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吸血鬼と聖女と聖騎士と
第一章第31話 人形の館
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結局、三日経ってもあの二人は帰ってこなかった。別邸までは馬車で3~4時間ほど、何事もなければもう帰ってきていなければおかしい。やはり、ダメだったのだろう。
「どうやらあのお二人は失敗したようですね。仕方ありません。クリスさん、行きましょうか」
固い表情のまま無言で頷くクリスさん。
「それじゃあ、伯爵様、行ってきます」
「よろしくお願いいたします。どうぞお気をつけて」
私たちは伯爵様の用意してくれた馬車に乗り込み別邸へと出発する。御者兼案内の人、セドリックさんを伯爵様が手配してくれたので3人で行動することになる。
今は朝 10 時。鐘の音とともに出発して、お昼休憩を挟んで午後 2 時から 3 時くらいに別邸に到着する予定だ。そこから、二時間くらいかけて浄化し、そのまま別邸に一泊する。夜になっても悪霊が出てこなければ浄化できている、というわけだ。もし浄化できてなければもう一日お仕事となる。
という、私たちは夜も少し活動するので馬車に揺られながら仮眠をとる。もちろん、私の指定席は幌の上だ。冬でも日差しがあれば気持ちいいからね!
****
お昼を食べたりおやつを食べたり、日向ぼっこしながらお昼寝をしたり、そんなこんなで別邸に辿りついた。
「いやぁ、いかにも出そうな感じですね」
郊外にぽつんと佇む豪邸だ。これがツタで覆われていなければ良い景色だっただろうに。
「お嬢様がご存命のうちは手入をされていたのですが、悪霊が憑りついてからは一切手出しができず、恥ずかしながらこのような状態となってしまいました」
セドリックさんが教えてくれる。なんでも、セドリックさんは亡くなったアンジェリカさんの専属執事をやっていたらしく、どうにかしてこのお屋敷を解放したいらしい。
「フィーネ様、日が落ちる前に中の悪霊を浄化してしまいましょう」
クリスさんの表情は未だ硬い。本当に幽霊はだめらしい。ここは、私の頑張りどころだろう。無駄に聖属性魔法のレベルが MAX なんだから、普通の悪霊ぐらいでは余裕で浄化できるはずだ。
セドリックさんが門の鍵を開けると馬車を入れ、門を閉じる。中にはもう一台の馬車が止められている。あれはあの貴族の何とかさんたちの馬車かな?
「あれは……シャルロット様達の馬車でしょう。やはり、まだ屋敷にいるようですね」
あれだけ侮辱されていたのに、クリスさんは少し心配そうにしている。
まあ、もう人形になってるんじゃないかな?
「屋敷の庭には何かありますか? アンジェリカさんのお墓とか」
「お嬢様のお墓は屋敷の中にございます。屋敷の一室が礼拝堂となっており、その地下に棺が納められております。庭には、井戸や納屋、そして悪霊に荒されてしまいましたが庭園がございますね」
「うーん、それじゃあ、屋敷に入るしかありませんね」
私たちは正面の扉を開いて中に入る。広いエントランスホールに敷き詰められた豪華な絨毯、見事な壁の彫刻、左右には手すりに豪華な模様の施された階段が備え付けられていて二階への動線となっているようだ。踊り場には美しい少女を囲んだ家族の幸せそうな絵画が飾られている。男性が伯爵様なので、この美しい少女がアンジェリカさんなのだろう。
そして、だ。エントランスホールには豪華なシャンデリアが吊り下げられているのだが、そのシャンデリアの上には、一体のフランス人形が座って私たちを見下ろしているのだ。
うえぇぇ、こわっ!
その人形がカタカタと動いている。
「これは……出ていけ、ということでしょうか?」
「ひぃっ!」
この悲鳴はクリスさんだな。一方のセドリックさんは人形を睨みつけている。今回はクリスさんよりもこの人のほうがよっぽど頼りになりそうだ。
どうしようかなー、と見ていると、人形が目をカッと見開いた。そして次の瞬間、シャンデリアから私たちの方に飛びかかってきた。
目を見開いて、私たちに噛みつこうとしているのか、大きな口を開けている。そして、なんか、髪がやたら伸びて大きく広がり、手も何か長くなっている。
うわぁ、完璧ホラーだ。どうしよう?
「うわぁぁぁ」
涙目になった、いや、若干パニック状態のクリスさんが聖剣を抜き、襲ってきた人形を切り捨てる。その一撃で人形は上半身と下半身がお別れをすることになった。
そして、そのまま消えてなくなった。
「やったか?」
クリスさん、そのセリフは完全にフラグな気がするけどなぁ。
そんなことを思っていると、私たち背後からゴトンという音がする。振り返ると、私たちの入ってきた扉が閉じられている。
「ひ、開かない?」
セドリックさんが急いで扉を開けようとするが、開かないようだ。
「うーん、敵認定されて閉じ込められましたかね。とりあえずは、アンジェリカさんのお墓に行きましょう。そこが事の発端のようですし」
「かしこまりました」
セドリックさんの後ろをついて一階の通路を歩いていく。そして、突き当たった先に大きな扉がある。十字架があしらわれているということは、ここが礼拝堂なのだろう。
「ここ、なのですが……」
どうやら扉が開かないようだ。
「うーん、無理やり破ってもいいですけど、さすがに礼拝堂を壊すのはまずいですよねぇ?」
「そう、ですね……」
その時だった。こちらを振り向いたセドリックさんが顔を青くして何か指さしている。
「あ、う、う、う、うし、うし……」
うん? うし?
「うしろ!」
え?
言われて振り返る。するとそこには先ほどのフランス人形を含む大量の人形たちの姿が!
「うえぇっ!」
「うぎょうえxjぅあーぃぁ#※%&!」
うめき声を上げたわたしとよく分からない悲鳴を上げたクリスさん。
──── クリスさん、女性がそんな悲鳴を上げるのはどうかと思うな
一瞬パニックになりかけたけれど、クリスさんのおかげで平常心を取り戻せた。
ここは一つ、浄化魔法で。
「えい!」
人形たちに浄化魔法をかける。すると、人形たちはあっという間に光の中に消えていった。
「ふう、これでよし、と。クリスさん、浄化したのでもう大丈夫ですよ」
「は、は、は、は、は」
あれ? 壊れた?
「クリスさーん?」
「あ、あ、あ、あ、あ」
あれ? セドリックさんも? うん?なんか2人とも後ろを指さしている?
振り返る。するとそこには先ほどのフランス人形を含む大量の人形たちの姿が!
って、おおおおい、減ってないどころか増えてるじゃないか! ええい。
「浄化!」
光が人形たちを包み込み、光の中に消えていく。
「さて、今度はどうでしょうか」
ドサッ、ドサッ、ドサッ、ドサッ
今度は後ろで何かが落ちてきた音がする。
さっきの人形たちだ。そして天井にはさっきの人形たちの仲間と思われる人形が大量に張り付いている。
「うえぇぇ」
「ひいいぃぃぃぃ」
クリスさんがパニックだ。セドリックさんも顔が真っ青で限界が近そうだ。
「ええい、この辺まとめて浄化!」
私は大出力で浄化魔法を放つ。この廊下と隣の部屋くらいは浄化できたっぽい感触がある。
「ふう。今度こそ大丈夫なはずです」
「ふぃ、ふぃふぃふぃ」
うん?クリスさんがまだ壊れてる?
「う、う、う、うしろに……」
まさか?
私は後ろを振り返ると、そこにはさっきの人形たちが、更に多くの人形達を引き連れてやってきていた。
うえぇ、まじか。
「ええ。ええと。どうしましょう、クリスさん?」
「じょ、じょ、じょ、浄化を」
「いやぁ、無理ですね」
「え?」
「さっきので MP 使い切っちゃいました。てへぺろ♪」
「「えええええええ!」」
2人の声が見事にハモった。すごい、芸人みたいにリアクションしてる。
「フィーネ様、本番に強いんじゃなかったんですか!」
「それはクリスさんが言ってたのであって、私はそんなこと一言も言ってません!」
「えええええ!」
「と、いうわけで早く逃げましょう!」
私は2人の手を引っぱると、エントランスホールを目指して一目散に走り始めた。
「どうやらあのお二人は失敗したようですね。仕方ありません。クリスさん、行きましょうか」
固い表情のまま無言で頷くクリスさん。
「それじゃあ、伯爵様、行ってきます」
「よろしくお願いいたします。どうぞお気をつけて」
私たちは伯爵様の用意してくれた馬車に乗り込み別邸へと出発する。御者兼案内の人、セドリックさんを伯爵様が手配してくれたので3人で行動することになる。
今は朝 10 時。鐘の音とともに出発して、お昼休憩を挟んで午後 2 時から 3 時くらいに別邸に到着する予定だ。そこから、二時間くらいかけて浄化し、そのまま別邸に一泊する。夜になっても悪霊が出てこなければ浄化できている、というわけだ。もし浄化できてなければもう一日お仕事となる。
という、私たちは夜も少し活動するので馬車に揺られながら仮眠をとる。もちろん、私の指定席は幌の上だ。冬でも日差しがあれば気持ちいいからね!
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お昼を食べたりおやつを食べたり、日向ぼっこしながらお昼寝をしたり、そんなこんなで別邸に辿りついた。
「いやぁ、いかにも出そうな感じですね」
郊外にぽつんと佇む豪邸だ。これがツタで覆われていなければ良い景色だっただろうに。
「お嬢様がご存命のうちは手入をされていたのですが、悪霊が憑りついてからは一切手出しができず、恥ずかしながらこのような状態となってしまいました」
セドリックさんが教えてくれる。なんでも、セドリックさんは亡くなったアンジェリカさんの専属執事をやっていたらしく、どうにかしてこのお屋敷を解放したいらしい。
「フィーネ様、日が落ちる前に中の悪霊を浄化してしまいましょう」
クリスさんの表情は未だ硬い。本当に幽霊はだめらしい。ここは、私の頑張りどころだろう。無駄に聖属性魔法のレベルが MAX なんだから、普通の悪霊ぐらいでは余裕で浄化できるはずだ。
セドリックさんが門の鍵を開けると馬車を入れ、門を閉じる。中にはもう一台の馬車が止められている。あれはあの貴族の何とかさんたちの馬車かな?
「あれは……シャルロット様達の馬車でしょう。やはり、まだ屋敷にいるようですね」
あれだけ侮辱されていたのに、クリスさんは少し心配そうにしている。
まあ、もう人形になってるんじゃないかな?
「屋敷の庭には何かありますか? アンジェリカさんのお墓とか」
「お嬢様のお墓は屋敷の中にございます。屋敷の一室が礼拝堂となっており、その地下に棺が納められております。庭には、井戸や納屋、そして悪霊に荒されてしまいましたが庭園がございますね」
「うーん、それじゃあ、屋敷に入るしかありませんね」
私たちは正面の扉を開いて中に入る。広いエントランスホールに敷き詰められた豪華な絨毯、見事な壁の彫刻、左右には手すりに豪華な模様の施された階段が備え付けられていて二階への動線となっているようだ。踊り場には美しい少女を囲んだ家族の幸せそうな絵画が飾られている。男性が伯爵様なので、この美しい少女がアンジェリカさんなのだろう。
そして、だ。エントランスホールには豪華なシャンデリアが吊り下げられているのだが、そのシャンデリアの上には、一体のフランス人形が座って私たちを見下ろしているのだ。
うえぇぇ、こわっ!
その人形がカタカタと動いている。
「これは……出ていけ、ということでしょうか?」
「ひぃっ!」
この悲鳴はクリスさんだな。一方のセドリックさんは人形を睨みつけている。今回はクリスさんよりもこの人のほうがよっぽど頼りになりそうだ。
どうしようかなー、と見ていると、人形が目をカッと見開いた。そして次の瞬間、シャンデリアから私たちの方に飛びかかってきた。
目を見開いて、私たちに噛みつこうとしているのか、大きな口を開けている。そして、なんか、髪がやたら伸びて大きく広がり、手も何か長くなっている。
うわぁ、完璧ホラーだ。どうしよう?
