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第二章
第二章第54話 突入
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有り金を全部注ぎ込んでガチャを引いた結果、俺のステータスはこうなった。
────
ステータス:
HP:5/5
MP:1/17
STR:8
VIT:10
MGC:34
MND:1
AGI:10
DEX:3
スキル:
剣術:2
槍術:3
体術:2
弓術:1
杖術:1
水属性魔法:3
火属性魔法:1
風属性魔法:2
召喚術 (フラウ):3
────
MP を思ったようには増やせなかったのは残念だが、不用品を売って MP ポーションを買えばいいだろう。たしか、出張所でも売っていたはずだ。
それと【槍術】がレベル 3 になったので、フラウの言うとおりメインの獲物は先ほど出た鉄の槍を使うのがいいだろう。
よし!
「フラウ、行こう。エレナを助けに行くんだ」
『うんっ! きっと、エレナはディーノの助けを待ってるよっ!』
「ああ!」
俺は鉄の槍を一本背中に背負うと売却する不用品だけを持って迷宮へと戻るのだった。
◆◇◆
「やあ。少しは冷静になれたかい?」
「はい」
売ったお金で MP ポーションを二本買って前線基地に戻った俺はカリストさんにそう声を掛けられた。
「出張所には連絡を入れておいたからね。明日には支部長たちが対策を決めてくれるはずだよ。きっと他のギルド支部か、もしかしたら王都の本部から応援を呼ぶという話になると思うよ」
「はい」
「だから僕たちの仕事はそれまでの間、これまで制圧した場所を守ることだよ。わかるね」
「……はい」
やはり、エレナを見捨てるというカリストさんの選択は変わらないようだ。
『むーっ! カリストったらエレナのこと見捨てる気だなっ! ひっどーいっ!』
それを聞いたフラウはぷりぷりと怒っている。
だが、指導を頼まれた学生を見捨てたとなればカリストさんは依頼失敗ということになるはずだ。しかも、王都の学園に特別待遇を受けている『剣姫』のエレナをだ。
かなり立場として苦しいことになるのは間違いない気がする。
それでもこうして見捨てるという判断をしたのは、やはりカリストさんたちではベヒーモスのような魔物には手も足も出ないということなのだろう。
そこに俺が一人で突っ込んでいってどうにかなるのか?
『ディーノっ! あたしを召喚してよっ! エレナを助けに行くんでしょっ?』
弱気になった俺をフラウが勇気づけてくれる。
「ああ。そうだな」
そうだ。こんなところで立ち止まったとしても何にもならないのだ。
やらずに後悔するような真似だけはしない!
そのために全財産を突っ込んでガチャを引いたのだ。
よし!
俺は残った 1 の MP を使ってフラウを召喚した。するとカリストさんは少しホッとしたような表情になる。
「フラウ君。良かった。無事に戻ったんだね。エレナちゃんは――」
しかしフラウはエレナのことを気にかけてくれたカリストさんに返事もせず、突然子守唄を歌い始めた。
いつもの元気なフラウとは違い、穏やかなで美しく心地よい歌声が前線基地を包み込む。
「え? な……フラウ……く……ん……」
そう呟いたカリストさんはそのままどさりと地面に崩れ落ち、そのまま寝息を立て始めた。
「え? フラウ? これは一体……?」
辺りを見回すと前線基地にいた冒険者たちが全員ぐっすりと眠っていた。
「ディーノっ! 行くよっ!」
「あ、ああ!」
俺はフラウに急かされ、カリストさんたちが目を覚まさないうちに迷宮の奥深くを目指して駆け出すのだった。
◆◇◆
「こっちだよっ!」
俺はフラウの案内に従って迷宮の奥へ奥へと進んでおり、現在は第二十階層に到達している。フラウの言葉を信じるなら、エレナは第二十九層の小部屋に転移させられていたそうなので、およそ半分の道のりを踏破したことになる。
だがきっとフラウの言っていることは正しいのだと思う。というのも、ここまで一度たりとも道を間違えていないからだ。フラウの道案内のとおりに進めば必ず下へと降りる階段に行きついている。
カリストさんたちをフラウが歌で眠らせ、その隙に奥へと進み始めてからこれまでに二度の仮眠をとっている。地下なので正確な時間はわからないが、実際に二日経っていたとするならばペース的に考えればギリギリということになるだろう。
あいつだって多少の食料は持っていたはずだが、どうせあのエレナのことだ。我慢できずに一日で食べきってしまっているに違いない。
そうなればすぐに飢えてしまう。そうして弱ったところを魔物に襲われたらいくらエレナといえどもひとたまりもないだろう。
あれだけの強さを持つエレナがもし迷宮の糧にされてしまえば大変なことになる。
それこそ襲ってくる魔物に変化が出てもおかしくないはずなのだが、今のところそうした兆候は見られていない。
相も変わらずメインで襲ってくるのはゴブリンの上位種で、たまにレッサーデーモンという構図に変化はない。それと幸運なことに、ベヒーモスのような恐ろしい魔物とはまだ遭遇していない。
あとはエレナが勝手にあちこち歩き回っていなければいいのだが……。
焦る気持ちを抑えつつ俺はフラウの案内に従って奥へ奥へと進んでいく。
頼むぞ。エレナ。いつも偉そうにしてるんだ。こういうピンチの時だって余裕で持ちこたえてくれよ!
==============
次回更新は通常通り、2021/05/22 (土) 21:00 を予定しております。
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ステータス:
HP:5/5
MP:1/17
STR:8
VIT:10
MGC:34
MND:1
AGI:10
DEX:3
スキル:
剣術:2
槍術:3
体術:2
弓術:1
杖術:1
水属性魔法:3
火属性魔法:1
風属性魔法:2
召喚術 (フラウ):3
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MP を思ったようには増やせなかったのは残念だが、不用品を売って MP ポーションを買えばいいだろう。たしか、出張所でも売っていたはずだ。
それと【槍術】がレベル 3 になったので、フラウの言うとおりメインの獲物は先ほど出た鉄の槍を使うのがいいだろう。
よし!
「フラウ、行こう。エレナを助けに行くんだ」
『うんっ! きっと、エレナはディーノの助けを待ってるよっ!』
「ああ!」
俺は鉄の槍を一本背中に背負うと売却する不用品だけを持って迷宮へと戻るのだった。
◆◇◆
「やあ。少しは冷静になれたかい?」
「はい」
売ったお金で MP ポーションを二本買って前線基地に戻った俺はカリストさんにそう声を掛けられた。
「出張所には連絡を入れておいたからね。明日には支部長たちが対策を決めてくれるはずだよ。きっと他のギルド支部か、もしかしたら王都の本部から応援を呼ぶという話になると思うよ」
「はい」
「だから僕たちの仕事はそれまでの間、これまで制圧した場所を守ることだよ。わかるね」
「……はい」
やはり、エレナを見捨てるというカリストさんの選択は変わらないようだ。
『むーっ! カリストったらエレナのこと見捨てる気だなっ! ひっどーいっ!』
それを聞いたフラウはぷりぷりと怒っている。
だが、指導を頼まれた学生を見捨てたとなればカリストさんは依頼失敗ということになるはずだ。しかも、王都の学園に特別待遇を受けている『剣姫』のエレナをだ。
かなり立場として苦しいことになるのは間違いない気がする。
それでもこうして見捨てるという判断をしたのは、やはりカリストさんたちではベヒーモスのような魔物には手も足も出ないということなのだろう。
そこに俺が一人で突っ込んでいってどうにかなるのか?
『ディーノっ! あたしを召喚してよっ! エレナを助けに行くんでしょっ?』
弱気になった俺をフラウが勇気づけてくれる。
「ああ。そうだな」
そうだ。こんなところで立ち止まったとしても何にもならないのだ。
やらずに後悔するような真似だけはしない!
そのために全財産を突っ込んでガチャを引いたのだ。
よし!
俺は残った 1 の MP を使ってフラウを召喚した。するとカリストさんは少しホッとしたような表情になる。
「フラウ君。良かった。無事に戻ったんだね。エレナちゃんは――」
しかしフラウはエレナのことを気にかけてくれたカリストさんに返事もせず、突然子守唄を歌い始めた。
いつもの元気なフラウとは違い、穏やかなで美しく心地よい歌声が前線基地を包み込む。
「え? な……フラウ……く……ん……」
そう呟いたカリストさんはそのままどさりと地面に崩れ落ち、そのまま寝息を立て始めた。
「え? フラウ? これは一体……?」
辺りを見回すと前線基地にいた冒険者たちが全員ぐっすりと眠っていた。
「ディーノっ! 行くよっ!」
「あ、ああ!」
俺はフラウに急かされ、カリストさんたちが目を覚まさないうちに迷宮の奥深くを目指して駆け出すのだった。
◆◇◆
「こっちだよっ!」
俺はフラウの案内に従って迷宮の奥へ奥へと進んでおり、現在は第二十階層に到達している。フラウの言葉を信じるなら、エレナは第二十九層の小部屋に転移させられていたそうなので、およそ半分の道のりを踏破したことになる。
だがきっとフラウの言っていることは正しいのだと思う。というのも、ここまで一度たりとも道を間違えていないからだ。フラウの道案内のとおりに進めば必ず下へと降りる階段に行きついている。
カリストさんたちをフラウが歌で眠らせ、その隙に奥へと進み始めてからこれまでに二度の仮眠をとっている。地下なので正確な時間はわからないが、実際に二日経っていたとするならばペース的に考えればギリギリということになるだろう。
あいつだって多少の食料は持っていたはずだが、どうせあのエレナのことだ。我慢できずに一日で食べきってしまっているに違いない。
そうなればすぐに飢えてしまう。そうして弱ったところを魔物に襲われたらいくらエレナといえどもひとたまりもないだろう。
あれだけの強さを持つエレナがもし迷宮の糧にされてしまえば大変なことになる。
それこそ襲ってくる魔物に変化が出てもおかしくないはずなのだが、今のところそうした兆候は見られていない。
相も変わらずメインで襲ってくるのはゴブリンの上位種で、たまにレッサーデーモンという構図に変化はない。それと幸運なことに、ベヒーモスのような恐ろしい魔物とはまだ遭遇していない。
あとはエレナが勝手にあちこち歩き回っていなければいいのだが……。
焦る気持ちを抑えつつ俺はフラウの案内に従って奥へ奥へと進んでいく。
頼むぞ。エレナ。いつも偉そうにしてるんだ。こういうピンチの時だって余裕で持ちこたえてくれよ!
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次回更新は通常通り、2021/05/22 (土) 21:00 を予定しております。
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