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第二章

第60話 クラブを探します

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2021/03/30 誤字を修正しました
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 午後の授業を終えたあたしたちは早速クラブの募集のビラが貼り出されている掲示板へとやってきました。

「ローザちゃん、いっぱいあるね」
「そうですね。迷っちゃいますね」

 一体いくつあるのか、というくらいたくさんのクラブがあって目移りしてしまいます。特に魔法関係の研究会はたくさんあって魔術クラブ、魔術研究会、魔術同好会、実戦魔術部などなど。なんと十二ものクラブがあるみたいです。

 やっていることは同じっぽいですけど、何が違うんでしょうか?

 他にもヴィーシャさんの剣術部をはじめとして総合格闘技部、レスリング部といった戦闘技術を競うクラブ、テニス部やサッカー部といった球技のクラブ、管弦楽部、美術部、刺繍同好会といった芸術に関するクラブ、さらには社交ダンス同好会や料理研究会なんてものものあります。

 あ、サバイバル研究会なんてのもありますね。これならあたしも自信があります。なにしろしばらくの間森の中でサバイバルしてましたからね。

 他にも冒険同好会にハンティング部なんてものもあります。このあたりも多少はできると思いますけど、リリアちゃんとは別になっちゃいそうだからなしですね。

「やあ、君たち。良かったら魔術研究会を見学していかないかい?」
「え?」
「魔術関係のクラブがたくさんあって困ってたんだろう? 大抵の新入生はそうだからね。一通り見学してから決めると良いと思うよ?」

 なんだかとっても爽やかなお兄さんです。ネクタイの色が緑なので多分三年生の先輩です。

「じゃあ、お願いします」

 こうしてあたしたちは魔術研究会の見学に行くことになりました。

◆◇◆

「と、いうわけだよ。うちの魔術研究会は術式を研究して、効率的で実用的な魔法を作ろうとしているんだ」

 魔術研究会の会長さんが色々と説明してくれましたがちんぷんかんぷんです。

 それから、周りの部員さんが全員男性なので何だか目が血走っていて怖いですし、あたしの胸に視線を集中させるのをやめて欲しいです。

「え、えっと」
「あ、ありがとうございました。他のクラブも回ってみますね」

 リリアちゃんが機転を利かせてそう言ってくれたおかげで助かりました。まわりの人たちは露骨に残念がっていますが……。

「仕方ないね。良かったら検討してみてね」

 あの爽やかなお兄さんも残念そうな表情ですがそう言ってくれたので、あたしたちはそそくさと魔術研究会の部室を後にしたのでした。

 どうやらまともだったのはあたしたちを勧誘してきたお兄さんだけだったようです。

 それからいくつかの魔術関係のクラブを見回ってみましたが、どこもイマイチでした。やろうとしていることは多少違うもののみんな男所帯で、大体似たような感じだったんです。

 これじゃあちょっと女の子は入ろうと思わないんじゃないでしょうか?

 さすがに血走った目で胸ばかり見てくる人たちの中に入りたいと思う女の子はいないんじゃないかと思います。

 それからぶらぶらと歩いているとまた声をかけられました。

「やあ、君たち。よかったらテニス部を見学していかないかい?」

 またまた爽やかなスポーツマンといった感じの男の先輩が声をかけてきました。

 テニスですか。テニスというと、たしかネットを挟んでラケットでボールを打ち合うあの紳士淑女のスポーツですよね。

「女の子の先輩もいるし、見学だけでもどうかな?」
「わかりました。ね、ローザちゃん。行ってみよう?」
「はい」

 こうしてあたし達は先輩に連れられてテニス部のコートにやってきました。何やら二人の先輩がラケットを構えてネット越しに向かい合っています。

「お、丁度練習試合が始まるね。危ないからこの金網の中には絶対に入らないでね」
「はい」

 ボールが飛んできて危ない、ということでしょうか?

「あら、新入生の女の子ね? 私はエリサ。マネージャーをやっているわ。危ないから試合中は絶対にこの金網に近づいちゃだめよ」
「え? は、はい」

 そんなに危ないんでしょうか?

 そう思いつつもあたしは金網越しにコートの中を覗きます。

 向かって右側の先輩がサービスのようです。ボールをふわりと上に投げ上げ、そしてきれいなフォームから強烈なフラットサーブがストレートに飛びます。

 そしてそれと同時に火の玉が左側の先輩を襲います。

 え? 火の玉が襲う? え? え?

 あたしがあまりの出来事に唖然としてしまします。

 しかし左の先輩は火の玉を上手にかわしながら右の先輩のバックに打ち返します。そして何故か土の矢が一緒に飛んでいきます。

 右の先輩は多少被弾しながらもボールをバックに打ち返します。今度は大量の火の玉が一緒に飛んでいきます。

 えっと? えっと?

 テニスってこういうスポーツでしたっけ?

 そもそもこれ、一体どういうルールなんですか?

 あたしが唖然としている間にも火の玉と土の矢の撃ち合いが続き、左右の先輩たちは少しずつ被弾してボロボロになっていきます。

 そんな白熱したラリーの最後は実に呆気ない幕切れでした。左の先輩がボールよりも早い巨大な土の塊を右の先輩に直撃させ、右の先輩は吹き飛ばされて金網に激突してノックアウトとなりました。

 マネージャーのエリサさんは慌てて駆け出すと二人にタオルを渡しています。

 右の先輩はしばらくしてから起き上がると左の先輩と握手をしました。

「どうかな? これがテニスだよ。中々激しいスポーツだけど、やりがいのあるスポーツだよ」

 あたしたちを案内してくれた先輩が自慢気にそう言いました。

 自慢気にそう言ってますけど、先輩。これ、絶対に違いますよね?

「女の子がプレイヤーをするのはちょっと危険だけどいないわけじゃないし、エリサのようにマネージャーとして活躍するっていう手もあるよ?」

 え、ええっと、あたしは遠慮したいですね。

「うーん、あたしはやめておきます。ローザちゃんは?」
「あ、えっと、あたしもリリアちゃんと一緒です」

 あたしたちが揃って辞退したところで、タオルを渡したエリサさんが残念そうな顔をしながらこちらに歩いてきました。

「まあ、そうよね。女の子だとやっぱり社交ダンス同好会とか刺繍同好会が人気ね。それから管弦楽とかもありね。特に貴族のご令嬢たちは大体この辺りかしら。あとは、料理研究会も良いと思うわよ」
「え? あ、ありがとうございます!」

 こうしてあたしたちはお礼を言ってテニスコートを後にしたのでした。

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 お読みいただきありがとうございます。本日は本作の今後についてのご報告がございます。

 イラストレーターのアルパ閣下様 (Twitter: @AlpakakkaX2 ) に本作のイラストをご担当いただける運びとなりました。

 3 月 7 日にレビューで続きを読みたいとのお声を頂戴し、ちょうど自分の時間をどう使うべきか悩んでいた折に先生よりお声がけ頂きました。

 「このまま二章完結で終わらせてしまうのはもったいない」と仰っていただいたおかげで踏ん切りがつき、新しいイラストコラボ型小説投稿サイト「たいあっぷ」様のオープニングコンテストで大賞を目指す運びとなりました。

 もしコンテストで受賞できましたなら、以下の形で読者の皆様にローザたちの物語をお届けできるようになります。

・二章完結ではなく長期連載
・先生の美麗なイラストが彩る

 また、その際は出版という運びとなりますが、その場合でも現在お読みいただいているWeb版を取り下げる予定はございません。

 一部イラストやサイドストーリーを除きメインストーリー部分は引き続き無償でお楽しみいただけるようにする予定ですので、どうぞご安心ください。

 現在、ローザたちのデザインを作っているところとなります。出来上がり次第公開いたしますので楽しみにお待ちいただけますと幸いです。

 また、アルパ閣下先生より以下のコメントを頂いております。

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読者の皆様へ

    はじめまして。「テイマー少女の逃亡日記」のイラストを担当することとなりましたアルパ閣下と申します。
    本作はローザちゃん可愛い!!はもちろんのこと、素敵な仲間との出会いやとんでもない修羅場を何度も乗り越えていくことで成長していく様を楽しむことが出来る作品となっております。

 このような素敵な作品にイラストを通じて関われることを誇りに思うと共に、可愛いローザちゃん達を皆様にお届け出来ることを大変嬉しく思います。

 第2章完結は勿体ない作品だと強く思います。そのためにコンテスト受賞を目指して頑張りますので、ぜひ是非応援よろしくお願いします!
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 今後ともローザたちを何卒よろしくお願いいたします。
 
 なお、次回更新は明日 3/21 (日) 20:00 を予定しております。
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