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動乱の故郷
第六章第24話 ド・マドゥーラの夜(後編)
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2020/09/05 誤字を修正しました
2020/10/01 誤字を修正しました
2021/02/24 本文内で人物を取り違えて記述していた誤りを修正致しました
================
「失礼いたします。本日のメインディッシュをお持ちいたしました。こちら、ポトポト鳥の皮付きもも肉のレモンソテーでございます」
何やら変な名前の鳥の肉が出てきた。あれ? でもどこかで聞いたことあるような?
「まあ、これがポトポト鳥ですのね? 楽しみですわ」
「シャル、知っているんですか?」
「え、ええ。食べるのは初めてですわね。ただ、噂では聞いたことがありますわ」
「さすがですね」
「当然ですわ」
あれ? いつもみたいに顔を真っ赤にしていないぞ?
不思議に思いつつも私はポトポト鳥にナイフで小さく切り分けると口に運ぶ。
口に入れた瞬間、じゅわっと濃厚な肉汁が口の中一杯に広がる。ものすごく濃厚なのに全然くどくなくて、いや、不思議な感覚ではあるが何故かすっきりしているとも感じる。味付けは至ってシンプルで塩胡椒にレモン汁がかかっているだけだ。だが、たぶんこのお肉はこれでいいんだと思う。一切臭みなんてなくて、ここに香草やニンニクなんて入れたら素材の味を殺してしまうだろう。私はもう一口とお肉にかぶりつく。
すごい! 美味しいものを食べるとほっぺが落ちそうになるとよく言われるけど、まさにこの事だ!
皮付きなのに全然油っこさも感じないし、まさに奇跡のお肉かもしれない。シャルも食べるのは初めてと言っていたし、きっとさぞ希少な鳥なんだろう。
あれ? でもどこかで食べたことあるような?
「シャル、これはとっても美味しいですね」
「……え、ええ。わたくしもここまでとは思いませんでしたわ。まさかこんなお肉が存在していたなんて……」
シャルも感動のあまり言葉を失っているようだ。
「シャル、素敵なレストランに連れてきてくれてありがとうございます」
「え? え、ええ。そうですわね。わたくしの行きつけのレストランですわ。このくらい当然ですわ」
「ふふ。他のおススメのレストランも教えてくださいね?」
「ふふん。仕方ありませんわね。フィーネのたっての頼みとあれば教えて差し上げますわ。でも、また今度ですわね」
「はい。そうですね……」
シャルは明日、私は明後日、それぞれ旅立たなければならない。シャルは戦場へ、私は魔物の溢れる森へ、行き先は違えども人々を魔物から守るために戦うのは同じだ。
「フィーネ、何を湿っぽくなっているんですの? わたくしにはユーグ様がついていますし、あなたにはクリスティーナがついていますわ。心配などどこにもないのではなくて?」
シャルはいつもの自信満々の輝くような笑顔でそう言った。
「はい。そうですね」
あっという間にこのポトポト鳥を平らげた私たちがそんな話をしていると、ドアがノックされウェイターさんが入ってくる。
「空いたお皿をお下げ致します。デザートをお持ちしてもよろしいでしょうか?」
「ええ」
シャルが短く返事をするとウェイターさんはお皿を持って下がっていった。そして少しすると、再びドアがノックされた。
ガチャリ
ドアが開くと同時に室内の照明がいきなり落とされた。そしてホールケーキを持ったウェイターさんが入ってくる。そしてそのケーキの上には火の灯されたロウソクが乗っている。
「「「「「ハッピーバースデートゥーユー♪」」」」」
ウェイターさんの後ろからはクリスさん、ルーちゃん、シズクさん、そしてユーグさんが歌いながらやってきた。
よく見れば正面に座っているシャルも歌っているではないか!
「「「「「ハッピーバースデー、ディアー、フィーネ~♪」」」」」
ウェイターさんが私の前にケーキを持ってくる。
「「「「「ハッピーバースデートゥーユー♪」」」」」
バースデーのお祝いソングが終わると私は 15 本の火のついたロウソクを吹き消す。
するとみんなから拍手が送られ、口々にお祝いの言葉を言われた。
どうしよう、目の前が滲んで見える。
「フィーネ、あなた泣き虫ですわね。このくらいのことで泣いていてはダメですわよ? さ、これは、わたくしからのプレゼントですわ」
そう言ってシャルが何か包みを渡してくれた。
「開けてもいいですか?」
「もちろんですわ」
私が開けると、金の細かい細工が施された美しい手鏡が入っていた。一目見ても上質でものすごく高いんだろうな、ということがよく分かる。
「それは、わたくしの愛用している手鏡を作った職人に作らせた二つとない逸品ですわ。あなたももう婚約できる年齢になったんですのよ。手鏡の一つや二つ、持っておくべきですわ」
「う、ありがとうございます」
私がそういうとシャルはニッコリと微笑んだのだった。
「フィーネ嬢、これは私からだ。焼き菓子なのでティータイムにでも」
「はい。ユーグさん、ありがとうございます」
どうやらクッキーのようだ。大半はルーちゃんのお腹の中かな。
「フィーネ様、お誕生日おめでとうございます。私からはこちらをお贈り致します」
「ナイフ、ですか?」
クリスさんは煌びやかな装飾の施されたナイフを私にくれた。
「はい。私がお仕えしてはや二年、フィーネ様もついに 15 となられました。私にとって長いようでも短いようでもありましたが、これからフィーネ様は成人なさいます。わが国のファレン半島一帯では成人を迎える子にその先の人生を切り拓いてほしい、という願いと魔除けの意味込めて男の子には剣を、女の子にはナイフを送る風習がございます」
それって、つまり親が子に贈るやつってことだよね? でも私には両親がいないから……
「うう、クリスさん、ありがとうございます」
また涙で目の前が滲んでしまう。
「姉さまっ! お誕生日おめでとうございますっ!」
「フィーネ殿、15 の誕生日、おめでとうでござる」
最後はルーちゃんとシズクさんだ。何を貰えるんだろうって、あれ? 手ぶら?
「ふふ、姉さま、どうでしたかっ? さっき食べてもらったポトポト鳥、あたしとシズクさんで今日捕まえてきたんですよっ!」
「拙者たちは物でお返しすることはできないでござるからな。その、気に入ってもらえたでござるか?」
「ええ、ええ、はい! はい! すごく美味しかったです! ありがとうございます! ルーちゃん、シズクさん、私あんなに美味しい鳥の肉は初めて食べた気がします」
するとルーちゃんはジト目になった。
「えー、姉さま、あの変な狩猟大会の後にあたしが捕まえたやつを食べてますよっ?」
・
・
・
「あっ!」
私は恥ずかしさから頬をかいたのだった
****
余談ではあるが、ド・マドゥーラの厨房ではシズクとルミアの持ち込んだポトポト鳥によって衝撃が走っていた。
「おいおい! なんだこの鳥の肉は!」
「ヤバいっすね。この肉を食べたらもう普通の鶏肉は食えないっすね」
「どっから手に入れたんだ?」
「ガティルエ公爵様のところの聖女シャルロット様の持ち込みっす。何でも、エルフの力を借りないと捕らえることのできない幻の鳥だそうっす」
「……そういえば、今日は王弟妃殿下がいらっしゃるよな?」
「そういえばそうっすね。確かグルメ婦人会の重要な会食らしいっすよ」
「よし、残りの肉は好きにしていいって言われてるし、そこに残りの肉を出すぞ」
「マジっすか!?」
こうしてホワイトムーン王国王弟妃とグルメ婦人会の口に入ったポトポト鳥はエルフのみが狩ることのできる幻の超高級肉として一部の富裕層の間で密かに話題となっていくのだが、これはまた別の話である。
2020/10/01 誤字を修正しました
2021/02/24 本文内で人物を取り違えて記述していた誤りを修正致しました
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「失礼いたします。本日のメインディッシュをお持ちいたしました。こちら、ポトポト鳥の皮付きもも肉のレモンソテーでございます」
何やら変な名前の鳥の肉が出てきた。あれ? でもどこかで聞いたことあるような?
「まあ、これがポトポト鳥ですのね? 楽しみですわ」
「シャル、知っているんですか?」
「え、ええ。食べるのは初めてですわね。ただ、噂では聞いたことがありますわ」
「さすがですね」
「当然ですわ」
あれ? いつもみたいに顔を真っ赤にしていないぞ?
不思議に思いつつも私はポトポト鳥にナイフで小さく切り分けると口に運ぶ。
口に入れた瞬間、じゅわっと濃厚な肉汁が口の中一杯に広がる。ものすごく濃厚なのに全然くどくなくて、いや、不思議な感覚ではあるが何故かすっきりしているとも感じる。味付けは至ってシンプルで塩胡椒にレモン汁がかかっているだけだ。だが、たぶんこのお肉はこれでいいんだと思う。一切臭みなんてなくて、ここに香草やニンニクなんて入れたら素材の味を殺してしまうだろう。私はもう一口とお肉にかぶりつく。
すごい! 美味しいものを食べるとほっぺが落ちそうになるとよく言われるけど、まさにこの事だ!
皮付きなのに全然油っこさも感じないし、まさに奇跡のお肉かもしれない。シャルも食べるのは初めてと言っていたし、きっとさぞ希少な鳥なんだろう。
あれ? でもどこかで食べたことあるような?
「シャル、これはとっても美味しいですね」
「……え、ええ。わたくしもここまでとは思いませんでしたわ。まさかこんなお肉が存在していたなんて……」
シャルも感動のあまり言葉を失っているようだ。
「シャル、素敵なレストランに連れてきてくれてありがとうございます」
「え? え、ええ。そうですわね。わたくしの行きつけのレストランですわ。このくらい当然ですわ」
「ふふ。他のおススメのレストランも教えてくださいね?」
「ふふん。仕方ありませんわね。フィーネのたっての頼みとあれば教えて差し上げますわ。でも、また今度ですわね」
「はい。そうですね……」
シャルは明日、私は明後日、それぞれ旅立たなければならない。シャルは戦場へ、私は魔物の溢れる森へ、行き先は違えども人々を魔物から守るために戦うのは同じだ。
「フィーネ、何を湿っぽくなっているんですの? わたくしにはユーグ様がついていますし、あなたにはクリスティーナがついていますわ。心配などどこにもないのではなくて?」
シャルはいつもの自信満々の輝くような笑顔でそう言った。
「はい。そうですね」
あっという間にこのポトポト鳥を平らげた私たちがそんな話をしていると、ドアがノックされウェイターさんが入ってくる。
「空いたお皿をお下げ致します。デザートをお持ちしてもよろしいでしょうか?」
「ええ」
シャルが短く返事をするとウェイターさんはお皿を持って下がっていった。そして少しすると、再びドアがノックされた。
ガチャリ
ドアが開くと同時に室内の照明がいきなり落とされた。そしてホールケーキを持ったウェイターさんが入ってくる。そしてそのケーキの上には火の灯されたロウソクが乗っている。
「「「「「ハッピーバースデートゥーユー♪」」」」」
ウェイターさんの後ろからはクリスさん、ルーちゃん、シズクさん、そしてユーグさんが歌いながらやってきた。
よく見れば正面に座っているシャルも歌っているではないか!
「「「「「ハッピーバースデー、ディアー、フィーネ~♪」」」」」
ウェイターさんが私の前にケーキを持ってくる。
「「「「「ハッピーバースデートゥーユー♪」」」」」
バースデーのお祝いソングが終わると私は 15 本の火のついたロウソクを吹き消す。
するとみんなから拍手が送られ、口々にお祝いの言葉を言われた。
どうしよう、目の前が滲んで見える。
「フィーネ、あなた泣き虫ですわね。このくらいのことで泣いていてはダメですわよ? さ、これは、わたくしからのプレゼントですわ」
そう言ってシャルが何か包みを渡してくれた。
「開けてもいいですか?」
「もちろんですわ」
私が開けると、金の細かい細工が施された美しい手鏡が入っていた。一目見ても上質でものすごく高いんだろうな、ということがよく分かる。
「それは、わたくしの愛用している手鏡を作った職人に作らせた二つとない逸品ですわ。あなたももう婚約できる年齢になったんですのよ。手鏡の一つや二つ、持っておくべきですわ」
「う、ありがとうございます」
私がそういうとシャルはニッコリと微笑んだのだった。
「フィーネ嬢、これは私からだ。焼き菓子なのでティータイムにでも」
「はい。ユーグさん、ありがとうございます」
どうやらクッキーのようだ。大半はルーちゃんのお腹の中かな。
「フィーネ様、お誕生日おめでとうございます。私からはこちらをお贈り致します」
「ナイフ、ですか?」
クリスさんは煌びやかな装飾の施されたナイフを私にくれた。
「はい。私がお仕えしてはや二年、フィーネ様もついに 15 となられました。私にとって長いようでも短いようでもありましたが、これからフィーネ様は成人なさいます。わが国のファレン半島一帯では成人を迎える子にその先の人生を切り拓いてほしい、という願いと魔除けの意味込めて男の子には剣を、女の子にはナイフを送る風習がございます」
それって、つまり親が子に贈るやつってことだよね? でも私には両親がいないから……
「うう、クリスさん、ありがとうございます」
また涙で目の前が滲んでしまう。
「姉さまっ! お誕生日おめでとうございますっ!」
「フィーネ殿、15 の誕生日、おめでとうでござる」
最後はルーちゃんとシズクさんだ。何を貰えるんだろうって、あれ? 手ぶら?
「ふふ、姉さま、どうでしたかっ? さっき食べてもらったポトポト鳥、あたしとシズクさんで今日捕まえてきたんですよっ!」
「拙者たちは物でお返しすることはできないでござるからな。その、気に入ってもらえたでござるか?」
「ええ、ええ、はい! はい! すごく美味しかったです! ありがとうございます! ルーちゃん、シズクさん、私あんなに美味しい鳥の肉は初めて食べた気がします」
するとルーちゃんはジト目になった。
「えー、姉さま、あの変な狩猟大会の後にあたしが捕まえたやつを食べてますよっ?」
・
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「あっ!」
私は恥ずかしさから頬をかいたのだった
****
余談ではあるが、ド・マドゥーラの厨房ではシズクとルミアの持ち込んだポトポト鳥によって衝撃が走っていた。
「おいおい! なんだこの鳥の肉は!」
「ヤバいっすね。この肉を食べたらもう普通の鶏肉は食えないっすね」
「どっから手に入れたんだ?」
「ガティルエ公爵様のところの聖女シャルロット様の持ち込みっす。何でも、エルフの力を借りないと捕らえることのできない幻の鳥だそうっす」
「……そういえば、今日は王弟妃殿下がいらっしゃるよな?」
「そういえばそうっすね。確かグルメ婦人会の重要な会食らしいっすよ」
「よし、残りの肉は好きにしていいって言われてるし、そこに残りの肉を出すぞ」
「マジっすか!?」
こうしてホワイトムーン王国王弟妃とグルメ婦人会の口に入ったポトポト鳥はエルフのみが狩ることのできる幻の超高級肉として一部の富裕層の間で密かに話題となっていくのだが、これはまた別の話である。
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