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正義と武と吸血鬼
第十二章第9話 ルミア vs. 皇帝(後編)
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「ラムラックのイァンシュイ風ローストでございます」
続いてスパイシーな香りのする塊肉が運ばれてきた。あばら骨がずらりと並んだその見た目は中々に豪快だ。
給仕さんはそれをその場でカットし、小皿に移して配膳してくれる。
私はそのお肉をお箸でほぐし、小さくして口に運んだ。
ん! これは!
しっかりと効いたコショウの香りと共に塩味がガツンと来る。これまでの繊細な味とはうって変わってとてもワイルドな料理だ。コショウだけではなく色々な香辛料が少しずつ使われているようで、様々な香りがコショウの香りの中から少しずつ顔を出す。
そのうえきれいな焼き色のついた表面は香ばしく、お肉も臭みがまったくと言っていいほどない。羊らしい独特の香りはあるが、嫌な臭いはまったくないのだ。それでいて適度に脂ののったお肉からは肉汁がたっぷりとしみだしてきて、強めにかけられた塩と合わさることで絶妙なバランスとなる。
うん。この塩加減を実現できるのは本当にすごいね。
おいしい!
私が食べ終わってルーちゃんのほうを確認すると、ルーちゃんはあの巨大な塊肉のほとんどを一人で食べきっている。
すると私の視線に気付いたルーちゃんがまるでリスのように頬を膨らませながらも、私に声をかけてくる。
「ん? ほひひいれすね」
「ああ、はい。そうですね。おいしいですね。でも、飲み込んでからしゃべってくださいね」
するとルーちゃんはコクコク頷き、すぐさま口の中のものを飲み込んだ。
「本当に美味しいですよねっ! 姉さま!」
「はい」
そう返事をしてから皇帝のほうを見るが、なぜか皇帝は少し不機嫌そうな表情を浮かべている。
ええと?
「イェンアンダックでございます」
次の料理が運ばれてきた。今度は鴨が丸ごと一羽のようだ。給仕の人がまたもや取り分けてくれる。
「まずはこちらの皮つき肉をご賞味ください」
そう言って出されたのは、見るからにパリパリしていそうないい色をした皮のついたお肉だ。見たところ、胸肉だろうか?
そんなことを考えながらお肉を口に運ぶ。
んん? 甘い?
よく見ると砂糖が振りかけられているようだ。だがその砂糖の甘さと皮から出てくる油が混ざりあい、パリパリの皮の食感としっとりしたお肉の味わいが絶妙にマッチしている。
うん。美味しいね!
「続いてこちらをご賞味ください。鴨肉と白髪ねぎの巻物でございます」
今度の料理は半透明の皮で先ほどのお肉とネギを巻いた料理だ。うっすらと見える黒いものは甜麺醤だろうか?
ものすごく、北京ダックっぽい。
私はさっそくイェンアンダックを口に運ぶ。
うん。味は完璧に北京ダックだ。皮に包まれたことでジューシーな肉汁がしっかりと閉じ込められ、さらに白髪ねぎのシャキシャキ感と香り、そしてコクのある甘辛い甜麺醤が口の中で完全体となって踊りだす。
ああ、美味しい。
私がちらりとルーちゃんのほうを見ると、なんとルーちゃんの前にはもう一羽分の鴨が出されていた。しかも驚くべきことに、ルーちゃんは私の目の前であっという間に完食してしまったではないか。
いつも思うが、一体ルーちゃんのどこにあれだけの量が入っているのだろうか?
「東坡肉でございます」
続いて運ばれてきたのは皮つき豚バラ肉の角煮だ。八角の香りが私の鼻をくすぐる。
それを口に運べば八角の香りと共に甘辛いタレの味とスッとした脂の甘みが口いっぱいに広がる。お肉もしっかりと煮込まれているようで、噛めばほろりとまるで溶けるように崩れるのだ。
よし。次は付け合わせの青梗菜だ。茹でてあるのだろうが、しっかりときれいな緑色を保っている。火がしっかり通っているのにシャキシャキの食感は残っており、この甘辛いタレとの相性も抜群で、青梗菜の美味しさを完璧に引き出している。
美味しい!
「ソウギョの唐揚げでございます」
次に運ばれてきたのは大きな魚を丸ごと一匹揚げたであろう料理だ。そこに甘酢あんがかかっている。
またしても私たちの目の前で給仕さんが取り分けてくれ、取り分けたあとの残りの大皿がルーちゃんの前に置かれた。
どうやら給仕さんたちも理解してくれたらしい。
そんな様子に感心しつつも、私は唐揚げをいただいた。お酢の香りとともに甘酸っぱいあんが口いっぱいに広がる。
んん! これは!
唐揚げは骨もなく、外はサクッとしているのに中の白身はふっくらしている。白身自体はかなり淡白な味わいで、臭みなどはまったくない。だがその淡白な味わいだからこそ、この甘酢あんとよく合っている。それに甘酢あんには野菜もたっぷり入っており、栄養満点なのもありがたい。
うん。美味しいね。美味しいが、さすがにそろそろお腹いっぱいになってきた。
ルーちゃんは相変わらずものすごい勢いで食べているが、一体いつ終わるのだろうか?
「干しナマコの煮つけでございます」
茶色いスープで煮込まれたナマコが運ばれてきた。八角の香りが漂ってくる。
私はさっそくナマコを口に含んでみた。するとコリコリとしたまるでこんにゃくのような食感と共にとても複雑なスープの味が口いっぱいに広がる。分かるだけでも牡蠣、鶏がら、豚骨、椎茸あたりは使われていそうな感じがする。そこに醤油の香りと八角の香り、さらにわずかな花椒の香りと辛みが口の中で混ざりあう。
うん。美味しい。美味しいのだが、さすがにお腹が……。
もっと食べたいのだが、残念ながらもう食べられそうにない。
私は三切れあったなまこのうち一切れを残した。
「海鮮あんかけチャーハンでございます」
ああ、うん。美味しそうなのが来た。だがさすがにもうこれ以上は食べられない。
「すみません。あまりに量が多くてこれ以上は食べられそうにありません。隣のルミアに食べさせてください」
「かしこまりました」
そうして私の分の海鮮あんかけチャーハンはルーちゃんの所へと運ばれていった。
「陛下、申し訳ありません。私はもうお腹がいっぱいでこれ以上は……」
すると皇帝は得意げな表情になった。
「そうかそうか。満足してもらえたようで何よりだ」
あれ? 残したのに気を悪くしていない? んん?
それから海鮮あんかけチャーハンを食べたところでクリスさんがギブアップした。そしてさらにふかひれスープを食べて点心盛り合わせが出てきたところでシズクさんがギブアップした。
気が付けば皇妃様たちは数口食べただけで下げさせている。
うーん。どうやらこの国の人たちにとってもこれは多すぎるようだ。
そして最後に杏仁豆腐がこれでもかという量で出てきたのだが、ルーちゃんはそれもぺろりと平らげてしまった。
「あー、美味しかったですっ!」
信じられない量を一人で平らげたルーちゃんが満足げにそう言うと、皇帝はなぜか悔しそうに顔を歪めたのだった。
ええと? もしかして食べきれない量を出してやろうとか思っていたのだろうか?
残すのはもったいないと思うけどなぁ……。
================
注)中国では伝統的にホストはゲストが食べきれないくらいの量の料理を用意するのが礼儀とされており、ゲストはホストに気を遣って少し料理を残すのが礼儀とされています。とはいえ最近では、この風習は悪習であるとして見直す向きもあるそうです。
続いてスパイシーな香りのする塊肉が運ばれてきた。あばら骨がずらりと並んだその見た目は中々に豪快だ。
給仕さんはそれをその場でカットし、小皿に移して配膳してくれる。
私はそのお肉をお箸でほぐし、小さくして口に運んだ。
ん! これは!
しっかりと効いたコショウの香りと共に塩味がガツンと来る。これまでの繊細な味とはうって変わってとてもワイルドな料理だ。コショウだけではなく色々な香辛料が少しずつ使われているようで、様々な香りがコショウの香りの中から少しずつ顔を出す。
そのうえきれいな焼き色のついた表面は香ばしく、お肉も臭みがまったくと言っていいほどない。羊らしい独特の香りはあるが、嫌な臭いはまったくないのだ。それでいて適度に脂ののったお肉からは肉汁がたっぷりとしみだしてきて、強めにかけられた塩と合わさることで絶妙なバランスとなる。
うん。この塩加減を実現できるのは本当にすごいね。
おいしい!
私が食べ終わってルーちゃんのほうを確認すると、ルーちゃんはあの巨大な塊肉のほとんどを一人で食べきっている。
すると私の視線に気付いたルーちゃんがまるでリスのように頬を膨らませながらも、私に声をかけてくる。
「ん? ほひひいれすね」
「ああ、はい。そうですね。おいしいですね。でも、飲み込んでからしゃべってくださいね」
するとルーちゃんはコクコク頷き、すぐさま口の中のものを飲み込んだ。
「本当に美味しいですよねっ! 姉さま!」
「はい」
そう返事をしてから皇帝のほうを見るが、なぜか皇帝は少し不機嫌そうな表情を浮かべている。
ええと?
「イェンアンダックでございます」
次の料理が運ばれてきた。今度は鴨が丸ごと一羽のようだ。給仕の人がまたもや取り分けてくれる。
「まずはこちらの皮つき肉をご賞味ください」
そう言って出されたのは、見るからにパリパリしていそうないい色をした皮のついたお肉だ。見たところ、胸肉だろうか?
そんなことを考えながらお肉を口に運ぶ。
んん? 甘い?
よく見ると砂糖が振りかけられているようだ。だがその砂糖の甘さと皮から出てくる油が混ざりあい、パリパリの皮の食感としっとりしたお肉の味わいが絶妙にマッチしている。
うん。美味しいね!
「続いてこちらをご賞味ください。鴨肉と白髪ねぎの巻物でございます」
今度の料理は半透明の皮で先ほどのお肉とネギを巻いた料理だ。うっすらと見える黒いものは甜麺醤だろうか?
ものすごく、北京ダックっぽい。
私はさっそくイェンアンダックを口に運ぶ。
うん。味は完璧に北京ダックだ。皮に包まれたことでジューシーな肉汁がしっかりと閉じ込められ、さらに白髪ねぎのシャキシャキ感と香り、そしてコクのある甘辛い甜麺醤が口の中で完全体となって踊りだす。
ああ、美味しい。
私がちらりとルーちゃんのほうを見ると、なんとルーちゃんの前にはもう一羽分の鴨が出されていた。しかも驚くべきことに、ルーちゃんは私の目の前であっという間に完食してしまったではないか。
いつも思うが、一体ルーちゃんのどこにあれだけの量が入っているのだろうか?
「東坡肉でございます」
続いて運ばれてきたのは皮つき豚バラ肉の角煮だ。八角の香りが私の鼻をくすぐる。
それを口に運べば八角の香りと共に甘辛いタレの味とスッとした脂の甘みが口いっぱいに広がる。お肉もしっかりと煮込まれているようで、噛めばほろりとまるで溶けるように崩れるのだ。
よし。次は付け合わせの青梗菜だ。茹でてあるのだろうが、しっかりときれいな緑色を保っている。火がしっかり通っているのにシャキシャキの食感は残っており、この甘辛いタレとの相性も抜群で、青梗菜の美味しさを完璧に引き出している。
美味しい!
「ソウギョの唐揚げでございます」
次に運ばれてきたのは大きな魚を丸ごと一匹揚げたであろう料理だ。そこに甘酢あんがかかっている。
またしても私たちの目の前で給仕さんが取り分けてくれ、取り分けたあとの残りの大皿がルーちゃんの前に置かれた。
どうやら給仕さんたちも理解してくれたらしい。
そんな様子に感心しつつも、私は唐揚げをいただいた。お酢の香りとともに甘酸っぱいあんが口いっぱいに広がる。
んん! これは!
唐揚げは骨もなく、外はサクッとしているのに中の白身はふっくらしている。白身自体はかなり淡白な味わいで、臭みなどはまったくない。だがその淡白な味わいだからこそ、この甘酢あんとよく合っている。それに甘酢あんには野菜もたっぷり入っており、栄養満点なのもありがたい。
うん。美味しいね。美味しいが、さすがにそろそろお腹いっぱいになってきた。
ルーちゃんは相変わらずものすごい勢いで食べているが、一体いつ終わるのだろうか?
「干しナマコの煮つけでございます」
茶色いスープで煮込まれたナマコが運ばれてきた。八角の香りが漂ってくる。
私はさっそくナマコを口に含んでみた。するとコリコリとしたまるでこんにゃくのような食感と共にとても複雑なスープの味が口いっぱいに広がる。分かるだけでも牡蠣、鶏がら、豚骨、椎茸あたりは使われていそうな感じがする。そこに醤油の香りと八角の香り、さらにわずかな花椒の香りと辛みが口の中で混ざりあう。
うん。美味しい。美味しいのだが、さすがにお腹が……。
もっと食べたいのだが、残念ながらもう食べられそうにない。
私は三切れあったなまこのうち一切れを残した。
「海鮮あんかけチャーハンでございます」
ああ、うん。美味しそうなのが来た。だがさすがにもうこれ以上は食べられない。
「すみません。あまりに量が多くてこれ以上は食べられそうにありません。隣のルミアに食べさせてください」
「かしこまりました」
そうして私の分の海鮮あんかけチャーハンはルーちゃんの所へと運ばれていった。
「陛下、申し訳ありません。私はもうお腹がいっぱいでこれ以上は……」
すると皇帝は得意げな表情になった。
「そうかそうか。満足してもらえたようで何よりだ」
あれ? 残したのに気を悪くしていない? んん?
それから海鮮あんかけチャーハンを食べたところでクリスさんがギブアップした。そしてさらにふかひれスープを食べて点心盛り合わせが出てきたところでシズクさんがギブアップした。
気が付けば皇妃様たちは数口食べただけで下げさせている。
うーん。どうやらこの国の人たちにとってもこれは多すぎるようだ。
そして最後に杏仁豆腐がこれでもかという量で出てきたのだが、ルーちゃんはそれもぺろりと平らげてしまった。
「あー、美味しかったですっ!」
信じられない量を一人で平らげたルーちゃんが満足げにそう言うと、皇帝はなぜか悔しそうに顔を歪めたのだった。
ええと? もしかして食べきれない量を出してやろうとか思っていたのだろうか?
残すのはもったいないと思うけどなぁ……。
================
注)中国では伝統的にホストはゲストが食べきれないくらいの量の料理を用意するのが礼儀とされており、ゲストはホストに気を遣って少し料理を残すのが礼儀とされています。とはいえ最近では、この風習は悪習であるとして見直す向きもあるそうです。
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