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第13話 はじめてのゴブリン退治

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 ゴブリン退治の依頼を受けた翌朝、俺は北の森へとやってきた。

 昨日は家に帰るとこれまでにガチャで出てきたものを確認してみたのだが、さすが「冒険者ガチャ」と銘打っているだけあって役に立ちそうなものがたくさん輩出されていたことに気付いた。

 装備品は下半身こそないもののそれ以外は皮の装備があるし、銅の剣と鉄の盾もある。他にも片刃のナイフは解体用のナイフとしても調理用のナイフとしても使えるだろう。

 さらに鉄のスコップは死体を処分するための穴掘りに使えるし皮の袋はゴブリンの魔石を運ぶのに丁度いい。野営をするならテントや鉄の小鍋、薪は非常に役に立つ。

 足りないものはもちろんいくつかあるが、初期投資がかなり抑えられたのは非常にありがたい。

 それと俺のステータスは今こんな感じになっている。

──── 
名前:ディーノ
種族:人族
性別:男性
職業:冒険者(E)
年齢:13
ギフト:ガチャ

ステータス:
HP:1/1
MP:0/0
STR:1
VIT体力:0
MGC魔力:1
MND精神力:0
AGI素早さ:0
DEX器用さ:0

スキル:
剣術:1
体術:1
水属性魔法:1
────

 普通の人間は全てゼロだと聞いているので、一般的な成人男性が武器を持っていれば倒せるらしいゴブリンであれば何とかなるだろう。

 それに、ガチャで引き当てた【剣術】と【体術】のスキルがあるしな。

 ただ、HP が 1 しかなくて防御力に関係するつ VIT がゼロなのはやはり心許ないので鉄の盾は持って来た。

 ちなみに、上半身には鉄の鎧ではなく皮の鎧を着ている。これは別に見た目の問題ではなく重くて動きづらかったからだ。鉄の鎧に鉄の盾を装備すると、いくら建設作業員として鍛えていたとはいえ俺の力では重くて機敏な動きができなそうだったのでこうしたのだ。

 あと、【水属性魔法】のスキルはあるが俺は MP がないので魔法を使うことはできない。このままでは完全に宝の持ち腐れになってしまうので、どうすればガチャに頼らずにステータスを強化できるのかは要検討といったところだろう。

「ねぇ、ディーノ。獲物が来たよ!」

 そんなフラウの言葉に俺は思考を中断し、銅の剣を抜いた。そしてフラウの指さす方向を見てみると森の木々の間に一匹のゴブリンが地面を調べているのが目に飛び込んできた。

「よし、まずは最初の獲物だ」
「うん。ディーノ頑張れっ!」

 フラウは大きな声でそう言うが、その声は俺以外には聞こえていないのでゴブリンがこちらに気付いた様子はない。

 俺は足音を立てないように背後からそろりそろりと忍び寄ると、そのまま草むらをかき分けて何かを探しているゴブリンを後ろから思い切り突き刺した。

「ギ、ギャ……」

 ゴブリンは地面に倒れるとそのまま動かなくなった。その体からは人間や普通の動物とは違う青い血が流れ出している。

 俺は首筋をかき切ってトドメを刺すと、ゴブリンを仰向けに寝かせた。そして手早く魔石を取り出して皮の袋にしまうと鉄のスコップで穴を掘って死体を埋めた。

 よし! まずは十マレ、幸先の良いスタートだ。この調子でいけば何とかなるかもしれない。

 そんな事を考えつつも俺は再び森の中を進んでいくと、またもやフラウがゴブリンを見つけた。

「ねえ、ディーノ! またいるよ!」
「お、本当だ」

 俺は再び背後からゴブリンにこっそりと忍び寄ると、再び背中から一突きにした。

「ギャ……」
「ギギッ!?」
「ゲギャギャッ!」

 しまった! ゴブリンは一匹ではなかった!

 草むらの奥から二匹のゴブリンが太い木の棒を持ってこちらへと向かってゆっくりと歩いてきた。

 いくら俺が【剣術】と【体術】のスキルを持っているとはいえ、二匹に囲まれて一斉に攻撃されたやられてしまうかもしれない。

 ならば!

 俺は意を決して先に動くと右側のゴブリンに向かって突進した。

「ギッ!」

 ゴブリンは俺に木の棒を振り下ろしてきたがそれを左手に持った鉄の盾で受け止めるとそのまま右手に握った銅の剣をこいつの腹に突き刺した。そして剣を引き抜くと苦しそうにうめくゴブリンの顔面を鉄の盾で思い切り殴打する。

「グギッ……」

 二発をくらったゴブリンはそのままがっくりと膝をついたので俺はこちらに向かってきたもう一匹のゴブリンへと向き直る。

 ゴブリンはやはり木の棒を振り下ろしてきたので今回は【剣術】のスキルに身を任せてそのままカウンターで胴を決めると後ろに回りこんだ。そして後ろから剣をブスリとその背中に突き立てた。

「ギ……」

 俺が剣を抜くとゴブリンはそのまま地面に倒れ込んだ。そして倒れた二匹のゴブリンの首をかき切ってトドメを刺したところで俺はようやく緊張を解いた。

「はぁ、はぁ。何とかなったな」
「ディーノすごーい! かっこいい!」

 フラウが俺の周りを飛び回っては俺を褒めてくれる。親にすらこんなに褒められた事がなかった気がする俺は何ともこそばゆい気分になる。

「ま、フラウのためだ。頑張るよ」
「ありがとうっ! ダーリン!」
「ダーリンじゃねぇから!」
「あはははっ。冗談だよっ!」

 そんな会話を交わしつつ俺はゴブリン三匹分の魔石を回収し、再び森の中を歩き始めたのだった。
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