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しおりを挟む私ったら、うっかり自己紹介もまだだったわ。
私、この国の第二王女、アリシアと申します。以後お見知り置きを…。
昨日、家族と最後の晩餐では、正直、驚いたわ。皆、恋愛結婚とは…。
あれから、お父様とお母様は幼馴染みで幼い頃からお互い大好きだったと。
お姉様はお義兄様がこの国に一年留学していた時にお姉様に一目惚れし、あの手この手でお姉様にアプローチして恋仲になり、帝国へ帰る時に一緒に連れて行ったそう。 お姉様が帝国へ行った時、私は7歳だったから、お姉様が無理矢理嫁いで行ったと思っていたんだけど…。
私は大好きなお姉様と引き離されるって泣いて抵抗したけど、お姉様はお義兄様が好きだったのね…。
お兄様とお義姉様は幼い頃から婚約者に決まっていて、年に数回会い、手紙のやり取りをして愛を育んでいて、お兄様が16歳になり成人した事で、離れ離れは嫌だと、まだ14歳だったお義姉様と結婚した。お義姉様が成人する16歳まで初夜をしない事を条件に許されたそう。
当時12歳だった私は、王族の結婚は早くてお義姉様大変だな~なんて呑気に思ってたら、お兄様が我慢出来なかっただけなのね…。
お姉様とは10歳、お兄様とは4歳離れてるの。
私は9月に誕生日がきて、16歳になるから、あの馬鹿元王子ともうそろそろ婚約を…って話だったの。
辺境伯のジルベーク様は私より10歳年上の方で26歳。ジルベーク様は7月産まれよ。
住み馴れた王城から辺境まで1ヶ月の道のりで、辺境へ行く道中はメイドも数人付いてきてくれる。お母様専用の馬車を今回貸してもらい、私とメイド数人が乗り込み、荷馬車に嫁入り道具、といっても家具とかは辺境伯様が用意してくれるみたいだから、洋服とアクセサリー類を積んだ。
お母様が立派な裁縫箱と刺繍糸を用意してくれたの。宝石類は私が乗る馬車に積んだわよ?一番高価な物だし。
それからお父様から頂いた馬はお父様の執事が乗って辺境まで付いてきてくれるの。王命の書類と一緒に。後、道中の宿の手配や食事の手配もあるしね。後は護衛が10人。
お兄様が「辺境まで付いて行く」と最後まで言っていたけど、私が断ったの。お兄様が付いてくると馬車も増え、護衛も増え… 余計に疲れそうだもの。
それに、身重のお義姉様を一人ここに残すのは心配だわ。
道中長いから、私は簡素なワンピースを着たわ。辺境へ入る手前の街が最後の宿になるらしく、ドレスは辺境へ向かう朝着る事に。宿から4時間ぐらいで辺境伯様の邸に着く予定らしいわ。
朝から、お兄様、お義姉様が部屋まで来て、最後の別れを惜んだわ。自然と涙が出て、遂に嫁ぐのだな…と実感したの。お兄様が優しく抱きしめてくれて、お兄様の腕の中で涙が止まらなかったわ。
その後、お母様も部屋まで来て、最後の別れを…。後、16年間育ててもらった感謝の言葉を…。最後は泣きながら感謝の言葉を伝えたわ。
お母様も優しく抱きしめてくれて、お母様は最後まで「ごめんなさいね…」と何度も何度も私に謝っていたわ。 私は顔を横に振り、暫く涙が止まらなかった。 お母様は私が泣き止むまで背中を撫で、ずっと付いててくれたの。
王城の玄関の前、私はお父様とお母様の前に立ち、少し後ろにお兄様とお義姉様が…。お義姉様は今にも泣き崩れそうでお兄様が肩を抱き寄せているわ。お兄様も私を見つめながらお義姉様を支えていたわ。
「お父様、お母様、お世話になりました」
「ああ」
「アリシア、気をつけてね」
私はお父様とお母様に頭を下げ、馬車に乗り込んだ。後ろではお義姉様の泣き声が聞こえ、私も涙が止まらない。
馬車に乗り、出発の時、窓からお父様とお母様、お兄様とお義姉様を見たの。
お父様がお母様の肩を抱き、支えていて、お父様は歯を食いしばり苦しそうな顔をしていた。
無情にも馬車は走り出し、皆が小さくなっていった。私は見えなくなるまで、皆の姿を目に焼き付けた。頬を伝う涙が後から後から流れてきた…。
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