19 / 261
第一章
第19話 餌付けしちゃいました
しおりを挟む
結局何だか可哀想になったあたしはこのミミズクさんを連れてマイホームに戻りました。盗まれかけましたけど、結局ウサギ肉は無事でしたしね。
「ミャー」
やれやれ、と言わんばかりのユキの声が何となく耳に痛いです。
あたしはぐったりしているミミズクさんをピーちゃんにお願いしてきれいにしてもらい、それから壊れた調理場を直すと洗って汚れを落としたウサギ肉をまた火であぶっていきます。
そして調理をする片手間にきれいになったミミズクさんの頭を撫でてみます。野生の動物なら嫌がりそうなものですけど、そんなこともなくあっさりと撫でさせてくれました。
あ、このモフモフも結構気持ちいいかもしれません。
そうこうしているうちにお肉が焼き上がりました。もうこのミミズクさんも悪さはできないでしょうから外ごはんです。
食事って、何故かは分かりませんけどたき火を囲んで食べたほうが美味しいと思うんですけど、これってもしかしてあたしだけですか?
さて、今日は特別にこのミミズクさんにも分けてあげることにしましょう。
あたしは三人分の食事を配るとお祈りをします。そして自分の分のお肉をミミズクさんに小さく千切って差し出してみます。
ミミズクさんはそれをじっと見て何かを考えている様子です。それから、意を決したようにくちばしでつまむと上手に飲み込んでいきます。
あはっ。やったぁ。エサをあげられました!
それから何だか楽しくなって自分のお肉の半分くらいをミミズクさんにあげてしまいました。
ちょっと自分の分が足りない気がしましたけど何となく満足したので良しとしたいと思います。
それじゃあ、後は片付けをして寝るだけですね。おやすみなさい。
****
おはようございます。ローザです。
朝起きてマイホームから出て見たらですね。何とあのミミズクさんがまだいたんです。
どうもユキが飛びついてお肉を取り返したときにこのミミズクさん、翼を痛めちゃったみたいで飛べなくなってしまったようなんです。
別に盗まれたものを取り返しただけなので悪いことをしたわけじゃないんですけど、何となく申し訳ない気持ちになります。
だって、飛べないミミズクさんはもう生きていけないですからね。
かといって、昨日あたしの手からエサを食べてくれたこのミミズクさんをもう食料とは思えないですし、このまま見捨てるのも何だか寝覚めが悪いです。
うん。決めました。とりあえず飛べるようになるまで面倒を見てあげましょう。
となれば、名前を決めないとですね。
うーん。どうしましょう。悩みますね。
外見は明るい茶褐色に黒が混じっていて、瞳は濃いオレンジ色、くちばしは黒くてミミズクらしい耳のような羽が生えています。
えっと、たしかミミズクはフクロウの仲間だから、ホーって鳴くはずですよね。
うん。決めました。ホーちゃんにしましょう。飛べるようになったらお別れですし、そんな凝った名前にしなくても良いですよね?
「それじゃあ、ミミズクさん。あなたの名前はホーにしました。これからよろしくね。ホーちゃん!」
あたしがそう言うとホーちゃんは顔を大きく傾げたのでした。
****
あれから一週間が経ちました。すり潰した薬草を食べさせてあげていたおかげか、ホーちゃんの翼の傷もすっかり癒えて飛べるようになりました。
これでホーちゃんも我が家を巣立って行く、と思いきやまだ居座っています。
ホーちゃんは昼間あたし達が狩りをしている間はマイホームの中で寝ていて、夜になるとどこかに出掛けて行っています。
もちろん、夕食の時と朝食の時はちゃっかりと食事をねだってきます。
まあ、もう情が湧いてしまったのでホーちゃんにねだられるとついつい食べさせてあげちゃうせいなんですけどね。
そうそう。それとですね。ホーちゃんはたまに夜中に狩った獲物をあたしのところに持ってきてくれるんです。
すごいと思いません? 何だかもう、ホーちゃんに食事を取られて怒っていた時が懐かしいです。
これはもう、鶴の恩返しならぬミミズクの恩返しってやつですよね!
あれ? でも鶴の恩返しって何でしたっけ? 夢の話でしたっけ?
こほん。
そんなわけで、もうホーちゃんは半分仲間みたいな感じになってしまいました。ふわふわの羽毛も触っていると気持ちいいですし、この子も従魔になってくれたらいいのにって思います。
でもテイマーは魔物を従える職業だって聞きましたし、さすがにミミズクは無理だと思うんですよ。
今までの経験からすると、友達になってもらって一緒にいる約束をしてもらうと従魔にできるみたいなんですよね。
うん。ちょっと今晩夕食の時に試してみましょう。
****
そして夕食の時間がやってきました。今日のご飯は何と! 久しぶりの猪です。
今日の狩りで運よく見つけて仕留めることができました。
血抜きもバッチリしましたし、きちんと解体してあります。あとは好きな部位を焼いて食べるだけです。
じゅるり。
あとはホーちゃんにお友達になってってお願いするだけです。
しかし、そんなあたし達のところに招かれざる客がやってきたのでした。
================
次の更新は本日 20:00 となります。
「ミャー」
やれやれ、と言わんばかりのユキの声が何となく耳に痛いです。
あたしはぐったりしているミミズクさんをピーちゃんにお願いしてきれいにしてもらい、それから壊れた調理場を直すと洗って汚れを落としたウサギ肉をまた火であぶっていきます。
そして調理をする片手間にきれいになったミミズクさんの頭を撫でてみます。野生の動物なら嫌がりそうなものですけど、そんなこともなくあっさりと撫でさせてくれました。
あ、このモフモフも結構気持ちいいかもしれません。
そうこうしているうちにお肉が焼き上がりました。もうこのミミズクさんも悪さはできないでしょうから外ごはんです。
食事って、何故かは分かりませんけどたき火を囲んで食べたほうが美味しいと思うんですけど、これってもしかしてあたしだけですか?
さて、今日は特別にこのミミズクさんにも分けてあげることにしましょう。
あたしは三人分の食事を配るとお祈りをします。そして自分の分のお肉をミミズクさんに小さく千切って差し出してみます。
ミミズクさんはそれをじっと見て何かを考えている様子です。それから、意を決したようにくちばしでつまむと上手に飲み込んでいきます。
あはっ。やったぁ。エサをあげられました!
それから何だか楽しくなって自分のお肉の半分くらいをミミズクさんにあげてしまいました。
ちょっと自分の分が足りない気がしましたけど何となく満足したので良しとしたいと思います。
それじゃあ、後は片付けをして寝るだけですね。おやすみなさい。
****
おはようございます。ローザです。
朝起きてマイホームから出て見たらですね。何とあのミミズクさんがまだいたんです。
どうもユキが飛びついてお肉を取り返したときにこのミミズクさん、翼を痛めちゃったみたいで飛べなくなってしまったようなんです。
別に盗まれたものを取り返しただけなので悪いことをしたわけじゃないんですけど、何となく申し訳ない気持ちになります。
だって、飛べないミミズクさんはもう生きていけないですからね。
かといって、昨日あたしの手からエサを食べてくれたこのミミズクさんをもう食料とは思えないですし、このまま見捨てるのも何だか寝覚めが悪いです。
うん。決めました。とりあえず飛べるようになるまで面倒を見てあげましょう。
となれば、名前を決めないとですね。
うーん。どうしましょう。悩みますね。
外見は明るい茶褐色に黒が混じっていて、瞳は濃いオレンジ色、くちばしは黒くてミミズクらしい耳のような羽が生えています。
えっと、たしかミミズクはフクロウの仲間だから、ホーって鳴くはずですよね。
うん。決めました。ホーちゃんにしましょう。飛べるようになったらお別れですし、そんな凝った名前にしなくても良いですよね?
「それじゃあ、ミミズクさん。あなたの名前はホーにしました。これからよろしくね。ホーちゃん!」
あたしがそう言うとホーちゃんは顔を大きく傾げたのでした。
****
あれから一週間が経ちました。すり潰した薬草を食べさせてあげていたおかげか、ホーちゃんの翼の傷もすっかり癒えて飛べるようになりました。
これでホーちゃんも我が家を巣立って行く、と思いきやまだ居座っています。
ホーちゃんは昼間あたし達が狩りをしている間はマイホームの中で寝ていて、夜になるとどこかに出掛けて行っています。
もちろん、夕食の時と朝食の時はちゃっかりと食事をねだってきます。
まあ、もう情が湧いてしまったのでホーちゃんにねだられるとついつい食べさせてあげちゃうせいなんですけどね。
そうそう。それとですね。ホーちゃんはたまに夜中に狩った獲物をあたしのところに持ってきてくれるんです。
すごいと思いません? 何だかもう、ホーちゃんに食事を取られて怒っていた時が懐かしいです。
これはもう、鶴の恩返しならぬミミズクの恩返しってやつですよね!
あれ? でも鶴の恩返しって何でしたっけ? 夢の話でしたっけ?
こほん。
そんなわけで、もうホーちゃんは半分仲間みたいな感じになってしまいました。ふわふわの羽毛も触っていると気持ちいいですし、この子も従魔になってくれたらいいのにって思います。
でもテイマーは魔物を従える職業だって聞きましたし、さすがにミミズクは無理だと思うんですよ。
今までの経験からすると、友達になってもらって一緒にいる約束をしてもらうと従魔にできるみたいなんですよね。
うん。ちょっと今晩夕食の時に試してみましょう。
****
そして夕食の時間がやってきました。今日のご飯は何と! 久しぶりの猪です。
今日の狩りで運よく見つけて仕留めることができました。
血抜きもバッチリしましたし、きちんと解体してあります。あとは好きな部位を焼いて食べるだけです。
じゅるり。
あとはホーちゃんにお友達になってってお願いするだけです。
しかし、そんなあたし達のところに招かれざる客がやってきたのでした。
================
次の更新は本日 20:00 となります。
88
お気に入りに追加
974
あなたにおすすめの小説
【書籍化進行中、完結】私だけが知らない
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
書籍化進行中です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/12/26……書籍化確定、公表
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
最強陛下の育児論〜5歳児の娘に振り回されているが、でもやっぱり可愛くて許してしまうのはどうしたらいいものか〜
楠ノ木雫
ファンタジー
孤児院で暮らしていた女の子リンティの元へ、とある男達が訪ねてきた。その者達が所持していたものには、この国の紋章が刻まれていた。そう、この国の皇城から来た者達だった。その者達は、この国の皇女を捜しに来ていたようで、リンティを見た瞬間間違いなく彼女が皇女だと言い出した。
言い合いになってしまったが、リンティは皇城に行く事に。だが、この国の皇帝の二つ名が〝冷血の最強皇帝〟。そして、タイミング悪く首を撥ねている瞬間を目の当たりに。
こんな無慈悲の皇帝が自分の父。そんな事実が信じられないリンティ。だけど、あれ? 皇帝が、ぬいぐるみをプレゼントしてくれた?
リンティがこの城に来てから、どんどん皇帝がおかしくなっていく姿を目の当たりにする周りの者達も困惑。一体どうなっているのだろうか?
※他の投稿サイトにも掲載しています。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
1人生活なので自由な生き方を謳歌する
さっちさん
ファンタジー
大商会の娘。
出来損ないと家族から追い出された。
唯一の救いは祖父母が家族に内緒で譲ってくれた小さな町のお店だけ。
これからはひとりで生きていかなくては。
そんな少女も実は、、、
1人の方が気楽に出来るしラッキー
これ幸いと実家と絶縁。1人生活を満喫する。
積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。
義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。
石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。
実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。
そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。
血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。
この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。
扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。
魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる