123 / 625
花乙女の旅路
第三章第36話 山の中の廃村
しおりを挟む
2020/09/23 文章を修正しました。内容に変更はございません
2021/12/12 誤字を修正しました
================
私たちはシルツァの里近くの三か所の毒沼を浄化すると、十日以上お世話になったこの里を後にした。
里にはお世話になったお礼としてリーチェの生み出した種をいくつか残していった。
一つは私が手ずから里の中に植え、残りはまた毒沼が発生した時に現地に植えてもらうことになった。
リーチェの出す種は私が魔力を与えなくても瘴気や毒などを少しずつ浄化しながら成長する力があるそうなので、毒沼に悩まされ続けたこの地域にはうってつけな代物だと思う。
この里の皆さんもこの森も、そしてシルツァ湖群のこの美しい風景も未来に受け継がれていく。そんな希望を託して私たちはお世話になったこの里を後にしたのだった。
****
そして、私たちは南東の離れた最後の一か所の浄化をするため、地図で示された場所付近にやってきた。シルツァの里からその場所までは歩いて二日間もかかった。
しかも森の民であるルーちゃんの能力のおかげで半分枯れた藪や枝を刈ったり、倒木を避けたりという労力を割くことなく進めてなおこれだけの時間が掛かったのだ。
やはり森でのルーちゃんはとても頼もしいと素直に思う。
「姉さまっ! この先みたいです」
どうやら着いたようだ。ルーちゃんが元気にそう告げてくる。
ちなみに、心配していたマシロちゃんの食事だがどうやら私たちと同じ食べ物でなくても良いようで、そのあたりに生えていた緑の草や木の皮を勝手に食べていた。
ただ、その食欲がちょっと旺盛すぎる気がする。その量たるやマシロちゃんを放置するとすぐにハゲ山が出来上がるんじゃないかと心配になるレベルだった。なので今後は私たちで食事を用意してあげたほうがいいかもしれない。
ほら、前の世界でも鹿の食害が、みたいなニュースが流れていた気がするし。
そんなことを思いながら最後の枯れ藪を抜けた私たちの目に飛び込んできたのは、崩れ落ちたボロボロの廃墟だった。
え? こんな場所に人が住んでいたの? 畑になりそうな場所もないのに?
「このような場所に村があったとは……」
「ここで生活するのは大変だったでしょうね」
クリスさんの呟きに私は感想を返す。
廃墟の中へ入ってみると、ほとんどの建物は石で補強された基礎部分を残して残っていない。
村の一番奥まった場所にある大きな石造りの建物だけが半壊した状態で残っているようだ。
村長さんの家的な何かかもしれない。そう思った私たちはその石造りの廃屋へと歩を進める。
やはり、毒沼が発生したことが原因で放棄されたのだろうか?
山あいの狭い狭い平地に築かれた廃村を歩きながら時の流に埋もれた当時の人々の生活に思いを馳せる。
そうして歩いていると、その石造りの廃屋の向こう側に広い池があるのを発見した。
「あそこが汚染源、ですかね?」
「フィーネ様、行ってみましょう」
私たちは廃屋の脇をすり抜けて池のほとりにやってきた。
廃屋の裏手はかなりの広さの平地となっており、一見広場のようにも見える。
だが、もしかしたらここがこの村の畑だったのかもしれない。
そんな広場の端のあるものに私の目に留《と》まった。
「お墓、ですね……」
そう、誰かのお墓らしき石碑が立てられているのだ。そして、どうやら誰かが今でもお参りに来ているようで、しっかりと手入れをされた形跡がある。
その墓石には「エルザ」と名が刻まれていた。
「こんな山奥まで誰かがお参りに来てくれているなんて、きっと、このエルザさんという方はさぞ愛されていたのでしょうね」
「そうですね。やはりツィンシャから、でしょうか。だとすると道があるのかもしれませんね」
確かに。そうだとするとありがたい。
「池はやはり毒に侵されているようでござるよ」
「では、やはりその毒が原因で村が放棄されたのかも知れませんね」
池のほうからはシズクさんの声が聞こえたので、私はそちらへと向かいながらそう答える。
やはりこれだけ村に近い場所に毒が溜まれば生活はままならないだろう。もしここが畑だったならば作物が全滅してすぐにでも困窮したはずだ。
「魔物もいないみたいですし、浄化を始めましょう」
池のほとりに立つと私はリーチェを呼び出すために花乙女の杖を収納から取り出した。そしてその杖でリーチェを召喚しようとしたその時だった。
「待つでござる!」
シズクさんの鋭い一声で私はリーチェの召喚を取りやめる。
「あそこに、巨大な蛇がいるでござるよ。あの大きさは、恐らく魔物でござる」
シズクさんの指さした先では黒ずんだ池の水が小さく波打っている。よくみると確かに蛇だ。黒ずんだ池の水とほぼ同じ黒い体が静かにこちらへと向かってきている。
「とりあえず、お墓の近くからは離れないと!」
私の言葉にそろりそろりと移動を始める。すると、それに合わせて黒い蛇もこちらに向かって移動をしている。
どうやら完全に私たちは獲物として認識されているらしい。
お墓からそれなりに離れた場所まで移動すると、私たちは蛇の魔物を迎え撃つべく身構える。
・
・
・
水に引き込みたい蛇の魔物と陸で戦いたい私たちの睨み合いが続くが、その均衡を破ったのは蛇の魔物だった。
池の中から広場に上がると一気にこちらを目指して突撃してくる。
「防壁!」
私は防壁を出して突撃を食い止める。蛇の魔物は凄まじい轟音を立てて防壁にぶつかり、止まった。
止まったのだが、ちょっと待って。何あの大きさ? いくらなんでも大きすぎじゃないか?
蛇の頭が正面を向いているのだが、その頭の高さが私の背と変わらないくらいだ。
この頭の高さというのは、頭を持ち上げた時の高さではなくて頭そのものの高さだ。
なんなら胴体の一番太くなっている部分は私の背たけよりも遥かに太い。
全長は何メートルくらいだろうか? ゆうに 20 mはありそうだ。いや、30 m、もしかしたら 40 m くらいあるかもしれない。
「マシロっ!」
ルーちゃんがマシロちゃんを呼び出して風の刃を蛇に飛ばす。
カシン
乾いた音を立てて風の刃が蛇の鱗に弾かれる。
「ええっ! 嘘っ!?」
ルーちゃんが驚きの声を上げる。
「シズクさん、あれを斬れますか?」
「任せるでござる」
「クリス殿、あの蛇の注意を引き付けて欲しいでござる」
「ああ、任せてくれ」
こうなれば二人の連携に頼るしかない。私は危なくなった方を助けるのが仕事だ。
私はルーちゃんを背に庇うと、再び蛇の方に向き直るのだった。
2021/12/12 誤字を修正しました
================
私たちはシルツァの里近くの三か所の毒沼を浄化すると、十日以上お世話になったこの里を後にした。
里にはお世話になったお礼としてリーチェの生み出した種をいくつか残していった。
一つは私が手ずから里の中に植え、残りはまた毒沼が発生した時に現地に植えてもらうことになった。
リーチェの出す種は私が魔力を与えなくても瘴気や毒などを少しずつ浄化しながら成長する力があるそうなので、毒沼に悩まされ続けたこの地域にはうってつけな代物だと思う。
この里の皆さんもこの森も、そしてシルツァ湖群のこの美しい風景も未来に受け継がれていく。そんな希望を託して私たちはお世話になったこの里を後にしたのだった。
****
そして、私たちは南東の離れた最後の一か所の浄化をするため、地図で示された場所付近にやってきた。シルツァの里からその場所までは歩いて二日間もかかった。
しかも森の民であるルーちゃんの能力のおかげで半分枯れた藪や枝を刈ったり、倒木を避けたりという労力を割くことなく進めてなおこれだけの時間が掛かったのだ。
やはり森でのルーちゃんはとても頼もしいと素直に思う。
「姉さまっ! この先みたいです」
どうやら着いたようだ。ルーちゃんが元気にそう告げてくる。
ちなみに、心配していたマシロちゃんの食事だがどうやら私たちと同じ食べ物でなくても良いようで、そのあたりに生えていた緑の草や木の皮を勝手に食べていた。
ただ、その食欲がちょっと旺盛すぎる気がする。その量たるやマシロちゃんを放置するとすぐにハゲ山が出来上がるんじゃないかと心配になるレベルだった。なので今後は私たちで食事を用意してあげたほうがいいかもしれない。
ほら、前の世界でも鹿の食害が、みたいなニュースが流れていた気がするし。
そんなことを思いながら最後の枯れ藪を抜けた私たちの目に飛び込んできたのは、崩れ落ちたボロボロの廃墟だった。
え? こんな場所に人が住んでいたの? 畑になりそうな場所もないのに?
「このような場所に村があったとは……」
「ここで生活するのは大変だったでしょうね」
クリスさんの呟きに私は感想を返す。
廃墟の中へ入ってみると、ほとんどの建物は石で補強された基礎部分を残して残っていない。
村の一番奥まった場所にある大きな石造りの建物だけが半壊した状態で残っているようだ。
村長さんの家的な何かかもしれない。そう思った私たちはその石造りの廃屋へと歩を進める。
やはり、毒沼が発生したことが原因で放棄されたのだろうか?
山あいの狭い狭い平地に築かれた廃村を歩きながら時の流に埋もれた当時の人々の生活に思いを馳せる。
そうして歩いていると、その石造りの廃屋の向こう側に広い池があるのを発見した。
「あそこが汚染源、ですかね?」
「フィーネ様、行ってみましょう」
私たちは廃屋の脇をすり抜けて池のほとりにやってきた。
廃屋の裏手はかなりの広さの平地となっており、一見広場のようにも見える。
だが、もしかしたらここがこの村の畑だったのかもしれない。
そんな広場の端のあるものに私の目に留《と》まった。
「お墓、ですね……」
そう、誰かのお墓らしき石碑が立てられているのだ。そして、どうやら誰かが今でもお参りに来ているようで、しっかりと手入れをされた形跡がある。
その墓石には「エルザ」と名が刻まれていた。
「こんな山奥まで誰かがお参りに来てくれているなんて、きっと、このエルザさんという方はさぞ愛されていたのでしょうね」
「そうですね。やはりツィンシャから、でしょうか。だとすると道があるのかもしれませんね」
確かに。そうだとするとありがたい。
「池はやはり毒に侵されているようでござるよ」
「では、やはりその毒が原因で村が放棄されたのかも知れませんね」
池のほうからはシズクさんの声が聞こえたので、私はそちらへと向かいながらそう答える。
やはりこれだけ村に近い場所に毒が溜まれば生活はままならないだろう。もしここが畑だったならば作物が全滅してすぐにでも困窮したはずだ。
「魔物もいないみたいですし、浄化を始めましょう」
池のほとりに立つと私はリーチェを呼び出すために花乙女の杖を収納から取り出した。そしてその杖でリーチェを召喚しようとしたその時だった。
「待つでござる!」
シズクさんの鋭い一声で私はリーチェの召喚を取りやめる。
「あそこに、巨大な蛇がいるでござるよ。あの大きさは、恐らく魔物でござる」
シズクさんの指さした先では黒ずんだ池の水が小さく波打っている。よくみると確かに蛇だ。黒ずんだ池の水とほぼ同じ黒い体が静かにこちらへと向かってきている。
「とりあえず、お墓の近くからは離れないと!」
私の言葉にそろりそろりと移動を始める。すると、それに合わせて黒い蛇もこちらに向かって移動をしている。
どうやら完全に私たちは獲物として認識されているらしい。
お墓からそれなりに離れた場所まで移動すると、私たちは蛇の魔物を迎え撃つべく身構える。
・
・
・
水に引き込みたい蛇の魔物と陸で戦いたい私たちの睨み合いが続くが、その均衡を破ったのは蛇の魔物だった。
池の中から広場に上がると一気にこちらを目指して突撃してくる。
「防壁!」
私は防壁を出して突撃を食い止める。蛇の魔物は凄まじい轟音を立てて防壁にぶつかり、止まった。
止まったのだが、ちょっと待って。何あの大きさ? いくらなんでも大きすぎじゃないか?
蛇の頭が正面を向いているのだが、その頭の高さが私の背と変わらないくらいだ。
この頭の高さというのは、頭を持ち上げた時の高さではなくて頭そのものの高さだ。
なんなら胴体の一番太くなっている部分は私の背たけよりも遥かに太い。
全長は何メートルくらいだろうか? ゆうに 20 mはありそうだ。いや、30 m、もしかしたら 40 m くらいあるかもしれない。
「マシロっ!」
ルーちゃんがマシロちゃんを呼び出して風の刃を蛇に飛ばす。
カシン
乾いた音を立てて風の刃が蛇の鱗に弾かれる。
「ええっ! 嘘っ!?」
ルーちゃんが驚きの声を上げる。
「シズクさん、あれを斬れますか?」
「任せるでござる」
「クリス殿、あの蛇の注意を引き付けて欲しいでござる」
「ああ、任せてくれ」
こうなれば二人の連携に頼るしかない。私は危なくなった方を助けるのが仕事だ。
私はルーちゃんを背に庇うと、再び蛇の方に向き直るのだった。
0
あなたにおすすめの小説
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~
北条新九郎
ファンタジー
三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。
父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。
ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。
彼の職業は………………ただの門番である。
そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。
ブックマーク・評価、宜しくお願いします。
~クラス召喚~ 経験豊富な俺は1人で歩みます
無味無臭
ファンタジー
久しぶりに異世界転生を体験した。だけど周りはビギナーばかり。これでは俺が巻き込まれて死んでしまう。自称プロフェッショナルな俺はそれがイヤで他の奴と離れて生活を送る事にした。天使には魔王を討伐しろ言われたけど、それは面倒なので止めておきます。私はゆっくりのんびり異世界生活を送りたいのです。たまには自分の好きな人生をお願いします。
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜
シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。
起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。
その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。
絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。
役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる