324 / 625
砂漠の国
第七章第37話 地下の封印
しおりを挟む
「聖女様。いや、偽聖女フィーネ・アルジェンタータ。素直にお縄についていただきます」
兵士たちの中からハーリドさんが現れると私たちにそう言った。
「ハーリドさん、あなたもこうする予定だったと知っていたのですか?」
「ええ。穢れの民を連れ出すなどあり得ない話です。彼らは穢れているのですから」
「そんな下らぬ事のためにフィーネ様に刃を向けるというのか!」
「奴らは正しく神に祈らぬ不心得者だ。そんな者たちに情けをかける聖女など真の聖女ではない!」
ええと? 結局のところ、宗派が違うからっていうのが迫害の理由ということなの?
「そうか。ならば仕方ない。私は聖女フィーネ・アルジェンタータ様の盾だ。フィーネ様に剣を向けるものは誰であろうと容赦しない」
「拙者を忘れてもらっては困るでござるよ。拙者は聖女フィーネ・アルジェンタータ様の剣でござるからな。はたして、そなた達ごときで拙者を倒せるでござるか?」
シズクさんも前に出て戦闘態勢を取る。
「シズクさん、クリスさん。ルマ人たちを守る結界を解けないので今は結界が張れません。防壁だけで何とかしましょう」
「おっと、そうでござったな。ではなるべく早く殲滅するでござるよ」
そう言ったシズクさんは兵士たちの中に飛び込んでいくとあっという間に道を作り出した。
その道を私たちは駆け抜ける。
「あっ」
サラさんが声を上げた。私が振り返るとサラさんが倒れている兵士に足を掴まれている。
「このっ。サラさんを離しな――さいっ!」
私はサラさんの手を掴んで引っ張り、そしてサラさんを掴んでいる兵士を思い切り蹴飛ばした。するとその兵士はぐえっ、と変な声を出してそのまま数十メートル吹っ飛んで行った。
「あ、あれ?」
あまりの事態に私だけでなく周りの兵士も唖然としている。ついでに蹴った私の足もじんじんと痛い。というか、ものすごく痛い。
「フィーネ様。お気をつけください。フィーネ様の STR は既に一般的な戦士のそれとは比べ物にならないほど高いのです。いくら前衛のスキルをお持ちではないとはいえ思い切りやればああなります。それに何より、正しいやり方で攻撃しなければフィーネ様ご自身もお怪我をされてしまいます」
クリスさんが周りで唖然としている兵士たちを気絶させながらそう教えてくれた。
ああ、そう言えば私の STR はもう 500 を越えていてクリスさんよりも高いんだった。
うん。恥ずかしい。それに何より心配させてごめんなさい。
「えーと、治癒」
私は遠くで他の兵士を巻き込んで倒れている兵士が死なない様に軽く治癒魔法をかけると自分の足も治療する。
「さ、さあ。脱出しましょう」
そうして私たちはシズクさんの切り開いてくれた道を再び駆け抜けるのだった。
****
兵士たちに追い回されているうちに、いつの間にか知らない場所に来てしまった。
「ここは?」
「すまないでござる。まさか行き止まりとは」
「でも、どうして部屋もないのにこんな無駄な行き止まりがあるんでしょうね?」
「あっ、もしかして実は隠し部屋があるとか、秘密の抜け道になっているとかじゃないですかっ?」
「あはは。まさかそんなに都合良いことがあるわけ――」
「聖女様。私の占いによると、この壁の向こうに聖女様にとって大切な何かがあるようです」
おお。どうやらそんなことがあったらしい。あの鳥難の相を的中させたサラさんの占いならきっと間違いないだろう。
「でも、どうやって?」
「聖女様。お任せください。私、こう見えても土属性魔術師ですからこのくらいは簡単にできます」
うん?
サラさんは自信満々にそう言ったが、何だかいやな予感がするぞ?
「はぁぁぁぁぁぁぁ!」
サラさんは自分の拳に岩の塊を纏わせると、思い切りストレートを壁にお見舞いした。
ドスン、と鈍い音と共に壁が崩れ落ちる。
あああ、やっぱり!
「あの、土属性魔術師って一体……」
「え? わたしの国の土属性魔術師は皆このようにして戦いますよ? ホワイトムーン王国の方々は違うのですか?」
「ええぇ」
って、違う! そうじゃない!
サラさんが拳で破壊した壁の奥には確かに真っ暗な空間が広がっている。
「フィーネ様。明かりを頂けませんか?」
「あ、はい」
私は浄化魔法を調節して手元に光の球を作り出す。
「中に……何か置いてあるでござるな」
シズクさんの声に誘われて部屋の中に入ると、そこには一振りの曲刀が安置されていた。先ほど見たあの聖剣ルフィカールのようにごてごてとした装飾が施されているわけではないが、シンプルでありながらもどこか神秘的な装飾が施されている。
「あ、これは……」
私はなんとなくその曲刀に手を伸ばすが、その手は見えない何かに阻まれバチンと弾かれる。だが私は全くダメージを受けていないので、これはきっとキリナギの時と同じ【闇属性魔法】によって封印されているのだろう。
ただ、あの時のように私に呪いをかけて来るようなことはないのでスイキョウのものと比べるとかなりレベルが低いのではないだろうか?
私が「封印解除」と念じて聖属性魔法を発動すると、さしたる抵抗を感じることもなくあっさりとその封印は解除された。
私は曲刀に手を伸ばすとその柄を握って持ち上げる。
うん。聖属性の魔力が流れ込んでくるしものすごく軽い。どう考えてもこっちの方が聖剣っぽいけど、どういう事なんだろうね?
「何故か闇属性の魔力で聖なる力を持つこの剣が封印されていたようです」
「なるほど。ということは、我々がこのような場所に迷い込んだのは神のお導きということなのでしょう」
「え?」
「つまり、神がその剣を託すためにフィーネ様をこの場にお導きになられたにちがいありません」
「ええと? 勝手に持って行っては泥棒なんじゃないですか?」
「今回の場合は問題ございません。世界聖女保護協定において、聖女には正当な理由なく刃を向けてきた者よりその財を没収する権利が認められています」
「ええっ?」
「聖女を害するという行為は神と全ての人類に対する敵対行為です。ですから、そのような愚かな行為を防止するためにも聖女は世界各国で敬われ、そして守られているのです」
「でも、聖女が悪いことを考えたら何でもできちゃうじゃないですか」
「そのような事を考える者は聖女になど選ばれません」
うん? いや? ええと、うん。まあいいか。良いっていうんだし、深く考えずに迷惑料として貰っておこう。
収納に入れようと思ったが何故か入らなかったので、私は仕方なくこの曲刀を腰に佩いた。
「聖女様。とてもお似合いですよ。その剣を振るっているお姿もきっと素敵なのでしょうね」
「え? ええと、ありがとうございます」
まあ、私が剣を振ると何故かすっぽ抜けてどこかに飛んでいくので危険だけどね。でも、刀っぽい曲刀を腰にぶら下げているなんてシズクさんぽくてオシャレかもしれない。
「さあ、脱出するでござるよ」
私たちはシズクさんの声に再び宮殿内を歩き始めたのだった。
兵士たちの中からハーリドさんが現れると私たちにそう言った。
「ハーリドさん、あなたもこうする予定だったと知っていたのですか?」
「ええ。穢れの民を連れ出すなどあり得ない話です。彼らは穢れているのですから」
「そんな下らぬ事のためにフィーネ様に刃を向けるというのか!」
「奴らは正しく神に祈らぬ不心得者だ。そんな者たちに情けをかける聖女など真の聖女ではない!」
ええと? 結局のところ、宗派が違うからっていうのが迫害の理由ということなの?
「そうか。ならば仕方ない。私は聖女フィーネ・アルジェンタータ様の盾だ。フィーネ様に剣を向けるものは誰であろうと容赦しない」
「拙者を忘れてもらっては困るでござるよ。拙者は聖女フィーネ・アルジェンタータ様の剣でござるからな。はたして、そなた達ごときで拙者を倒せるでござるか?」
シズクさんも前に出て戦闘態勢を取る。
「シズクさん、クリスさん。ルマ人たちを守る結界を解けないので今は結界が張れません。防壁だけで何とかしましょう」
「おっと、そうでござったな。ではなるべく早く殲滅するでござるよ」
そう言ったシズクさんは兵士たちの中に飛び込んでいくとあっという間に道を作り出した。
その道を私たちは駆け抜ける。
「あっ」
サラさんが声を上げた。私が振り返るとサラさんが倒れている兵士に足を掴まれている。
「このっ。サラさんを離しな――さいっ!」
私はサラさんの手を掴んで引っ張り、そしてサラさんを掴んでいる兵士を思い切り蹴飛ばした。するとその兵士はぐえっ、と変な声を出してそのまま数十メートル吹っ飛んで行った。
「あ、あれ?」
あまりの事態に私だけでなく周りの兵士も唖然としている。ついでに蹴った私の足もじんじんと痛い。というか、ものすごく痛い。
「フィーネ様。お気をつけください。フィーネ様の STR は既に一般的な戦士のそれとは比べ物にならないほど高いのです。いくら前衛のスキルをお持ちではないとはいえ思い切りやればああなります。それに何より、正しいやり方で攻撃しなければフィーネ様ご自身もお怪我をされてしまいます」
クリスさんが周りで唖然としている兵士たちを気絶させながらそう教えてくれた。
ああ、そう言えば私の STR はもう 500 を越えていてクリスさんよりも高いんだった。
うん。恥ずかしい。それに何より心配させてごめんなさい。
「えーと、治癒」
私は遠くで他の兵士を巻き込んで倒れている兵士が死なない様に軽く治癒魔法をかけると自分の足も治療する。
「さ、さあ。脱出しましょう」
そうして私たちはシズクさんの切り開いてくれた道を再び駆け抜けるのだった。
****
兵士たちに追い回されているうちに、いつの間にか知らない場所に来てしまった。
「ここは?」
「すまないでござる。まさか行き止まりとは」
「でも、どうして部屋もないのにこんな無駄な行き止まりがあるんでしょうね?」
「あっ、もしかして実は隠し部屋があるとか、秘密の抜け道になっているとかじゃないですかっ?」
「あはは。まさかそんなに都合良いことがあるわけ――」
「聖女様。私の占いによると、この壁の向こうに聖女様にとって大切な何かがあるようです」
おお。どうやらそんなことがあったらしい。あの鳥難の相を的中させたサラさんの占いならきっと間違いないだろう。
「でも、どうやって?」
「聖女様。お任せください。私、こう見えても土属性魔術師ですからこのくらいは簡単にできます」
うん?
サラさんは自信満々にそう言ったが、何だかいやな予感がするぞ?
「はぁぁぁぁぁぁぁ!」
サラさんは自分の拳に岩の塊を纏わせると、思い切りストレートを壁にお見舞いした。
ドスン、と鈍い音と共に壁が崩れ落ちる。
あああ、やっぱり!
「あの、土属性魔術師って一体……」
「え? わたしの国の土属性魔術師は皆このようにして戦いますよ? ホワイトムーン王国の方々は違うのですか?」
「ええぇ」
って、違う! そうじゃない!
サラさんが拳で破壊した壁の奥には確かに真っ暗な空間が広がっている。
「フィーネ様。明かりを頂けませんか?」
「あ、はい」
私は浄化魔法を調節して手元に光の球を作り出す。
「中に……何か置いてあるでござるな」
シズクさんの声に誘われて部屋の中に入ると、そこには一振りの曲刀が安置されていた。先ほど見たあの聖剣ルフィカールのようにごてごてとした装飾が施されているわけではないが、シンプルでありながらもどこか神秘的な装飾が施されている。
「あ、これは……」
私はなんとなくその曲刀に手を伸ばすが、その手は見えない何かに阻まれバチンと弾かれる。だが私は全くダメージを受けていないので、これはきっとキリナギの時と同じ【闇属性魔法】によって封印されているのだろう。
ただ、あの時のように私に呪いをかけて来るようなことはないのでスイキョウのものと比べるとかなりレベルが低いのではないだろうか?
私が「封印解除」と念じて聖属性魔法を発動すると、さしたる抵抗を感じることもなくあっさりとその封印は解除された。
私は曲刀に手を伸ばすとその柄を握って持ち上げる。
うん。聖属性の魔力が流れ込んでくるしものすごく軽い。どう考えてもこっちの方が聖剣っぽいけど、どういう事なんだろうね?
「何故か闇属性の魔力で聖なる力を持つこの剣が封印されていたようです」
「なるほど。ということは、我々がこのような場所に迷い込んだのは神のお導きということなのでしょう」
「え?」
「つまり、神がその剣を託すためにフィーネ様をこの場にお導きになられたにちがいありません」
「ええと? 勝手に持って行っては泥棒なんじゃないですか?」
「今回の場合は問題ございません。世界聖女保護協定において、聖女には正当な理由なく刃を向けてきた者よりその財を没収する権利が認められています」
「ええっ?」
「聖女を害するという行為は神と全ての人類に対する敵対行為です。ですから、そのような愚かな行為を防止するためにも聖女は世界各国で敬われ、そして守られているのです」
「でも、聖女が悪いことを考えたら何でもできちゃうじゃないですか」
「そのような事を考える者は聖女になど選ばれません」
うん? いや? ええと、うん。まあいいか。良いっていうんだし、深く考えずに迷惑料として貰っておこう。
収納に入れようと思ったが何故か入らなかったので、私は仕方なくこの曲刀を腰に佩いた。
「聖女様。とてもお似合いですよ。その剣を振るっているお姿もきっと素敵なのでしょうね」
「え? ええと、ありがとうございます」
まあ、私が剣を振ると何故かすっぽ抜けてどこかに飛んでいくので危険だけどね。でも、刀っぽい曲刀を腰にぶら下げているなんてシズクさんぽくてオシャレかもしれない。
「さあ、脱出するでござるよ」
私たちはシズクさんの声に再び宮殿内を歩き始めたのだった。
0
お気に入りに追加
434
あなたにおすすめの小説
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
【完結】薔薇の花をあなたに贈ります
彩華(あやはな)
恋愛
レティシアは階段から落ちた。
目を覚ますと、何かがおかしかった。それは婚約者である殿下を覚えていなかったのだ。
ロベルトは、レティシアとの婚約解消になり、聖女ミランダとの婚約することになる。
たが、それに違和感を抱くようになる。
ロベルト殿下視点がおもになります。
前作を多少引きずってはいますが、今回は暗くはないです!!
11話完結です。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!
あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!?
資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。
そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。
どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。
「私、ガンバる!」
だったら私は帰してもらえない?ダメ?
聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。
スローライフまでは到達しなかったよ……。
緩いざまああり。
注意
いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる