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第二章
第45話 ジャイアントマーダーベアと戦いました
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「嬢ちゃん、あの魔術はどのくらい正確に当てられるんだ? 例えばこの距離であいつの目や鼻を正確に撃ち抜いたりできるか?」
「えっと、今の距離で止まってればたぶんできます」
「よし、十分だ。俺と御者の兄ちゃんたちであいつの腹を嬢ちゃんに向けさせる。そうしたらあいつの心臓を撃ち抜け」
「目や鼻じゃないんですか?」
「あいつはお前がさっき撃った魔術に反応して目を閉じていた。すると、一撃で倒すことはできねぇ。それに鼻は急所だが殺せるわけじゃねぇ」
「じゃあ、何発も撃ち込むのはダメですか? まだ魔力には余裕があります」
「ダメだ。お前の一撃はあいつの皮膚に傷をつけられる威力だ。そうなると一撃を当てた時点でお前を狩りに行く。さっきは馬がいたからそっちに気を取られてくれたが今度も上手くいくとは限らねぇ。そして、俺たちではあいつの突進は止められない」
「う……」
あんな巨大な熊があたしに突進をして来たら、今度こそ殺されてしまう気がします。
「あ、でもお腹に当ててもまたあまり効かないんじゃ?」
「いや、あいつの毛皮の腹側はそこまで硬くないんだ。何せ下から攻撃される事はまずないからな。あいつの一番硬い額に傷をつけられた嬢ちゃんの魔法なら絶対にやれる。いいな」
「っ! はい! やります」
あたしは気合を入れるため、少し大きな声で言いました。するとグスタフさんは満足そうな笑みを浮かべます。
「よし。決まりだ。聞いてたな? それでいくぞ!」
「任せてください!」
「我々も死にたくありませんからね」
三人が剣を構えると前に出ていきます。あたしはユキと一緒に倒れた馬車の陰に隠れるとそっと出番を待ちます。
「いくぞ!」
グスタフさんが吠えると三人はジャイアントマーダーベアに向かって突撃します。するとそれを見たジャイアントマーダーベアも突進してきました。狙いはグスタフさんさんのようです。
しかしグスタフさんはひらりと跳躍して上に避けることで身を躱しました。
すごいです。どうやったらあんなに高くジャンプできるんでしょうか?
突然グスタフさんを見失ったジャイアントマーダーベアは慌ててブレーキをかけて止ろうとします。そこに御者の二人が左右から斬りかかりました。
ドスンとまるで何か重いものを叩いたかのような音がして、御者さん達はさっと飛びのきます。
その刹那、右側の御者さんのいた場所にジャイアントマーダーベアの太い腕がブンという鋭い音を立てて振り抜かれました。
あ、危ない!
少しでもタイミングが遅れていたらあの人はやられていたことでしょう。
一方のジャイアントマーダーベアはというと剣で斬られたというのに全くの無傷です。
「やはり硬いな」
「ああ。彼の言う通りだな。どうやらあのお嬢ちゃんの魔術に賭けるしかなさそうだ」
ううん。責任重大です。しっかりと隙を見逃さずに心臓を撃ち抜かなければ!
「休んでいる暇はないぞ!」
グスタフさんの叫び声と共に今度は二人がグスタフさんの方へと向かって走り出し、それを追いかけてジャイアントマーダーベアは走り出します。
それからグスタフさんが二人と入れ替わる様にして前に出ました。突然現れたグスタフさんに面食らったのかグスタフさんへの反応が遅れます。
その隙をついてまたひらりと跳躍したグスタフさんはあたしの炎弾が傷つけた額の傷に剣をサッと滑らせるように当てました。
「グガァァァァァ」
きっとものすごく痛かったのでしょう。ジャイアントマーダーベアがものすごい叫び声をあげました。
「チッ。ダメか」
グスタフさんのそんな声がかすかに聞こえます。
それからジャイアントマーダーベアは御者の二人からグスタフさんにターゲットを変えて突進を始めました。
「嬢ちゃん、頼むぞ!」
そう言ってグスタフさんはあたしの方に向かって走りだしました。
その後ろには額から血をダラダラと流しながらものすごく怖い目つきで怒っているジャイアントマーダーベアが追いかけてきています。
こ、怖い。
でも多分逃げ出したら次に追われるのはあたしです。あたしはくじけそうになる心を奮い立たせ、その瞬間に備えます。
走ってきたグスタフさんはあたし上を飛び越えるようにして馬車の上を飛び越しました。そしてその後ろをジャイアントマーダーベアが釣られるようにジャンプして飛び越します。
い、今!
あたしは炎弾をジャイアントマーダーベアのお腹に向けて撃ち込みました。
はっきり言って、心臓を狙うなんて余裕はありませんでした。ですが、確かに当たったようです。あたしの後ろに大量の血が飛び散りました。
「ゴ、グ……」
あたしの後ろで着地に失敗したジャイアントマーダーベアが苦しそうにうめき声をあげています。
「嬢ちゃん、よくやったぞ」
「は、はい」
「お嬢ちゃん、頑張ったね」
御者さん達もいつの間にか戻ってきて労いの言葉をかけてくれます。
それからしばらくして、ジャイアントマーダーベアは動かなくなったのでした。
「えっと、今の距離で止まってればたぶんできます」
「よし、十分だ。俺と御者の兄ちゃんたちであいつの腹を嬢ちゃんに向けさせる。そうしたらあいつの心臓を撃ち抜け」
「目や鼻じゃないんですか?」
「あいつはお前がさっき撃った魔術に反応して目を閉じていた。すると、一撃で倒すことはできねぇ。それに鼻は急所だが殺せるわけじゃねぇ」
「じゃあ、何発も撃ち込むのはダメですか? まだ魔力には余裕があります」
「ダメだ。お前の一撃はあいつの皮膚に傷をつけられる威力だ。そうなると一撃を当てた時点でお前を狩りに行く。さっきは馬がいたからそっちに気を取られてくれたが今度も上手くいくとは限らねぇ。そして、俺たちではあいつの突進は止められない」
「う……」
あんな巨大な熊があたしに突進をして来たら、今度こそ殺されてしまう気がします。
「あ、でもお腹に当ててもまたあまり効かないんじゃ?」
「いや、あいつの毛皮の腹側はそこまで硬くないんだ。何せ下から攻撃される事はまずないからな。あいつの一番硬い額に傷をつけられた嬢ちゃんの魔法なら絶対にやれる。いいな」
「っ! はい! やります」
あたしは気合を入れるため、少し大きな声で言いました。するとグスタフさんは満足そうな笑みを浮かべます。
「よし。決まりだ。聞いてたな? それでいくぞ!」
「任せてください!」
「我々も死にたくありませんからね」
三人が剣を構えると前に出ていきます。あたしはユキと一緒に倒れた馬車の陰に隠れるとそっと出番を待ちます。
「いくぞ!」
グスタフさんが吠えると三人はジャイアントマーダーベアに向かって突撃します。するとそれを見たジャイアントマーダーベアも突進してきました。狙いはグスタフさんさんのようです。
しかしグスタフさんはひらりと跳躍して上に避けることで身を躱しました。
すごいです。どうやったらあんなに高くジャンプできるんでしょうか?
突然グスタフさんを見失ったジャイアントマーダーベアは慌ててブレーキをかけて止ろうとします。そこに御者の二人が左右から斬りかかりました。
ドスンとまるで何か重いものを叩いたかのような音がして、御者さん達はさっと飛びのきます。
その刹那、右側の御者さんのいた場所にジャイアントマーダーベアの太い腕がブンという鋭い音を立てて振り抜かれました。
あ、危ない!
少しでもタイミングが遅れていたらあの人はやられていたことでしょう。
一方のジャイアントマーダーベアはというと剣で斬られたというのに全くの無傷です。
「やはり硬いな」
「ああ。彼の言う通りだな。どうやらあのお嬢ちゃんの魔術に賭けるしかなさそうだ」
ううん。責任重大です。しっかりと隙を見逃さずに心臓を撃ち抜かなければ!
「休んでいる暇はないぞ!」
グスタフさんの叫び声と共に今度は二人がグスタフさんの方へと向かって走り出し、それを追いかけてジャイアントマーダーベアは走り出します。
それからグスタフさんが二人と入れ替わる様にして前に出ました。突然現れたグスタフさんに面食らったのかグスタフさんへの反応が遅れます。
その隙をついてまたひらりと跳躍したグスタフさんはあたしの炎弾が傷つけた額の傷に剣をサッと滑らせるように当てました。
「グガァァァァァ」
きっとものすごく痛かったのでしょう。ジャイアントマーダーベアがものすごい叫び声をあげました。
「チッ。ダメか」
グスタフさんのそんな声がかすかに聞こえます。
それからジャイアントマーダーベアは御者の二人からグスタフさんにターゲットを変えて突進を始めました。
「嬢ちゃん、頼むぞ!」
そう言ってグスタフさんはあたしの方に向かって走りだしました。
その後ろには額から血をダラダラと流しながらものすごく怖い目つきで怒っているジャイアントマーダーベアが追いかけてきています。
こ、怖い。
でも多分逃げ出したら次に追われるのはあたしです。あたしはくじけそうになる心を奮い立たせ、その瞬間に備えます。
走ってきたグスタフさんはあたし上を飛び越えるようにして馬車の上を飛び越しました。そしてその後ろをジャイアントマーダーベアが釣られるようにジャンプして飛び越します。
い、今!
あたしは炎弾をジャイアントマーダーベアのお腹に向けて撃ち込みました。
はっきり言って、心臓を狙うなんて余裕はありませんでした。ですが、確かに当たったようです。あたしの後ろに大量の血が飛び散りました。
「ゴ、グ……」
あたしの後ろで着地に失敗したジャイアントマーダーベアが苦しそうにうめき声をあげています。
「嬢ちゃん、よくやったぞ」
「は、はい」
「お嬢ちゃん、頑張ったね」
御者さん達もいつの間にか戻ってきて労いの言葉をかけてくれます。
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