182 / 182
あとがき
しおりを挟む
お読みいただきありがとうございました。いかがだったでしょうか?
本作は流行りの聖女モノをいくつか読んでいて納得できない、物足りないと感じ、筆者であればどうするかと考えたところから生まれた作品です。
また筆者としては守破離の破を目指した非テンプレ作品でもあり、正直なところあまり支持は得られないかもしれないと考えていたことから完結保証とし、最後まで書ききっての投稿といたしました。
主人公は人族――実際は聖族という種族だったわけですが――として魔族の中で育ち、魔族の常識の中で育ちました。
魔族たちは魔力の強いものが上に立つ、というシンプルなルールで統治されているわけですが、厳しい寒さの中で社会を形成している以上は年がら年中戦っているわけにもいきません。
食べ物を作る人も必要ですし、建設をする人も必要です。病気になれば薬が必要となりますし、便利な道具を作る人だって必要です。
もちろん強者が弱者を徹底的に搾取するという文化となることもあり得たでしょうが、そうしていた場合、魔族社会はこれほど発展していなかったのではないかと思います。
一方で、人族は比較的温暖な地域を含む広い領域に暮らしています。そのため私たちの辿ってきた歴史と同様に自分たちの利益のため、何かと大義名分を打ち立てては戦争を繰り返してきました。
やがて支配者にとって都合の良い宗教である聖導教会が生まれ、本来人族を守ってくれていたはずのリリヤマール王国を人族自身の手で滅ぼしてしまいました。
宗教的なイデオロギーによって魔族を敵とみなすようになった人族との戦争において、主人公は薬師としての在り方と人としての感情の間で揺れ動きました。
治療した人は再び戦場に行き、また負傷するかもしれない。敵を治療すれば、味方が殺されるかもしれない。
こういった部分は筆者が流行りモノを読んでいて特に気になった部分でして、戦争で傷ついた人を治療するという立場に立っている以上は決して避けて通れない問題だと思います。
そうしたことを深刻にしすぎないようにしつつ、きちんと人としての葛藤を描くということを目標としておりました。
読者の皆様の中に何かが残ったのでしたら幸いです。
さて、本作の主人公の戦闘能力はゼロなため、前線に出すことができません。
というのも、魔族の常識では身体強化を使いこなして戦うのが戦場に出る最低限のラインと考えられているからです。
ですが主人公は魔法が使えないため、必要な身体強化も使うことができません。しかも主人公は超がつくほどの貴重な奇跡の使い手で、軍としても絶対に失うわけにはいかない重要人物です。
そんなわけで前線の一歩手前で厳重な警備体制下で治療に当たらせていましたが、主人公はこの警備体制には気付いていませんでした。
一方で、筆者としては主人公の出てこない話を延々と続けるわけにはいかず、戦闘シーンはかなり端折ってお伝えすることにしました。
真面目に書いていると戦争のシーンが今の十倍以上になっていたことでしょう。あのくらいでちょうど良かったとは思っているものの、端折りすぎたかなと思う部分もあり、中々難しいところですね。
さて、主人公は神聖リリヤマール王国という新たな国の象徴女王として即位し、自身の信念に従って治癒活動とゾンビ対策を続けていくことにしました。
サンプロミトとホワイトホルンを行ったり来たりする日々が続くことになりますが、彼女にはきっとこれからも多くの困難が待ち受けていることでしょう。
聖導教会の本部は潰され、魔族軍が制圧した地域でも多くの聖導教会の上層部は処刑されています。
ですが新生リリヤマール王国は間違いなく聖導教会の残党からは恨まれているでしょうし、人族の国からは魔族の傀儡国家とみなされるはずです。まあ、主人公が政治をしないと言っており、実際に魔族たちが政府の要職を就いているわけですからその点は間違いではないのですが……。
他にも将司が主人公に惚れたという理由で残っており、ホワイトホルンのお店をどうするのか、主人公は誰と恋をし、結婚するのかなど、様々な問題が残っております。
まだまだ主人公の周りが静かになることはなさそうですが、それはまた別のお話です。
ここまでお付き合いいただきありがとうございました。また別の作品でお会いしましょう。
一色孝太郎
本作は流行りの聖女モノをいくつか読んでいて納得できない、物足りないと感じ、筆者であればどうするかと考えたところから生まれた作品です。
また筆者としては守破離の破を目指した非テンプレ作品でもあり、正直なところあまり支持は得られないかもしれないと考えていたことから完結保証とし、最後まで書ききっての投稿といたしました。
主人公は人族――実際は聖族という種族だったわけですが――として魔族の中で育ち、魔族の常識の中で育ちました。
魔族たちは魔力の強いものが上に立つ、というシンプルなルールで統治されているわけですが、厳しい寒さの中で社会を形成している以上は年がら年中戦っているわけにもいきません。
食べ物を作る人も必要ですし、建設をする人も必要です。病気になれば薬が必要となりますし、便利な道具を作る人だって必要です。
もちろん強者が弱者を徹底的に搾取するという文化となることもあり得たでしょうが、そうしていた場合、魔族社会はこれほど発展していなかったのではないかと思います。
一方で、人族は比較的温暖な地域を含む広い領域に暮らしています。そのため私たちの辿ってきた歴史と同様に自分たちの利益のため、何かと大義名分を打ち立てては戦争を繰り返してきました。
やがて支配者にとって都合の良い宗教である聖導教会が生まれ、本来人族を守ってくれていたはずのリリヤマール王国を人族自身の手で滅ぼしてしまいました。
宗教的なイデオロギーによって魔族を敵とみなすようになった人族との戦争において、主人公は薬師としての在り方と人としての感情の間で揺れ動きました。
治療した人は再び戦場に行き、また負傷するかもしれない。敵を治療すれば、味方が殺されるかもしれない。
こういった部分は筆者が流行りモノを読んでいて特に気になった部分でして、戦争で傷ついた人を治療するという立場に立っている以上は決して避けて通れない問題だと思います。
そうしたことを深刻にしすぎないようにしつつ、きちんと人としての葛藤を描くということを目標としておりました。
読者の皆様の中に何かが残ったのでしたら幸いです。
さて、本作の主人公の戦闘能力はゼロなため、前線に出すことができません。
というのも、魔族の常識では身体強化を使いこなして戦うのが戦場に出る最低限のラインと考えられているからです。
ですが主人公は魔法が使えないため、必要な身体強化も使うことができません。しかも主人公は超がつくほどの貴重な奇跡の使い手で、軍としても絶対に失うわけにはいかない重要人物です。
そんなわけで前線の一歩手前で厳重な警備体制下で治療に当たらせていましたが、主人公はこの警備体制には気付いていませんでした。
一方で、筆者としては主人公の出てこない話を延々と続けるわけにはいかず、戦闘シーンはかなり端折ってお伝えすることにしました。
真面目に書いていると戦争のシーンが今の十倍以上になっていたことでしょう。あのくらいでちょうど良かったとは思っているものの、端折りすぎたかなと思う部分もあり、中々難しいところですね。
さて、主人公は神聖リリヤマール王国という新たな国の象徴女王として即位し、自身の信念に従って治癒活動とゾンビ対策を続けていくことにしました。
サンプロミトとホワイトホルンを行ったり来たりする日々が続くことになりますが、彼女にはきっとこれからも多くの困難が待ち受けていることでしょう。
聖導教会の本部は潰され、魔族軍が制圧した地域でも多くの聖導教会の上層部は処刑されています。
ですが新生リリヤマール王国は間違いなく聖導教会の残党からは恨まれているでしょうし、人族の国からは魔族の傀儡国家とみなされるはずです。まあ、主人公が政治をしないと言っており、実際に魔族たちが政府の要職を就いているわけですからその点は間違いではないのですが……。
他にも将司が主人公に惚れたという理由で残っており、ホワイトホルンのお店をどうするのか、主人公は誰と恋をし、結婚するのかなど、様々な問題が残っております。
まだまだ主人公の周りが静かになることはなさそうですが、それはまた別のお話です。
ここまでお付き合いいただきありがとうございました。また別の作品でお会いしましょう。
一色孝太郎
10
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
聖女の任期終了後、婚活を始めてみたら六歳の可愛い男児が立候補してきた!
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
23歳のメルリラは、聖女の任期を終えたばかり。結婚適齢期を少し過ぎた彼女は、幸せな結婚を夢見て婚活に励むが、なかなか相手が見つからない。原因は「元聖女」という肩書にあった。聖女を務めた女性は慣例として専属聖騎士と結婚することが多く、メルリラもまた、かつての専属聖騎士フェイビアンと結ばれるものと世間から思われているのだ。しかし、メルリラとフェイビアンは口げんかが絶えない関係で、恋愛感情など皆無。彼を結婚相手として考えたことなどなかった。それでも世間の誤解は解けず、婚活は難航する。そんなある日、聖女を辞めて半年が経った頃、メルリラの婚活を知った公爵子息ハリソン(6歳)がやって来て――。
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!
あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!?
資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。
そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。
どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。
「私、ガンバる!」
だったら私は帰してもらえない?ダメ?
聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。
スローライフまでは到達しなかったよ……。
緩いざまああり。
注意
いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。
追放された偽物聖女は、辺境の村でひっそり暮らしている
潮海璃月
ファンタジー
辺境の村で人々のために薬を作って暮らすリサは“聖女”と呼ばれている。その噂を聞きつけた騎士団の数人が現れ、あらゆる疾病を治療する万能の力を持つ聖女を連れて行くべく強引な手段に出ようとする中、騎士団長が割って入る──どうせ聖女のようだと称えられているに過ぎないと。ぶっきらぼうながらも親切な騎士団長に惹かれていくリサは、しかし実は数年前に“偽物聖女”と帝都を追われたクラリッサであった。
お兄様、冷血貴公子じゃなかったんですか?~7歳から始める第二の聖女人生~
みつまめ つぼみ
ファンタジー
17歳で偽りの聖女として処刑された記憶を持つ7歳の女の子が、今度こそ世界を救うためにエルメーテ公爵家に引き取られて人生をやり直します。
記憶では冷血貴公子と呼ばれていた公爵令息は、義妹である主人公一筋。
そんな義兄に戸惑いながらも甘える日々。
「お兄様? シスコンもほどほどにしてくださいね?」
恋愛ポンコツと冷血貴公子の、コミカルでシリアスな救世物語開幕!
ギルドの受付嬢はうごかない ~定時に帰りたいので、一歩も動かず事件を解きます~
ぱすた屋さん
ファンタジー
ギルドの受付嬢アイラは、冒険者たちから「鉄の女」と呼ばれ、畏怖されている。
絶世の美貌を持ちながら、常に無表情。そして何より、彼女は窓口から一歩も動かない。
彼女の前世は、某大手企業のコールセンター勤務。
営業成績トップを走り抜け、最後には「地獄のクレーム処理専門部署」で数多の暴言を鎮めてきた、対話術の怪物。
「次の方、どうぞ。……ご相談ですか?(クローズド・クエスチョン)」
転生した彼女に備わったのは、声の「真偽」が色で見える地味な能力。
だが、彼女の真の武器は能力ではなく、前世で培った「声のトーン操作」と「心理誘導」だった。
ある日、窓口に現れたのは「相棒が死んだ」と弔慰金をせしめようとする嘘つきな冒険者。
周囲が同情し、ギルドマスターさえ騙されかける中、アイラは座ったまま、静かにペンを走らせる。
「……五秒だけ、沈黙を差し上げます。その間に、嘘を塗り直すおつもりですか?」
戦略的沈黙、オウム返し、そして逃げ場を塞ぐイエス・セット。
現代のコールセンター術を叩きつけられた犯人は、自らその罪を吐き散らし、崩れ落ちる。
「あー、疲れた。一五分も残業しちゃった。……マスター、残業代三倍でお願いしますね」
これは、一歩も動きたくない受付嬢が、口先だけで悪を断罪し、定時退勤を目指す物語。
老聖女の政略結婚
那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。
六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。
しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。
相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。
子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。
穏やかな余生か、嵐の老後か――
四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる