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武を求めし者
第五章第16話 チィーティエン救援戦(中編)
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「ルゥー・フェィ将軍ー!! 待つでござるー!」
拙者は借り受けた馬を走らせ将軍の騎馬隊を追いかける。だが馬の扱いにかなりの力量差があるようで、どんどん離されていってしまう。
そして将軍の騎馬隊はそのまま町に押し寄せている死なない獣の群れに突撃していく
獣の数はおよそ 40 といったところか。どうやらすべてフゥーイエ村で最初に戦った狼のようだ。
町の守備にあたる兵士たちが応戦しているようだがやはり相当苦戦を強いられている模様だ。もしかしたら、既に多数の怪我人が出ているかもしれない。
「どけぇぇぇぇ!」
将軍の気合の入った声と共に騎馬隊が一糸乱れぬ見事な騎馬突撃を仕掛ける。一つの塊となった将軍の部隊はそのまま狼の群れの横っ腹を食い破り、そしてそのまま駆け抜けていった。
「おおおお、ルゥー・フェィ将軍だ! 赤天将軍がいらしたぞ!」
「「「「うおおおおお」」」」
守備兵たちの士気が大きく向上した。
拙者はそれを横目に将軍に蹴散らされた狼たちを見遣る。
やはり予想通りというか、明らかに致命傷を負って息絶えるはずの狼がむくりと起き上がり、そしてすぐに無傷の状態へと戻ってしまった。
「な、なんとっ!」
「くっ、将軍でもダメなのかっ!」
先ほど将軍の登場で盛り上がった士気があっという間に戻ってしまった。いや、マイナスかもしれない。
先ほどのフィーネ殿の指示は将軍を呼び戻すことだった。ということは今フィーネ殿は兵士たちの武器に祝福が与えているはずで、いずれその武器を手にした兵士たちが増援に駆けつけるだろう。
ならば拙者のやることはただ一つ!
「時間を稼ぐでござるよ」
拙者はそう呟くと守備兵たちの背後へと馬を進めた。
「チィーティエンの守備兵諸君、拙者は聖女フィーネ・アルジェンタータ様の剣、シズク・ミエシロでござる! ルゥー・フェィ将軍と共に聖女様がここチィーティエンを救うために参ったでござる! すぐに聖女様の祝福を受けた戦士たちがここに参る故、皆、それまで耐えるでござるよ!」
拙者はできる限り大声で叫び、そして馬を降りた。
「将軍だけでなく聖女様まで? 間に合ったのか!」
「助かったのか!?」
「いけるのか!?」
拙者は守備兵たちの士気が少し上がったのを見て前線へと飛び出す。
そしてそのまま近くにいた狼を 2 匹、フィーネ殿から頂いた刀で切り捨てた。
その傷口からしゅーしゅーと白い煙をあげた狼はそのまま立ち上がることなく絶命し、そしてその死骸は塵となって風に吹かれて消えていった。
「なんとっ! あの獣を……倒した!? これが聖女様の……剣っ!」
「うおおおおお」
「いける! いけるぞ!」
「耐えればいいんだ! みんな守りを固めろ!」
拙者は飛びかかってきた狼 3 匹のうち 2 匹をまとめて居合で切り伏せ、1 匹を体の軸をずらして躱すとそのまま回転を利用してその背中に一撃を入れて切り捨てた。
やはり拙者に斬られた狼はそのまま塵となって消える。
それを見た狼は拙者を警戒してか、距離を取って唸っている。その眼はやはり野生の獣とは思えぬほどに狂気を、憎しみを湛えている。
そこに将軍の二回目の騎馬突撃が行われた。
キャインキャインキャイン
狼たちは悲鳴をあげて転がるが、やはり結果は同じだ。
「ルゥー・フェィ将軍! その獣は普通の武器では倒せないでござる! 早くフィーネ殿の元へ行きその武器に祝福を貰うでござるよ!」
「なんだと? はっ」
まるで曲芸のように走っている馬から飛び降りると、将軍は拙者の隣に着地した。
馬はそのまま走り去ってしまったがそれでよかったのだろうか?
「貴様ら! 聖女のところに行け!」
「「「はっ!」」」
将軍が命じると騎馬隊は一切の躊躇なくそのままフィーネ殿の方へと駆けていった。
「将軍はどうするでござるか?」
「ふ、知れたことよ。倒す!」
そう言って将軍が気合を入れるとまるで衝撃波が走ったかのようにびりびりした空気が伝わっていく。
あまりの存在感に拙者は思わず半歩下がってしまった。後ろの守備兵たちの中には腰を抜かしている者もいる。
「グルルルル」
しかし狼たちは将軍のその空気に逆に吸い寄せられるかのように向かってきた。
「ふん、雑魚が!」
そう叫ぶと将軍は槍斧を構える。
拙者が巻き添えを避けるために大きく跳び退ったのと同時に目にも止まらぬ速さで槍斧を振り回し、飛びかかってきた狼たちを次々と切り捨てていく。
将軍が槍斧を振り回すのを止めると、そこには切り捨てられた狼の山が出来上がっていた。
しかし狼はすぐにむくりと起き上がると、将軍を目掛けて再び突っ込んできた。
「ふん、なるほど。死なぬとはこういうことか。ならば、こうすれば良いっ!」
そう叫んだ将軍は槍斧の側面でその狼を思い切り殴打した。
グシャッと鈍い音がしたかと思うとそのまま狼は凄まじい勢いで大岩に向かって吹き飛ばされる。そしてそのままドゴォン、とまるで爆発でもしたかのような衝撃音と共に狼はその大岩に激突した。
その大岩は激突の衝撃で半壊し、その崩れた岩が狼の上に落下する。そして生き返った狼はそのまま岩に押しつぶされ動けなくなったのだった。
「む、無茶苦茶でござるな……」
拙者があまりのあり得ない光景に唖然としていると、将軍が檄を飛ばしてきた。
「ぼさっとするな! 貴様はこの雑魚を斬れば殺せるのだろう! さっさとやれ!」
「そ、そうでござるな」
拙者は気を取り直し、狼と対峙するのだった。
拙者は借り受けた馬を走らせ将軍の騎馬隊を追いかける。だが馬の扱いにかなりの力量差があるようで、どんどん離されていってしまう。
そして将軍の騎馬隊はそのまま町に押し寄せている死なない獣の群れに突撃していく
獣の数はおよそ 40 といったところか。どうやらすべてフゥーイエ村で最初に戦った狼のようだ。
町の守備にあたる兵士たちが応戦しているようだがやはり相当苦戦を強いられている模様だ。もしかしたら、既に多数の怪我人が出ているかもしれない。
「どけぇぇぇぇ!」
将軍の気合の入った声と共に騎馬隊が一糸乱れぬ見事な騎馬突撃を仕掛ける。一つの塊となった将軍の部隊はそのまま狼の群れの横っ腹を食い破り、そしてそのまま駆け抜けていった。
「おおおお、ルゥー・フェィ将軍だ! 赤天将軍がいらしたぞ!」
「「「「うおおおおお」」」」
守備兵たちの士気が大きく向上した。
拙者はそれを横目に将軍に蹴散らされた狼たちを見遣る。
やはり予想通りというか、明らかに致命傷を負って息絶えるはずの狼がむくりと起き上がり、そしてすぐに無傷の状態へと戻ってしまった。
「な、なんとっ!」
「くっ、将軍でもダメなのかっ!」
先ほど将軍の登場で盛り上がった士気があっという間に戻ってしまった。いや、マイナスかもしれない。
先ほどのフィーネ殿の指示は将軍を呼び戻すことだった。ということは今フィーネ殿は兵士たちの武器に祝福が与えているはずで、いずれその武器を手にした兵士たちが増援に駆けつけるだろう。
ならば拙者のやることはただ一つ!
「時間を稼ぐでござるよ」
拙者はそう呟くと守備兵たちの背後へと馬を進めた。
「チィーティエンの守備兵諸君、拙者は聖女フィーネ・アルジェンタータ様の剣、シズク・ミエシロでござる! ルゥー・フェィ将軍と共に聖女様がここチィーティエンを救うために参ったでござる! すぐに聖女様の祝福を受けた戦士たちがここに参る故、皆、それまで耐えるでござるよ!」
拙者はできる限り大声で叫び、そして馬を降りた。
「将軍だけでなく聖女様まで? 間に合ったのか!」
「助かったのか!?」
「いけるのか!?」
拙者は守備兵たちの士気が少し上がったのを見て前線へと飛び出す。
そしてそのまま近くにいた狼を 2 匹、フィーネ殿から頂いた刀で切り捨てた。
その傷口からしゅーしゅーと白い煙をあげた狼はそのまま立ち上がることなく絶命し、そしてその死骸は塵となって風に吹かれて消えていった。
「なんとっ! あの獣を……倒した!? これが聖女様の……剣っ!」
「うおおおおお」
「いける! いけるぞ!」
「耐えればいいんだ! みんな守りを固めろ!」
拙者は飛びかかってきた狼 3 匹のうち 2 匹をまとめて居合で切り伏せ、1 匹を体の軸をずらして躱すとそのまま回転を利用してその背中に一撃を入れて切り捨てた。
やはり拙者に斬られた狼はそのまま塵となって消える。
それを見た狼は拙者を警戒してか、距離を取って唸っている。その眼はやはり野生の獣とは思えぬほどに狂気を、憎しみを湛えている。
そこに将軍の二回目の騎馬突撃が行われた。
キャインキャインキャイン
狼たちは悲鳴をあげて転がるが、やはり結果は同じだ。
「ルゥー・フェィ将軍! その獣は普通の武器では倒せないでござる! 早くフィーネ殿の元へ行きその武器に祝福を貰うでござるよ!」
「なんだと? はっ」
まるで曲芸のように走っている馬から飛び降りると、将軍は拙者の隣に着地した。
馬はそのまま走り去ってしまったがそれでよかったのだろうか?
「貴様ら! 聖女のところに行け!」
「「「はっ!」」」
将軍が命じると騎馬隊は一切の躊躇なくそのままフィーネ殿の方へと駆けていった。
「将軍はどうするでござるか?」
「ふ、知れたことよ。倒す!」
そう言って将軍が気合を入れるとまるで衝撃波が走ったかのようにびりびりした空気が伝わっていく。
あまりの存在感に拙者は思わず半歩下がってしまった。後ろの守備兵たちの中には腰を抜かしている者もいる。
「グルルルル」
しかし狼たちは将軍のその空気に逆に吸い寄せられるかのように向かってきた。
「ふん、雑魚が!」
そう叫ぶと将軍は槍斧を構える。
拙者が巻き添えを避けるために大きく跳び退ったのと同時に目にも止まらぬ速さで槍斧を振り回し、飛びかかってきた狼たちを次々と切り捨てていく。
将軍が槍斧を振り回すのを止めると、そこには切り捨てられた狼の山が出来上がっていた。
しかし狼はすぐにむくりと起き上がると、将軍を目掛けて再び突っ込んできた。
「ふん、なるほど。死なぬとはこういうことか。ならば、こうすれば良いっ!」
そう叫んだ将軍は槍斧の側面でその狼を思い切り殴打した。
グシャッと鈍い音がしたかと思うとそのまま狼は凄まじい勢いで大岩に向かって吹き飛ばされる。そしてそのままドゴォン、とまるで爆発でもしたかのような衝撃音と共に狼はその大岩に激突した。
その大岩は激突の衝撃で半壊し、その崩れた岩が狼の上に落下する。そして生き返った狼はそのまま岩に押しつぶされ動けなくなったのだった。
「む、無茶苦茶でござるな……」
拙者があまりのあり得ない光景に唖然としていると、将軍が檄を飛ばしてきた。
「ぼさっとするな! 貴様はこの雑魚を斬れば殺せるのだろう! さっさとやれ!」
「そ、そうでござるな」
拙者は気を取り直し、狼と対峙するのだった。
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