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第34話 公都へ
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豊穣の祈りを終えてから三日後、俺たちは公都イストレアを目指してミニョレ村を出発した。
今回の旅の足は教会の馬車だ。レティシアさんは聖女ということもあって専用の馬車が用意されており、御者までついている。
ちなみにこの馬車、道の段差の衝撃がもろに伝わってくるのだが、どうやらこれでもかなり高級品らしい。
座席はかなりふかふかで、動いていなければかなり座り心地がいい。
どうやら自動車とか蒸気機関車なんかは存在していないようで、質問したら変な顔をされてしまった。
なのでここは魔法が実在しているいわゆるファンタジー世界ということのようだ。
となればここは一つ知識チートで無双を、と一瞬思ったのだが、よく考えたらそんなことは不可能だ。
そもそも日本で使っていたものの作り方も仕組みもまったくわからないし、料理だって一から全部作れと言われたら不可能だ。
こんなことならもっと色々なことに興味を持っていれば良かったと後悔もあるが、まさかこんなことになるとは思わなかったのだ。
まあ、後悔しても仕方がないだろう。今は公都に行って冒険者登録を済ませ、さっさとレティシアさんの仲間という立場を確立させてしまいたい。
ああ、そうそう。それと股間の息子だけが元気だったトマだが、あの状態で連れて行くことはできないのでミニョレ村に置いてきた。
裏切った以上は罰を与える必要はあるのだが、裁判権はイストール公が持っているため今すぐに沙汰は決まらない。
そのためには俺たちがまずイストレアへ行き、教会にレティシアさんが報告を上げる。そして教会からイストール公に処罰の依頼が上がってようやく兵士がトマを拘束しに行くという複雑な手続きを踏まなければならいそうだ。
それまでトマは村長が監視をしてくれることになっている。戦力はないが、トマは動けないので逃げ出すような事はないはずだ。
ちなみにトマは俺たちが出発するころになってようやくベッドの上で体を起こすことができるようになっていたと聞いている。
聞いている、というのは、そもそも俺は様子を見に行っていないからだ。
俺は一応被害者ということで気を遣ってもらったというのもあるのだが、俺自身も会いたくないので避けていたという面もある。男にあんな目でジロジロ見られた挙句、エレクチオンまでされてはたまったものではない。
まあ、これでもう会うこともないだろうが。
そんなこんなで一週間ほどの平和な旅を終え、公都イストレアへとやってきた。
教会の馬車に乗っているおかげか中を確認されもせず検問を通過し、馬車は石畳の上を盛大な振動とともに進んでいく。
窓から覗く景色はとても新鮮で、石造りの町並みはなんだかすごくヨーロッパっぽい感じだ。
俺には知識がないのでこれがヨーロッパのどのあたりと似ているのかはよく分からないが、まるで海外旅行に来たみたいで新鮮な気分になる。
よし。ここまでの旅では野宿をしたからそのときの動画も作れるし、あとはこの町の紹介動画だけでもいくつか作れそうだ。あとは教会の紹介動画もお願いしてみよう。
そんなことを考えていると、馬車が止まって外から扉が開かれた。
ミレーヌさんが外から手を差し出し、レティシアさんをエスコートして降ろさせる。
すると周囲から歓声が沸き起こり、口々にレティシアさんの名前を呼んでいるのが聞こえてくる。
何事かと思いそっと外を覗くと、なんと建物の前に多くの人々が集まっている。
「リリス、着いたぞ」
「あ、はい」
頼れる女剣士モードのミレーヌさんに言われ、俺も馬車から降りる。すると歓声がざわめきに変わる。
「エ、エルフ?」
「どうしてレティシア様の馬車に?」
「……でけぇ」
「さあ、いくぞ」
そんな民衆の声を気にした様子もないミレーヌさんがレティシアさんを先導するように教会へと向かって歩いていくので、慌ててその後を追うのだった。
今回の旅の足は教会の馬車だ。レティシアさんは聖女ということもあって専用の馬車が用意されており、御者までついている。
ちなみにこの馬車、道の段差の衝撃がもろに伝わってくるのだが、どうやらこれでもかなり高級品らしい。
座席はかなりふかふかで、動いていなければかなり座り心地がいい。
どうやら自動車とか蒸気機関車なんかは存在していないようで、質問したら変な顔をされてしまった。
なのでここは魔法が実在しているいわゆるファンタジー世界ということのようだ。
となればここは一つ知識チートで無双を、と一瞬思ったのだが、よく考えたらそんなことは不可能だ。
そもそも日本で使っていたものの作り方も仕組みもまったくわからないし、料理だって一から全部作れと言われたら不可能だ。
こんなことならもっと色々なことに興味を持っていれば良かったと後悔もあるが、まさかこんなことになるとは思わなかったのだ。
まあ、後悔しても仕方がないだろう。今は公都に行って冒険者登録を済ませ、さっさとレティシアさんの仲間という立場を確立させてしまいたい。
ああ、そうそう。それと股間の息子だけが元気だったトマだが、あの状態で連れて行くことはできないのでミニョレ村に置いてきた。
裏切った以上は罰を与える必要はあるのだが、裁判権はイストール公が持っているため今すぐに沙汰は決まらない。
そのためには俺たちがまずイストレアへ行き、教会にレティシアさんが報告を上げる。そして教会からイストール公に処罰の依頼が上がってようやく兵士がトマを拘束しに行くという複雑な手続きを踏まなければならいそうだ。
それまでトマは村長が監視をしてくれることになっている。戦力はないが、トマは動けないので逃げ出すような事はないはずだ。
ちなみにトマは俺たちが出発するころになってようやくベッドの上で体を起こすことができるようになっていたと聞いている。
聞いている、というのは、そもそも俺は様子を見に行っていないからだ。
俺は一応被害者ということで気を遣ってもらったというのもあるのだが、俺自身も会いたくないので避けていたという面もある。男にあんな目でジロジロ見られた挙句、エレクチオンまでされてはたまったものではない。
まあ、これでもう会うこともないだろうが。
そんなこんなで一週間ほどの平和な旅を終え、公都イストレアへとやってきた。
教会の馬車に乗っているおかげか中を確認されもせず検問を通過し、馬車は石畳の上を盛大な振動とともに進んでいく。
窓から覗く景色はとても新鮮で、石造りの町並みはなんだかすごくヨーロッパっぽい感じだ。
俺には知識がないのでこれがヨーロッパのどのあたりと似ているのかはよく分からないが、まるで海外旅行に来たみたいで新鮮な気分になる。
よし。ここまでの旅では野宿をしたからそのときの動画も作れるし、あとはこの町の紹介動画だけでもいくつか作れそうだ。あとは教会の紹介動画もお願いしてみよう。
そんなことを考えていると、馬車が止まって外から扉が開かれた。
ミレーヌさんが外から手を差し出し、レティシアさんをエスコートして降ろさせる。
すると周囲から歓声が沸き起こり、口々にレティシアさんの名前を呼んでいるのが聞こえてくる。
何事かと思いそっと外を覗くと、なんと建物の前に多くの人々が集まっている。
「リリス、着いたぞ」
「あ、はい」
頼れる女剣士モードのミレーヌさんに言われ、俺も馬車から降りる。すると歓声がざわめきに変わる。
「エ、エルフ?」
「どうしてレティシア様の馬車に?」
「……でけぇ」
「さあ、いくぞ」
そんな民衆の声を気にした様子もないミレーヌさんがレティシアさんを先導するように教会へと向かって歩いていくので、慌ててその後を追うのだった。
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