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第二章
第59話 授業を受けました
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2021/03/30 誤字を修正しました
2021/07/24 誤字を修正しました
================
オリエンテーションが終わったら次は早速魔術基礎の授業です。あたしは夢で見たやつを真似てやっただけの自己流なのでちゃんとした先生に教えてもらえるのは嬉しいです。
「さて諸君。ではさっそく魔術基礎の授業に移ろうと思う。貴族の諸君はすでに習った内容も多いと思うが復習だと思って聞きたまえ。貴族の諸君には当てていくからな。油断せずに聞いているように」
そう言ってニヤリとゲラシム先生は笑います。
「まずは魔術とは何か。ヴィクトリア・コドルツィ君。答えたまえ」
「はい!」
ヴィーシャさんは元気よくそう答えると立ち上がりました。
「魔術とは、人間の体内にある魔力を使って様々な現象を起こす術の事です」
「様々な現象、とは何かね?」
「え? ええと、水属性であれば水を、火属性であれば火を、風属性であれば風を、土属性であれば土を操り、事前に指定した現象、ええと、例えば水でコップを満たす、といった事を起こすものです」
「まあよかろう。座りたまえ」
「はい」
ヴィーシャさん、頑張りました。何だかすごく難しいことを言っています。
「では、その現象はどのようにして指定しているか、そうだな。ミハイ・ギヴ君。答えたまえ」
「はい」
「現象の指定は詠唱、または魔法陣で行います」
「ふむ。それは正しいが、もう少し掘り下げて話してくれたまえ」
「え、ええと、それは……」
あ、ミハイさん、答えられなくなってしまいました。
「ふむ。ではレジーナ・マレスティカ君、答えられるかね?」
「はい。詠唱と魔法陣のどちらも魔術文字によって現象を記述した術式ですわ。その術式を言葉として発し、そこに魔力を込めるのが詠唱による魔術の発動。あらかじめ紙や地面などに記述してあるものを魔法陣と呼び、そこに魔力を流すことで発動するのが魔法陣による発動ですわ。その他にも術式を頭の中で描き魔力を流すことで発動する無詠唱という方法もございますわ」
「よろしい。さすが良く勉強しているな。皆もレジーナ君を手本とするように」
「恐縮ですわ」
レジーナさんは優雅に礼をすると着席しました。
そうなんですね? 知りませんでした。
でも、なんだかあたしのやっているやり方ってどれにも当てはまりませんよね。あたしは頭の中で起こる現象をイメージしているだけですし、そんな難しい術式? なんてものは考えたこともありません。
「レジーナ君のものに補足をすると、世の中には例外的に感覚のみで魔術を発動している者が存在する。これについては詳しくは分かっていないが、彼らの魔術は術式に頼ることなく発動されているということだけが知られている。この方法での発動は術式を必要とせずに様々な現象を起こせる反面、再現性がない。そこで、我々は術式によって明確に定式化されたものを魔術、それ以外の自然現象も含めた魔力による全ての現象の発動を魔法と定義している。我が校の名前が魔術学園ではなく魔法学園なのは、術式のみではなく魔法の全てを解き明かさんとする学究の徒たらんと欲した初代学長の強い意志が込められているのだ」
あれ? もしかしてあたしはそっちのパターンですか? これって相談したほうが良いですかね?
「さて、話を戻そう。そのため、この魔術基礎の授業では魔術文字と術式の基本的な構成原理を一年かけて勉強していき、いくつかの基本的な型となる術式を覚えてもらう。ただし、いくら覚えたからと言っても勝手に実践することは推奨しない。必ず指導者の見ている前でやるように。これを破ったところで罰則はないがその結果は自己責任だ。もし自分の腕が吹き飛んだとしても学園は責任を持たん。わかったかね?」
ゲラシム先生はギロリと教室全体を見回しました。
なるほど。そんなに危険なことだったんですね。
あれ? でもあたしは知らずに使っていましたけど、危ないと思ったことは一度もありませんね。
これもその発動のやり方が違うからなんでしょうか?
でも、そうだとするとあたしのやり方の方が安全なんじゃないかって思うんですけど……。
****
その後は苦手な算数の授業でした。頭の中がもうぐるぐるになって死んじゃいそうです。
「ローザちゃん、酷い顔しているよ?」
「あたし、算数は苦手です。もう、疲れましたー」
あたしは力なく机に突っ伏します。
「ほら、ローザ。早く行かないと食堂の席が無くなっちゃうよ?」
「うー、ヴィーシャさん……、わかりました」
あたしは頑張って起き上がると食堂へと向かいます。あ、ユキたちは寮でお留守番です。授業中にずっとあたしの膝の上で大人しくさせているのは可哀想ですからね。
それから食堂に行ってランチプレートを受けとります。特別料金を払わない限り、生徒は全員同じメニューです。特別メニューはとても美味しいらしいですけど、あたしが食べることはまずないので関係のない話ですね。
あたしたちは生徒でごった返す中、なんとか席を見つけて着席しました。
「あはは、何とか間に合ったね」
「うー、席が空いて良かったです」
「ほら、食べようよ」
「はい」
ちゃんとお祈りをしてから昼食を食べ始めます。
「ローザちゃんはどのクラブに入るか決めた?」
「まだです」
リリアちゃんが話を振ってきました。この学園には、生徒達が好きなことに取り組めるクラブというものがあります。しかも、生徒は必ずどれかのクラブに所属する必要があるんだそうです。
「ヴィーシャは?」
「剣術部かな。私は騎士になりたいからね。きちんと剣の修行を積めるという意味だとそこが一番かな」
「そおか。それもそうだねー」
リリアちゃんはそう言ってにこりと笑いました。
「リリアちゃんは決まっているんですか?」
「うーん、悩み中かな」
「じゃあ、リリアは将来どうしたいんだい?」
「そうだねぇ。あたしはしっかりお金を稼げる仕事が良いかな」
「だったら、魔術に関連したクラブがいいんじゃないかな?」
「そうなんだけどね。でも光属性って学園にあたししかいないみたいだから、あんまり参考にはならないかなって」
「それもそうか」
そうでした。リリアちゃんはものすごく希少な光属性なんでした。
「えっと、見学とかってできないんですか?」
「できると思うけど、どこに行けばいいのか全然わからないんだよね」
「じゃあ、片っ端から回ってみたらどうかな」
ヴィーシャさんがあっさりとそう言いました。すごく大変そうですけど……。
「それもそっか。ローザちゃんも一緒に行くよね?」
「あ、はい」
こうしてあたしはリリアちゃんとクラブ探しをすることにしたのでした。
2021/07/24 誤字を修正しました
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オリエンテーションが終わったら次は早速魔術基礎の授業です。あたしは夢で見たやつを真似てやっただけの自己流なのでちゃんとした先生に教えてもらえるのは嬉しいです。
「さて諸君。ではさっそく魔術基礎の授業に移ろうと思う。貴族の諸君はすでに習った内容も多いと思うが復習だと思って聞きたまえ。貴族の諸君には当てていくからな。油断せずに聞いているように」
そう言ってニヤリとゲラシム先生は笑います。
「まずは魔術とは何か。ヴィクトリア・コドルツィ君。答えたまえ」
「はい!」
ヴィーシャさんは元気よくそう答えると立ち上がりました。
「魔術とは、人間の体内にある魔力を使って様々な現象を起こす術の事です」
「様々な現象、とは何かね?」
「え? ええと、水属性であれば水を、火属性であれば火を、風属性であれば風を、土属性であれば土を操り、事前に指定した現象、ええと、例えば水でコップを満たす、といった事を起こすものです」
「まあよかろう。座りたまえ」
「はい」
ヴィーシャさん、頑張りました。何だかすごく難しいことを言っています。
「では、その現象はどのようにして指定しているか、そうだな。ミハイ・ギヴ君。答えたまえ」
「はい」
「現象の指定は詠唱、または魔法陣で行います」
「ふむ。それは正しいが、もう少し掘り下げて話してくれたまえ」
「え、ええと、それは……」
あ、ミハイさん、答えられなくなってしまいました。
「ふむ。ではレジーナ・マレスティカ君、答えられるかね?」
「はい。詠唱と魔法陣のどちらも魔術文字によって現象を記述した術式ですわ。その術式を言葉として発し、そこに魔力を込めるのが詠唱による魔術の発動。あらかじめ紙や地面などに記述してあるものを魔法陣と呼び、そこに魔力を流すことで発動するのが魔法陣による発動ですわ。その他にも術式を頭の中で描き魔力を流すことで発動する無詠唱という方法もございますわ」
「よろしい。さすが良く勉強しているな。皆もレジーナ君を手本とするように」
「恐縮ですわ」
レジーナさんは優雅に礼をすると着席しました。
そうなんですね? 知りませんでした。
でも、なんだかあたしのやっているやり方ってどれにも当てはまりませんよね。あたしは頭の中で起こる現象をイメージしているだけですし、そんな難しい術式? なんてものは考えたこともありません。
「レジーナ君のものに補足をすると、世の中には例外的に感覚のみで魔術を発動している者が存在する。これについては詳しくは分かっていないが、彼らの魔術は術式に頼ることなく発動されているということだけが知られている。この方法での発動は術式を必要とせずに様々な現象を起こせる反面、再現性がない。そこで、我々は術式によって明確に定式化されたものを魔術、それ以外の自然現象も含めた魔力による全ての現象の発動を魔法と定義している。我が校の名前が魔術学園ではなく魔法学園なのは、術式のみではなく魔法の全てを解き明かさんとする学究の徒たらんと欲した初代学長の強い意志が込められているのだ」
あれ? もしかしてあたしはそっちのパターンですか? これって相談したほうが良いですかね?
「さて、話を戻そう。そのため、この魔術基礎の授業では魔術文字と術式の基本的な構成原理を一年かけて勉強していき、いくつかの基本的な型となる術式を覚えてもらう。ただし、いくら覚えたからと言っても勝手に実践することは推奨しない。必ず指導者の見ている前でやるように。これを破ったところで罰則はないがその結果は自己責任だ。もし自分の腕が吹き飛んだとしても学園は責任を持たん。わかったかね?」
ゲラシム先生はギロリと教室全体を見回しました。
なるほど。そんなに危険なことだったんですね。
あれ? でもあたしは知らずに使っていましたけど、危ないと思ったことは一度もありませんね。
これもその発動のやり方が違うからなんでしょうか?
でも、そうだとするとあたしのやり方の方が安全なんじゃないかって思うんですけど……。
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その後は苦手な算数の授業でした。頭の中がもうぐるぐるになって死んじゃいそうです。
「ローザちゃん、酷い顔しているよ?」
「あたし、算数は苦手です。もう、疲れましたー」
あたしは力なく机に突っ伏します。
「ほら、ローザ。早く行かないと食堂の席が無くなっちゃうよ?」
「うー、ヴィーシャさん……、わかりました」
あたしは頑張って起き上がると食堂へと向かいます。あ、ユキたちは寮でお留守番です。授業中にずっとあたしの膝の上で大人しくさせているのは可哀想ですからね。
それから食堂に行ってランチプレートを受けとります。特別料金を払わない限り、生徒は全員同じメニューです。特別メニューはとても美味しいらしいですけど、あたしが食べることはまずないので関係のない話ですね。
あたしたちは生徒でごった返す中、なんとか席を見つけて着席しました。
「あはは、何とか間に合ったね」
「うー、席が空いて良かったです」
「ほら、食べようよ」
「はい」
ちゃんとお祈りをしてから昼食を食べ始めます。
「ローザちゃんはどのクラブに入るか決めた?」
「まだです」
リリアちゃんが話を振ってきました。この学園には、生徒達が好きなことに取り組めるクラブというものがあります。しかも、生徒は必ずどれかのクラブに所属する必要があるんだそうです。
「ヴィーシャは?」
「剣術部かな。私は騎士になりたいからね。きちんと剣の修行を積めるという意味だとそこが一番かな」
「そおか。それもそうだねー」
リリアちゃんはそう言ってにこりと笑いました。
「リリアちゃんは決まっているんですか?」
「うーん、悩み中かな」
「じゃあ、リリアは将来どうしたいんだい?」
「そうだねぇ。あたしはしっかりお金を稼げる仕事が良いかな」
「だったら、魔術に関連したクラブがいいんじゃないかな?」
「そうなんだけどね。でも光属性って学園にあたししかいないみたいだから、あんまり参考にはならないかなって」
「それもそうか」
そうでした。リリアちゃんはものすごく希少な光属性なんでした。
「えっと、見学とかってできないんですか?」
「できると思うけど、どこに行けばいいのか全然わからないんだよね」
「じゃあ、片っ端から回ってみたらどうかな」
ヴィーシャさんがあっさりとそう言いました。すごく大変そうですけど……。
「それもそっか。ローザちゃんも一緒に行くよね?」
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