追放幼女の領地開拓記~シナリオ開始前に追放された悪役令嬢が民のためにやりたい放題した結果がこちらです~

一色孝太郎

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第11話 追放幼女、畑を作る

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 残りも全部スケルトンにしようと思ったのだが、G-7まで作ったところで魔力が切れてしまった。

 残念だが、どうやらこれが今のあたしの限界らしい。

 仕方がないので残りの焼いた死体の骨だけを取り出して、残りは地面に穴を掘って埋めておくように命じて村に帰ることにした。

 そして翌朝、魔力を回復させて再び昨日の場所にやって来たのだが、なんと骨が一ヵ所にまとめて山積みにされていた。その近くにはG-1からG-7が所在無げにたたずんでいる。

「なんか、すげぇっすね……」
「うん。まさかこんな完璧に仕事をするなんて……」

 あたしは残った骨もスケルトンにしていく。そうしてG-14まで作ったところで魔力が尽きたので、残った骨をGたちに持たせて村へと戻ってきた。

 それから二日掛けてスケルトンにし、合計で二十六体のゴブリンのスケルトンを作ることに成功した。

 さて、この子たちに何をさせようか?

 やっぱり、目下のところ問題は食べ物だし、やっぱり畑を作らせるのがいいかな?

 となると、やっぱりボブに相談だよね?

 よし、じゃあボブのところに行こう。

 そんなわけで、あたしはG-1を連れてボブのところにやってきた。何かの相談をしていたようで、ウィルもボブと一緒にいる。

 ちょうどいいね。

「ボブー! ウィルも」
「へい」
「おお、姫様。どうなさいました?」
「うん。実はね。ちょっと手先の器用なスケルトンを作ったんだけどさ。この子たちを使って今開墾しているところに今年の冬用の作物を植えたいんだよね」
「えっ? 今年の冬ですか?」
「うん」
「ですが、冬に間に合わせるなら作付けまでもう一か月もありませんぞ?」
「でもさ。それなら急げば間に合うってことでしょ?」
「まあ、そうですが……」
「じゃあ、急いでやっちゃおうよ。少しでも食べ物が増えたほうがいいでしょ?」
「それはそうですね」
「じゃあ、決まりだね。何を育てるかとかは任せるよ。これと同じ子があと二十五体いるから、他のスケルトンも使ってうまくやってくれる?」
「はぁ」
「それでさ。ウィル」
「へい」
「畑を壁で囲うって言ってたよね?」
「へい。そうっすね。ないと害獣や魔物に全部食われちまうっす」
「じゃあさ。壁は作付けが間に合う分だけ先に作ってくれる? あの敷地をこうやって分ける感じで」

 あたしは地面に木の枝で四角形を描き、そこに何本か直線を引いて長方形に分割した。

「この線のところはあとで道にする感じ」
「なるほど。よくこんな難しいこと思いつくっすね」
「そう? ま、いいや。よろしくね!」
「へい。わかりやした」

 こうしてあたしはボブとウィルに畑づくりをお願いしたのだった。

◆◇◆

 それから一週間後、畑の第一弾が出来たと聞いてあたしは森の中の畑にやってきた。

 すると畑予定地の一部にあたしの背丈ほどの高さの壁、というか石垣が建設されていた。しかもその周囲には空堀まで掘られている。

「あれ? なんだか思ったよりすごいことになってない?」
「そうなんすよ。あのゴブすけたちがすげぇ優秀なんすよ」
「そうなんだ」
「へい。休みなしで夜通し働きやすし、道具もちゃんと使うんすよ」
「へぇぇ、道具も使えるんだ」
「しかも土塁の作り方も石の積み方も覚えちまいまして……」

 すごい。まさかゴブリンのスケルトンがそこまでだなんて……。

「俺ら、ほとんど指示しただけっす。今もあいつらに、あっちで二つ目の畑の石垣を作らせてるっす」
「ほんとだ」

 ゴブリンのスケルトンたちが黙々と石を積んで……って、あれ?

「ねえ、あの石はどこから持ってきたの?」
「ああ、それはゴブすけたちに命令したら、どっかからか勝手に持って来やした」
「えっ? 勝手に探してきたの!?」
「へい」
「はぇぇぇ、すっごい」
「やっぱそうっすよね。すっげぇ楽っすよ」

 なんだかすごすぎて、すごい以外の言葉が出てこない。

「それより姫さん、畑を見に来たんすよね?」
「あ! そうだった。案内してくれる?」
「へい。こっちっす」

 ウィルに案内され、空堀に丸太を渡しただけのシンプルな橋を渡って中に入った。するとそこには良く耕された黒い土の上にうねが等間隔に並んだ美しい畑が広がっている。

「おお! 姫様!」
「あ! ボブ! どう?」
「はい。ご覧のとおり、これだけの広さのじゃがいも畑が出来上がりました。このペースでいけば、あと三枚はじゃがいも畑ができそうですし、残る畑も豆であれば間に合うでしょう」
「そっか。良かった」
「すべては姫様のおかげです。ウィルからあのスケルトンのもとがゴブリンと聞いたときは腰を抜かしましたが、まさかあのにっくきゴブリンどもがこれほど役に立つとは……」
「うん。あたしもまさかこんなに優秀なスケルトンになるとは思わなかったよ」
「これほど役に立つのでしたら、もっと欲しいですなぁ」
「そうだね」

 これなら何体でも欲しいよね。食い扶持もかからないし。
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