンは権力を使い、地下牢に閉じ込めてしまう。薄暗い地下牢で、食べ物すら与えられないキャリーヌ。
“側妃になるくらいなら、この場で息絶えた方がマシだ”
死を覚悟したキャリーヌだったが、なぜか地下牢から出され、そのまま家族が見守る中馬車に乗せられた。
向かった先は、実の姉の嫁ぎ先、大国カリアン王国だった。
深い傷を負ったキャリーヌを、カリアン王国で待っていたのは…
※恋愛要素よりも、友情要素が強く出てしまった作品です。
他サイトでも同時投稿しています。
どうぞよろしくお願いしますm(__)m

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる