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「サリーリ嬢の記憶の事、お前がいつまでもサリーリ嬢を慕っていた事も全て聞いて、ようやくお前の謎の行動も苦しんだ年月も、婚約の話を全て断り独身を通した理由も、全てがサリーリ嬢と結婚する為だった。だから嬉しいんだ」

「兄上、ありがとうございます」

「これからはサリーリ嬢と一緒に幸せになれ」

「はい、俺は幸せです。ようやくリーを嫁に貰えて、リーを離さなくてすむ。夫婦になれて俺は幸せ者です」

「そうか、良かったな」

「はい」


 招待した方々とお話をして、和やかな雰囲気の中パーティーは終わり、皆様をお見送りしてようやく一日が終わった。

 湯浴みをし、メイド達に綺麗に仕上げて貰い、私は部屋の中でルトを待っている。

 私とルトが暮らす離れは完成するまでにはもう少しかかるみたいで、当分は私の私室が夫婦の部屋になる。

 ルトの準備を手伝うメイドを誰がするか話し合った結果、レイが当分はするみたい。気心がしれてる者はレイしか居ないし、家は男はお父様しか居ない。お父様は何でも一人でやるし、それに執事が付いてるからメイドが手伝う事が無い。だから皆、何を手伝えば良いのか分からないみたい。


「ふぁぁ」


 私は一日の疲れであくびが出た。今日はとても大切な日。寝てはいけないと思っても、ウトウト……。


「スー、スー」

「お嬢様、お嬢様」

「うぅん?レイ?どうしたの?」

「お嬢様起きて下さい」

「もう少しだけ……」

「ジークルト様の準備は終わりました。もうすぐこちらに見えます」

「ルト?」

「もうすぐこちらに見えますので起きて下さい。さあ、身なりを整えますよ?」

「身なり?」


 私は眠い目で自分の身なりを見た。紐が解けてまるで裸の様…。私は顔を真っ赤にさせて、レイに身なりを整えて貰った。今日の夜着は透けてて、紐も直ぐ解ける様になっている。

 私は眠気も一気になくなり、反対に恥ずかしさの方が上回った。


「もうすぐお見えになります。お嬢様は起きてお待ち下さい」


 私は声も出せず頷いた。 レイが部屋を出て行き、今日が初夜という事を思い出した。


コンコン


「入るぞ?」


 ルトが薄暗い部屋の中へ入って来た。薄暗いと言ってもお互いの顔ははっきりと見える。私は恥ずかしくなり俯いた。

 ルトはベッドの端に座っている私の横に座った。


「リー?」

「何でもないの」

「そうか。遅くなってすまない」

「大丈夫。何かあった?」

「いや………」

「どうしたの?」

「うん……、恥ずかしいのだが…」

「私も恥ずかしい…」

「リーの恥ずかしさと俺の恥ずかしいは違う」

「同じよ」

「いや、違うんだ。こんな事言って良いのか分からないんだが…」

「何?」

「うん…、俺さ…、その、こういうの知らないんだ…」

「私も知らないわよ?」

「いや…、閨教育…、受けてないんだ…」

「私も聞いたくらいよ?」

「俺は本を一度読んだだけだ。一応俺は公爵令息だから閨教育をさせられるんだが、リー以外と結婚するつもりも無かったから、変に教わるのも嫌だったんだ。何となくリーを裏切る行為の様な感じがして。それに俺は淡白と言うか、その………」

「何?」

「自分でした事も数回で…」

「う、うん…」

「こんな事リーに言うべきではないんだけど、ここに来る前にもう一度読んできた。俺は上手く出来ないと思う。それに女性は叫ぶ程痛いと聞く。 俺も優しくするつもりだが、リーを気づかう余裕が無いと思う。すまない」

「私も痛いとは聞いたけど、それでも旦那様に愛されてると分かると痛みは気にならないって聞いたわ。別に上手く出来なくても良いと思うの」

「だけど俺はリーを泣かせたくない。痛い思いもして欲しくない」

「なら今日は止める?無理にする必要は無いと思うの。確かに女性にとって、その…、初夜?は大事よ?それでも二人の気持ちの方が大事でしょ?」

「俺はリーに触れたい。ただ、加減が分からない。きっと傷つける。 それでもリーに触れたいんだ」

「馬車で言った事覚えてる? 私はルトになら傷つけられても良いの」

「リー」


 ルトは私を抱きしめた。

 ルトの唇が私の唇と重なる。何度も重なり、次第に口付けが深くなる。私は身体が熱を持つのが分かる。


「ルト…」


 私の甘い、熱のこもった声に、ルトの瞳も熱のこもった視線を私に向ける。 ベッドに寝かされ、気付けば夜着は解けていた。露わになる私の裸。隠した手を退かされる。 ルトは私の身体中に口付けをした。


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