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第三章
第三章第51話 ピーちゃんが人気者です
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2022/07/31 ミス(人物の取り違え)を修正しました
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女子用のテントに入りました。もうベティーナさんは眠る準備をしています。
それからロクサーナさんのものだと思いますが、見るからに高級そうな寝袋が置かれています。
えっと、じゃああたしはここですね。
オーデルラーヴァからずっと使っている寝袋を空いている場所に広げます。
「ピーちゃん、お願いします」
「ピッ!」
腰を下ろすとピーちゃん全身に纏わりつき、汚れをきれいにしていってくれます。全身をくまなくマッサージまでしてくれて、とっても気持ちいいです。
あれ? なんだかロクサーナさんから話しかけられているような?
「んっ……ふぅ。ピーちゃん、ちょっとストップです。ロクサーナさん、すみません。あの、今話しかけていましたか?」
「ですから、それは何をしているんですの?」
「あ、これですか? ピーちゃんに今日一日の汚れをきれいにしてもらっているんです」
「汚れを?」
「はい」
「……随分気持ちよさそうでしたわね」
「マッサージもしてくれますから、気持ちいいですよ」
「そうなんですのね……」
ロクサーナさんが何かを言いたげにこっちを見てきます。
「えっと、もし良かったら……」
「あら? いいんですの? 悪いですわねぇ。でもせっかくですし、お願いしようかしら」
「わかりました。ちょっと待ってください。ピーちゃん、続きを」
「ピッ!」
ピーちゃんがまだ終わっていない部分もきれいにしてくれました。そしてすぐにピーちゃんはロクサーナさんの前へと移動します。
「ピピッ!」
「さあ、頼みますわよ」
「ピッ!」
ピーちゃんがロクサーナさんに纏わりつきました。するとロクサーナさんはすぐに恍惚とした表情を浮かべます。
「あっ……んっ、ああっ! そこは! ああんっ」
……なんだか、すごく気持ちよさそうです。
でも、あそこまで大きな声を出すほどの気持ちよさではないと思うんですけど……。
「んっ、んっ、あっ」
ロクサーナさんは思わず声が出ているみたいです。
普段、マッサージとか受けないんでしょうか?
あたしよりは受ける機会がありそうな気もしますけど。
あれ? もしかしていつもマッサージしてもらうとあんな感じなんでしょうか?
気持ちよさそうにしているロクサーナさんを見て、ベティーナさんも興味津々なようで、おずおずと話しかけてきました。
「あ、あのさ。もしよかったら私も……」
「はい」
それからしばらくすると、つま先から髪の毛までロクサーナさんの全身をきれいにし終えたピーちゃんがするりとその体から離れました。
ロクサーナさんははぁはぁと息を切らし、高そうな寝袋の上に体を横たえています。
「あの、ピーちゃん。ベティーナさんも……」
「ピ? ピピッ!」
ピーちゃんがぴょんとジャンプしてベティーナさんの前に着地しました。
「ピッ!」
「あ、それじゃあ、お願いね」
「ピピッ!」
ピーちゃんがベティーナさんの体に纏わりついていきます。
「あ……これ……気持ちいい」
ベティーナさんはリラックスした様子で目を細めます。
「ん……ふぅ……」
そのままベティーナさんは寝袋の上で横になり、まぶたを閉じました。
するときれいにし終えたようで、ピーちゃんがベティーナさんから離れました。
「ピピッ!」
「ピーちゃん、ありがとうございます」
「ピッ!」
気にするな、とでも言わんばかりに体の一部を伸ばし、フルフルと横に振ります。
それにしても、ピーちゃんにきれいにしてもらうと髪の艶が本当に変わりますね。
ロクサーナさんの青い髪は今までもつやつやしていましたけど、さらにつやつやになったうえにサラサラです。
ベティーナさんの赤髪も堀を掘ったときについた汚れとかがさっぱりきれいに落ちて、つやつやになっています。
「ああ、気持ちよかったですわ。本当にわたくし、その子が欲しくなってしまいましたわ」
「ピピッ!?」
ピーちゃんがビクンとなり、慌ててあたしの後ろに隠れました。
「ああ、ご安心なさい。その子を奪ったらレジーナさんに怒られてしまいますもの。きちんとお父さまにお願いして、スライムの従魔を手配してもらいますわ」
お友達を手配するって……あたしにはよく分からない感覚です。
「わたくしはそろそろ眠りますわ。おやすみなさい」
ロクサーナさんはそう言うと高そうな寝袋の中にするりと潜り込みました。
「あ、えっと、じゃああたしも。おやすみなさい」
「おやすみなさい」
ベティーナさんも寝るみたいです。
「ユキ、ピーちゃん」
「ミャッ」
「ピッ」
あたしも寝袋の中へ潜り込みました。もちろん枕はピーちゃんで、ユキはあたしの首元で半分だけ寝袋の中に一緒に入っています。
えへへ、やっぱりこの体勢が一番落ち着きますね。
それじゃあ、おやすみなさい。
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女子用のテントに入りました。もうベティーナさんは眠る準備をしています。
それからロクサーナさんのものだと思いますが、見るからに高級そうな寝袋が置かれています。
えっと、じゃああたしはここですね。
オーデルラーヴァからずっと使っている寝袋を空いている場所に広げます。
「ピーちゃん、お願いします」
「ピッ!」
腰を下ろすとピーちゃん全身に纏わりつき、汚れをきれいにしていってくれます。全身をくまなくマッサージまでしてくれて、とっても気持ちいいです。
あれ? なんだかロクサーナさんから話しかけられているような?
