36 / 61
36
しおりを挟む
「サリーリ嬢の記憶の事、お前がいつまでもサリーリ嬢を慕っていた事も全て聞いて、ようやくお前の謎の行動も苦しんだ年月も、婚約の話を全て断り独身を通した理由も、全てがサリーリ嬢と結婚する為だった。だから嬉しいんだ」
「兄上、ありがとうございます」
「これからはサリーリ嬢と一緒に幸せになれ」
「はい、俺は幸せです。ようやくリーを嫁に貰えて、リーを離さなくてすむ。夫婦になれて俺は幸せ者です」
「そうか、良かったな」
「はい」
招待した方々とお話をして、和やかな雰囲気の中パーティーは終わり、皆様をお見送りしてようやく一日が終わった。
湯浴みをし、メイド達に綺麗に仕上げて貰い、私は部屋の中でルトを待っている。
私とルトが暮らす離れは完成するまでにはもう少しかかるみたいで、当分は私の私室が夫婦の部屋になる。
ルトの準備を手伝うメイドを誰がするか話し合った結果、レイが当分はするみたい。気心がしれてる者はレイしか居ないし、家は男はお父様しか居ない。お父様は何でも一人でやるし、それに執事が付いてるからメイドが手伝う事が無い。だから皆、何を手伝えば良いのか分からないみたい。
「ふぁぁ」
私は一日の疲れであくびが出た。今日はとても大切な日。寝てはいけないと思っても、ウトウト……。
「スー、スー」
「お嬢様、お嬢様」
「うぅん?レイ?どうしたの?」
「お嬢様起きて下さい」
「もう少しだけ……」
「ジークルト様の準備は終わりました。もうすぐこちらに見えます」
「ルト?」
「もうすぐこちらに見えますので起きて下さい。さあ、身なりを整えますよ?」
「身なり?」
私は眠い目で自分の身なりを見た。紐が解けてまるで裸の様…。私は顔を真っ赤にさせて、レイに身なりを整えて貰った。今日の夜着は透けてて、紐も直ぐ解ける様になっている。
私は眠気も一気になくなり、反対に恥ずかしさの方が上回った。
「もうすぐお見えになります。お嬢様は起きてお待ち下さい」
私は声も出せず頷いた。 レイが部屋を出て行き、今日が初夜という事を思い出した。
コンコン
「入るぞ?」
ルトが薄暗い部屋の中へ入って来た。薄暗いと言ってもお互いの顔ははっきりと見える。私は恥ずかしくなり俯いた。
ルトはベッドの端に座っている私の横に座った。
「リー?」
「何でもないの」
「そうか。遅くなってすまない」
「大丈夫。何かあった?」
「いや………」
「どうしたの?」
「うん……、恥ずかしいのだが…」
「私も恥ずかしい…」
「リーの恥ずかしさと俺の恥ずかしいは違う」
「同じよ」
「いや、違うんだ。こんな事言って良いのか分からないんだが…」
「何?」
「うん…、俺さ…、その、こういうの知らないんだ…」
「私も知らないわよ?」
「いや…、閨教育…、受けてないんだ…」
「私も聞いたくらいよ?」
「俺は本を一度読んだだけだ。一応俺は公爵令息だから閨教育をさせられるんだが、リー以外と結婚するつもりも無かったから、変に教わるのも嫌だったんだ。何となくリーを裏切る行為の様な感じがして。それに俺は淡白と言うか、その………」
「何?」
「自分でした事も数回で…」
「う、うん…」
「こんな事リーに言うべきではないんだけど、ここに来る前にもう一度読んできた。俺は上手く出来ないと思う。それに女性は叫ぶ程痛いと聞く。 俺も優しくするつもりだが、リーを気づかう余裕が無いと思う。すまない」
「私も痛いとは聞いたけど、それでも旦那様に愛されてると分かると痛みは気にならないって聞いたわ。別に上手く出来なくても良いと思うの」
「だけど俺はリーを泣かせたくない。痛い思いもして欲しくない」
「なら今日は止める?無理にする必要は無いと思うの。確かに女性にとって、その…、初夜?は大事よ?それでも二人の気持ちの方が大事でしょ?」
「俺はリーに触れたい。ただ、加減が分からない。きっと傷つける。 それでもリーに触れたいんだ」
「馬車で言った事覚えてる? 私はルトになら傷つけられても良いの」
「リー」
ルトは私を抱きしめた。
ルトの唇が私の唇と重なる。何度も重なり、次第に口付けが深くなる。私は身体が熱を持つのが分かる。
「ルト…」
私の甘い、熱のこもった声に、ルトの瞳も熱のこもった視線を私に向ける。 ベッドに寝かされ、気付けば夜着は解けていた。露わになる私の裸。隠した手を退かされる。 ルトは私の身体中に口付けをした。
「兄上、ありがとうございます」
「これからはサリーリ嬢と一緒に幸せになれ」
「はい、俺は幸せです。ようやくリーを嫁に貰えて、リーを離さなくてすむ。夫婦になれて俺は幸せ者です」
