コスプレしたまま異世界へ(マカロンを添えて)

ぽんかん

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マカロンは添えるだけ

1章エピローグ テンプレには祭壇を添えて

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それにしても公爵令嬢か。
なんともテンプレのにおいがする。
私は部屋の奥、祭壇のような一角を見つめた。
ヘアスプレー火炎放射器、ライター、扇子、ドレス戦闘服
それらが神具の様に祀られている。

あまりの仰々しさに、ふふっと笑いが零れてしまう。

「おもてなし、しなくてはね」


―ああ、今のは『悪役令嬢』ぽかったのではないだろうか。
なんせ絶対に目は笑っていないのだ。

私の考える『カレン・ミラード公爵令嬢』は非情な人間ではない。
自分に味方してくれる彼らに多少なりとも恩義は感じている。
だが、私をこの世界に召還
拉致
するよう仕向けた奴らに対してはどうか。

私の考える『悪役令嬢カレン・ミラード』は非道ではない、とは言い切れない。
悪役と言われるからにはそれなりの理由があるのだ。
優しいだけでは守れない物があることを知っているからこそ。

―ああ、ゲームの中のカレンならどうするだろうか。
キャリーケースの中は誰にも見せていない。
まだ切り札となるものがあるだろうか。


頭の中でシミュレーションしていたつもりだが、顔に出ていたのかもしれない。
さっきまで感激していた3人が、今や私に向かって真剣な顔で最敬礼している。
そう。ならば、期待に応えなくては。


明日来るのはどんな人達だろう。
テンプレ通りなのか。
そうではないのか。
それによって私、『カレン・ミラード』の話はどう進むのか。
プロローグ延長?
新章突入?
なんにせよ、魔法が存在する世界で生きていかなければならなくなったのだ。

「まったく、楽しみだわね」
―悪役令嬢ごっこ、ってね!




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