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第四章
第四章第67話 起きたら大変なことになっていました
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あたしは夕食を済ませ、お部屋に帰ってきました。食事は……そうですね。孤児院で食べていた食事よりは美味しかったですけど、魔法学園の食事のほうが美味しいと思います。
バルバラさんにドレスを脱ぐのを手伝ってもらい、寝間着に着替えたんですけど……
ふぁぁ。
おかしいですね。なんだか今日はいつもより早く眠くなってきました。
もしかしたら、ずっと森の中でサバイバルしていたせいで疲れが溜まっていたのかもしれません。
そう考えると、ベッドで眠れるのはありがたいです。変な人たちがいる家ですけど。
はい。そうですね。今日はちょっと早いですけど、もう寝ちゃいましょう。
「ユキ、ピーちゃん、ホーちゃん、あたし、もう寝ますね」
「ミャー」
「ピッ」
そう言ってあたしは扉の鍵を閉め、ベッドに入りました。するとユキとピーちゃんもピョンとジャンプしてベッドに乗ってきます。
あたしが枕に頭を預けると、ユキがあたしの顔の前に、ピーちゃんは上に乗ってきました。ホーちゃんはちょっと離れた場所にあるタンスの上で寝るみたいです。
「おやすみなさい」
「ミャ」
「ピー」
「ホー」
それから目を閉じると、あたしはあっという間に眠りについたのでした。
◆◇◆
ローザがぐっすりと眠りについた深夜、ガチャンという音と共に施錠されていたはずのローザの部屋の扉が開いた。
そしてランプの灯りと共に二人の男が忍び込んでくる。ディミトリエとヴィルヘルムだ。
「父上、よく眠っているようですよ」
「当たり前だ。眠り薬入りの食事を食ったんだからな。そう簡単に起きてたまるか」
「はい」
ディミトリエとヴィルヘルムはランプを高く掲げ、室内を照らす。
「まずは親書を探せ」
「はい。わかりました」
「その後は、分かっているな?」
「はい。ベッドに入ればいいんですよね?」
「そうだ。そうすればこいつはお前の嫁になるしかなくなる」
そう言ってディミトリエとヴィルヘルムはニヤリと笑った。
「親書はどこに隠したんでしょうね?」
「バッグだろう。まずはバッグを探せ」
「はい……あ! 父上、あれじゃないですか?」
「おお、でかしたぞ」
ディミトリエはいそいそとサイドテーブルに置かれたローザのカムフラージュ用のバッグに近づいていく。
「ホー!」
「「ひぇっ!?」」
ホーちゃんの太い鳴き声にディミトリエとヴィルヘルムは驚き、同時にジャンプした。
「な、なんだ。フクロウか。クソが」
「ペ、ペットごときが脅かしやがって……」
ディミトリエとヴィルヘルムはホーちゃんを無視してバッグに近づこうとする。
「ホー! ホー!」
「「うおっ!?」
二人は再び同時にジャンプした。
「ヴィルヘルム、あのやかましいフクロウを黙らせろ」
「分かりました、父上」
ヴィルヘルムはどすどすと鈍い動きでホーちゃんを捕まえようとするが、ホーちゃんはそれをひらりと躱した。
「うわっ!?」
ヴィルヘルムはそのままタンスに顔面から突っ込んだ。
「ヴィルヘルム! 何をやっている! 早く捕まえろ!」
「は、はい!」
ヴィルヘルムはどたどたと重そうに走ってホーちゃんを捕まえようとするが、ホーちゃんはひらりひらりとそれを躱し続ける。
「ピピッ!」
するとピーちゃんがローザの上からポンとジャンプし、ヴィルヘルムに纏わりついた。足を取られたヴィルヘルムはバランスを崩して派手に転ぶ。
「なっ!? ヴィルヘルムを放せ! この魔物め!」
ディミトリエはなんと、あろうことか剣を抜いて振り上げた!
「ミャッ!」
すぐさまユキが短く鳴き、ディミトリエは一瞬にして氷漬けになった。
「あ、あ、ち、父上! 魔物め! 放せ!」
ヴィルヘルムは暴れる。だがピーちゃんはいつの間にか体を薄く伸ばしてヴィルヘルムを完全に拘束しており、それを振りほどくことはできない。
ヴィルヘルムがもがいていると、ピーちゃんが何かを喋り始めた。
「ピッ! ピッ!」
「ミャ?」
「ホッ?」
「ピピッ! ピッ! ピッ!」
「ミャー?」
「ホホッ! ホー!」
ユキは首を傾げている。だがホーちゃんはローザのベッドの宮台に降り、片方の翼を広げた。
「ミャー」
するとユキもやれやれといった様子で小さく鳴く。
「ピッ」
「ホー」
ホーちゃんの大きく開いた口から黒い音波のような何かが発せられ、ヴィルヘルムの頭を直撃した。
「この魔物……あ……」
ヴィルヘルムの目が突然虚ろになった。するとピーちゃんがするりとヴィルヘルムから離れていく。
拘束を解かれたヴィルヘルムはよろよろと立ち上がると、どこか正体が定まらない様子のまま、なぜかズボンを脱いで下半身を露出させた。
すると次の瞬間、ヴィルヘルムは一瞬で氷漬けとなった。
「ミャー?」
「ピッ! ピッ!」
「ホー!」
ユキはなんとも気乗りしていない様子だが、ピーちゃんとホーちゃんは満足げな様子だ。
「ミャ」
ユキは小さく鳴くと、眠りこけているローザの顔の前で丸まって目を閉じた。
一方のピーちゃんはローザの体の上に飛び乗った。続いてピーちゃんは体の一部をまるで触手のように伸ばしてローザの頬に触れる。
すると触手の先から柔らかな白い光が発せられ、ローザの全身を包み込むのだった。
◆◇◆
「お嬢様、おはようございます。お目覚めでらっしゃいますでしょうか?」
……う……ん……?
あれ? 朝、でしょうか?
あ、朝ですね。窓の外が明るくなっています。
「お嬢様? おはようございます」
あ! バルバラさんの声です。
「おはようございます」
「おはようございます。入ってもよろしいでしょうか?」
「はい。どうぞ」
「失礼します」
扉が開き、バルバラさんが入ってきます。
あれ? そういえばあたし、鍵を閉めて寝ませんでしたっけ?
「あああっ!? お、お父さま!? お兄さま!?」
バルバラさんが突然よく分からない叫び声を上げました。
「た、大変です! お母さま! お母さまー!」
バルバラさんはそう叫びながら、大慌てで部屋から出ていきました。
えっと、何があったん……あ……!
えっと、えっとですね。
なんでだかは分かりませんけど、ものすごいことになっています。
ディミトリエさんがなぜか剣を持ったまま倒れています。それとあいつはうつ伏せに倒れていて、しかもなぜかお尻が丸見えです。
えっと、近くにはズボンが脱ぎ捨てられていますね。
あと、なぜか二人ともびしょ濡れで、大きな水たまりまでできています。
あの、えっと、あの、これって……?
================
申し訳ございません。予約投稿に失敗していたうえ、気付くのが遅れました。
次回更新は通常どおり、2024/03/16 (土) 20:00 を予定しております。
バルバラさんにドレスを脱ぐのを手伝ってもらい、寝間着に着替えたんですけど……
ふぁぁ。
おかしいですね。なんだか今日はいつもより早く眠くなってきました。
もしかしたら、ずっと森の中でサバイバルしていたせいで疲れが溜まっていたのかもしれません。
そう考えると、ベッドで眠れるのはありがたいです。変な人たちがいる家ですけど。
はい。そうですね。今日はちょっと早いですけど、もう寝ちゃいましょう。
「ユキ、ピーちゃん、ホーちゃん、あたし、もう寝ますね」
「ミャー」
「ピッ」
そう言ってあたしは扉の鍵を閉め、ベッドに入りました。するとユキとピーちゃんもピョンとジャンプしてベッドに乗ってきます。
あたしが枕に頭を預けると、ユキがあたしの顔の前に、ピーちゃんは上に乗ってきました。ホーちゃんはちょっと離れた場所にあるタンスの上で寝るみたいです。
「おやすみなさい」
「ミャ」
「ピー」
「ホー」
それから目を閉じると、あたしはあっという間に眠りについたのでした。
◆◇◆
ローザがぐっすりと眠りについた深夜、ガチャンという音と共に施錠されていたはずのローザの部屋の扉が開いた。
そしてランプの灯りと共に二人の男が忍び込んでくる。ディミトリエとヴィルヘルムだ。
「父上、よく眠っているようですよ」
「当たり前だ。眠り薬入りの食事を食ったんだからな。そう簡単に起きてたまるか」
「はい」
ディミトリエとヴィルヘルムはランプを高く掲げ、室内を照らす。
「まずは親書を探せ」
「はい。わかりました」
「その後は、分かっているな?」
「はい。ベッドに入ればいいんですよね?」
「そうだ。そうすればこいつはお前の嫁になるしかなくなる」
そう言ってディミトリエとヴィルヘルムはニヤリと笑った。
「親書はどこに隠したんでしょうね?」
「バッグだろう。まずはバッグを探せ」
「はい……あ! 父上、あれじゃないですか?」
「おお、でかしたぞ」
ディミトリエはいそいそとサイドテーブルに置かれたローザのカムフラージュ用のバッグに近づいていく。
「ホー!」
「「ひぇっ!?」」
ホーちゃんの太い鳴き声にディミトリエとヴィルヘルムは驚き、同時にジャンプした。
「な、なんだ。フクロウか。クソが」
「ペ、ペットごときが脅かしやがって……」
ディミトリエとヴィルヘルムはホーちゃんを無視してバッグに近づこうとする。
「ホー! ホー!」
「「うおっ!?」
二人は再び同時にジャンプした。
「ヴィルヘルム、あのやかましいフクロウを黙らせろ」
「分かりました、父上」
ヴィルヘルムはどすどすと鈍い動きでホーちゃんを捕まえようとするが、ホーちゃんはそれをひらりと躱した。
「うわっ!?」
ヴィルヘルムはそのままタンスに顔面から突っ込んだ。
「ヴィルヘルム! 何をやっている! 早く捕まえろ!」
「は、はい!」
ヴィルヘルムはどたどたと重そうに走ってホーちゃんを捕まえようとするが、ホーちゃんはひらりひらりとそれを躱し続ける。
「ピピッ!」
するとピーちゃんがローザの上からポンとジャンプし、ヴィルヘルムに纏わりついた。足を取られたヴィルヘルムはバランスを崩して派手に転ぶ。
「なっ!? ヴィルヘルムを放せ! この魔物め!」
ディミトリエはなんと、あろうことか剣を抜いて振り上げた!
「ミャッ!」
すぐさまユキが短く鳴き、ディミトリエは一瞬にして氷漬けになった。
「あ、あ、ち、父上! 魔物め! 放せ!」
ヴィルヘルムは暴れる。だがピーちゃんはいつの間にか体を薄く伸ばしてヴィルヘルムを完全に拘束しており、それを振りほどくことはできない。
ヴィルヘルムがもがいていると、ピーちゃんが何かを喋り始めた。
「ピッ! ピッ!」
「ミャ?」
「ホッ?」
「ピピッ! ピッ! ピッ!」
「ミャー?」
「ホホッ! ホー!」
ユキは首を傾げている。だがホーちゃんはローザのベッドの宮台に降り、片方の翼を広げた。
「ミャー」
するとユキもやれやれといった様子で小さく鳴く。
「ピッ」
「ホー」
ホーちゃんの大きく開いた口から黒い音波のような何かが発せられ、ヴィルヘルムの頭を直撃した。
「この魔物……あ……」
ヴィルヘルムの目が突然虚ろになった。するとピーちゃんがするりとヴィルヘルムから離れていく。
拘束を解かれたヴィルヘルムはよろよろと立ち上がると、どこか正体が定まらない様子のまま、なぜかズボンを脱いで下半身を露出させた。
すると次の瞬間、ヴィルヘルムは一瞬で氷漬けとなった。
「ミャー?」
「ピッ! ピッ!」
「ホー!」
ユキはなんとも気乗りしていない様子だが、ピーちゃんとホーちゃんは満足げな様子だ。
「ミャ」
ユキは小さく鳴くと、眠りこけているローザの顔の前で丸まって目を閉じた。
一方のピーちゃんはローザの体の上に飛び乗った。続いてピーちゃんは体の一部をまるで触手のように伸ばしてローザの頬に触れる。
すると触手の先から柔らかな白い光が発せられ、ローザの全身を包み込むのだった。
◆◇◆
「お嬢様、おはようございます。お目覚めでらっしゃいますでしょうか?」
……う……ん……?
あれ? 朝、でしょうか?
あ、朝ですね。窓の外が明るくなっています。
「お嬢様? おはようございます」
あ! バルバラさんの声です。
「おはようございます」
「おはようございます。入ってもよろしいでしょうか?」
「はい。どうぞ」
「失礼します」
扉が開き、バルバラさんが入ってきます。
あれ? そういえばあたし、鍵を閉めて寝ませんでしたっけ?
「あああっ!? お、お父さま!? お兄さま!?」
バルバラさんが突然よく分からない叫び声を上げました。
「た、大変です! お母さま! お母さまー!」
バルバラさんはそう叫びながら、大慌てで部屋から出ていきました。
えっと、何があったん……あ……!
えっと、えっとですね。
なんでだかは分かりませんけど、ものすごいことになっています。
ディミトリエさんがなぜか剣を持ったまま倒れています。それとあいつはうつ伏せに倒れていて、しかもなぜかお尻が丸見えです。
えっと、近くにはズボンが脱ぎ捨てられていますね。
あと、なぜか二人ともびしょ濡れで、大きな水たまりまでできています。
あの、えっと、あの、これって……?
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