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第三章
第三章第53話 お肉を狩りました
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朝起きると、ゴブリンの死体はしっかり片づけられていました。燃やしてからちょっと離れた場所に運んで埋めてくれたそうです。
朝食は各自で持ってきたものを食べることになっているので、あたしはパンと干し肉をサンドイッチにしたものをかじっています。
すると、マリウスさんたちが何やら不穏なことを話しているのが聞こえてきました。
「向こうから来たってことは、他にもいるかもしれないぞ?」
「そうですね。もっと狩ってやりましょう。他の班には負けられません」
あの、もうゴブリンを倒したんですから、合格なんじゃないでしょうか?
わざわざそんなことしなくても、もう帰ったほうがいい気がしますけど……。
「ロクサーナ様、昨晩はゴブリンを三匹狩りました。今日はより多くの成果を得られるよう、ゴブリンどもの来た方向を探します」
「あら? そうだったんですの? なら今日はわたくしも参りますわ」
「はい。しかとお守りいたします」
なんだか話が勝手に進んでいきますけど、演習なのでみんな一人一匹くらい魔物を倒したほうがいいのかもしれません。
あたしたち女子は戦わせてもらえなさそうですけど。
こうしてあたしたちは今日も森に入り、魔物を探すことになったのでした。
◆◇◆
あたしはピーちゃんを頭に乗せて歩いています。ユキは偵察に行ってくれていて、ホーちゃんは昨晩頑張ってくれたので今はテントで休んでもらっています。
それにしてもマリウスさんたち、適当に歩いているように見えるんですけど、大丈夫でしょうか?
そのまま一時間くらい歩いていると、突然ユキから呼ばれた様な気がしました。
あれ? これ、なんでしょうね?
気になったあたしはホーちゃんのときと同じように、意識を同調させてみます。
……あれ? 鹿が見えますね。もしかして呼んでくれたんでしょうか?
えっと、あっちのほうですね。
「あ、あのっ!」
「あら? もしや、あの白猫が魔物を見つけたんですの?」
「あ、いえ」
するとロクサーナさんは見るからに落胆した様子になりました。
魔物なんて会わないほうがいいと思いますけど、今は演習中なのでなんだか複雑な気分です。
「そうじゃなくて、鹿を見つけてくれました。ちょっと行って狩ってきたいんですけど……」
「鹿ですの? いいですわね。わたくし、鹿肉のステーキは大好物ですわ」
「鹿などそう簡単に狩れるものではないだろう。囲んで追い込むのか?」
「あ、えっと、あたし一人でやるので大丈夫です。ちょっと待っててください」
「何? 待て!」
あたしが森の中へ入ろうとすると、ヴァシリオスさんに止められてしまいました。
「え?」
「女が一人で行動するなど、何かあったらどうするつもりだ! 俺たちも行く」
「あ、えっと……はい……」
あまり大人数で移動すると見つかっちゃいそうなので、いつもより遠目から狙うことにしましょう。
「じゃ、じゃあ、こっちです」
なるべく音を立てないように移動しているんですが、ぞろぞろとついてくるので意味がありません。
えっと、じゃあ……。
再びユキに意識を同調させると、鹿が少し移動しています。
……あれ? あの位置なら?
あたしは少し戻り、大きな岩を足場にして木によじ登りました。
すると遠くのほうの開けた場所に鹿の群れがいるのを発見しました。
間違いないです。あれがユキの見つけてくれた鹿ですね。
えへへ、見えているならもうこっちのものです。
まずはレーザー光で鹿に照準を合わせます。
あ! ちょっと遠いですから、強めに撃ったほうがいいかもしれませんね。
えい!
あたしはいつもよりも魔力をたくさん込めて魔力弾を撃ちました。すると魔力弾は鹿の頭に命中し、その頭部を吹き飛ばしました。
あ、あれれ? ちょっと強すぎちゃったみたいです。
でも、あれなら即死のはずですよね。急いで回収しにいきましょう。
えへへ、今日の晩ご飯は鹿の丸焼きですよ。
あたしが木から降りると、ロクサーナさんたちは困惑したような表情であたしを見ています。
「あ、えっと、仕留めたので取りに行ってきます」
「はっ?」
「え?」
「なんだと!?」
驚いていますが、そんなのは後回しです。早く処理をしないとお肉が不味くなっちゃいますからね。
あたしは仕留めた鹿のところへ足早に向かうのでした。
◆◇◆
仕留めた鹿のところへ行くと、ユキがもう鹿を氷漬けにしてくれていました。こうやって冷やせば多少血抜きが遅れても臭くなりづらいんです。
「ユキ、ありがとうございます」
「ミャー」
あたしがお礼を言って頭を撫でると、ユキは気持ちよさそうに目を細めます。
「な、なんだこの死体は……」
「あの白猫の従魔がやったのか?」
「頭が吹き飛んでやがる。白猫の従魔、あんなに強かったのか……」
あれ? ユキが全部やったって勘違いされているみたいです。
……あ! そういえば視界を共有して狙撃するのも見られちゃダメって言われてたような?
えっと、えっと、どうしたら……。
あ! そうですよ。ユキがやったって思われてるんですから、そのままにしちゃえばいいんですよ!
「あの、血抜きをしたいんですけど、手伝ってくれませんか?」
「血抜き?」
「はい。ユキ、氷を溶かしてください」
「ミャッ」
ユキが鹿を冷やしていた氷を溶かしてくれます。
「それで、鹿の後ろ脚をこうやって縛って、木の枝にぶら下げるんです」
「わかった。せーのっ」
ヴァシリオスさんがアイオネルさんと協力して鹿を持ち上げてくれました。
「はい、それでそこの枝に」
「よし。いくぞ、せーのっ!」
鹿が枝にしっかりと吊るされた状態になりました。
「あとは、こことここの血管を切ってください」
「こうか?」
「はい。そうです。あとは放っておくと血が抜けるので、お肉が臭くならずに済むんです」
「まぁ、鹿はこのようにして処理されているんですね。わたくし、知りませんでしたわ」
ロクサーナさんは興味津々な様子で吊るされた鹿を見ています。
「ユキ」
「ミャッ」
ユキは鹿の体をうっすらと凍らせてくれます。
「これは何をしているんですの?」
「これもお肉が臭くならないようにするためです。血が垂れてこなくなったらすぐに内臓も取ります」
「そう。こんなに詳しいだなんて、ローザ、本物の冒険者みたいですわ」
ロクサーナさんはそう言ってキラキラした目であたしを見てきます。
あの、あたしこれでも冒険者なんですけど……。
朝食は各自で持ってきたものを食べることになっているので、あたしはパンと干し肉をサンドイッチにしたものをかじっています。
すると、マリウスさんたちが何やら不穏なことを話しているのが聞こえてきました。
「向こうから来たってことは、他にもいるかもしれないぞ?」
「そうですね。もっと狩ってやりましょう。他の班には負けられません」
あの、もうゴブリンを倒したんですから、合格なんじゃないでしょうか?
わざわざそんなことしなくても、もう帰ったほうがいい気がしますけど……。
「ロクサーナ様、昨晩はゴブリンを三匹狩りました。今日はより多くの成果を得られるよう、ゴブリンどもの来た方向を探します」
「あら? そうだったんですの? なら今日はわたくしも参りますわ」
「はい。しかとお守りいたします」
なんだか話が勝手に進んでいきますけど、演習なのでみんな一人一匹くらい魔物を倒したほうがいいのかもしれません。
あたしたち女子は戦わせてもらえなさそうですけど。
こうしてあたしたちは今日も森に入り、魔物を探すことになったのでした。
◆◇◆
あたしはピーちゃんを頭に乗せて歩いています。ユキは偵察に行ってくれていて、ホーちゃんは昨晩頑張ってくれたので今はテントで休んでもらっています。
それにしてもマリウスさんたち、適当に歩いているように見えるんですけど、大丈夫でしょうか?
そのまま一時間くらい歩いていると、突然ユキから呼ばれた様な気がしました。
あれ? これ、なんでしょうね?
気になったあたしはホーちゃんのときと同じように、意識を同調させてみます。
……あれ? 鹿が見えますね。もしかして呼んでくれたんでしょうか?
