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第三章
第三章第8話 どうしているんでしょうか?
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「ひゃっ!? ローザちゃん! やったなぁ~」
「えへへ。あっ!?」
「ローザ。後ろがお留守だよ」
リリアちゃんに湖の水を掛けたら、後ろからヴィーシャさんに水を掛けられました。
あたしは今、膝くらいの深さの場所でリリアちゃんとヴィーシャさんの二人と一緒に水遊びをしています。
えへへ。楽しいですね。こんな風に楽しく遊んだのは初めてかもしれません。今まではそんな余裕は全くなかったですからね。
孤児院にいたときは遊ぶどころの話じゃなかったですから。それに、森で暮らしていたときだって遊ぶような余裕はなかったですし。
こんな風に何も心配せずに遊べるなんて、本当に幸せだなって思います。
そんな幸せな状況を作ってくれているレジーナさんはさっきまでネダさんと優雅に湖を泳いでいましたが、今は湖畔で椅子に座って優雅に紅茶を飲んでいます。
あたし、水泳なんてやったことないからちょっと羨ましいです。どうやったらあんな風に泳げるんでしょうか?
そんなことを考えつつもヴィーシャさんに水を掛けて反撃をしたそのときでした。
「お、お待ちください! いくら殿下といえども!」
「なんだ? きちんと公爵殿の許可は取ったぞ?」
「そんな! お嬢様は……」
「公爵の許可があれば問題ないだろう?」
「そ、それは……」
なんだか、一番聞きたくない声が聞こえてきているような……?
「リリアちゃん……」
「うん。ローザちゃん。あの声ってもしかして……」
「王太子殿下、だね」
ヴィーシャさんが聞きたくなかったことをズバリと言い切りました。
「ううっ……」
あたしは見られたくないのでヴィーシャさんの後ろに隠れて様子を伺います。
だって、王太子様は絶対あたしの胸をジロジロ見てくるに違いありませんから。
「ちょっと! どういうことですの!? わたくし、今回はお断りしたはずですわよ?」
騒ぎを聞きつけたようで、パレオというマントのような布を羽織ったレジーナさんがかなりの剣幕でコテージのほうへと歩いていきました。すると、コテージの陰から王太子様が姿を現します。しかも、あの目が笑っていない先輩も一緒です。
ええと、名前はたしか……エルネスト・ドレスク先輩でしたっけ?
「あれ? レフ公子様は一緒じゃないんだ」
「ええっ?」
ヴィーシャさんに言われて気付きましたが、たしかに公子様の姿が見えません。
どうしましょう。あの三人の中では唯一まともっぽい公子様がいないなんて!
いくらレジーナさんがいるとはいえ、やっぱり王太子様の行動を全てブロックするのは難しいみたいです。
あたしはヴィーシャさんの腰に手を回し、後ろからぎゅっと抱きつきます。
「ローザ……」
「ローザちゃん。大丈夫だよ。レジーナさんがいるから……」
「……はい」
頭では分かっているんですが、やっぱり怖いんです。
だって、制服のときでもああなんですよ? それがこんな肌のたくさん見える下着みたいな水着姿のあたしを見られたら……。
想像しただけで鳥肌が立ってしまいます。
「レジーナ。冷たいことを言うな。そもそも、俺は単に隣のコテージを借りただけだ。きちんと公爵閣下の許可も得ているぞ?」
「……殿下。わたくしは、今年は事情があるのでご遠慮いただくよう申し上げたはずですわ。それに殿下との時間でしたら別に用意いたしますわ」
「いや。俺の予定はこの日程しか空いていないのだ。大体、婚約者である俺を差し置くなど」
「どの口が仰いますの!? 殿下があちこちで女性の胸ばかりジロジロ見るのがいけないんですのよ? 殿下がそのようなことをなさらなければ、わざわざこんなことをせずに済みましたのに」
「う、それは……」
口喧嘩はレジーナさんが優勢のようです。レジーナさんが優勢なこのやり取りを見ていると、なんだか大丈夫な気がしてきました。
そうしてあたしはヴィーシャさんにしがみつくのをやめ、もう少し様子をよく見ようと身を乗り出します。
ですが、それが良くありませんでした。
レジーナさんに口喧嘩で負けそうになっていたはずの王太子様が目ざとくあたしを見つけ、視線を向けてきました。
「ひっ!?」
ぞわりという悪寒が背筋を駆け抜け、再びあたしはヴィーシャさんの後ろに隠れます。
「ちょっと!? わたくしと話しているのに水の中にいるローザを見るなんて、何しているんですの!? しかもその股間はなんですの!?」
「いてててて。やめろ!」
あわてて股間を抑える王太子様ですが、レジーナさんはそんな王太子様の頬をつねっています。それなのにこちらを見てくるのをやめないって、どういうことですか?
「まずは殿下がローザを見るのをやめるのが先ですわ」
「わ、わかった。俺が悪かった。だから離せ」
そう言ってようやく王太子様は私たちから視線を外しました。
「全く……。仕方のない方ですわね」
レジーナさんはそう言って呆れたような表情で大きくため息を吐きました。
「それよりも! ここは殿下がいて良い場所ではありませんわ。着替えるまでコテージの中にいてくださいませ」
「あ、ああ……」
こうしてレジーナさんに叱られた王太子様はドレスク先輩と一緒にあたしたちのコテージとは別のコテージへと向かっていったのでした。
それにしても、断られているのに来るって王太子様は何を考えているんでしょうか?
