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突入
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二十七日の二時、「うんりゅう」はサンタ・ベルナージ島周辺に潜入していた。反乱軍艦がうろうろしている中に接近し、「バリアスコス」の音を流してすり抜ける。反乱軍艦は疑心暗鬼に陥っているのか、何度も無線で呼びかけてくる。
「よし、デコイ発射用意。効果音セット、『うんりゅう』」
「うんりゅう」は自艦の音を立てるデコイを用意し、発射準備を完了した。
「サンタ・ベルナージ島の湾口に突っ込ませて、それから旋回させるぞ。補助バッテリーを限界まで搭載せよ」
「うんりゅう」の魚雷発射管が開く。そして「うんりゅう」の音を立てながら、デコイはゆっくりと進んでいった。
「反乱軍、デコイに気づいたようです」
「よし。本艦は全速力で退避する。『はつせ』が到着するまであと数分だ。機関全速、反転九十度」
「うんりゅう」はサンタ・ベルナージを離れ、入れ替わりに「はつせ」がサンタ・ベルナージ港内に対空空中散弾の雨を降らせた。
サンタ・ベルナージ要塞司令塔 午前三時三十四分
「ヴェルサイア」の甲板上ではエレベーターが停止、艦載機が燃え始める。
「消火急げ!」
「ヴェルサイア」の艦長が叫ぶのと、「はつせ」が接近中という報告がサンタ・ベルナージの司令部に届くのは同時だった。
「くそ、このままでは目的を正式に伝える前に……ッ」
テラメル元帥は慌てて妨害電波を止めさせ、マカスネシア連邦政府に電話をかける。そして電話が繋がるとすぐに目的を告げた。
「我々の独立を認めろ。要求はそれだけだ。突っ込んでくる艦隊は返り討ちにしてくれる」
そう言って電話を切ったテラメル元帥は、妨害電波の再開と戦闘開始を命じた。
「敵大型艦、突っ込んできます」
「撃沈だ、沈めろ!」
「はつせ」の周辺にミサイルが着弾するが、「はつせ」には命中しない。
「くそ、当たらないぞ」
ミサイルを撃ちきったミサイル艇は退避していく。代わって駆逐艦が襲い来るが、ミサイルは同じように当たらず砲弾も「はつせ」の四十センチ砲に耐える堅固な装甲板には突き刺さりすらしない。
「敵大型艦、損害なし!このままでは港内に突入されます!」
「敵強襲揚陸艦、接近中!すでに上陸されたとの報告も!」
「くにさき」の上陸部隊が上陸を開始したのは、上陸の誤報からわずか四分後のことであった。妨害電波でレーダーを封じた代償に、反乱軍は敵艦隊の接近を知ることができなかったのだ。
「はつせ」艦橋 午前四時
「目標地点まであと三百です」
「機関停止!接近する艦は高射機銃及び高角砲の水平射で破壊せよ。ただしあまり徹底的にやらないように」
「はつせ」が湾口の航路を塞いで停止する。そして「はつせ」からは降伏勧告音声が流れた。
「降伏せよ。降伏せぬ場合は上陸部隊により占領する。繰り返す、降伏せよ」
「はつせ」が応答を待っていると、ミサイル艇がミサイルを発射した。対空機銃がミサイルを撃墜する。
「よし、上陸部隊は攻撃を開始せよ」
山口提督はそう命じると、「はつせ」の主砲で援護射撃を開始した。要塞内部に爆炎が上がり、サイレンが鳴り始める。「はつせ」は炎に照らされたその姿を海上に浮かべていた。
「よし、デコイ発射用意。効果音セット、『うんりゅう』」
「うんりゅう」は自艦の音を立てるデコイを用意し、発射準備を完了した。
「サンタ・ベルナージ島の湾口に突っ込ませて、それから旋回させるぞ。補助バッテリーを限界まで搭載せよ」
「うんりゅう」の魚雷発射管が開く。そして「うんりゅう」の音を立てながら、デコイはゆっくりと進んでいった。
「反乱軍、デコイに気づいたようです」
「よし。本艦は全速力で退避する。『はつせ』が到着するまであと数分だ。機関全速、反転九十度」
「うんりゅう」はサンタ・ベルナージを離れ、入れ替わりに「はつせ」がサンタ・ベルナージ港内に対空空中散弾の雨を降らせた。
サンタ・ベルナージ要塞司令塔 午前三時三十四分
「ヴェルサイア」の甲板上ではエレベーターが停止、艦載機が燃え始める。
「消火急げ!」
「ヴェルサイア」の艦長が叫ぶのと、「はつせ」が接近中という報告がサンタ・ベルナージの司令部に届くのは同時だった。
「くそ、このままでは目的を正式に伝える前に……ッ」
テラメル元帥は慌てて妨害電波を止めさせ、マカスネシア連邦政府に電話をかける。そして電話が繋がるとすぐに目的を告げた。
「我々の独立を認めろ。要求はそれだけだ。突っ込んでくる艦隊は返り討ちにしてくれる」
そう言って電話を切ったテラメル元帥は、妨害電波の再開と戦闘開始を命じた。
「敵大型艦、突っ込んできます」
「撃沈だ、沈めろ!」
「はつせ」の周辺にミサイルが着弾するが、「はつせ」には命中しない。
「くそ、当たらないぞ」
ミサイルを撃ちきったミサイル艇は退避していく。代わって駆逐艦が襲い来るが、ミサイルは同じように当たらず砲弾も「はつせ」の四十センチ砲に耐える堅固な装甲板には突き刺さりすらしない。
「敵大型艦、損害なし!このままでは港内に突入されます!」
「敵強襲揚陸艦、接近中!すでに上陸されたとの報告も!」
「くにさき」の上陸部隊が上陸を開始したのは、上陸の誤報からわずか四分後のことであった。妨害電波でレーダーを封じた代償に、反乱軍は敵艦隊の接近を知ることができなかったのだ。
「はつせ」艦橋 午前四時
「目標地点まであと三百です」
「機関停止!接近する艦は高射機銃及び高角砲の水平射で破壊せよ。ただしあまり徹底的にやらないように」
「はつせ」が湾口の航路を塞いで停止する。そして「はつせ」からは降伏勧告音声が流れた。
「降伏せよ。降伏せぬ場合は上陸部隊により占領する。繰り返す、降伏せよ」
「はつせ」が応答を待っていると、ミサイル艇がミサイルを発射した。対空機銃がミサイルを撃墜する。
「よし、上陸部隊は攻撃を開始せよ」
山口提督はそう命じると、「はつせ」の主砲で援護射撃を開始した。要塞内部に爆炎が上がり、サイレンが鳴り始める。「はつせ」は炎に照らされたその姿を海上に浮かべていた。
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