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第三章
第三章第2話 別邸にやってきました
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レジーナさんの手配してくれた馬車にリリアちゃんと二人で乗り込み、ベアヌ高原という場所にやってきました。ヴィーシャさんは愛馬に乗ってくるそうなのであたしたちとは別行動です。
夏なのにとても涼しくて、なんだか不思議な場所です。馬車の車窓からはとても広い牧場が見えていて、牛や羊がのんびりと草を食べています。
とってものどかな光景です。あの牛や羊、きっと食べたら美味しいんでしょうね。
もしかして食べさせてもらえるんでしょうか?
えへへ。ちょっと楽しみです。
「ローザちゃん。どうしたの? 何かあるの?」
「外に牛と羊がいるんです」
「え? ローザちゃんってああいう動物が好きなの?」
「え? そうじゃなくて、美味しそうだなって……」
あたしがそう答えると、リリアちゃんが微妙な表情を浮かべています。
「えっと、変……ですか?」
「あ、ううん。そんなことないよ。やっぱり、冒険者だから?」
「そうかもしれませんね。森に入って獲物を狩ってますし」
「そっかぁ。ローザちゃんはすごいなぁ」
「そうですか? でも、それしかなかったんですよね」
「あ……ごめん」
「いえ。それにユキたちの食事も手に入るし、いいことづくめなんです」
「うん……」
そうこうしているうちに、あたしたちの馬車が止まりました。それから馬車の扉が外から開かれます。
「到着いたしました。ようこそ。マレスティカ公爵家の別邸へ」
執事さん風の人がそう声を掛けてくれました。その人のエスコートであたしたちは馬車から降ろしてもらいました。
この執事さん、一瞬あたしの胸を見ましたがそのまま胸を凝視することなく普通に接してくれています。
ああ、やっぱりあの王太子様がおかしいだけですね。
こうして馬車から降りたあたしたちの目の前に大きなお屋敷が一軒、そびえ立っています。
もちろん学園ほどの大きさではありませんが、石造りの立派なお屋敷です。その前にはずらりとメイドさん並んであたしたちを出迎えてくれます。
「「いらっしゃいませ。お嬢様方」」
え? あたしが、お嬢様……ですか?
びっくりです。あたし、ただの孤児なんですけど……。
「さあ、ローザ様。リリア様。どうぞこちらへ」
「は、はい」
執事さんに案内されて建物の中に入り、そのままお部屋に案内されました。
「こちらがローザ様のお部屋、その隣がリリア様のお部屋でございます。ヴィクトリア様のお部屋はあちらでございますが、今は鍛練に出られております」
「ありがとうございます」
広々とした個室です。寮のお部屋よりも数倍広いんですけど、こんな豪華なお部屋を使っていいんでしょうか?
「何か御用の場合はそちらのベルを鳴らしていただきますと、使用人が参ります。なんなりとお申し付けください」
「は、はい」
「ありがとうございます」
こうして執事さんはあたしたちを残して退出していきました。
「な、なんだかすごいですね」
「そうだね……」
ちょっと前まで考えられなかった事態にちょっと混乱してしまい、しばらくの間呆然としてしまいました。
やっぱり、貴族ってお金持ちなんですね。
「あ、そうだ。ローザちゃん。あたし、荷物をお部屋に置いてくるね。それから、ちょっとお散歩しようよ」
「え? あ、はい。そうですね」
そう言い残してリリアちゃんは隣のお部屋に入っていきました。
えっと。あたしも荷物を置かなきゃです。
もちろんお金とかの大事なものは【収納】に入れてきたんですけど、全部入るわけじゃないですからね。
それに、【収納】を持っているのは秘密にしています。だから、ちゃんと着替えとかはバッグに入れて持ってきているんですよ。といっても、あたしの普段着は制服なので部屋着だけですけど……。
バッグをお部屋の隅に置くとふかふかのソファーに座り、リリアちゃんに呼ばれるのを待ちます。
そんなあたしを尻目にユキは部屋の中をうろうろして、何があるのかを確認しているみたいです。危険がないかチェックしてくれているんでしょうか?
一方のピーちゃんはあたしの膝の上でふるふると震えていて、ホーちゃんは窓から外を眺めています。
あれれ? ホーちゃんが片方の翼を広げて何かをアピールしています。
「ホーちゃん。外に何かあるんですか?」
「ホー」
これは、たぶん来て欲しいんだと思います。
ホーちゃんのいる窓に近づいて外を見ると、何やら騎士さんたちが剣を打ち合っています。
訓練でしょうか?
あ、あれ!? もしかしてヴィーシャさん?
あれが鍛練というやつでしょうか?
でもいくら鍛練とは言え、大人の男性に交ざって剣を打ち合って大丈夫なんでしょうか?