えっと、あっちのほうですね。
「あ、あのっ!」
「あら? もしや、あの白猫が魔物を見つけたんですの?」
「あ、いえ」
するとロクサーナさんは見るからに落胆した様子になりました。
魔物なんて会わないほうがいいと思いますけど、今は演習中なのでなんだか複雑な気分です。
「そうじゃなくて、鹿を見つけてくれました。ちょっと行って狩ってきたいんですけど……」
「鹿ですの? いいですわね。わたくし、鹿肉のステーキは大好物ですわ」
「鹿などそう簡単に狩れるものではないだろう。囲んで追い込むのか?」
「あ、えっと、あたし一人でやるので大丈夫です。ちょっと待っててください」
「何? 待て!」
あたしが森の中へ入ろうとすると、ヴァシリオスさんに止められてしまいました。
「え?」
「女が一人で行動するなど、何かあったらどうするつもりだ! 俺たちも行く」
「あ、えっと……はい……」
あまり大人数で移動すると見つかっちゃいそうなので、いつもより遠目から狙うことにしましょう。
「じゃ、じゃあ、こっちです」
なるべく音を立てないように移動しているんですが、ぞろぞろとついてくるので意味がありません。
えっと、じゃあ……。
再びユキに意識を同調させると、鹿が少し移動しています。
……あれ? あの位置なら?
あたしは少し戻り、大きな岩を足場にして木によじ登りました。
すると遠くのほうの開けた場所に鹿の群れがいるのを発見しました。
間違いないです。あれがユキの見つけてくれた鹿ですね。
えへへ、見えているならもうこっちのものです。
まずはレーザー光で鹿に照準を合わせます。
あ! ちょっと遠いですから、強めに撃ったほうがいいかもしれませんね。
えい!
あたしはいつもよりも魔力をたくさん込めて魔力弾を撃ちました。すると魔力弾は鹿の頭に命中し、その頭部を吹き飛ばしました。
あ、あれれ? ちょっと強すぎちゃったみたいです。
でも、あれなら即死のはずですよね。急いで回収しにいきましょう。
えへへ、今日の晩ご飯は鹿の丸焼きですよ。
あたしが木から降りると、ロクサーナさんたちは困惑したような表情であたしを見ています。
「あ、えっと、仕留めたので取りに行ってきます」
「はっ?」
「え?」
「なんだと!?」
驚いていますが、そんなのは後回しです。早く処理をしないとお肉が不味くなっちゃいますからね。
あたしは仕留めた鹿のところへ足早に向かうのでした。
◆◇◆
仕留めた鹿のところへ行くと、ユキがもう鹿を氷漬けにしてくれていました。こうやって冷やせば多少血抜きが遅れても臭くなりづらいんです。
「ユキ、ありがとうございます」
「ミャー」
あたしがお礼を言って頭を撫でると、ユキは気持ちよさそうに目を細めます。
「な、なんだこの死体は……」
「あの白猫の従魔がやったのか?」
「頭が吹き飛んでやがる。白猫の従魔、あんなに強かったのか……」
あれ? ユキが全部やったって勘違いされているみたいです。
……あ! そういえば視界を共有して狙撃するのも見られちゃダメって言われてたような?
えっと、えっと、どうしたら……。
あ! そうですよ。ユキがやったって思われてるんですから、そのままにしちゃえばいいんですよ!
「あの、血抜きをしたいんですけど、手伝ってくれませんか?」
「血抜き?」
「はい。ユキ、氷を溶かしてください」
「ミャッ」
ユキが鹿を冷やしていた氷を溶かしてくれます。
「それで、鹿の後ろ脚をこうやって縛って、木の枝にぶら下げるんです」
「わかった。せーのっ」
ヴァシリオスさんがアイオネルさんと協力して鹿を持ち上げてくれました。
「はい、それでそこの枝に」
「よし。いくぞ、せーのっ!」
鹿が枝にしっかりと吊るされた状態になりました。
「あとは、こことここの血管を切ってください」
「こうか?」
「はい。そうです。あとは放っておくと血が抜けるので、お肉が臭くならずに済むんです」
「まぁ、鹿はこのようにして処理されているんですね。わたくし、知りませんでしたわ」
ロクサーナさんは興味津々な様子で吊るされた鹿を見ています。
「ユキ」
「ミャッ」
ユキは鹿の体をうっすらと凍らせてくれます。
「これは何をしているんですの?」
「これもお肉が臭くならないようにするためです。血が垂れてこなくなったらすぐに内臓も取ります」
「そう。こんなに詳しいだなんて、ローザ、本物の冒険者みたいですわ」
ロクサーナさんはそう言ってキラキラした目であたしを見てきます。
あの、あたしこれでも冒険者なんですけど……。
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