「そうか、良かったな」
「はい」
招待した方々とお話をして、和やかな雰囲気の中パーティーは終わり、皆様をお見送りしてようやく一日が終わった。
湯浴みをし、メイド達に綺麗に仕上げて貰い、私は部屋の中でルトを待っている。
私とルトが暮らす離れは完成するまでにはもう少しかかるみたいで、当分は私の私室が夫婦の部屋になる。
ルトの準備を手伝うメイドを誰がするか話し合った結果、レイが当分はするみたい。気心がしれてる者はレイしか居ないし、家は男はお父様しか居ない。お父様は何でも一人でやるし、それに執事が付いてるからメイドが手伝う事が無い。だから皆、何を手伝えば良いのか分からないみたい。
「ふぁぁ」
私は一日の疲れであくびが出た。今日はとても大切な日。寝てはいけないと思っても、ウトウト……。
「スー、スー」
「お嬢様、お嬢様」
「うぅん?レイ?どうしたの?」
「お嬢様起きて下さい」
「もう少しだけ……」
「ジークルト様の準備は終わりました。もうすぐこちらに見えます」
「ルト?」
「もうすぐこちらに見えますので起きて下さい。さあ、身なりを整えますよ?」
「身なり?」
私は眠い目で自分の身なりを見た。紐が解けてまるで裸の様…。私は顔を真っ赤にさせて、レイに身なりを整えて貰った。今日の夜着は透けてて、紐も直ぐ解ける様になっている。
私は眠気も一気になくなり、反対に恥ずかしさの方が上回った。
「もうすぐお見えになります。お嬢様は起きてお待ち下さい」
私は声も出せず頷いた。 レイが部屋を出て行き、今日が初夜という事を思い出した。
コンコン
「入るぞ?」
ルトが薄暗い部屋の中へ入って来た。薄暗いと言ってもお互いの顔ははっきりと見える。私は恥ずかしくなり俯いた。
ルトはベッドの端に座っている私の横に座った。
「リー?」
「何でもないの」
「そうか。遅くなってすまない」
「大丈夫。何かあった?」
「いや………」
「どうしたの?」
「うん……、恥ずかしいのだが…」
「私も恥ずかしい…」
「リーの恥ずかしさと俺の恥ずかしいは違う」
「同じよ」
「いや、違うんだ。こんな事言って良いのか分からないんだが…」
「何?」
「うん…、俺さ…、その、こういうの知らないんだ…」
「私も知らないわよ?」
「いや…、閨教育…、受けてないんだ…」
「私も聞いたくらいよ?」
「俺は本を一度読んだだけだ。一応俺は公爵令息だから閨教育をさせられるんだが、リー以外と結婚するつもりも無かったから、変に教わるのも嫌だったんだ。何となくリーを裏切る行為の様な感じがして。それに俺は淡白と言うか、その………」
「何?」
「自分でした事も数回で…」
「う、うん…」
「こんな事リーに言うべきではないんだけど、ここに来る前にもう一度読んできた。俺は上手く出来ないと思う。それに女性は叫ぶ程痛いと聞く。 俺も優しくするつもりだが、リーを気づかう余裕が無いと思う。すまない」
「私も痛いとは聞いたけど、それでも旦那様に愛されてると分かると痛みは気にならないって聞いたわ。別に上手く出来なくても良いと思うの」
「だけど俺はリーを泣かせたくない。痛い思いもして欲しくない」
「なら今日は止める?無理にする必要は無いと思うの。確かに女性にとって、その…、初夜?は大事よ?それでも二人の気持ちの方が大事でしょ?」
「俺はリーに触れたい。ただ、加減が分からない。きっと傷つける。 それでもリーに触れたいんだ」
「馬車で言った事覚えてる? 私はルトになら傷つけられても良いの」
「リー」
ルトは私を抱きしめた。
ルトの唇が私の唇と重なる。何度も重なり、次第に口付けが深くなる。私は身体が熱を持つのが分かる。
「ルト…」
私の甘い、熱のこもった声に、ルトの瞳も熱のこもった視線を私に向ける。 ベッドに寝かされ、気付けば夜着は解けていた。露わになる私の裸。隠した手を退かされる。 ルトは私の身体中に口付けをした。
11
お気に入りに追加
991
あなたにおすすめの小説
溺愛される妻が記憶喪失になるとこうなる
田尾風香
恋愛
***2022/6/21、書き換えました。
お茶会で紅茶を飲んだ途端に頭に痛みを感じて倒れて、次に目を覚ましたら、目の前にイケメンがいました。
「あの、どちら様でしょうか?」
「俺と君は小さい頃からずっと一緒で、幼い頃からの婚約者で、例え死んでも一緒にいようと誓い合って……!」
「旦那様、奥様に記憶がないのをいいことに、嘘を教えませんように」
溺愛される妻は、果たして記憶を取り戻すことができるのか。