「んっ……ふぅ。ピーちゃん、ちょっとストップです。ロクサーナさん、すみません。あの、今話しかけていましたか?」
「ですから、それは何をしているんですの?」
「あ、これですか? ピーちゃんに今日一日の汚れをきれいにしてもらっているんです」
「汚れを?」
「はい」
「……随分気持ちよさそうでしたわね」
「マッサージもしてくれますから、気持ちいいですよ」
「そうなんですのね……」
ロクサーナさんが何かを言いたげにこっちを見てきます。
「えっと、もし良かったら……」
「あら? いいんですの? 悪いですわねぇ。でもせっかくですし、お願いしようかしら」
「わかりました。ちょっと待ってください。ピーちゃん、続きを」
「ピッ!」
ピーちゃんがまだ終わっていない部分もきれいにしてくれました。そしてすぐにピーちゃんはロクサーナさんの前へと移動します。
「ピピッ!」
「さあ、頼みますわよ」
「ピッ!」
ピーちゃんがロクサーナさんに纏わりつきました。するとロクサーナさんはすぐに恍惚とした表情を浮かべます。
「あっ……んっ、ああっ! そこは! ああんっ」
……なんだか、すごく気持ちよさそうです。
でも、あそこまで大きな声を出すほどの気持ちよさではないと思うんですけど……。
「んっ、んっ、あっ」
ロクサーナさんは思わず声が出ているみたいです。
普段、マッサージとか受けないんでしょうか?
あたしよりは受ける機会がありそうな気もしますけど。
あれ? もしかしていつもマッサージしてもらうとあんな感じなんでしょうか?
気持ちよさそうにしているロクサーナさんを見て、ベティーナさんも興味津々なようで、おずおずと話しかけてきました。
「あ、あのさ。もしよかったら私も……」
「はい」
それからしばらくすると、つま先から髪の毛までロクサーナさんの全身をきれいにし終えたピーちゃんがするりとその体から離れました。
ロクサーナさんははぁはぁと息を切らし、高そうな寝袋の上に体を横たえています。
「あの、ピーちゃん。ベティーナさんも……」
「ピ? ピピッ!」
ピーちゃんがぴょんとジャンプしてベティーナさんの前に着地しました。
「ピッ!」
「あ、それじゃあ、お願いね」
「ピピッ!」
ピーちゃんがベティーナさんの体に纏わりついていきます。
「あ……これ……気持ちいい」
ベティーナさんはリラックスした様子で目を細めます。
「ん……ふぅ……」
そのままベティーナさんは寝袋の上で横になり、まぶたを閉じました。
するときれいにし終えたようで、ピーちゃんがベティーナさんから離れました。
「ピピッ!」
「ピーちゃん、ありがとうございます」
「ピッ!」
気にするな、とでも言わんばかりに体の一部を伸ばし、フルフルと横に振ります。
それにしても、ピーちゃんにきれいにしてもらうと髪の艶が本当に変わりますね。
ロクサーナさんの青い髪は今までもつやつやしていましたけど、さらにつやつやになったうえにサラサラです。
ベティーナさんの赤髪も堀を掘ったときについた汚れとかがさっぱりきれいに落ちて、つやつやになっています。
「ああ、気持ちよかったですわ。本当にわたくし、その子が欲しくなってしまいましたわ」
「ピピッ!?」
ピーちゃんがビクンとなり、慌ててあたしの後ろに隠れました。
「ああ、ご安心なさい。その子を奪ったらレジーナさんに怒られてしまいますもの。きちんとお父さまにお願いして、スライムの従魔を手配してもらいますわ」
お友達を手配するって……あたしにはよく分からない感覚です。
「わたくしはそろそろ眠りますわ。おやすみなさい」
ロクサーナさんはそう言うと高そうな寝袋の中にするりと潜り込みました。
「あ、えっと、じゃああたしも。おやすみなさい」
「おやすみなさい」
ベティーナさんも寝るみたいです。
「ユキ、ピーちゃん」
「ミャッ」
「ピッ」
あたしも寝袋の中へ潜り込みました。もちろん枕はピーちゃんで、ユキはあたしの首元で半分だけ寝袋の中に一緒に入っています。
えへへ、やっぱりこの体勢が一番落ち着きますね。
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