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第三章
第三章第48話 お料理をします
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今日は簡単なごった煮スープを作る予定なので、まずは野菜を切ろうと思います。
まずは玉ねぎの皮をむいて、それから食べやすい大きさに……。
「えっ!?」
包丁を少し当てただけで玉ねぎがあっさりと切れてしまいました。
まるでお水に包丁を入れたみたいな感覚です。
えっと、いくら切れ味が良くなるっていっても、これはちょっと良くなりすぎじゃないですか?
こんなに切れる包丁は初めてです。
それからニンジンの皮をむくんですが……これもちょっと切れすぎて怖いです。
ちょっと手を滑らせたら指ごとスパッと切れちゃいそうです。
だから慎重に、慎重に……。
それとジャガイモも入れるんですが、これは泥を落とさないと食べられません。
お水で洗うんですが……。
「ピッ!」
ピーちゃんがジャガイモを差し出してくれていますが、なんと汚れが見当たりません。
「あれ? もしかしてピーちゃんが綺麗にしてくれたんですか?」
「ピピッ!」
ピーちゃんはまるで自慢するかのように体をフルフルさせています。
「ピーちゃん、ありがとうございます」
「ピピッ!」
あたしはお礼を言うと、ジャガイモを食べやすい大きさに切っていきます。
もちろんこの魔道具の包丁のおかげでほとんど力を入れずなくても切れるため、あっという間に終わってしまいました。
えっと……あとはお水が来てからにしましょう。
そう思っていると、ユキとホーちゃんが帰ってきました。それぞれウサギを一羽捕まえてきてくれています。
「ホー!」
「ミャッ」
「ユキ、ホーちゃん、ありがとうございます」
あたしがお礼を言うと、ユキたちは再び森へと向かっていきます。
えっと、血抜きは……やってくれていますね。首筋と尻尾が切られていて、逆さにしても血が垂れてきません。
あたしはすぐにウサギを解体し、使えるお肉だけを取り出します。
「ピッ」
捨てる部分はピーちゃんが全部食べてくれるので後片付けも簡単です。
そうしてお肉を盛り付け、しばらく待っているとお水を汲みに行った人たちが戻ってきました。
「ローザ、水を汲んできましたわ」
ロクサーナさんがそう言っていますが、水の入った大きなバケツを運んでいるのはゼノさん、パヴェルさん、そしてアイオネルさんです。
三人ともとても大きなバケツを二つも運んでいるのでとても大変そうです。
特にゼノさんとパヴェルさんは汗だくになっていて大変そうですけど……やっぱり二人は視線が……。
ゼノさんはじっと胸を見ているわけじゃないのになんだか悪寒が走りますし、パヴェルさんは相変わらず胸をチラチラと見てきます。
えっと……はい。仕方ないですね。
「ありがとうございます。そこに置いておいてもらえますか?」
「ローザの言った場所に置いてくださる?」
よく分かりませんがロクサーナさんが三人に指示をし、三人はそれに従って水がたっぷり入ったバケツを置きました。
えっと……もしかして指示をしたから自分でやった、ということなんでしょうか?
するとロクサーナさんが周りをキョロキョロと見回します。
「あら? 設営担当の者がもう一人いたはずですわね」
「えっと、アレックさんは……」
「ピッ!」
ピーちゃんがテントのほうを指し示します。
「え?」
ロクサーナさんはピーちゃんを見て驚きの表情を浮かべました。それからピーちゃんの指示したほうを確認します。
「あれ? あの者は何をしているんですの?」
「えっと、よくわからないんですけど――」
あたしはいきさつを説明しました。するとロクサーナさんは呆れたような表情を浮かべます。
「もう、仕方がありませんわね。あの者は数として考えないようにしましょう。テントの中にでも閉じ込めておけばいいのですわ」
えっと、そうですね。歩き回られて怪我でもされたら大変ですし……。
そう思っていると、ユキたちが再び獲物を捕まえて戻ってきました。今度もウサギです。
「ミャッ」
「ホー!」
「あ! ありがとうございます。こっちは丸焼きにしますね」
ユキたちは嬉しそうにしています。
「まあ! すごいですわね! 捕まえてきたんですの?」
「はい。そこのスープに入れるお肉も捕まえてきてくれたんです」
「従魔ってすごいんですのね」
感心したようにそう言ったロクサーナさんはユキを見て目を細めます。
「わたくしもこんな可愛らしい従魔が欲しいですわね」
「ミャッ!?」
ユキは驚き、さっとあたしの後ろに隠れてしまいました。
「あら? 言葉が分かっているのかしら? わたくし、ローザのものを奪ったりしませんわ。レジーナ様に怒られてしまいますもの」
「は、はい……」
えっと、それってレジーナさんに怒られないなら……。
「今は何を作っているんですの?」
「え? あ、はい。えっと、塩味のスープと、それからこの二羽は丸焼きにします」
「まあ! 丸焼き! 楽しみですわね。どんな盛り付けになるんでしょう」
えっと、丸焼きなので適当に切って食べるだけですけど……。
「あら、わたくしったら。準備の邪魔をしてしまいましたわ。ローザ、期待していますわよ」
「は、はい……」
ロクサーナさんはそう言うと女子用テントのほうへと歩いていったのでした。
まずは玉ねぎの皮をむいて、それから食べやすい大きさに……。
「えっ!?」
包丁を少し当てただけで玉ねぎがあっさりと切れてしまいました。
まるでお水に包丁を入れたみたいな感覚です。
えっと、いくら切れ味が良くなるっていっても、これはちょっと良くなりすぎじゃないですか?
こんなに切れる包丁は初めてです。
それからニンジンの皮をむくんですが……これもちょっと切れすぎて怖いです。
ちょっと手を滑らせたら指ごとスパッと切れちゃいそうです。
だから慎重に、慎重に……。
それとジャガイモも入れるんですが、これは泥を落とさないと食べられません。
お水で洗うんですが……。
「ピッ!」
ピーちゃんがジャガイモを差し出してくれていますが、なんと汚れが見当たりません。
「あれ? もしかしてピーちゃんが綺麗にしてくれたんですか?」
「ピピッ!」
ピーちゃんはまるで自慢するかのように体をフルフルさせています。
「ピーちゃん、ありがとうございます」
「ピピッ!」
あたしはお礼を言うと、ジャガイモを食べやすい大きさに切っていきます。
もちろんこの魔道具の包丁のおかげでほとんど力を入れずなくても切れるため、あっという間に終わってしまいました。
えっと……あとはお水が来てからにしましょう。
そう思っていると、ユキとホーちゃんが帰ってきました。それぞれウサギを一羽捕まえてきてくれています。
「ホー!」
「ミャッ」
「ユキ、ホーちゃん、ありがとうございます」
あたしがお礼を言うと、ユキたちは再び森へと向かっていきます。
えっと、血抜きは……やってくれていますね。首筋と尻尾が切られていて、逆さにしても血が垂れてきません。
あたしはすぐにウサギを解体し、使えるお肉だけを取り出します。
「ピッ」
捨てる部分はピーちゃんが全部食べてくれるので後片付けも簡単です。
そうしてお肉を盛り付け、しばらく待っているとお水を汲みに行った人たちが戻ってきました。
「ローザ、水を汲んできましたわ」
ロクサーナさんがそう言っていますが、水の入った大きなバケツを運んでいるのはゼノさん、パヴェルさん、そしてアイオネルさんです。
三人ともとても大きなバケツを二つも運んでいるのでとても大変そうです。
特にゼノさんとパヴェルさんは汗だくになっていて大変そうですけど……やっぱり二人は視線が……。
ゼノさんはじっと胸を見ているわけじゃないのになんだか悪寒が走りますし、パヴェルさんは相変わらず胸をチラチラと見てきます。
えっと……はい。仕方ないですね。
「ありがとうございます。そこに置いておいてもらえますか?」
「ローザの言った場所に置いてくださる?」
よく分かりませんがロクサーナさんが三人に指示をし、三人はそれに従って水がたっぷり入ったバケツを置きました。
えっと……もしかして指示をしたから自分でやった、ということなんでしょうか?
するとロクサーナさんが周りをキョロキョロと見回します。
「あら? 設営担当の者がもう一人いたはずですわね」
「えっと、アレックさんは……」
「ピッ!」
ピーちゃんがテントのほうを指し示します。
「え?」
ロクサーナさんはピーちゃんを見て驚きの表情を浮かべました。それからピーちゃんの指示したほうを確認します。
「あれ? あの者は何をしているんですの?」
「えっと、よくわからないんですけど――」
あたしはいきさつを説明しました。するとロクサーナさんは呆れたような表情を浮かべます。
「もう、仕方がありませんわね。あの者は数として考えないようにしましょう。テントの中にでも閉じ込めておけばいいのですわ」
えっと、そうですね。歩き回られて怪我でもされたら大変ですし……。
そう思っていると、ユキたちが再び獲物を捕まえて戻ってきました。今度もウサギです。
「ミャッ」
「ホー!」
「あ! ありがとうございます。こっちは丸焼きにしますね」
ユキたちは嬉しそうにしています。
「まあ! すごいですわね! 捕まえてきたんですの?」
「はい。そこのスープに入れるお肉も捕まえてきてくれたんです」
「従魔ってすごいんですのね」
感心したようにそう言ったロクサーナさんはユキを見て目を細めます。
「わたくしもこんな可愛らしい従魔が欲しいですわね」
「ミャッ!?」
ユキは驚き、さっとあたしの後ろに隠れてしまいました。
「あら? 言葉が分かっているのかしら? わたくし、ローザのものを奪ったりしませんわ。レジーナ様に怒られてしまいますもの」
「は、はい……」
えっと、それってレジーナさんに怒られないなら……。
「今は何を作っているんですの?」
「え? あ、はい。えっと、塩味のスープと、それからこの二羽は丸焼きにします」
「まあ! 丸焼き! 楽しみですわね。どんな盛り付けになるんでしょう」
えっと、丸焼きなので適当に切って食べるだけですけど……。
「あら、わたくしったら。準備の邪魔をしてしまいましたわ。ローザ、期待していますわよ」
「は、はい……」
ロクサーナさんはそう言うと女子用テントのほうへと歩いていったのでした。
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