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第二章
第53話 筆記試験を受けました
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2021/02/21 会話で名前を取り違えていた誤りを修正しました
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どうもおはようございます。ローザです。あたしはまたもや魔法学園にやってきました。
そうです。今日はついに入学試験の当日なのです。この一か月間、必死にお勉強をした成果を見せたいと思います。
まずは筆記試験なのですが、その内容は共通語、魔術文字、算数です。その中でもあたしの鬼門は何と言っても算数です。孤児院にいた時は学校になんて通えませんでしたし、算数をちゃんと教えてくれる人はいませんでしたからね。一応、多少の計算はできましたが、算数となるととても複雑なので苦手です。
なのでリリアちゃんに算数の教科書を借りて宿で勉強しました。この一か月間の生活は、朝起きたら狩りに出掛けて、夕方になる前に戻ってきて、それから夜までお勉強です。
そうそう。毎日光属性魔法で明かりを作ってお勉強をしていたら【光属性魔法】のレベルが 3 に上がりました。それから今日のために頑張って練習をしたので【火属性魔法】がレベル 4 に、【魔力操作】がレベル 6 になりました。
あとは狩りを頑張ったおかげだと思いますが【無属性魔法】が 5 に、【狙撃】が 3 になりました。あと、音を立てない様に気を付けて歩いていたおかげか、【忍び足】なんてスキルが生えてきましたよ。
え? 魔術文字の勉強はどうしたのか、ですか?
あたしもよく分からないんですけど、何故か最初から読めちゃいました。リリアちゃんに教科書を見せてもらったら何故かすっと頭に入ってきたんですよね。試験に出るのは読み書きだけだそうなので多分大丈夫だと思います。
あ! あたしの受験番号の書いてある部屋に着きました。それじゃあ行ってきますね。健闘を祈っていてください!
****
つ、疲れました。あたしやっぱり算数は苦手です。
共通語はまあまあ、魔術文字はやっぱりちゃんとできたと思います。ですが算数が……。その、半分くらいしか埋められませんでした。
「ローザちゃん、どうだった?」
「算数がやっぱりダメでした」
ニコニコと明るい表情でリリアちゃんが尋ねてきましたがあたしはもう疲労困憊です。
「でもローザちゃん、頑張ってたもん。きっと大丈夫だって。それに、実技試験を頑張れば大丈夫だよ」
そうでした。まだ実技試験が残っていたんでした。
「じゃあ、お昼食べに行こっ」
「はい……」
あたしはリリアちゃんに連れられて会場内の飲食スペースへと移動しました。とても広い部屋に今日の受験生が一堂に会しているようで、ぎっしりとすし詰め状態です。何百人いるんでしょうか?
そんなスペースの端に空いている席を見つけて何とか着席するとランチを取り出します。
今日のあたしのお昼は自分で狩ったウサギ肉のローストを黒パンに挟んだものです。一方のリリアちゃんは宿の人にサンドイッチを作ってもらったみたいです。白パンにハムやチーズが挟んであります。
「リリアちゃん、すごい人数ですね」
「そうだね。平民だけでも五百人以上来ているらしいよ?」
「そ、そんなに? 何人くらい合格するんですか?」
「毎年違うらしいけど、少ない年は五十人くらいで、多い年は七十人くらいらしいよ」
「そ、それしか……」
「しかも貴族がその中に二十人くらいはいるから、あたし達平民にとってはもっと狭き門かな」
「ううっ」
あんなに算数ダメだったのに大丈夫でしょうか?
「あはは。大丈夫だって。何とかなるよ。頑張ろう? ほら、食べなきゃ」
そうしてリリアちゃんはお祈りをしてからサンドイッチを頬張り始めたのであたしも慌ててそれに倣います。
「でもさ。ローザちゃんって、実はすごく頭が良いよね?」
「え? どうしてですか? リリアちゃんの方が算数、得意じゃないですか」
「あはは。算数はね。でもさ。ローザちゃんは一か月前まで小数すら知らなかったじゃない。それなのにたった一か月でここまでできるようになったのは十分すごいと思うよ。それに魔術文字だって完璧じゃない」
「それは、そうですけど……」
「だから大丈夫。きっと上手くいくって。実技試験も頑張ろう?」
「はい。ありがとうございます」
うん。なんだか頑張れる気がしてきました。そうですよね。ちょっとくらい算数がダメでも実技で頑張ればきっと大丈夫なはずです。
よし! 実技試験では一切自重せずに頑張ろうと思います!
====
3/15 発売の拙作「町人Aは悪役令嬢をどうしても救いたい」の書籍化作業が大詰めを迎えているため、次回更新は 2/27(土) 20:00 を予定しております。何卒ご了承ください。
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どうもおはようございます。ローザです。あたしはまたもや魔法学園にやってきました。
そうです。今日はついに入学試験の当日なのです。この一か月間、必死にお勉強をした成果を見せたいと思います。
まずは筆記試験なのですが、その内容は共通語、魔術文字、算数です。その中でもあたしの鬼門は何と言っても算数です。孤児院にいた時は学校になんて通えませんでしたし、算数をちゃんと教えてくれる人はいませんでしたからね。一応、多少の計算はできましたが、算数となるととても複雑なので苦手です。
なのでリリアちゃんに算数の教科書を借りて宿で勉強しました。この一か月間の生活は、朝起きたら狩りに出掛けて、夕方になる前に戻ってきて、それから夜までお勉強です。
そうそう。毎日光属性魔法で明かりを作ってお勉強をしていたら【光属性魔法】のレベルが 3 に上がりました。それから今日のために頑張って練習をしたので【火属性魔法】がレベル 4 に、【魔力操作】がレベル 6 になりました。
あとは狩りを頑張ったおかげだと思いますが【無属性魔法】が 5 に、【狙撃】が 3 になりました。あと、音を立てない様に気を付けて歩いていたおかげか、【忍び足】なんてスキルが生えてきましたよ。
え? 魔術文字の勉強はどうしたのか、ですか?
あたしもよく分からないんですけど、何故か最初から読めちゃいました。リリアちゃんに教科書を見せてもらったら何故かすっと頭に入ってきたんですよね。試験に出るのは読み書きだけだそうなので多分大丈夫だと思います。
あ! あたしの受験番号の書いてある部屋に着きました。それじゃあ行ってきますね。健闘を祈っていてください!
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つ、疲れました。あたしやっぱり算数は苦手です。
共通語はまあまあ、魔術文字はやっぱりちゃんとできたと思います。ですが算数が……。その、半分くらいしか埋められませんでした。
「ローザちゃん、どうだった?」
「算数がやっぱりダメでした」
ニコニコと明るい表情でリリアちゃんが尋ねてきましたがあたしはもう疲労困憊です。
「でもローザちゃん、頑張ってたもん。きっと大丈夫だって。それに、実技試験を頑張れば大丈夫だよ」
そうでした。まだ実技試験が残っていたんでした。
「じゃあ、お昼食べに行こっ」
「はい……」
あたしはリリアちゃんに連れられて会場内の飲食スペースへと移動しました。とても広い部屋に今日の受験生が一堂に会しているようで、ぎっしりとすし詰め状態です。何百人いるんでしょうか?
そんなスペースの端に空いている席を見つけて何とか着席するとランチを取り出します。
今日のあたしのお昼は自分で狩ったウサギ肉のローストを黒パンに挟んだものです。一方のリリアちゃんは宿の人にサンドイッチを作ってもらったみたいです。白パンにハムやチーズが挟んであります。
「リリアちゃん、すごい人数ですね」
「そうだね。平民だけでも五百人以上来ているらしいよ?」
「そ、そんなに? 何人くらい合格するんですか?」
「毎年違うらしいけど、少ない年は五十人くらいで、多い年は七十人くらいらしいよ」
「そ、それしか……」
「しかも貴族がその中に二十人くらいはいるから、あたし達平民にとってはもっと狭き門かな」
「ううっ」
あんなに算数ダメだったのに大丈夫でしょうか?
「あはは。大丈夫だって。何とかなるよ。頑張ろう? ほら、食べなきゃ」
そうしてリリアちゃんはお祈りをしてからサンドイッチを頬張り始めたのであたしも慌ててそれに倣います。
「でもさ。ローザちゃんって、実はすごく頭が良いよね?」
「え? どうしてですか? リリアちゃんの方が算数、得意じゃないですか」
「あはは。算数はね。でもさ。ローザちゃんは一か月前まで小数すら知らなかったじゃない。それなのにたった一か月でここまでできるようになったのは十分すごいと思うよ。それに魔術文字だって完璧じゃない」
「それは、そうですけど……」
「だから大丈夫。きっと上手くいくって。実技試験も頑張ろう?」
「はい。ありがとうございます」
うん。なんだか頑張れる気がしてきました。そうですよね。ちょっとくらい算数がダメでも実技で頑張ればきっと大丈夫なはずです。
よし! 実技試験では一切自重せずに頑張ろうと思います!
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3/15 発売の拙作「町人Aは悪役令嬢をどうしても救いたい」の書籍化作業が大詰めを迎えているため、次回更新は 2/27(土) 20:00 を予定しております。何卒ご了承ください。
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