ギャグを書いたことはありませんが、ギャグっぽいお話しです。会話が多め。R18ではありませんが、行為後の話がありますので、ご注意下さい。
愛想がないと王子に罵られた大聖女は、婚約破棄、国外追放される。 ~何もしていないと思われていた大聖女の私がいなくなったことで、国は崩壊寸前~
木嶋隆太
恋愛
大聖女として国を護っていた私。大聖女の力を維持するには、異性と「そういう関係」になってはいけない。だが何度説明しても王子は、私と「そういう関係」になろうとしてくる。国を護るために拒否し続けた私は、王子の怒りをかって婚約破棄、国外追放されてしまう。いくらでも触らせてくれる妹のほうがいいんだそうだ。私から王子を奪い取った妹は勝ち誇ってるけど……でも、妹は大聖女としての才能があんまりないみたいですけど、大丈夫ですか? 私がいなくなったら、国に魔物があふれて大変なことになると思いますけど……まあいいですか。
【完結】婚約破棄で私は自由になる(11月末に取り下げ予定)
らんか
恋愛
いよいよ、明日、私は婚約破棄される。
思えば、生まれてからすぐに前世の記憶があった私は、この日が来るのを待ち続けていた。
早く婚約破棄されて……私は自由になりたい!
あなたの一番になれないことは分かっていました
りこりー
恋愛
公爵令嬢であるヘレナは、幼馴染であり従兄妹の王太子ランベルトにずっと恋心を抱いていた。
しかし、彼女は内気であるため、自分の気持ちを伝えることはできない。
自分が妹のような存在にしか思われていないことも分かっていた。
それでも、ヘレナはランベルトの傍に居られるだけで幸せだった。この時までは――。
ある日突然、ランベルトの婚約が決まった。
それと同時に、ヘレナは第二王子であるブルーノとの婚約が決まってしまう。
ヘレナの親友であるカタリーナはずっとブルーノのことが好きだった。
※R15は一応保険です。
※一部暴力的表現があります。
あなたの側にいられたら、それだけで
椎名さえら
恋愛
目を覚ましたとき、すべての記憶が失われていた。
私の名前は、どうやらアデルと言うらしい。
傍らにいた男性はエリオットと名乗り、甲斐甲斐しく面倒をみてくれる。
彼は一体誰?
そして私は……?
アデルの記憶が戻るとき、すべての真実がわかる。
_____________________________
私らしい作品になっているかと思います。
ご都合主義ですが、雰囲気を楽しんでいただければ嬉しいです。
※私の商業2周年記念にネップリで配布した短編小説になります
※表紙イラストは 由乃嶋 眞亊先生に有償依頼いたしました(投稿の許可を得ています)
夫が「愛していると言ってくれ」とうるさいのですが、残念ながら結婚した記憶がございません
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
【完結しました】
王立騎士団団長を務めるランスロットと事務官であるシャーリーの結婚式。
しかしその結婚式で、ランスロットに恨みを持つ賊が襲い掛かり、彼を庇ったシャーリーは階段から落ちて気を失ってしまった。
「君は俺と結婚したんだ」
「『愛している』と、言ってくれないだろうか……」
目を覚ましたシャーリーには、目の前の男と結婚した記憶が無かった。
どうやら、今から二年前までの記憶を失ってしまったらしい――。
追放された聖女は隣国で幸せをみつける
ゆるり
恋愛
聖女としての辛い務めをこなすユリアは、突如として婚約者から偽聖女と糾弾され婚約を破棄される。加えて神殿からも追放されることになった。辛い務めから解放されたことで、ユリアは自分が幸せに暮らせる新天地を求めて隣国に渡ることにした。そしてその隣国の地で優しい人たちや愛しい人に出会い自分の幸せを見つけていく。
【完結】記憶喪失になってから、あなたの本当の気持ちを知りました
Rohdea
恋愛
誰かが、自分を呼ぶ声で目が覚めた。
必死に“私”を呼んでいたのは見知らぬ男性だった。
──目を覚まして気付く。
私は誰なの? ここはどこ。 あなたは誰?
“私”は馬車に轢かれそうになり頭を打って気絶し、起きたら記憶喪失になっていた。
こうして私……リリアはこれまでの記憶を失くしてしまった。
だけど、なぜか目覚めた時に傍らで私を必死に呼んでいた男性──ロベルトが私の元に毎日のようにやって来る。
彼はただの幼馴染らしいのに、なんで!?
そんな彼に私はどんどん惹かれていくのだけど……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる