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外出と浪漫は急激
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僕は外出用の服を探したが、見つからなかった。仕方がないので昨日着ていた学生服を着て、分厚いウィンドブレーカーを羽織る。下駄箱の前に立つと、外からくしゃみが聞こえてきた。
「優莉姉さん、和藤さんが外で凍えてるよ」
「わかった、今降りてる」
ドタドタという音とともに優莉姉さんが走ってきた。大きなリュックを背負い、紺色のジーンズと紫のセーターの上に藤色と黒で上と下が染め分けられたダウンジャケットを羽織っている。
「さて、鍵も持ったし行こう」
「財布は?」
「持ってる」
「僕も1万円は持った」
「めっちゃ持ってるじゃん」
「全財産だよ」
「……」
「鍵、開けていい?」
「うん」
外にいたのは、少しふくよかな体型で丸眼鏡をかけた高校生のようでありながら中年男性のような風格を持った男だった。とにかく「男」以外に僕はその人のすべてを形容する単語を知らなかった。
「ああどうも杉山先輩、和藤です……あ、失礼しました。私は和藤夢夢です」
男は名を名乗り、見定めるような目で僕を見た。
「どうも。英二、自己紹介しな」
優莉姉さんが言う。
「杉山、英二……です」
「警戒心むき出しにされちゃってるよ、和藤くん」
「参りましたねえ……7時間一緒にいるのにこれではどうしたものやら」
「……和藤さん、あなたは一体誰ですか?」
「私が誰か……ですか。強いて言うなら杉山先輩と少しばかり趣味の合う後輩です」
「……それだけですか?」
「ええ。それ以外に何か、英二さんを納得させる理由が必要ならば、私は大抵の質問に答えますよ」
「なら優莉姉さんとはどれぐらいの頻度で遊びに行ってるんですか?」
「私のことを、杉山先輩の何だとお思いですか?」
「質問を質問で返さないでください」
「そうですね、今回が初めてです。それで、私のことを杉山先輩の何だとお思いですか?」
「……」
「まあいいでしょう。とりあえず私のことは警戒されたままで問題ありません。杉山先輩もいますし」
和藤さんはそう言って優莉姉さんの方へ向き直った。
「さて、行きましょうか」
「そうだね」
和藤さんは優莉姉さんの隣で車道側を歩いた。悪い人ではなさそうだな、そう思ったときだった。
「そうだ、和藤くん」
「何でしょう、杉山先輩」
「さっき『杉山先輩の何だと思ってるんだ』って言ってたけど、和藤くん自身は自分のことを私の何だと思ってるの?」
「そうですね……私は杉山先輩の後輩で、もっと言うなら友人ですかね」
「そう、わかった」
「なんですかその残念そうな返事」
「和藤くんなら私のことをもっと近い存在として見ていてくれるんじゃないかなって思ってただけ」
「……は?」
「まあいいや、英二くんもいるしここではこれ以上やめておこう」
「そ、そうですね」
僕は何かロマンスの気配を感じて、優莉姉さんの家に引き返そうとした。
「ちょっと英二くん、逃げないでくれる?私たちも承知の上で英二くんが一緒に来てるんだから」
「そうですよ英二さん」
僕は諦めて、優莉姉さんと和藤さんのあとについていった。
「優莉姉さん、和藤さんが外で凍えてるよ」
「わかった、今降りてる」
ドタドタという音とともに優莉姉さんが走ってきた。大きなリュックを背負い、紺色のジーンズと紫のセーターの上に藤色と黒で上と下が染め分けられたダウンジャケットを羽織っている。
「さて、鍵も持ったし行こう」
「財布は?」
「持ってる」
「僕も1万円は持った」
「めっちゃ持ってるじゃん」
「全財産だよ」
「……」
「鍵、開けていい?」
「うん」
外にいたのは、少しふくよかな体型で丸眼鏡をかけた高校生のようでありながら中年男性のような風格を持った男だった。とにかく「男」以外に僕はその人のすべてを形容する単語を知らなかった。
「ああどうも杉山先輩、和藤です……あ、失礼しました。私は和藤夢夢です」
男は名を名乗り、見定めるような目で僕を見た。
「どうも。英二、自己紹介しな」
優莉姉さんが言う。
「杉山、英二……です」
「警戒心むき出しにされちゃってるよ、和藤くん」
「参りましたねえ……7時間一緒にいるのにこれではどうしたものやら」
「……和藤さん、あなたは一体誰ですか?」
「私が誰か……ですか。強いて言うなら杉山先輩と少しばかり趣味の合う後輩です」
「……それだけですか?」
「ええ。それ以外に何か、英二さんを納得させる理由が必要ならば、私は大抵の質問に答えますよ」
「なら優莉姉さんとはどれぐらいの頻度で遊びに行ってるんですか?」
「私のことを、杉山先輩の何だとお思いですか?」
「質問を質問で返さないでください」
「そうですね、今回が初めてです。それで、私のことを杉山先輩の何だとお思いですか?」
「……」
「まあいいでしょう。とりあえず私のことは警戒されたままで問題ありません。杉山先輩もいますし」
和藤さんはそう言って優莉姉さんの方へ向き直った。
「さて、行きましょうか」
「そうだね」
和藤さんは優莉姉さんの隣で車道側を歩いた。悪い人ではなさそうだな、そう思ったときだった。
「そうだ、和藤くん」
「何でしょう、杉山先輩」
「さっき『杉山先輩の何だと思ってるんだ』って言ってたけど、和藤くん自身は自分のことを私の何だと思ってるの?」
「そうですね……私は杉山先輩の後輩で、もっと言うなら友人ですかね」
「そう、わかった」
「なんですかその残念そうな返事」
「和藤くんなら私のことをもっと近い存在として見ていてくれるんじゃないかなって思ってただけ」
「……は?」
「まあいいや、英二くんもいるしここではこれ以上やめておこう」
「そ、そうですね」
僕は何かロマンスの気配を感じて、優莉姉さんの家に引き返そうとした。
「ちょっと英二くん、逃げないでくれる?私たちも承知の上で英二くんが一緒に来てるんだから」
「そうですよ英二さん」
僕は諦めて、優莉姉さんと和藤さんのあとについていった。
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