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最終章
テュポーン捕縛作戦(後編)
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辺りはすっかり夜になり、闇に包まれた。
ノーマンとカナンは作戦に参加した兵たちに交代で休憩を取るように命じた。
それは実質的な勝利宣言とも取れ、広場にいた者たちも、裏門の外にいた者たちも、作戦の成功を声高に叫んだ。
作戦終了の報を受けて、砦の外で陽動に当たっていた兵たちが、魔獣を討伐し終えて続々と砦の裏門へと帰還してきた。作戦を終えた者たちは、砦の裏門前に集合することになっていたのだ。
裏門前に煌々と焚かれた篝火が、その後ろにある魔族の天幕の明かりと連なって、その周囲だけ昼間のように明るかった。
ロアや将たちも、他の騎士たちと共に戻ってきた。
裏門から続々と出てくる魔族たちが「捕縛に成功した!」などと歓声を上げていたので、外から帰って来た者たちは、そこで初めて作戦が成功したことを知ったのだ。
召喚士部隊の伝令を務めていたイヴリスが、彼らの姿を見つけて駆けつけた。
この時裏門は閉じられていたが、イヴリスがこっそり裏門を開けてくれて、エリアナたちは広場へ入ることができた。
初めて、穴の中のテュポーンの姿を見たエリアナは「キモイ!!」を連発していたが、ロアは感心して云った。
「こんな大昔の戦争みたいなやり方が通用するなんて、思いませんでしたね」
「まあ、落とし穴は基本中の基本だよな」
「じゃあ、この作戦の最大の功労者はあたしってことね!」
エリアナはエッヘンと胸を張った。
裏門の外に出てきたロアたちは、任務を終えた『黒の目』部隊と遭遇した。
ロアが助けた騎士は彼女に会釈をすると、その騎士の後ろから『黒の目』の分隊長が出て来て、隊員を助けてもらったことへの礼と、自分の部下たちが行った非礼を謝罪した。
彼女たちは謝罪を受け入れ、イヴリスも『黒の目』へのわだかまりに一応のケリをつけることとなった。
第1砦の正門から広場までの外壁と建物、通路は粉々に破壊され原形をとどめていなかったが、テュポーンの穴のある広場を囲む建物のうち、破壊された正門とは反対方向にある建物群は無傷だった。
人間の兵たちはその建物の中で休むこととなり、魔族たちは裏門の外に設営されている天幕へと引きあげていった。
休憩に入ったために静まり返った砦に、オーウェン軍が到着した。
「一足遅かったようだね」
軍を率いてきた優星は、穴の中に囚われている巨人を見て云った。
彼らを引率してきたのは、リュシー・ゲイブスだった。
ノーマンは遅れてきた彼らを歓迎した。
「せっかく遠くから来たのに、無駄足だったかしら」
ノーマンの背後でそう云ったのは魔法士軍団を率いるホリー・バーンズだった。
「ホリー、来てくれたのか」
「魔法士が必要だって聞いたからよ。でも必要なかったみたいね」
「いや、そんなことはないさ。テュポーンは弱ってるだけで死んだわけじゃない。警戒は必要だよ」
「ま、必要ないかもしれないけど、あのバケモノは魔法士たちに交代で見張らせるわ。遅れて来たんですもの、それくらいは任せてちょうだい。あなたも少し休んだら?」
「お気遣いどうも」
この時、広場に人間の優星が入って来たのを見て、アルシエルは驚いた。
彼はゼフォンと共に広場でテュポーンの警備に立っていたのだが、まさかここで昔の自分と再会するとは思わなかった。
しかも、人間の優星は、汚れひとつなくピカピカに磨かれた白銀の鎧を着用していて、埃と大蛇や魔獣の血にまみれてすっかり汚れている砦の兵士たちの鎧とはあまりにも違い過ぎて、とても場違いに思えた。
「なんか、あれが僕だったなんて思いたくないな」
「なぜだ?」
「すごくカッコ悪いよ…。何だよあのピッカピカの鎧。いかにもお飾りですって感じでさ」
アルシエルがかつての自分を客観的に見て悪口を云っていることに対して、ゼフォンは苦笑した。
「あー、ここにいたんだ」
背後からアルシエルに声を掛ける者がいた。
振り向くとそこにいたのは、かつての大司教公国のリュシー・ゲイブス祭司長だった。
…というのは仮の姿で、その中身はカラヴィアだ。
「アルシエル~!って、そういやあんたも中身は優星ってんだっけか」
「なんだ、カラヴィアか。いいよ、アルシエルって呼んで。あいつと一緒にきたの?」
「うん、そうなの。遅れちゃってゴメンね~。キュロスのポータル・マシンから大急ぎで走ってきたんだけどさ。なにしろ初めてのポータル・マシンだったから皆緊張しちゃって、なかなかうまくいかなくって、大変だったのよ」
ゼフォンはリュシーを知らなかったので、怪訝な顔をしていた。
慌ててアルシエルが説明すると、リュシーは本来のカラヴィアの姿に戻った。
「魔王護衛将の1人、カラヴィアよ。魔族の戦士ならもちろんワタシのことは知ってるわよね?」
「は…!」
ゼフォンは慌てて頭を下げた。
「失礼致しました」
「ああ、いいのいいの、それよりアルシエル。あんたにいいものあげる」
カラヴィアはアルシエルにあるものを手渡した。
「これは…」
「ワタシからのプレゼントよ」
同じ頃、将とエリアナは、裏門でイヴリスやロアと別れ、多くの兵たちが行き交う広大な広場の中を歩いていた。
「エリアナ様ー!!」
ふいに名前を呼ばれたエリアナは振り向いた。
彼女の目に映ったのは、半ベソをかいたアマンダが駆けてくるところだった。
「アマンダ!?」
「うわ~ん!エリアナ様ぁ!」
アマンダが、泣きながらエリアナに突進してきた。
「アマンダ!?なんでここに!?」
「さっき到着したんです!」
「無事でよかった…!心配してたんだからね!」
「お会いできてよかったですぅ!」
アマンダの後ろからゾーイが歩いてきたのを見つけた将は、彼と握手を交わした。
将たちは彼らと再会を喜び、広場に面した建物の中の一室で休ませてもらうことにした。
ここへ至るまでについて将が尋ねると、ゾーイは優星率いるオーウェン軍と共に、魔族の前線基地まで行き、そこに設置されていた大きな転送マシンでキュロスのキャンプに送られ、そこから馬を飛ばしてここまで来たと話した。
北の国境へ迎えという指示は討伐本部から送られてきたのだが、ゾーイたちは半信半疑のまま防護服を着て前線基地へ向かったのだという。
「魔族のキャンプで何か作ってるなとは思ってたんだ。まさか転送マシンとはな」
「一瞬で大勢の兵士を転送できるなんてすごい技術ね~!」
「あんなものを見せられたら、今後魔族と戦争しようなんて思う者はいなくなりますよ」
ゾーイの言葉に一同は頷いた。
そして話は一緒に来た優星の話になった。優星がこの軍を率いてきたという事実に、将は首を傾げた。
「ほんとにそれ、あの優星なのか?話を聞く限り、別人みたいじゃねえか」
「ああ、それは…」
ゾーイは、マルティスが精神スキルを使って、勇者として振る舞うよう暗示をかけたからだと説明した。
そのマルティスが同行を拒否してオーウェンに残ったと聞いた将は、きっとロアはがっかりするだろうなと思った。
「なるほどね。暗示にかかりやすいのね、彼」
「あいつ、聖属性のスキルを使えるって言ったけど、ホントか?」
「あれは宝玉の力です。カラブ…カラヴィアさんがテュポーン討伐に使えと彼に渡したそうです」
「なるほど、宝玉か。それを自分の力と勘違いしてんのか?」
「そういうことは多分にあると思います。少し思い込みが激しいというか何というか…。カラヴィアさんがいてくれなかったらと思うと心配ですよ」
「やっぱり俺はあいつ、気に入らねえ」
将は眉をひそめて云った。
「そうかと思えば私に、恋をしたいけど、どうやってしたらいいんだ?なんて子供っぽいこと聞くんですよ?」
「なんて答えたの?アマンダ」
「いろんな人とまずはお付き合いされてみては?って言っときました」
「それヤバイ!ほっとくとあいつ、国中の女の子に声かけちゃうわよ?」
「ええ~!?ど、どうしよう、私…」
「中身はどうあれ、あの外見で寄ってこられたら罪だよなあ…」
将がそう云うと、ゾーイがそわそわしながらアマンダに尋ねた。
「君は迫られたりしていないだろうな?アマンダ」
「え?私ですか?全然!ないです、ないです!」
「そうか」
ホッとするゾーイを見て、エリアナはニヤニヤしていた。
しかしアマンダにはピンときておらず、「ゾーイさんだってカーラ様と…」とブツクサ文句を云っていた。
テュポーンは、穴の中で不気味に沈黙している。
穴の周辺では魔法士たちが交代で警戒を続けていた。
広場にはノーマン麾下の黒色重騎兵隊が待機して、魔法士たちの護衛役を務めている。
ゼフォンたち魔族もその役目についていた。
広場を臨む建物の屋上には、テュポーンを見下ろすカナンとノーマンの姿があった。
そこはカナンが作戦を指示する際に利用していた建物である。
作戦で行動を共にするうち、ノーマンとカナンには奇妙な友情のようなものが芽生えていた。
「魔力の供給源さえ経てば、デカいだけの木偶の坊だ。それに何かあっても、あの魔法士たちがいれば大丈夫だろう」
ノーマンは、動かないテュポーンを見ながら云った。
すると、警備の魔法士の間を縫って、白銀鎧の優星がテュポーンの前にやって来るのが見えた。
「ん…?何をするつもりだ?」
その場違いな優星は剣をテュポーンに向け、少し芝居じみた調子で云った。
「捕縛だなんて手ぬるいこと言っていないで、僕がこの化け物を成敗してやるよ」
彼はそう叫びながら剣を構え直すと、テュポーンの前でジャンプして、剣技を放った。
だが、その剣はあっさりと防御壁に弾かれてしまう。
それを見ていたノーマンは、呆れた。
「あいつ、防御壁のことを知らないのか?」
多くの人々が見守る中、優星は1人舞台を演じていた。
何度防御壁に阻まれても、彼は諦めなかった。
アルシエルは、広場の後方からそれを見ていた。
「なかなか頑張るね。…仕方がない、助けてやるか」
アルシエルはカラヴィアから受け取ったものを取り出して、弓矢をつがえた。
「くそっ!こうなったら奥の手を使うしかないか…!」
彼は腰帯の中から宝玉を取り出すと、それを掲げ、剣を構えた。
「範囲聖光斬!!」
その剣から眩しいほどの光が発せられたかと思うと、凄まじい斬撃がテュポーンの巨大な右腕を襲った。
彼が広場に着地すると同時に、テュポーンの巨大な腕が、肩の付け根から切断されて、ドスン、と音を立てて穴の淵に落ちた。
「おお!!」
周囲で警備にあたっていた兵らが感嘆の声を上げた。
今まで誰も、傷ひとつ付けられなかったテュポーンの体の一部が一刀のもとに切り落とされたのだ。
「聖属性の攻撃スキルだと…!?あいつ、許可もなく勝手な真似を…!」
建物の屋上からその場面を目撃していたノーマンは驚きを隠せなかった。
「だが信じられん。あのテュポーンの腕を切り落とすなんて!あの防御壁を破ったのか?」
「いや、違う。防御壁を破ったのは彼だ」
カナンは優星の後方で弓を持って立っているアルシエルを指さした。
彼は、優星が聖属性スキルを発動する直前に、アルシエルが弓矢を放ってテュポーンの防御壁を突き破ったことに気づいていた。
切り落とされたテュポーンの右腕は穴の中へと滑り落ちるように落下していった。
「いける…!」
そう思った彼は、再び剣をふるった。
「今度はその首を落としてやる!もう一度食らえ!範囲聖光斬!!」
それに合わせて再び後方から弓矢が飛んで、防御壁を破りテュポーンの首に命中した。
その直後、優星の斬撃が、破られた防御壁の隙間を縫ってテュポーンの首にヒットした。
人々の見守る中、黒い布で覆われたままのテュポーンの巨大な頭が、首の付け根からずるりとずれ、そのまま体を滑り落ちていった。
それを間近で見ていた魔法士たちの中には、その残酷な場面に悲鳴を上げる者もいた。
「すげ…!!」
「テュポーンの首が落ちた…」
ノーマンは驚愕の声を上げたが、カナンは、その首と腕が再生するのではないかと冷静に見守った。
優星もそれを想定して剣を構えたままでいた。再生したら、また切断するつもりでいたのだ。
だが、頭と片腕を失くしたテュポーンは、それきり穴の中で動かなくなった。
その姿を見て、今度こそテュポーンを倒したと、その場にいた者たちは思った。
「うぉぉぉ!!」
「テュポーンを倒したぞ!」
「さすが我らが勇者だ!」
魔法士の誰かが叫ぶと、広場は興奮に包まれた。
広場にいた騎士や兵士たちも、テュポーンを討ち取った英雄・優星を取り囲み、歓声を上げた。
「テュポーンの様子を見てくる」
「え?」
そう云ってカナンは地上から20メートル以上はあるその屋上から軽々と飛び降りた。
「さっすが魔族…」
ノーマンが呟いたときにはカナンの姿はもうテュポーンの穴の淵にあった。
カナンは穴の淵から中を覗き込んだが、その深さは数百メートルにも及び、落ちた腕と首がどうなっているのか、穴の底を見ることはできなかった。
遠隔通話でアスタリスに、穴の底にあるテュポーンの腕と首がどうなったか視てくれと頼んだが、穴の中には腕も首も見当たらない、という返事が返ってきた。
首も腕も、確かに穴の底へ落ちていったはずだ。無いとはどういうことなのか。まさか、自らの体の一部までも吸収して、魔力に変えたのだろうか。
カナンは一抹の不安を覚えた。
カナンは、そのまま広場の隅にいたゼフォンとアルシエルの元へ歩み寄った。
ゼフォンは敬礼をしてカナンを迎えた。
「さっきの矢はおまえか、アルシエル」
「あ、はい」
アルシエルは弓を持ったまま直立していた。
「さっきの矢はなんというスキルだ?」
「矢の正体はこれです」
彼は手の中の宝玉をカナンに見せた。
「これは…<貫通>の宝玉か」
「カラヴィアから貰ったんだけど、これ元々僕が持ってたスキルなんです。弓のスキルはまだ低いんだけど、やっぱりこっちの方が慣れてるから」
「ふむ。これは切り札として使えそうだな」
そこへ人間の優星が、大股でずかずかと歩み寄ってきた。
思いもかけず、アルシエルは元の自分と対面することになった。
人間の優星は記憶がないので、アルシエルとは初対面になるのだが、なぜかいきなり喧嘩腰だった。
「さっきの弓矢、あなたが射かけたものだよね?どういうつもりで僕の邪魔をしたの?」
人間の優星はどうやら助太刀されたことをよく思っていないようだった。
手柄を横取りされたかのように感じて、腹を立てていたのだ。
アルシエルは少しムッとして云い返した。
「さっきの、自分の手柄だって思ってるんだ?君があの怪物の腕や首を落とせたのは、僕が弓で防御壁を破ってあげたおかげなんだよ?」
「いいや、そんなことはない。そんなのなくったって僕の聖属性攻撃なら十分やれたはずだ」
「そう思うなら、試しにもう一方の腕も落としてみたら?僕は手出ししないから」
「いいとも」
優星は剣を抜いて再びテュポーンのいる穴の正面に向かった。
そこで彼はもう一度聖属性スキルを放った。
だが、防御壁に阻まれてテュポーンの体には傷一つ付けられなかった。
「こんなはずは…!」
彼はキッと背後のアルシエルを睨みつけた。
アルシエルは肩をすくめ、両手を広げたポーズで「ほらね」と云っているようだった。
「何かの間違いだ、そうだ、さっきので魔力を使いすぎたんだ!本来の力さえ出せれば、こんなもの…」
優星はあくまで自分の力が足りないことを認めようとしなかった。
そこへリュシーの姿のカラヴィアがやってきて、アルシエルたちに向かって「ごめんね~この子、バカなの」と云いながら優星をオーウェン軍の陣の方へ無理矢理連れて行ってしまった。
優星は納得はしていない様子で、「僕は1人でもやれたよ」とリュシーに愚痴っていた。
「何あれ。感じ悪いなあ」
「まるで幼い子供のようだな」
アルシエルが文句を云うと、カナンがそうコメントした。
ゼフォンもそれには同感だった。
だがこの優星の行為が、後に危機を呼ぶ遠因になろうとは誰一人思いもしなかった。
ノーマンとカナンは作戦に参加した兵たちに交代で休憩を取るように命じた。
それは実質的な勝利宣言とも取れ、広場にいた者たちも、裏門の外にいた者たちも、作戦の成功を声高に叫んだ。
作戦終了の報を受けて、砦の外で陽動に当たっていた兵たちが、魔獣を討伐し終えて続々と砦の裏門へと帰還してきた。作戦を終えた者たちは、砦の裏門前に集合することになっていたのだ。
裏門前に煌々と焚かれた篝火が、その後ろにある魔族の天幕の明かりと連なって、その周囲だけ昼間のように明るかった。
ロアや将たちも、他の騎士たちと共に戻ってきた。
裏門から続々と出てくる魔族たちが「捕縛に成功した!」などと歓声を上げていたので、外から帰って来た者たちは、そこで初めて作戦が成功したことを知ったのだ。
召喚士部隊の伝令を務めていたイヴリスが、彼らの姿を見つけて駆けつけた。
この時裏門は閉じられていたが、イヴリスがこっそり裏門を開けてくれて、エリアナたちは広場へ入ることができた。
初めて、穴の中のテュポーンの姿を見たエリアナは「キモイ!!」を連発していたが、ロアは感心して云った。
「こんな大昔の戦争みたいなやり方が通用するなんて、思いませんでしたね」
「まあ、落とし穴は基本中の基本だよな」
「じゃあ、この作戦の最大の功労者はあたしってことね!」
エリアナはエッヘンと胸を張った。
裏門の外に出てきたロアたちは、任務を終えた『黒の目』部隊と遭遇した。
ロアが助けた騎士は彼女に会釈をすると、その騎士の後ろから『黒の目』の分隊長が出て来て、隊員を助けてもらったことへの礼と、自分の部下たちが行った非礼を謝罪した。
彼女たちは謝罪を受け入れ、イヴリスも『黒の目』へのわだかまりに一応のケリをつけることとなった。
第1砦の正門から広場までの外壁と建物、通路は粉々に破壊され原形をとどめていなかったが、テュポーンの穴のある広場を囲む建物のうち、破壊された正門とは反対方向にある建物群は無傷だった。
人間の兵たちはその建物の中で休むこととなり、魔族たちは裏門の外に設営されている天幕へと引きあげていった。
休憩に入ったために静まり返った砦に、オーウェン軍が到着した。
「一足遅かったようだね」
軍を率いてきた優星は、穴の中に囚われている巨人を見て云った。
彼らを引率してきたのは、リュシー・ゲイブスだった。
ノーマンは遅れてきた彼らを歓迎した。
「せっかく遠くから来たのに、無駄足だったかしら」
ノーマンの背後でそう云ったのは魔法士軍団を率いるホリー・バーンズだった。
「ホリー、来てくれたのか」
「魔法士が必要だって聞いたからよ。でも必要なかったみたいね」
「いや、そんなことはないさ。テュポーンは弱ってるだけで死んだわけじゃない。警戒は必要だよ」
「ま、必要ないかもしれないけど、あのバケモノは魔法士たちに交代で見張らせるわ。遅れて来たんですもの、それくらいは任せてちょうだい。あなたも少し休んだら?」
「お気遣いどうも」
この時、広場に人間の優星が入って来たのを見て、アルシエルは驚いた。
彼はゼフォンと共に広場でテュポーンの警備に立っていたのだが、まさかここで昔の自分と再会するとは思わなかった。
しかも、人間の優星は、汚れひとつなくピカピカに磨かれた白銀の鎧を着用していて、埃と大蛇や魔獣の血にまみれてすっかり汚れている砦の兵士たちの鎧とはあまりにも違い過ぎて、とても場違いに思えた。
「なんか、あれが僕だったなんて思いたくないな」
「なぜだ?」
「すごくカッコ悪いよ…。何だよあのピッカピカの鎧。いかにもお飾りですって感じでさ」
アルシエルがかつての自分を客観的に見て悪口を云っていることに対して、ゼフォンは苦笑した。
「あー、ここにいたんだ」
背後からアルシエルに声を掛ける者がいた。
振り向くとそこにいたのは、かつての大司教公国のリュシー・ゲイブス祭司長だった。
…というのは仮の姿で、その中身はカラヴィアだ。
「アルシエル~!って、そういやあんたも中身は優星ってんだっけか」
「なんだ、カラヴィアか。いいよ、アルシエルって呼んで。あいつと一緒にきたの?」
「うん、そうなの。遅れちゃってゴメンね~。キュロスのポータル・マシンから大急ぎで走ってきたんだけどさ。なにしろ初めてのポータル・マシンだったから皆緊張しちゃって、なかなかうまくいかなくって、大変だったのよ」
ゼフォンはリュシーを知らなかったので、怪訝な顔をしていた。
慌ててアルシエルが説明すると、リュシーは本来のカラヴィアの姿に戻った。
「魔王護衛将の1人、カラヴィアよ。魔族の戦士ならもちろんワタシのことは知ってるわよね?」
「は…!」
ゼフォンは慌てて頭を下げた。
「失礼致しました」
「ああ、いいのいいの、それよりアルシエル。あんたにいいものあげる」
カラヴィアはアルシエルにあるものを手渡した。
「これは…」
「ワタシからのプレゼントよ」
同じ頃、将とエリアナは、裏門でイヴリスやロアと別れ、多くの兵たちが行き交う広大な広場の中を歩いていた。
「エリアナ様ー!!」
ふいに名前を呼ばれたエリアナは振り向いた。
彼女の目に映ったのは、半ベソをかいたアマンダが駆けてくるところだった。
「アマンダ!?」
「うわ~ん!エリアナ様ぁ!」
アマンダが、泣きながらエリアナに突進してきた。
「アマンダ!?なんでここに!?」
「さっき到着したんです!」
「無事でよかった…!心配してたんだからね!」
「お会いできてよかったですぅ!」
アマンダの後ろからゾーイが歩いてきたのを見つけた将は、彼と握手を交わした。
将たちは彼らと再会を喜び、広場に面した建物の中の一室で休ませてもらうことにした。
ここへ至るまでについて将が尋ねると、ゾーイは優星率いるオーウェン軍と共に、魔族の前線基地まで行き、そこに設置されていた大きな転送マシンでキュロスのキャンプに送られ、そこから馬を飛ばしてここまで来たと話した。
北の国境へ迎えという指示は討伐本部から送られてきたのだが、ゾーイたちは半信半疑のまま防護服を着て前線基地へ向かったのだという。
「魔族のキャンプで何か作ってるなとは思ってたんだ。まさか転送マシンとはな」
「一瞬で大勢の兵士を転送できるなんてすごい技術ね~!」
「あんなものを見せられたら、今後魔族と戦争しようなんて思う者はいなくなりますよ」
ゾーイの言葉に一同は頷いた。
そして話は一緒に来た優星の話になった。優星がこの軍を率いてきたという事実に、将は首を傾げた。
「ほんとにそれ、あの優星なのか?話を聞く限り、別人みたいじゃねえか」
「ああ、それは…」
ゾーイは、マルティスが精神スキルを使って、勇者として振る舞うよう暗示をかけたからだと説明した。
そのマルティスが同行を拒否してオーウェンに残ったと聞いた将は、きっとロアはがっかりするだろうなと思った。
「なるほどね。暗示にかかりやすいのね、彼」
「あいつ、聖属性のスキルを使えるって言ったけど、ホントか?」
「あれは宝玉の力です。カラブ…カラヴィアさんがテュポーン討伐に使えと彼に渡したそうです」
「なるほど、宝玉か。それを自分の力と勘違いしてんのか?」
「そういうことは多分にあると思います。少し思い込みが激しいというか何というか…。カラヴィアさんがいてくれなかったらと思うと心配ですよ」
「やっぱり俺はあいつ、気に入らねえ」
将は眉をひそめて云った。
「そうかと思えば私に、恋をしたいけど、どうやってしたらいいんだ?なんて子供っぽいこと聞くんですよ?」
「なんて答えたの?アマンダ」
「いろんな人とまずはお付き合いされてみては?って言っときました」
「それヤバイ!ほっとくとあいつ、国中の女の子に声かけちゃうわよ?」
「ええ~!?ど、どうしよう、私…」
「中身はどうあれ、あの外見で寄ってこられたら罪だよなあ…」
将がそう云うと、ゾーイがそわそわしながらアマンダに尋ねた。
「君は迫られたりしていないだろうな?アマンダ」
「え?私ですか?全然!ないです、ないです!」
「そうか」
ホッとするゾーイを見て、エリアナはニヤニヤしていた。
しかしアマンダにはピンときておらず、「ゾーイさんだってカーラ様と…」とブツクサ文句を云っていた。
テュポーンは、穴の中で不気味に沈黙している。
穴の周辺では魔法士たちが交代で警戒を続けていた。
広場にはノーマン麾下の黒色重騎兵隊が待機して、魔法士たちの護衛役を務めている。
ゼフォンたち魔族もその役目についていた。
広場を臨む建物の屋上には、テュポーンを見下ろすカナンとノーマンの姿があった。
そこはカナンが作戦を指示する際に利用していた建物である。
作戦で行動を共にするうち、ノーマンとカナンには奇妙な友情のようなものが芽生えていた。
「魔力の供給源さえ経てば、デカいだけの木偶の坊だ。それに何かあっても、あの魔法士たちがいれば大丈夫だろう」
ノーマンは、動かないテュポーンを見ながら云った。
すると、警備の魔法士の間を縫って、白銀鎧の優星がテュポーンの前にやって来るのが見えた。
「ん…?何をするつもりだ?」
その場違いな優星は剣をテュポーンに向け、少し芝居じみた調子で云った。
「捕縛だなんて手ぬるいこと言っていないで、僕がこの化け物を成敗してやるよ」
彼はそう叫びながら剣を構え直すと、テュポーンの前でジャンプして、剣技を放った。
だが、その剣はあっさりと防御壁に弾かれてしまう。
それを見ていたノーマンは、呆れた。
「あいつ、防御壁のことを知らないのか?」
多くの人々が見守る中、優星は1人舞台を演じていた。
何度防御壁に阻まれても、彼は諦めなかった。
アルシエルは、広場の後方からそれを見ていた。
「なかなか頑張るね。…仕方がない、助けてやるか」
アルシエルはカラヴィアから受け取ったものを取り出して、弓矢をつがえた。
「くそっ!こうなったら奥の手を使うしかないか…!」
彼は腰帯の中から宝玉を取り出すと、それを掲げ、剣を構えた。
「範囲聖光斬!!」
その剣から眩しいほどの光が発せられたかと思うと、凄まじい斬撃がテュポーンの巨大な右腕を襲った。
彼が広場に着地すると同時に、テュポーンの巨大な腕が、肩の付け根から切断されて、ドスン、と音を立てて穴の淵に落ちた。
「おお!!」
周囲で警備にあたっていた兵らが感嘆の声を上げた。
今まで誰も、傷ひとつ付けられなかったテュポーンの体の一部が一刀のもとに切り落とされたのだ。
「聖属性の攻撃スキルだと…!?あいつ、許可もなく勝手な真似を…!」
建物の屋上からその場面を目撃していたノーマンは驚きを隠せなかった。
「だが信じられん。あのテュポーンの腕を切り落とすなんて!あの防御壁を破ったのか?」
「いや、違う。防御壁を破ったのは彼だ」
カナンは優星の後方で弓を持って立っているアルシエルを指さした。
彼は、優星が聖属性スキルを発動する直前に、アルシエルが弓矢を放ってテュポーンの防御壁を突き破ったことに気づいていた。
切り落とされたテュポーンの右腕は穴の中へと滑り落ちるように落下していった。
「いける…!」
そう思った彼は、再び剣をふるった。
「今度はその首を落としてやる!もう一度食らえ!範囲聖光斬!!」
それに合わせて再び後方から弓矢が飛んで、防御壁を破りテュポーンの首に命中した。
その直後、優星の斬撃が、破られた防御壁の隙間を縫ってテュポーンの首にヒットした。
人々の見守る中、黒い布で覆われたままのテュポーンの巨大な頭が、首の付け根からずるりとずれ、そのまま体を滑り落ちていった。
それを間近で見ていた魔法士たちの中には、その残酷な場面に悲鳴を上げる者もいた。
「すげ…!!」
「テュポーンの首が落ちた…」
ノーマンは驚愕の声を上げたが、カナンは、その首と腕が再生するのではないかと冷静に見守った。
優星もそれを想定して剣を構えたままでいた。再生したら、また切断するつもりでいたのだ。
だが、頭と片腕を失くしたテュポーンは、それきり穴の中で動かなくなった。
その姿を見て、今度こそテュポーンを倒したと、その場にいた者たちは思った。
「うぉぉぉ!!」
「テュポーンを倒したぞ!」
「さすが我らが勇者だ!」
魔法士の誰かが叫ぶと、広場は興奮に包まれた。
広場にいた騎士や兵士たちも、テュポーンを討ち取った英雄・優星を取り囲み、歓声を上げた。
「テュポーンの様子を見てくる」
「え?」
そう云ってカナンは地上から20メートル以上はあるその屋上から軽々と飛び降りた。
「さっすが魔族…」
ノーマンが呟いたときにはカナンの姿はもうテュポーンの穴の淵にあった。
カナンは穴の淵から中を覗き込んだが、その深さは数百メートルにも及び、落ちた腕と首がどうなっているのか、穴の底を見ることはできなかった。
遠隔通話でアスタリスに、穴の底にあるテュポーンの腕と首がどうなったか視てくれと頼んだが、穴の中には腕も首も見当たらない、という返事が返ってきた。
首も腕も、確かに穴の底へ落ちていったはずだ。無いとはどういうことなのか。まさか、自らの体の一部までも吸収して、魔力に変えたのだろうか。
カナンは一抹の不安を覚えた。
カナンは、そのまま広場の隅にいたゼフォンとアルシエルの元へ歩み寄った。
ゼフォンは敬礼をしてカナンを迎えた。
「さっきの矢はおまえか、アルシエル」
「あ、はい」
アルシエルは弓を持ったまま直立していた。
「さっきの矢はなんというスキルだ?」
「矢の正体はこれです」
彼は手の中の宝玉をカナンに見せた。
「これは…<貫通>の宝玉か」
「カラヴィアから貰ったんだけど、これ元々僕が持ってたスキルなんです。弓のスキルはまだ低いんだけど、やっぱりこっちの方が慣れてるから」
「ふむ。これは切り札として使えそうだな」
そこへ人間の優星が、大股でずかずかと歩み寄ってきた。
思いもかけず、アルシエルは元の自分と対面することになった。
人間の優星は記憶がないので、アルシエルとは初対面になるのだが、なぜかいきなり喧嘩腰だった。
「さっきの弓矢、あなたが射かけたものだよね?どういうつもりで僕の邪魔をしたの?」
人間の優星はどうやら助太刀されたことをよく思っていないようだった。
手柄を横取りされたかのように感じて、腹を立てていたのだ。
アルシエルは少しムッとして云い返した。
「さっきの、自分の手柄だって思ってるんだ?君があの怪物の腕や首を落とせたのは、僕が弓で防御壁を破ってあげたおかげなんだよ?」
「いいや、そんなことはない。そんなのなくったって僕の聖属性攻撃なら十分やれたはずだ」
「そう思うなら、試しにもう一方の腕も落としてみたら?僕は手出ししないから」
「いいとも」
優星は剣を抜いて再びテュポーンのいる穴の正面に向かった。
そこで彼はもう一度聖属性スキルを放った。
だが、防御壁に阻まれてテュポーンの体には傷一つ付けられなかった。
「こんなはずは…!」
彼はキッと背後のアルシエルを睨みつけた。
アルシエルは肩をすくめ、両手を広げたポーズで「ほらね」と云っているようだった。
「何かの間違いだ、そうだ、さっきので魔力を使いすぎたんだ!本来の力さえ出せれば、こんなもの…」
優星はあくまで自分の力が足りないことを認めようとしなかった。
そこへリュシーの姿のカラヴィアがやってきて、アルシエルたちに向かって「ごめんね~この子、バカなの」と云いながら優星をオーウェン軍の陣の方へ無理矢理連れて行ってしまった。
優星は納得はしていない様子で、「僕は1人でもやれたよ」とリュシーに愚痴っていた。
「何あれ。感じ悪いなあ」
「まるで幼い子供のようだな」
アルシエルが文句を云うと、カナンがそうコメントした。
ゼフォンもそれには同感だった。
だがこの優星の行為が、後に危機を呼ぶ遠因になろうとは誰一人思いもしなかった。
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