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番外編 10
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とある日の昼過ぎ私はいつもの庭の散歩をしようと…。
お腹も膨らみ歩くのも少し億劫になってきた今日このごろ。
私は今、レイの手を借りてゆっくりと散歩をしている。
「お嬢様、ゆっくりとですよ!」
「分かってるわ」
「さっきも転けそうになりましたからね!」
「さっきはありがとう」
「いえ、お嬢様を支え護るのが私の生き甲斐です」
「大袈裟よ。レイはレイの幸せを見つけてね?」
「私の幸せはお嬢様の側に居る事ですので」
「そうなの?」
「はい」
「それなら良いの、かしら?」
「はい」
「それより…」
私は後ろを振り返ろうと、
「お嬢様駄目です!先程もそうやって後ろを気にするあまり転けそうになったのですよ!忘れたのですか!」
「そうね、気を付けるわ」
「あちらは放っておきましょう。お嬢様はご自分の体だけ心配して下さい。もう二月もなくお産まれになるのですから」
「そうね」
後ろで歩いているルトとフィルとフェス…。さっきまで揉めに揉めていた。
始まりは、
「母様、今日も僕と手を繋いで散歩しましょうね?」
「まあ、フィルが母様をエスコートしてくれるの?」
「はい!」
「頼もしい王子様ね。それならお願いしようかしら」
「はい!」
フィルは私が散歩すると必ず側に来て一緒に歩いてくれる。
「待て!今日は父様が母様と散歩するからフィルはいい」
「父様は爺ちゃまと仕事して下さい」
「今日はもう終わった。母様の事は父様に任せなさい」
「母様の日課の散歩で一緒に歩くのは僕の役目です」
「今日は父様がいるから大丈夫だ」
「父様がいてもいなくても僕の役目です」
「フィルでは母様が転けたら支えれないだろう」
「母様の歩幅に合わせて歩くので転けさせません」
「躓いたらどうする」
「躓きそうになる前に母様に注意します」
「それでも躓いたらフィルでは母様を支えきれないだろ。母様の腹には子がいるのだぞ!」
「分かってますよ。だから母様の側で護っているのですから」
「フィルにはまだ無理だ」
「無理ではありません」
最近、ルトとフィルは度々言い合いになる。髪や瞳の色だけでなく性格まで似てしまったみたい。顔は私に似てるのに…。
「ならこうしましょう。片手づつ手を繋ぎましょう。それなら良いでしょ?」
「母様が危なくないなら」
「リー、両手が塞がるのは危険だ」
「もう分かったから行くわよ」
私は二人と手を繋ぎ歩き出した。
「若奥様、アニフェスお嬢様が起きましたのでお連れしました」
「シア悪いわね」
シアは私のメイドからフェスのメイドに変わった。フェスも女の子だから早めに専属のメイドがいた方が良いと思って…。レイは私もフェスもお世話すると少々渋ったけど、最後はシアではルトを止めれないと言って何とか分かって貰えた。
「フェス起きたのね」
「かあたま、だっこ」
「フェス父様が抱っこしよう、おいで」
「いや、かあたまがいい」
「フェス、父様では嫌か?」
「かあたまがいい」
「さあフェス、抱っこしましょうね」
私はシアからフェスを受け取り抱っこをした。フェスは寝起き、少しの間だけ抱っこをせがむ。それでも前は誰でも良かったのだけど、ここ最近は私以外嫌がる様になった。もうすぐ子が産まれると分かっているのかしらね。だから私も出来る限りフェスを抱っこする様にしている。
少し抱っこをすると落ち着いたのか、今度は歩きたいと…。
「フェス、兄様と手を繋がないと危ないからね? 母様、僕はフェスと手を繋ぎます」
「それならお願いしようかしら。フェスに合わせてゆっくりとよ?」
「はい、大丈夫です。僕はフェスの兄様ですから」
「そうね、頼もしい兄様だわ」
「はい」
「嫌、フィルでは危ない。父様がフェスと手を繋いで歩く。まだお前にはフェスを護れない」
「僕でも護れます」
「フェスが転けたらどうする」
「転けさせません」
「フェスが抱っこと言ってもフィルでは抱っこ出来ないだろ」
「抱っこ出来ます」
「無理に決まってるだろ!フェスに傷を付ける気か!」
「傷なんて付けさせません!」
「駄目だ!フェスは父様に任せなさい」
「フェス、兄様と手を繋ぎたいよね?」
「フェス、父様と手を繋ぎたいだろ?」
フェスはキョトンとした顔で二人を見ている。
「父様、僕が母様とフェスと手を繋いで歩くので父様は後ろからついて来て下さい」
「フィル、両手が塞がってどうやって二人を護る事が出来る!」
「僕は二人に合わせて歩くので大丈夫です」
「父様が二人と手を繋いで歩くからフィルはレイと剣の稽古をしなさい」
「父様だって両手が塞がるではないですか」
「父様はフィルと違って両手が例え塞がっていても咄嗟に動く事が出来る。まだお前には無理だろ」
また二人は言い合いになり、
「もう分かったわ。ルトとフィル二人でフェスを護って。私はレイが付いてるから大丈夫よ」
「さあお嬢様、私の手を」
「レイ、いつもありがとう」
私はレイの手を取り歩き出した。
「リー待ってくれ。俺と手を繋ごう、危ないだろ?」
「ジークルト様、私がこの身を呈してでもお護りしますので大丈夫です」
「そうね、レイなら私も安心して任せられるわ」
「リー」
「ルトはフェスを護ってね? さあレイ行きましょ」