「うわぁぁぁ」
涙目になった、いや、若干パニック状態のクリスさんが聖剣を抜き、襲ってきた人形を切り捨てる。その一撃で人形は上半身と下半身がお別れをすることになった。
そして、そのまま消えてなくなった。
「やったか?」
クリスさん、そのセリフは完全にフラグな気がするけどなぁ。
そんなことを思っていると、私たち背後からゴトンという音がする。振り返ると、私たちの入ってきた扉が閉じられている。
「ひ、開かない?」
セドリックさんが急いで扉を開けようとするが、開かないようだ。
「うーん、敵認定されて閉じ込められましたかね。とりあえずは、アンジェリカさんのお墓に行きましょう。そこが事の発端のようですし」
「かしこまりました」
セドリックさんの後ろをついて一階の通路を歩いていく。そして、突き当たった先に大きな扉がある。十字架があしらわれているということは、ここが礼拝堂なのだろう。
「ここ、なのですが……」
どうやら扉が開かないようだ。
「うーん、無理やり破ってもいいですけど、さすがに礼拝堂を壊すのはまずいですよねぇ?」
「そう、ですね……」
その時だった。こちらを振り向いたセドリックさんが顔を青くして何か指さしている。
「あ、う、う、う、うし、うし……」
うん? うし?
「うしろ!」
え?
言われて振り返る。するとそこには先ほどのフランス人形を含む大量の人形たちの姿が!
「うえぇっ!」
「うぎょうえxjぅあーぃぁ#※%&!」
うめき声を上げたわたしとよく分からない悲鳴を上げたクリスさん。
──── クリスさん、女性がそんな悲鳴を上げるのはどうかと思うな
一瞬パニックになりかけたけれど、クリスさんのおかげで平常心を取り戻せた。
ここは一つ、浄化魔法で。
「えい!」
人形たちに浄化魔法をかける。すると、人形たちはあっという間に光の中に消えていった。
「ふう、これでよし、と。クリスさん、浄化したのでもう大丈夫ですよ」
「は、は、は、は、は」
あれ? 壊れた?
「クリスさーん?」
「あ、あ、あ、あ、あ」
あれ? セドリックさんも? うん?なんか2人とも後ろを指さしている?
振り返る。するとそこには先ほどのフランス人形を含む大量の人形たちの姿が!
って、おおおおい、減ってないどころか増えてるじゃないか! ええい。
「浄化!」
光が人形たちを包み込み、光の中に消えていく。
「さて、今度はどうでしょうか」
ドサッ、ドサッ、ドサッ、ドサッ
今度は後ろで何かが落ちてきた音がする。
さっきの人形たちだ。そして天井にはさっきの人形たちの仲間と思われる人形が大量に張り付いている。
「うえぇぇ」
「ひいいぃぃぃぃ」
クリスさんがパニックだ。セドリックさんも顔が真っ青で限界が近そうだ。
「ええい、この辺まとめて浄化!」
私は大出力で浄化魔法を放つ。この廊下と隣の部屋くらいは浄化できたっぽい感触がある。
「ふう。今度こそ大丈夫なはずです」
「ふぃ、ふぃふぃふぃ」
うん?クリスさんがまだ壊れてる?
「う、う、う、うしろに……」
まさか?
私は後ろを振り返ると、そこにはさっきの人形たちが、更に多くの人形達を引き連れてやってきていた。
うえぇ、まじか。
「ええ。ええと。どうしましょう、クリスさん?」
「じょ、じょ、じょ、浄化を」
「いやぁ、無理ですね」
「え?」
「さっきので MP 使い切っちゃいました。てへぺろ♪」
「「えええええええ!」」
2人の声が見事にハモった。すごい、芸人みたいにリアクションしてる。
「フィーネ様、本番に強いんじゃなかったんですか!」
「それはクリスさんが言ってたのであって、私はそんなこと一言も言ってません!」
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