ちょっと遠いのであまりちゃんと見えないのですが、ちょっと心配です。怪我とか、していなければいいのですが……。
あ! そうだ! せっかくだからヴィーシャさんの鍛練を見学に行けばいいじゃないですか。
そう考えた丁度のその時、扉がノックされてリリアちゃんがやってきたのでした。
夏なのにとても涼しくて、なんだか不思議な場所です。馬車の車窓からはとても広い牧場が見えていて、牛や羊がのんびりと草を食べています。
とってものどかな光景です。あの牛や羊、きっと食べたら美味しいんでしょうね。
もしかして食べさせてもらえるんでしょうか?
えへへ。ちょっと楽しみです。
「ローザちゃん。どうしたの? 何かあるの?」
「外に牛と羊がいるんです」
「え? ローザちゃんってああいう動物が好きなの?」
「え? そうじゃなくて、美味しそうだなって……」
あたしがそう答えると、リリアちゃんが微妙な表情を浮かべています。
「えっと、変……ですか?」
「あ、ううん。そんなことないよ。やっぱり、冒険者だから?」
「そうかもしれませんね。森に入って獲物を狩ってますし」
「そっかぁ。ローザちゃんはすごいなぁ」
「そうですか? でも、それしかなかったんですよね」
「あ……ごめん」
「いえ。それにユキたちの食事も手に入るし、いいことづくめなんです」
「うん……」
そうこうしているうちに、あたしたちの馬車が止まりました。それから馬車の扉が外から開かれます。
「到着いたしました。ようこそ。マレスティカ公爵家の別邸へ」
執事さん風の人がそう声を掛けてくれました。その人のエスコートであたしたちは馬車から降ろしてもらいました。
この執事さん、一瞬あたしの胸を見ましたがそのまま胸を凝視することなく普通に接してくれています。
ああ、やっぱりあの王太子様がおかしいだけですね。
こうして馬車から降りたあたしたちの目の前に大きなお屋敷が一軒、そびえ立っています。
もちろん学園ほどの大きさではありませんが、石造りの立派なお屋敷です。その前にはずらりとメイドさん並んであたしたちを出迎えてくれます。
「「いらっしゃいませ。お嬢様方」」
え? あたしが、お嬢様……ですか?
びっくりです。あたし、ただの孤児なんですけど……。
「さあ、ローザ様。リリア様。どうぞこちらへ」
「は、はい」
執事さんに案内されて建物の中に入り、そのままお部屋に案内されました。
「こちらがローザ様のお部屋、その隣がリリア様のお部屋でございます。ヴィクトリア様のお部屋はあちらでございますが、今は鍛練に出られております」
「ありがとうございます」
広々とした個室です。寮のお部屋よりも数倍広いんですけど、こんな豪華なお部屋を使っていいんでしょうか?
「何か御用の場合はそちらのベルを鳴らしていただきますと、使用人が参ります。なんなりとお申し付けください」
「は、はい」
「ありがとうございます」
こうして執事さんはあたしたちを残して退出していきました。
「な、なんだかすごいですね」
「そうだね……」
ちょっと前まで考えられなかった事態にちょっと混乱してしまい、しばらくの間呆然としてしまいました。
やっぱり、貴族ってお金持ちなんですね。
「あ、そうだ。ローザちゃん。あたし、荷物をお部屋に置いてくるね。それから、ちょっとお散歩しようよ」
「え? あ、はい。そうですね」
そう言い残してリリアちゃんは隣のお部屋に入っていきました。
えっと。あたしも荷物を置かなきゃです。
もちろんお金とかの大事なものは【収納】に入れてきたんですけど、全部入るわけじゃないですからね。
それに、【収納】を持っているのは秘密にしています。だから、ちゃんと着替えとかはバッグに入れて持ってきているんですよ。といっても、あたしの普段着は制服なので部屋着だけですけど……。
バッグをお部屋の隅に置くとふかふかのソファーに座り、リリアちゃんに呼ばれるのを待ちます。
そんなあたしを尻目にユキは部屋の中をうろうろして、何があるのかを確認しているみたいです。危険がないかチェックしてくれているんでしょうか?
一方のピーちゃんはあたしの膝の上でふるふると震えていて、ホーちゃんは窓から外を眺めています。
あれれ? ホーちゃんが片方の翼を広げて何かをアピールしています。
「ホーちゃん。外に何かあるんですか?」
「ホー」
これは、たぶん来て欲しいんだと思います。
ホーちゃんのいる窓に近づいて外を見ると、何やら騎士さんたちが剣を打ち合っています。
訓練でしょうか?
あ、あれ!? もしかしてヴィーシャさん?
あれが鍛練というやつでしょうか?
でもいくら鍛練とは言え、大人の男性に交ざって剣を打ち合って大丈夫なんでしょうか?
ちょっと遠いのであまりちゃんと見えないのですが、ちょっと心配です。怪我とか、していなければいいのですが……。
あ! そうだ! せっかくだからヴィーシャさんの鍛練を見学に行けばいいじゃないですか。
そう考えた丁度のその時、扉がノックされてリリアちゃんがやってきたのでした。
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