「はいお嬢様」
「リー待ってくれ」
私はルトの声を無視して歩き出した。
お腹も膨らみ歩くのも少し億劫になってきた今日このごろ。
私は今、レイの手を借りてゆっくりと散歩をしている。
「お嬢様、ゆっくりとですよ!」
「分かってるわ」
「さっきも転けそうになりましたからね!」
「さっきはありがとう」
「いえ、お嬢様を支え護るのが私の生き甲斐です」
「大袈裟よ。レイはレイの幸せを見つけてね?」
「私の幸せはお嬢様の側に居る事ですので」
「そうなの?」
「はい」
「それなら良いの、かしら?」
「はい」
「それより…」
私は後ろを振り返ろうと、
「お嬢様駄目です!先程もそうやって後ろを気にするあまり転けそうになったのですよ!忘れたのですか!」
「そうね、気を付けるわ」
「あちらは放っておきましょう。お嬢様はご自分の体だけ心配して下さい。もう二月もなくお産まれになるのですから」
「そうね」
後ろで歩いているルトとフィルとフェス…。さっきまで揉めに揉めていた。
始まりは、
「母様、今日も僕と手を繋いで散歩しましょうね?」
「まあ、フィルが母様をエスコートしてくれるの?」
「はい!」
「頼もしい王子様ね。それならお願いしようかしら」
「はい!」
フィルは私が散歩すると必ず側に来て一緒に歩いてくれる。
「待て!今日は父様が母様と散歩するからフィルはいい」
「父様は爺ちゃまと仕事して下さい」
「今日はもう終わった。母様の事は父様に任せなさい」
「母様の日課の散歩で一緒に歩くのは僕の役目です」
「今日は父様がいるから大丈夫だ」
「父様がいてもいなくても僕の役目です」
「フィルでは母様が転けたら支えれないだろう」
「母様の歩幅に合わせて歩くので転けさせません」
「躓いたらどうする」
「躓きそうになる前に母様に注意します」
「それでも躓いたらフィルでは母様を支えきれないだろ。母様の腹には子がいるのだぞ!」
「分かってますよ。だから母様の側で護っているのですから」
「フィルにはまだ無理だ」
「無理ではありません」
最近、ルトとフィルは度々言い合いになる。髪や瞳の色だけでなく性格まで似てしまったみたい。顔は私に似てるのに…。
「ならこうしましょう。片手づつ手を繋ぎましょう。それなら良いでしょ?」
「母様が危なくないなら」
「リー、両手が塞がるのは危険だ」
「もう分かったから行くわよ」
私は二人と手を繋ぎ歩き出した。
「若奥様、アニフェスお嬢様が起きましたのでお連れしました」
「シア悪いわね」
シアは私のメイドからフェスのメイドに変わった。フェスも女の子だから早めに専属のメイドがいた方が良いと思って…。レイは私もフェスもお世話すると少々渋ったけど、最後はシアではルトを止めれないと言って何とか分かって貰えた。
「フェス起きたのね」
「かあたま、だっこ」
「フェス父様が抱っこしよう、おいで」
「いや、かあたまがいい」
「フェス、父様では嫌か?」
「かあたまがいい」
「さあフェス、抱っこしましょうね」
私はシアからフェスを受け取り抱っこをした。フェスは寝起き、少しの間だけ抱っこをせがむ。それでも前は誰でも良かったのだけど、ここ最近は私以外嫌がる様になった。もうすぐ子が産まれると分かっているのかしらね。だから私も出来る限りフェスを抱っこする様にしている。
少し抱っこをすると落ち着いたのか、今度は歩きたいと…。
「フェス、兄様と手を繋がないと危ないからね? 母様、僕はフェスと手を繋ぎます」
「それならお願いしようかしら。フェスに合わせてゆっくりとよ?」
「はい、大丈夫です。僕はフェスの兄様ですから」
「そうね、頼もしい兄様だわ」
「はい」
「嫌、フィルでは危ない。父様がフェスと手を繋いで歩く。まだお前にはフェスを護れない」
「僕でも護れます」
「フェスが転けたらどうする」
「転けさせません」
「フェスが抱っこと言ってもフィルでは抱っこ出来ないだろ」
「抱っこ出来ます」
「無理に決まってるだろ!フェスに傷を付ける気か!」
「傷なんて付けさせません!」
「駄目だ!フェスは父様に任せなさい」
「フェス、兄様と手を繋ぎたいよね?」
「フェス、父様と手を繋ぎたいだろ?」
フェスはキョトンとした顔で二人を見ている。
「父様、僕が母様とフェスと手を繋いで歩くので父様は後ろからついて来て下さい」
「フィル、両手が塞がってどうやって二人を護る事が出来る!」
「僕は二人に合わせて歩くので大丈夫です」
「父様が二人と手を繋いで歩くからフィルはレイと剣の稽古をしなさい」
「父様だって両手が塞がるではないですか」
「父様はフィルと違って両手が例え塞がっていても咄嗟に動く事が出来る。まだお前には無理だろ」
また二人は言い合いになり、
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「さあお嬢様、私の手を」
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「ジークルト様、私がこの身を呈してでもお護りしますので大丈夫です」
「そうね、レイなら私も安心して任せられるわ」
「リー」
「ルトはフェスを護ってね? さあレイ行きましょ」
「はいお嬢様」
「リー待ってくれ」
私はルトの声を無視して歩き出した。
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