やっぱり、レジーナさんのことが好きで夏休みを一緒にいたかったってことですよね。
いくらなんでもあたしの胸を見にきたなんてことはないでしょうし……。
「えへへ。あっ!?」
「ローザ。後ろがお留守だよ」
リリアちゃんに湖の水を掛けたら、後ろからヴィーシャさんに水を掛けられました。
あたしは今、膝くらいの深さの場所でリリアちゃんとヴィーシャさんの二人と一緒に水遊びをしています。
えへへ。楽しいですね。こんな風に楽しく遊んだのは初めてかもしれません。今まではそんな余裕は全くなかったですからね。
孤児院にいたときは遊ぶどころの話じゃなかったですから。それに、森で暮らしていたときだって遊ぶような余裕はなかったですし。
こんな風に何も心配せずに遊べるなんて、本当に幸せだなって思います。
そんな幸せな状況を作ってくれているレジーナさんはさっきまでネダさんと優雅に湖を泳いでいましたが、今は湖畔で椅子に座って優雅に紅茶を飲んでいます。
あたし、水泳なんてやったことないからちょっと羨ましいです。どうやったらあんな風に泳げるんでしょうか?
そんなことを考えつつもヴィーシャさんに水を掛けて反撃をしたそのときでした。
「お、お待ちください! いくら殿下といえども!」
「なんだ? きちんと公爵殿の許可は取ったぞ?」
「そんな! お嬢様は……」
「公爵の許可があれば問題ないだろう?」
「そ、それは……」
なんだか、一番聞きたくない声が聞こえてきているような……?
「リリアちゃん……」
「うん。ローザちゃん。あの声ってもしかして……」
「王太子殿下、だね」
ヴィーシャさんが聞きたくなかったことをズバリと言い切りました。
「ううっ……」
あたしは見られたくないのでヴィーシャさんの後ろに隠れて様子を伺います。
だって、王太子様は絶対あたしの胸をジロジロ見てくるに違いありませんから。
「ちょっと! どういうことですの!? わたくし、今回はお断りしたはずですわよ?」
騒ぎを聞きつけたようで、パレオというマントのような布を羽織ったレジーナさんがかなりの剣幕でコテージのほうへと歩いていきました。すると、コテージの陰から王太子様が姿を現します。しかも、あの目が笑っていない先輩も一緒です。
ええと、名前はたしか……エルネスト・ドレスク先輩でしたっけ?
「あれ? レフ公子様は一緒じゃないんだ」
「ええっ?」
ヴィーシャさんに言われて気付きましたが、たしかに公子様の姿が見えません。
どうしましょう。あの三人の中では唯一まともっぽい公子様がいないなんて!
いくらレジーナさんがいるとはいえ、やっぱり王太子様の行動を全てブロックするのは難しいみたいです。
あたしはヴィーシャさんの腰に手を回し、後ろからぎゅっと抱きつきます。
「ローザ……」
「ローザちゃん。大丈夫だよ。レジーナさんがいるから……」
「……はい」
頭では分かっているんですが、やっぱり怖いんです。
だって、制服のときでもああなんですよ? それがこんな肌のたくさん見える下着みたいな水着姿のあたしを見られたら……。
想像しただけで鳥肌が立ってしまいます。
「レジーナ。冷たいことを言うな。そもそも、俺は単に隣のコテージを借りただけだ。きちんと公爵閣下の許可も得ているぞ?」
「……殿下。わたくしは、今年は事情があるのでご遠慮いただくよう申し上げたはずですわ。それに殿下との時間でしたら別に用意いたしますわ」
「いや。俺の予定はこの日程しか空いていないのだ。大体、婚約者である俺を差し置くなど」
「どの口が仰いますの!? 殿下があちこちで女性の胸ばかりジロジロ見るのがいけないんですのよ? 殿下がそのようなことをなさらなければ、わざわざこんなことをせずに済みましたのに」
「う、それは……」
口喧嘩はレジーナさんが優勢のようです。レジーナさんが優勢なこのやり取りを見ていると、なんだか大丈夫な気がしてきました。
そうしてあたしはヴィーシャさんにしがみつくのをやめ、もう少し様子をよく見ようと身を乗り出します。
ですが、それが良くありませんでした。
レジーナさんに口喧嘩で負けそうになっていたはずの王太子様が目ざとくあたしを見つけ、視線を向けてきました。
「ひっ!?」
ぞわりという悪寒が背筋を駆け抜け、再びあたしはヴィーシャさんの後ろに隠れます。
「ちょっと!? わたくしと話しているのに水の中にいるローザを見るなんて、何しているんですの!? しかもその股間はなんですの!?」
「いてててて。やめろ!」
あわてて股間を抑える王太子様ですが、レジーナさんはそんな王太子様の頬をつねっています。それなのにこちらを見てくるのをやめないって、どういうことですか?
「まずは殿下がローザを見るのをやめるのが先ですわ」
「わ、わかった。俺が悪かった。だから離せ」
そう言ってようやく王太子様は私たちから視線を外しました。
「全く……。仕方のない方ですわね」
レジーナさんはそう言って呆れたような表情で大きくため息を吐きました。
「それよりも! ここは殿下がいて良い場所ではありませんわ。着替えるまでコテージの中にいてくださいませ」
「あ、ああ……」
こうしてレジーナさんに叱られた王太子様はドレスク先輩と一緒にあたしたちのコテージとは別のコテージへと向かっていったのでした。
それにしても、断られているのに来るって王太子様は何を考えているんでしょうか?
やっぱり、レジーナさんのことが好きで夏休みを一緒にいたかったってことですよね。
いくらなんでもあたしの胸を見にきたなんてことはないでしょうし……。
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