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第三章

第三章第25話 光魔法でキレイになるのです

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 おはようございます。ローザです。治癒が上手くできるようになってからは、魔術演習の授業がとってもとっても楽しいです。

 もうですね。苦戦していたのがまるで嘘みたいに光属性の魔法が使えるようになったんですよ。

 治癒だけじゃなくって解毒も体の中にある毒を分解するイメージでやったらできましたし、それにツェツィーリエ先生の結界も使えるようになったんです。

 あ、それとですね。すごくいい魔法を思いついたんです。

 えへへ、なんだと思います?

 なんとですね。髪やお肌を守ってつやつやにしてくれる魔法が使えるようになったんですよ。

 ほら、いつもあたしの髪やお肌はピーちゃんがキレイにしてくれているじゃないですか。

 昨日の夜、いつものようにピーちゃんにキレイにしてもらっているときにふと思い出したんです。そういえば夢の世界の女の人は、太陽の光をカットしてくれるクリームを塗っていたなって。

 そうするとですね。なんとお肌が綺麗になってシミやそばかすができなくなって、日焼けしてひりひりすることもなくなるみたいなんです。

 それでですね。太陽の光をお肌まで届かないようにして、つやつやに見えるようにってやってみたらできちゃったんです。

 名付けて、美容魔法です。

 それと髪の毛もできるかなってやってみたら、こっちもできちゃいました。

 えへへ、すごくないですか?

 これであたし、ずっときれいなお肌のままでいられますよ。

 えっと、たぶん?

 ヴィーシャさんは今朝練に行っているので、リリアちゃんと一緒に食堂で朝ごはんを食べてきますね。

 もちろん、美容魔法はかけましたよ。

 それじゃあ、いってきます!

◆◇◆

「おはよう。あれ? ローザちゃん。なんだか今日はいつもよりお肌にツヤがあるような?」

 リリアちゃんのお部屋に行くと、早速気付いてくれました。

「え? えへへ、わかります? 新しい魔法を試してみたんです」
「新しい魔法?」
「はい。光属性の、お肌と髪を守ってきれいに見せる美容魔法を試してみているんです」
「ええっ!? ずるい! あたしも使いたい! いいなぁ。ローザちゃんは魔法が使えて」
「えへへ」

 リリアちゃんにも教えてあげたいんですけど、これを術式にするってどうやったらいいのかさっぱり分からないんですよね。

 やっぱり大学に行かなきゃだめでしょうか?

「絶対、あたしもいつか使えるようになるんだからねっ」
「うん。あたしも術式のお勉強、頑張りますね」

 と、そんな話をしているとヴィーシャさんが戻ってきました。

「あ、おはよう、二人とも。あれ? なんだかローザの雰囲気、変わった?」

 ヴィーシャさんも早速変化に気付いてくれました。

「そうなの。ローザちゃんがズルしてるの」
「ズル?」
「だって、ローザちゃんが魔法でお肌と髪をきれいにしてるんだよ! あたしだって光属性なのに~」
「え? ああ、そっか。あはは。でもローザは特別だからね。それよりピーちゃんに綺麗にしてもらってもいいかい?」
「あ、はい。中にいるのでお願いすればやってくれると思います」
「ありがとう! 先に行ってて」
「はい」
「ああっ! ヴィーシャったらあたしがこんなに悲しんでるのにっ!」
「ああ、はいはい。きっとリリアも使えるようになるよ」
「なんだか適当だ~」

 そうしてあたしたちは笑い合うと、ヴィーシャさんは部屋の中に、あたしたちは食堂へと向かうのでした。

◆◇◆


「あ、レジーナさん。おはようございます!」
「あら、ごきげんよう」

 食堂に行くと、レジーナさんがお友達の方々と一緒に食事をしていました。

「あら? ローザ、あなた今日雰囲気が違うんじゃなくて?」
「えへへ。わかります? 実は――」

 あたしは美容魔法を試していることを説明しました。

「まあ、魔法はやっぱり便利ですわね。ちょっとわたくしにもかけてみてちょうだい?」
「なっ! レジーナ様! そのようなことは!」
「あら、ローザがわたくしに危害を加えるとでも?」
「い、いえ。そのようなことは……」
「なら構いませんわ。さ、ローザ」
「は、はい」

 あたしは自分にやったようにレジーナさんにも魔法をかけてみます。するとレジーナさんのお肌がもちもちのつやつやに見えるようになりました。でもなんだか髪の色が少し変なような……?

「あ、あれれ?」
「どうしたんですの?」
「レジーナ様、こちらを」
「あら、ありがとう」

 レジーナさんはお友達の差し出した手鏡で自分の顔を確認します。

「あら? 髪の色がおかしいですわね」
「すみません。なんだかあたしの髪の色に合わせた感じになっちゃいました」
「あらそう。でも、素敵な魔法ですわね」
「ありがとうございます」
「ただ、この髪では出歩けませんわ。解いてよろしくてよ」
「はい」

 あたしが魔法を解くと、お肌も髪も元に戻りました。

「ローザ、この魔法はあまり……ああ、もう手遅れですわね」
「え?」

 あたしが周りを見回すと、食堂中の女子生徒たちがあたしたちのことを見ています。

「魔法を化粧に使うだなんて、あなたは本当に発想が豊かですわね。これまでのこんなことを考えた魔術師はいたかしら?」
「え、そうなんですか?」

 でも、あたしは夢のおかげで思いついただけですからね。あたしの発想がすごいわけじゃないと思うんです。

「ええ。近い将来、世の貴婦人たちが貴女に殺到しそうですわね」
「あ!」

 そんなこと思いつきもしませんでした。

「でも、もうこれだけの生徒に知られてしまいましたもの。今さら隠すなんて無理ですわよ?」

 ど、ど、どうしましょう?

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次回更新は通常どおり、2022/02/05 (土) 20:00 を予定しております。
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