91 / 182
第91話 拒否
しおりを挟む 関越道を降り、練馬インターから環八へ。
すでに車の量は多いけど、順調に流れている。
会社に到着。帰庫後の点呼を終えたところで、ルカが出勤してきた。
「ルカ。おはよう。今日はどこまで?」
「おはよう。レイ。夜勤明けね、お疲れ様。私、今日は事務の仕事だけ。」
「がんばってねー、ボクはこれから寝だめだよ。」
「あら、寝だめってあんまり効果ないって話よ。」
「いいのいいの。気分の問題。がんばってねー。」
そんな他愛のない話をして、車の点検と洗車に向かう。
配送から帰って、朝日に光る水しぶきを見ていると、最高に充実した気分になれる。夜の仕事終わりだと、そこまで気分は上がらないけど。
五日間続いた夜勤シフトが終わった。やれやれ。
土曜の朝六時に車を降り、次の乗車は月曜の朝七時。
これから、まるまる四十八時間の休憩+休息。
夜勤は道が空いているし、手当がつくし、好きだというドライバーさんも結構いるけど、ボクはお日さまが上ったら働き、日が沈んだら家に帰って寝る、という自然なサイクルで働きたいな。
夜勤から、昼勤に戻す時の「時差調整」も苦手だし。
スーパーカブに乗り換え、部屋に戻る。カブは人から譲ってもらった年季モノだけど、乗っていて楽しい。前の持ち主だ丁寧に扱っていたのか、今のところ故障なし。
アパートに着き、カブのセンタースタンドを上げて駐輪場に停める。
部屋はメゾネットタイプというやつで(お洒落でしょ?)、家賃の割に広めの部屋で、荷物や家具がそんなにないのでスペースを持て余して気味だけど。
シャワーを浴び、髪を乾かし、パジャマを着る。
通勤リュックから、今日のお楽しみを取り出す。
関越の三芳PAに寄って買った、酒種あんぱん。普通のと「あんバター」を選んだ。これを、オーブントースターで少しだけ焼き、その間、電子レンジで牛乳を温める。
あんぱんとホットミルクの組み合わせ、最高。小さい頃からの大好物。
さて、これから。
四十八時間をどうやってすごそう。
さっきのルカとの会話を思い出す。
「昼勤に体を戻すの、大変なんだよね。」とボクは愚痴る。
「あんまりきちっと戻そうとしなくてもいいんじゃない? かえって気疲れすると思うの。」
「まーそうだね。時間決めてアラームしかけても、結局うまくいかないこと多いし。」
「二日間休めるなら、いっそ、アラームなしで過ごしてみたら。あ、もちろん、出勤前日の夜は『アラーム必』だけど。」
ルカの提案に乗ることにしよう。
アラームなしで、目が覚めたら起きる。眠くなったら寝る。
歯磨きをすると、さっき開けたばかりのカーテンを閉め、ベッドに潜り込む。すぐに睡魔に襲われた。
幼稚園の頃の夢を見た。
(夢の中で)昼寝から覚めたのは、兄ちゃんと一緒に可愛がっていた、ポメラニアンのタロウが息を引き取った後だった。
小学校の時の夢を見た。
(夢の中で)昼寝から覚めると、家の中にはお母さんしかいなかった。
お父さんと兄ちゃんは、ボクが寝ている間に出ていった。
そこで、本当に目が覚める。
涙を流しているのがわかる。
壁掛けの時計を見る。暗い部屋で、かろうじて文字盤が読める。
七時?
えーっとさっき寝たの、九時半ごろだよね?
時間が戻った?
寝ぼけている。事実を認めるなら、今は、夕方七時だ。
連続十時間くらい寝た。夜寝坊。
昼間の時間がまるまる消えてしまって、もったいなかったかな。
ベッドの上に座り、ぼーっとしながら、さっきの夢を思い出す。
子供の頃、ボクは昼寝が嫌いだった。
昼寝をしている間に、大事なものが消えてしまう。
だから、「日が昇ったら起き、日が沈んだら寝る」生活を心がけ、大人になってもそうできる仕事がしたいと思っていたんだ。
今でも嫌な夢は、だいた昼間に見る。
サービスエリアで仮眠中に。夜勤シフトの時の家のベッドの中で。
寝過ごして、あわてて車を走らせる夢。
(夢の中で)目が覚めた瞬間、今自分は運転中だと気づく夢。
そんな時は、目が覚めると汗びっしょりで、胸が苦しい。
チュンチュン。
雀の鳴き声?
子供たちのはしゃぎ声も聞こえる。
もう一度、窓を見る。遮光カーテンの縁がうっすらと明るい。
え!まさか?
スマホの時計を見直す。
『19時』ではなく『7時』だった・・・
丸一日寝ていた!?
夜寝坊どころではなく、一周まわって朝の早起きだ。
ぐう。
どうりでお腹がすいてるわけだ。
ベッドから降りて、トイレ→冷蔵庫に向かおうとした瞬間、そのまま手に持っていたスマホが震える。
「もしもし、レイ?」
「ああ、母さん。朝から何?」
「朝からって、あんた、ここんところ夜に電話しても、つかまらなかったじゃない。」
「夜勤してたからね。」
「大丈夫?ちゃんと寝てる?」
「さっきまで、二十四時間寝てた。」
「・・・それこそ大丈夫?」
「ははは、大丈夫だよ。それより、何の用?」
「あ、そうそう、あんたのお兄さんからお手紙きたの。」
自分の息子なのに、ボクのお兄さん、って言うのか。
「なんて書いてあった?」
「ああ、一緒にチラシが入っていてね、お店始めたから、よかったら来てくださいって。」
「何のお店?」
「パン屋さん。ウチからは遠いけど、あんたの所から近いみたいよ。」
「へー、そしたら、チラシを写メしてLINEで送ってくれる?」
「また、難しいこと言うわね。」
ボクは電話口で、LINEのトークで写真を添付する方法を教えた。説明に十分かかった。トイレ行きたい。
三十分後、母さんからメッセが飛んできた。ちゃんと写真が添付されている。
淡い黄色地のチラシに「あなたの町のパン屋さん、堂々オープン」という冴えないキャッチコピーとともに、店構えの写真、パンのサンプルの写真(これは美味しそうに映っている)と地図、サービスクーポンのQRコードが印刷されていた。
電車で三駅ほど。
兄ちゃん、こんな近くにいたのか。
今日の予定は決まった。ボクは身仕度を済ませると、ワークマンで買った防寒・防水ジャケット(なかなか派手でお洒落だよ)を着て、カブに跨がった。
冷たい風にあたりながら、さっき(?)見た兄の夢を思い出す。父さんと出て行ってから、ボクが中学生の時、一度だけ(元)家族で会った。外で食事をしたけど、人懐っこかった兄ちゃんは、ちょっとよそよそしかった。
野球が得意で、ボクにキャッチボールを教えてくれて、やさしく面倒を見てくれた兄ちゃん。ボクは兄ちゃんみたいになりたいと思っていた。兄ちゃんと離ればなれになってから、余計にそう思った。
あ、別に男の子になりたいってわけじゃないけど。
店の近くまで来て、スマホの地図で確認する。この先の商店街の中だ。
ボクはカブを手で押して店を探す。
「ベーカリー ヒロ」と描いてある看板を見つけた。チラシと同じ、黄色地の看板。ヒロは兄の名前だ。
店先の駐輪スペースにカブを停め、ウィンドウごしに中を覗く。
そんなに広くない店内。ウィンドウに沿った棚には、カゴに入って色々な種類のパンが並んでいる。店の奥の棚にはクッキーなどが並んでいるようだ。
カウンターには、お客さんが選んだパンを受け取り、包装する若い男の人。兄だ。久しぶりだけど、すぐわかった。だって、顔あまり変わっていない。童顔だ。まあ、ボクも童顔だってよく言われるけど。
隣では、レジを打つ若い女の人。アルバイトの人? それとも?
店にそっと入る。パンが入ったカゴを見て回る。クロワッサン、カレーパン、ミニバケット、メロンパン・・・どれもこれも美味しそうだけど、『店長おすすめ』のPOPがついているカゴに目が止まった。
丸っこくて、きつね色のツヤツヤした頭に、ゴマとケシが乗っかっている。ボクはトレイに、あんパンとミニバケットを一つずつ乗せ、レジに向かう。
「いらっしゃい・・・お! レイか?」
「うん、久しぶり。」
「来てくれてありがとな・・・今包むからな。」
「あ、あの、あそこで食べてっていい?」
ボクは店の一角の、ワンテーブルだけのイートインコーナーの方を向く。
「ああ、いいよ、消費税高くなっちゃうけど。」
「そんなのいいよ。」
ボクは支払いを済ませている間、兄ちゃんがあんパンを皿に乗せ、ミニバケットを紙袋に入れてくれた。
イートインの椅子に座る。あんパンを手に取って食べようとしたところ、レジの女の人が来た。
「こちら、店長からのサービスです。あんパンの消費税分だそうよ。」
その人がテーブルに置いてくれたのは、ホットミルクが入ったマグカップ。
お客さんの相手をしながらも、兄ちゃんはこっちを見て目配せしてくれた。
ボクの大好物、覚えててくれたんだ。
お店を出ると、カブで町中を乗り回し、昼はファミレスでランチセットを食べ、部屋に帰った。
結局、あの女の人は誰なのか、聞けずじまいだった。
午後はラノベ三昧、スマホでアニメ三昧で過ごした。
夕ご飯は、ツナ缶にマヨネーズをまぜ、ミニバケットを真っ二つに切り、それを挟んで食べた。
夜は久々に小説を書いた。時々ネットに投稿するけど、今日書いているのは、誰かに読んでもらうアテはない。トラックの仕事を通じて知り合った、ルカ、ラナ、リョウ、ロマンのエピソード。みんなネタの宝庫だ。
そしてボクと兄ちゃんのこと。
根拠はないけれど、これから昼に寝ても、嫌な夢は見ないような気がする。
すでに車の量は多いけど、順調に流れている。
会社に到着。帰庫後の点呼を終えたところで、ルカが出勤してきた。
「ルカ。おはよう。今日はどこまで?」
「おはよう。レイ。夜勤明けね、お疲れ様。私、今日は事務の仕事だけ。」
「がんばってねー、ボクはこれから寝だめだよ。」
「あら、寝だめってあんまり効果ないって話よ。」
「いいのいいの。気分の問題。がんばってねー。」
そんな他愛のない話をして、車の点検と洗車に向かう。
配送から帰って、朝日に光る水しぶきを見ていると、最高に充実した気分になれる。夜の仕事終わりだと、そこまで気分は上がらないけど。
五日間続いた夜勤シフトが終わった。やれやれ。
土曜の朝六時に車を降り、次の乗車は月曜の朝七時。
これから、まるまる四十八時間の休憩+休息。
夜勤は道が空いているし、手当がつくし、好きだというドライバーさんも結構いるけど、ボクはお日さまが上ったら働き、日が沈んだら家に帰って寝る、という自然なサイクルで働きたいな。
夜勤から、昼勤に戻す時の「時差調整」も苦手だし。
スーパーカブに乗り換え、部屋に戻る。カブは人から譲ってもらった年季モノだけど、乗っていて楽しい。前の持ち主だ丁寧に扱っていたのか、今のところ故障なし。
アパートに着き、カブのセンタースタンドを上げて駐輪場に停める。
部屋はメゾネットタイプというやつで(お洒落でしょ?)、家賃の割に広めの部屋で、荷物や家具がそんなにないのでスペースを持て余して気味だけど。
シャワーを浴び、髪を乾かし、パジャマを着る。
通勤リュックから、今日のお楽しみを取り出す。
関越の三芳PAに寄って買った、酒種あんぱん。普通のと「あんバター」を選んだ。これを、オーブントースターで少しだけ焼き、その間、電子レンジで牛乳を温める。
あんぱんとホットミルクの組み合わせ、最高。小さい頃からの大好物。
さて、これから。
四十八時間をどうやってすごそう。
さっきのルカとの会話を思い出す。
「昼勤に体を戻すの、大変なんだよね。」とボクは愚痴る。
「あんまりきちっと戻そうとしなくてもいいんじゃない? かえって気疲れすると思うの。」
「まーそうだね。時間決めてアラームしかけても、結局うまくいかないこと多いし。」
「二日間休めるなら、いっそ、アラームなしで過ごしてみたら。あ、もちろん、出勤前日の夜は『アラーム必』だけど。」
ルカの提案に乗ることにしよう。
アラームなしで、目が覚めたら起きる。眠くなったら寝る。
歯磨きをすると、さっき開けたばかりのカーテンを閉め、ベッドに潜り込む。すぐに睡魔に襲われた。
幼稚園の頃の夢を見た。
(夢の中で)昼寝から覚めたのは、兄ちゃんと一緒に可愛がっていた、ポメラニアンのタロウが息を引き取った後だった。
小学校の時の夢を見た。
(夢の中で)昼寝から覚めると、家の中にはお母さんしかいなかった。
お父さんと兄ちゃんは、ボクが寝ている間に出ていった。
そこで、本当に目が覚める。
涙を流しているのがわかる。
壁掛けの時計を見る。暗い部屋で、かろうじて文字盤が読める。
七時?
えーっとさっき寝たの、九時半ごろだよね?
時間が戻った?
寝ぼけている。事実を認めるなら、今は、夕方七時だ。
連続十時間くらい寝た。夜寝坊。
昼間の時間がまるまる消えてしまって、もったいなかったかな。
ベッドの上に座り、ぼーっとしながら、さっきの夢を思い出す。
子供の頃、ボクは昼寝が嫌いだった。
昼寝をしている間に、大事なものが消えてしまう。
だから、「日が昇ったら起き、日が沈んだら寝る」生活を心がけ、大人になってもそうできる仕事がしたいと思っていたんだ。
今でも嫌な夢は、だいた昼間に見る。
サービスエリアで仮眠中に。夜勤シフトの時の家のベッドの中で。
寝過ごして、あわてて車を走らせる夢。
(夢の中で)目が覚めた瞬間、今自分は運転中だと気づく夢。
そんな時は、目が覚めると汗びっしょりで、胸が苦しい。
チュンチュン。
雀の鳴き声?
子供たちのはしゃぎ声も聞こえる。
もう一度、窓を見る。遮光カーテンの縁がうっすらと明るい。
え!まさか?
スマホの時計を見直す。
『19時』ではなく『7時』だった・・・
丸一日寝ていた!?
夜寝坊どころではなく、一周まわって朝の早起きだ。
ぐう。
どうりでお腹がすいてるわけだ。
ベッドから降りて、トイレ→冷蔵庫に向かおうとした瞬間、そのまま手に持っていたスマホが震える。
「もしもし、レイ?」
「ああ、母さん。朝から何?」
「朝からって、あんた、ここんところ夜に電話しても、つかまらなかったじゃない。」
「夜勤してたからね。」
「大丈夫?ちゃんと寝てる?」
「さっきまで、二十四時間寝てた。」
「・・・それこそ大丈夫?」
「ははは、大丈夫だよ。それより、何の用?」
「あ、そうそう、あんたのお兄さんからお手紙きたの。」
自分の息子なのに、ボクのお兄さん、って言うのか。
「なんて書いてあった?」
「ああ、一緒にチラシが入っていてね、お店始めたから、よかったら来てくださいって。」
「何のお店?」
「パン屋さん。ウチからは遠いけど、あんたの所から近いみたいよ。」
「へー、そしたら、チラシを写メしてLINEで送ってくれる?」
「また、難しいこと言うわね。」
ボクは電話口で、LINEのトークで写真を添付する方法を教えた。説明に十分かかった。トイレ行きたい。
三十分後、母さんからメッセが飛んできた。ちゃんと写真が添付されている。
淡い黄色地のチラシに「あなたの町のパン屋さん、堂々オープン」という冴えないキャッチコピーとともに、店構えの写真、パンのサンプルの写真(これは美味しそうに映っている)と地図、サービスクーポンのQRコードが印刷されていた。
電車で三駅ほど。
兄ちゃん、こんな近くにいたのか。
今日の予定は決まった。ボクは身仕度を済ませると、ワークマンで買った防寒・防水ジャケット(なかなか派手でお洒落だよ)を着て、カブに跨がった。
冷たい風にあたりながら、さっき(?)見た兄の夢を思い出す。父さんと出て行ってから、ボクが中学生の時、一度だけ(元)家族で会った。外で食事をしたけど、人懐っこかった兄ちゃんは、ちょっとよそよそしかった。
野球が得意で、ボクにキャッチボールを教えてくれて、やさしく面倒を見てくれた兄ちゃん。ボクは兄ちゃんみたいになりたいと思っていた。兄ちゃんと離ればなれになってから、余計にそう思った。
あ、別に男の子になりたいってわけじゃないけど。
店の近くまで来て、スマホの地図で確認する。この先の商店街の中だ。
ボクはカブを手で押して店を探す。
「ベーカリー ヒロ」と描いてある看板を見つけた。チラシと同じ、黄色地の看板。ヒロは兄の名前だ。
店先の駐輪スペースにカブを停め、ウィンドウごしに中を覗く。
そんなに広くない店内。ウィンドウに沿った棚には、カゴに入って色々な種類のパンが並んでいる。店の奥の棚にはクッキーなどが並んでいるようだ。
カウンターには、お客さんが選んだパンを受け取り、包装する若い男の人。兄だ。久しぶりだけど、すぐわかった。だって、顔あまり変わっていない。童顔だ。まあ、ボクも童顔だってよく言われるけど。
隣では、レジを打つ若い女の人。アルバイトの人? それとも?
店にそっと入る。パンが入ったカゴを見て回る。クロワッサン、カレーパン、ミニバケット、メロンパン・・・どれもこれも美味しそうだけど、『店長おすすめ』のPOPがついているカゴに目が止まった。
丸っこくて、きつね色のツヤツヤした頭に、ゴマとケシが乗っかっている。ボクはトレイに、あんパンとミニバケットを一つずつ乗せ、レジに向かう。
「いらっしゃい・・・お! レイか?」
「うん、久しぶり。」
「来てくれてありがとな・・・今包むからな。」
「あ、あの、あそこで食べてっていい?」
ボクは店の一角の、ワンテーブルだけのイートインコーナーの方を向く。
「ああ、いいよ、消費税高くなっちゃうけど。」
「そんなのいいよ。」
ボクは支払いを済ませている間、兄ちゃんがあんパンを皿に乗せ、ミニバケットを紙袋に入れてくれた。
イートインの椅子に座る。あんパンを手に取って食べようとしたところ、レジの女の人が来た。
「こちら、店長からのサービスです。あんパンの消費税分だそうよ。」
その人がテーブルに置いてくれたのは、ホットミルクが入ったマグカップ。
お客さんの相手をしながらも、兄ちゃんはこっちを見て目配せしてくれた。
ボクの大好物、覚えててくれたんだ。
お店を出ると、カブで町中を乗り回し、昼はファミレスでランチセットを食べ、部屋に帰った。
結局、あの女の人は誰なのか、聞けずじまいだった。
午後はラノベ三昧、スマホでアニメ三昧で過ごした。
夕ご飯は、ツナ缶にマヨネーズをまぜ、ミニバケットを真っ二つに切り、それを挟んで食べた。
夜は久々に小説を書いた。時々ネットに投稿するけど、今日書いているのは、誰かに読んでもらうアテはない。トラックの仕事を通じて知り合った、ルカ、ラナ、リョウ、ロマンのエピソード。みんなネタの宝庫だ。
そしてボクと兄ちゃんのこと。
根拠はないけれど、これから昼に寝ても、嫌な夢は見ないような気がする。
10
お気に入りに追加
168
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
そろそろ前世は忘れませんか。旦那様?
氷雨そら
恋愛
結婚式で私のベールをめくった瞬間、旦那様は固まった。たぶん、旦那様は記憶を取り戻してしまったのだ。前世の私の名前を呼んでしまったのがその証拠。
そしておそらく旦那様は理解した。
私が前世にこっぴどく裏切った旦那様の幼馴染だってこと。
――――でも、それだって理由はある。
前世、旦那様は15歳のあの日、魔力の才能を開花した。そして私が開花したのは、相手の魔力を奪う魔眼だった。
しかも、その魔眼を今世まで持ち越しで受け継いでしまっている。
「どれだけ俺を弄んだら気が済むの」とか「悪い女」という癖に、旦那様は私を離してくれない。
そして二人で眠った次の朝から、なぜかかつての幼馴染のように、冷酷だった旦那様は豹変した。私を溺愛する人間へと。
お願い旦那様。もう前世のことは忘れてください!
かつての幼馴染は、今度こそ絶対幸せになる。そんな幼馴染推しによる幼馴染推しのための物語。
小説家になろうにも掲載しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【完結】聖女にはなりません。平凡に生きます!
暮田呉子
ファンタジー
この世界で、ただ平凡に、自由に、人生を謳歌したい!
政略結婚から三年──。夫に見向きもされず、屋敷の中で虐げられてきたマリアーナは夫の子を身籠ったという女性に水を掛けられて前世を思い出す。そうだ、前世は慎ましくも充実した人生を送った。それなら現世も平凡で幸せな人生を送ろう、と強く決意するのだった。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
(完)聖女様は頑張らない
青空一夏
ファンタジー
私は大聖女様だった。歴史上最強の聖女だった私はそのあまりに強すぎる力から、悪魔? 魔女?と疑われ追放された。
それも命を救ってやったカール王太子の命令により追放されたのだ。あの恩知らずめ! 侯爵令嬢の色香に負けやがって。本物の聖女より偽物美女の侯爵令嬢を選びやがった。
私は逃亡中に足をすべらせ死んだ? と思ったら聖女認定の最初の日に巻き戻っていた!!
もう全力でこの国の為になんか働くもんか!
異世界ゆるふわ設定ご都合主義ファンタジー。よくあるパターンの聖女もの。ラブコメ要素ありです。楽しく笑えるお話です。(多分😅)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
投獄された聖女は祈るのをやめ、自由を満喫している。
七辻ゆゆ
ファンタジー
「偽聖女リーリエ、おまえとの婚約を破棄する。衛兵、偽聖女を地下牢に入れよ!」
リーリエは喜んだ。
「じゆ……、じゆう……自由だわ……!」
もう教会で一日中祈り続けなくてもいいのだ。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】中継ぎ聖女だとぞんざいに扱われているのですが、守護騎士様の呪いを解いたら聖女ですらなくなりました。
氷雨そら
恋愛
聖女召喚されたのに、100年後まで魔人襲来はないらしい。
聖女として異世界に召喚された私は、中継ぎ聖女としてぞんざいに扱われていた。そんな私をいつも守ってくれる、守護騎士様。
でも、なぜか予言が大幅にずれて、私たちの目の前に、魔人が現れる。私を庇った守護騎士様が、魔神から受けた呪いを解いたら、私は聖女ですらなくなってしまって……。
「婚約してほしい」
「いえ、責任を取らせるわけには」
守護騎士様の誘いを断り、誰にも迷惑をかけないよう、王都から逃げ出した私は、辺境に引きこもる。けれど、私を探し当てた、聖女様と呼んで、私と一定の距離を置いていたはずの守護騎士様の様子は、どこか以前と違っているのだった。
元守護騎士と元聖女の溺愛のち少しヤンデレ物語。
小説家になろう様にも、投稿しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!
あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!?
資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。
そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。
どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。
「私、ガンバる!」
だったら私は帰してもらえない?ダメ?
聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。
スローライフまでは到達しなかったよ……。
緩いざまああり。
注意
いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる