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第四章
第四章第33話 ギルドに行こうと思います
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皆さん、ごきげんよう。ろ、ローザ・マレスティカですわ。
……そ、その……お義姉さまの口調を真似てみたんです。や、やっぱり変、でしたよね?
あたしもなんだか背中が痒くなっちゃいました。
えっと、はい。それでですね。やっと週末になって、宿題もちゃんと終わらせたので、今日は冒険者ギルドに指名依頼の確認に行こうと思います。
一緒に行ってもらうのはですね。ヴィーシャさんにお願いしました。実はリリアちゃんも誘っていて、行きたいって言ってくれたんですけどね。でも今週は家族の人とお城に呼ばれているらしくって、残念ですけど都合が合わなかったんです。
一緒に町にお出かけできるのをちょっと楽しみにしてたんですけど、仕方ありません。
……あっ! そろそろ約束の時間ですね。待ち合わせは一階のロビーなので、早く出発しないと。
それじゃあ、いってきます。
◆◇◆
「ヴィーシャさん、おはようございます」
一階のロビーに行くと、もうそこにはすでにヴィーシャさんが待っていました。ヴィーシャさんはアタシに気が付いて、すぐに手を振って挨拶を返してくれます。
「ああ、おはよう。ローザ」
あれ? ヴィーシャさんの隣にラダさんがいます。どうしたんでしょうか?
「おはようございます、ラダさん」
「おはようございます、ローザお嬢様」
「……」
「……」
挨拶を返してくれましたが、ラダさんはそのまま無言でじっとあたしのほうを見つめてきます。
あれれ? なんだかちょっと怒っているような?
「その、ラダさん?」
「はい、なんでしょう?」
「えっと、どうしてここに?」
するとラダさんはニッコリと微笑んできましたが、やっぱりなんだかいつもと違って無言の圧力を掛けられているような気がします。
「え、えっと……」
するとヴィーシャさんが横から口を挟んできます。
「ローザ、師匠……ラダさんはね。ローザが私を誘って、冒険者ギルドに行くって知っているんだよ」
「えっ?」
えっと、どういうことでしょう? 何かのヒントでしょうか?
えっと、えっと……?
あたしが悩んでいるのを見て、ラダさんは小さくため息をつきました。
「仕方ありませんね。きっと正しく伝わっていなかったのでしょう」
「え?」
「ローザお嬢様、たしかに公爵閣下のお言いつけを守り、お一人で向かおうとなさらなかったことはよろしいかと存じます。ですが公爵閣下がおっしゃったのは、正式な護衛騎士を必ず連れて行くように、ということでございます。このヴィクトリア・コドルツィはまだ正式な護衛騎士ではありませんので、本日の外出は許可できません」
「えっ? あ……」
そういえば……ヴィーシャさん、まだ騎士じゃないんでした。なんだか騎士とお嬢様の真似をしていたせいですっかり忘れていました。
「ご、ごめんなさい。あたし……」
「いえ。ヴィクトリアがきちんと私に報告してくれたおかげで、ローザお嬢様が危険にさらされる事態を未然に防ぐことができました」
「はい……」
ダメって言われてることをやろうとしちゃいましたし、あたし、きっと怒られちゃいますよね。
で、でもギルドに行かないと指名依頼を確認できないですし、わざわざあたしを指名したってことは、きっと何か困っていて、あたしに解決してほしいってことのはずです。
だからずっと放っておいたらかわいそうですよね?
それに冒険者ギルドからの手紙をあたしが受け取ったことを冒険者ギルドの人たちは知っているはずですから、きっと冒険者ギルドの偉い人から怒られちゃうはずです。
困っていると、ラダさんのほうから口を開きます。
「ローザお嬢様、冒険者ギルドに向かわれる予定だとお伺いしておりますが?」
「は、はい。その、用事があるんです」
「はい」
「だから、その、お出かけしたいんですけど……」
「はい」
ど、どうしましょう。ラダさんがまたニコニコしながら少し怒っているような感じになっちゃいました。
「えっと、お出かけしちゃダメですか?」
「外出なさるのであれば、正式な護衛騎士を伴っていただく必要があります」
「えっと、その……」
「そうでなければ外出を許可することはできません」
ど、どうしましょう。取り付く島もありません。
あたしが困っていると、ヴィーシャさんが大きなため息をつきました。
「ローザ、その正式な護衛騎士が目の前にいるじゃないか」
「えっ? あ……えっと、その、いいんですか?」
「最初からそのつもりで来てくれてるんだよ」
「えっ? その、ありがとうございます」
「何がでございましょう?」
あたしがお礼を言うと、ラダさんはニコニコした表情のまま聞き返してきました。
「えっと、その、一緒に来てくれるんですよね?」
「ローザお嬢様のご命令とあらば」
「えっと……じゃ、じゃあ、一緒に来てもらえませんか?」
するとラダさんはふっと小さく、ですが優しく微笑みました。
「かしこまりました。それではお供いたします」
「は、はい。よろしくお願いします」
こうしてあたしたちはラダさんと一緒に冒険者ギルドへと向かうのでした。
================
【ご報告】現在、本作テイマー少女の逃亡日記のコミカライズ企画が進行中です。ここまでたどり着けたのはすべて、暖かく応援していただい読者の皆様のおかげです。
この場を借りて御礼申し上げます。どうもありがとうございました。
レーベルなどの詳細につきましては公式側の発表を待ち、改めてご報告させていただきます。
なお、それに伴い、執筆のリソースをしばらくの間コミカライズに向けた準備作業に振り向けます。来週の土曜日も更新できるように努力いたしますが、間に合わない可能性もございます。予めご了承ください。
また、アルファポリス様の利用規約に従い、本作はコミカライズの第一話が公開された時点で公開を停止いたします。
今後ともカクヨム様では公開を続けますので、続きを読みたいという場合はぜひ、カクヨム様をご利用ください。
https://kakuyomu.jp/works/1177354055396399574
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あたしもなんだか背中が痒くなっちゃいました。
えっと、はい。それでですね。やっと週末になって、宿題もちゃんと終わらせたので、今日は冒険者ギルドに指名依頼の確認に行こうと思います。
一緒に行ってもらうのはですね。ヴィーシャさんにお願いしました。実はリリアちゃんも誘っていて、行きたいって言ってくれたんですけどね。でも今週は家族の人とお城に呼ばれているらしくって、残念ですけど都合が合わなかったんです。
一緒に町にお出かけできるのをちょっと楽しみにしてたんですけど、仕方ありません。
……あっ! そろそろ約束の時間ですね。待ち合わせは一階のロビーなので、早く出発しないと。
それじゃあ、いってきます。
◆◇◆
「ヴィーシャさん、おはようございます」
一階のロビーに行くと、もうそこにはすでにヴィーシャさんが待っていました。ヴィーシャさんはアタシに気が付いて、すぐに手を振って挨拶を返してくれます。
「ああ、おはよう。ローザ」
あれ? ヴィーシャさんの隣にラダさんがいます。どうしたんでしょうか?
「おはようございます、ラダさん」
「おはようございます、ローザお嬢様」
「……」
「……」
挨拶を返してくれましたが、ラダさんはそのまま無言でじっとあたしのほうを見つめてきます。
あれれ? なんだかちょっと怒っているような?
「その、ラダさん?」
「はい、なんでしょう?」
「えっと、どうしてここに?」
するとラダさんはニッコリと微笑んできましたが、やっぱりなんだかいつもと違って無言の圧力を掛けられているような気がします。
「え、えっと……」
するとヴィーシャさんが横から口を挟んできます。
「ローザ、師匠……ラダさんはね。ローザが私を誘って、冒険者ギルドに行くって知っているんだよ」
「えっ?」
えっと、どういうことでしょう? 何かのヒントでしょうか?
えっと、えっと……?
あたしが悩んでいるのを見て、ラダさんは小さくため息をつきました。
「仕方ありませんね。きっと正しく伝わっていなかったのでしょう」
「え?」
「ローザお嬢様、たしかに公爵閣下のお言いつけを守り、お一人で向かおうとなさらなかったことはよろしいかと存じます。ですが公爵閣下がおっしゃったのは、正式な護衛騎士を必ず連れて行くように、ということでございます。このヴィクトリア・コドルツィはまだ正式な護衛騎士ではありませんので、本日の外出は許可できません」
「えっ? あ……」
そういえば……ヴィーシャさん、まだ騎士じゃないんでした。なんだか騎士とお嬢様の真似をしていたせいですっかり忘れていました。
「ご、ごめんなさい。あたし……」
「いえ。ヴィクトリアがきちんと私に報告してくれたおかげで、ローザお嬢様が危険にさらされる事態を未然に防ぐことができました」
「はい……」
ダメって言われてることをやろうとしちゃいましたし、あたし、きっと怒られちゃいますよね。
で、でもギルドに行かないと指名依頼を確認できないですし、わざわざあたしを指名したってことは、きっと何か困っていて、あたしに解決してほしいってことのはずです。
だからずっと放っておいたらかわいそうですよね?
それに冒険者ギルドからの手紙をあたしが受け取ったことを冒険者ギルドの人たちは知っているはずですから、きっと冒険者ギルドの偉い人から怒られちゃうはずです。
困っていると、ラダさんのほうから口を開きます。
「ローザお嬢様、冒険者ギルドに向かわれる予定だとお伺いしておりますが?」
「は、はい。その、用事があるんです」
「はい」
「だから、その、お出かけしたいんですけど……」
「はい」
ど、どうしましょう。ラダさんがまたニコニコしながら少し怒っているような感じになっちゃいました。
「えっと、お出かけしちゃダメですか?」
「外出なさるのであれば、正式な護衛騎士を伴っていただく必要があります」
「えっと、その……」
「そうでなければ外出を許可することはできません」
ど、どうしましょう。取り付く島もありません。
あたしが困っていると、ヴィーシャさんが大きなため息をつきました。
「ローザ、その正式な護衛騎士が目の前にいるじゃないか」
「えっ? あ……えっと、その、いいんですか?」
「最初からそのつもりで来てくれてるんだよ」
「えっ? その、ありがとうございます」
「何がでございましょう?」
あたしがお礼を言うと、ラダさんはニコニコした表情のまま聞き返してきました。
「えっと、その、一緒に来てくれるんですよね?」
「ローザお嬢様のご命令とあらば」
「えっと……じゃ、じゃあ、一緒に来てもらえませんか?」
するとラダさんはふっと小さく、ですが優しく微笑みました。
「かしこまりました。それではお供いたします」
「は、はい。よろしくお願いします」
こうしてあたしたちはラダさんと一緒に冒険者ギルドへと向かうのでした。
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【ご報告】現在、本作テイマー少女の逃亡日記のコミカライズ企画が進行中です。ここまでたどり着けたのはすべて、暖かく応援していただい読者の皆様のおかげです。
この場を借りて御礼申し上げます。どうもありがとうございました。
レーベルなどの詳細につきましては公式側の発表を待ち、改めてご報告させていただきます。
なお、それに伴い、執筆のリソースをしばらくの間コミカライズに向けた準備作業に振り向けます。来週の土曜日も更新できるように努力いたしますが、間に合わない可能性もございます。予めご了承ください。
また、アルファポリス様の利用規約に従い、本作はコミカライズの第一話が公開された時点で公開を停止いたします。
今後ともカクヨム様では公開を続けますので、続きを読みたいという場合はぜひ、カクヨム様をご利用ください。
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