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哀しきシンデレラ
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社会人になって3年目、独り暮らしを始め、抑えていた願望が、春の雪融けのように一気に流れ出しました。元々、女装することに快感を覚え、月に数回、化粧をしてくれる店に通っていたのですが、レディススーツ、ウイッグ、パンプスを手に入れ、化粧品を揃えて自分で化粧を覚え、アパートの部屋で女装して深夜こっそり外出するようになりました。それからしばらくして、私はある女装倶楽部を知りました。そこは繁華街の外れにあり、昼間は普通の喫茶店ですが、夜は女装者と女装者を好きな男が集まるサロンになりました。着替え部屋があり、女装者はそこで化粧してサロンに下りて、ホステスのように男性客にビールを注いだり、歓談したりして、気が合えばカップルになって店外デートしたり、近くのホテルに行ったりしていました。週末の夜毎、私はそこに通うようになり、そこで女になること以上の、男に女として扱われる悦び、男に性対象として見られる快感を知ったのでした。そしてある日、私は常連の木村という男に愛人にならないかと言われました。木村は50歳くらいで、理想の女性像をはっきり持っているようでした。その木村が一人前の女に調教してやる、服とか女の物も俺が買ってやるから俺の女になれというのです。よく知らない男に自分を委ねることには少し不安を感じましたが、調教という言葉に魅力を感じたのと、実はそれまで2回くらい抱かれたことがあり、その時、私を一人の女として扱ってくれて、その時、肉体的にも精神的にも女の悦びを感じたことが、この人に自分を委ねてみようという気にさせたのでした。それから週末の夜は木村と過ごすことが多くなり、ホテルで朝まで抱かれました。また、平日も時々寝る前の遅い時間に電話がかかってくるようになり、会社から帰った私は男を脱ぎ捨て女になってその電話を待つようになりました。その電話は、昼間男として働いている私に、常に女の意識を持たせるためのちゃんと意味のある行為だったようです。一緒にいる時にはとても細かいことを注意されました。股を閉じて、いつも脚を揃えていること。パンプスを履く時、必ず手に持ち、靴の方を足に入れて穿くこと。椅子に座る時は浅く腰掛けて脚を揃え、ハイヒールの踵を揃える、そしてお尻と胸を出して体を反らして座ること。寄りかかるものがある時は体を捻り、両手を揃えて寄りかかる。体を動かす時はゆっくりやわらかに、できるだけ遠回りして曲線的に動かすこと。男と向き合う時はできるだけこちらの方が低い位置になって上目遣いで見ること、等々。その他にもいろいろな課題が与えられました。最初の課題は「男のパンツを棄て、男の時も女性ものを身につけなさい」ということで、女性用のショーツを10枚くらいプレゼントしてくれました。その他、むだ毛を処理すること。手の爪を伸ばして、いつも尖らせてること。足の爪にいつも真っ赤なペティキュアを塗っていること(男の時でも女の一部を意識することが大事だから。)女性ファッション誌を毎月数冊購読すること。変わったものでは「寝る時はピンクのパジャマを着て、寝具までピンクの女の子っぽいものにして、(おまけにプレゼントしてくれた)熊のぬいぐるみを抱いて寝ること。」などと言うものもありました。寝ている時も女の子の気持ちでいられるようにということで、全てが「女らしい環境に包まれれば気持ちも徐々に女性化していくだろう」ということでした。ある時、木村が突然月経周期表を持ってきて「俺が久美ちゃんの生理の日を決める。」と言い出しました。最初は冗談かと思いましたが、結局その時決まった私の架空の月経周期が、その後ずっとお互いの間での大事な基準になりました。生理の時には「久美ちゃん、今日はいらいらしてるね。そうか。生理か。」と私に言葉で暗示をかけ、その日はいつもよりも労るように優しくしてくれて、ベッドでも決して最後までやることはありませんでした。私もその時は生理用ショーツにローショーンで湿らせたナプキンを付けてお尻にあてがい、その憂鬱な期間を過ごしました。そうやってお互いで私の女の体のリズムをつくって行きました。本当に不思議ですが、それを続けていくと暗示にかかるのか、身も心も周期的に変化していくのです。私は生理の日が近づくと憂鬱でいらいらするようになり、それがようやく終わり解禁になった夜はお互いいつにもまして興奮し、私はとても激しく抱かれました。また、木村は私がオナニーをすることを週に一度しか許してくれませんでした。もともと、男に抱かれる時、私自身が射精することはありません。射精をすると冷めてしまうし、受身の私にとっては、男に責められて快感の絶頂をずっと耐え続けることが至上の悦びなのです。もちろん私も射精することは嫌いではありません。ただし、他人との行為でよりも、妄想の世界で、自分自身、だんだんと高まりながら果てて行くのが好きです。目を閉じて、男に抱かれている時のことや、恥ずかしい格好で陵辱されている自分自身を想像し、片方の手で乳首をつまみながら、時間をかけてゆっくり優しく刺激していきます。透明のぬるぬるした体液がたくさん染み出てきて、いつも女の子のように濡れてしまいます。木村は週末自分が抱くまでオナニーを禁じました。そして自分に抱かれた後、一人になってから、体と心にあらためて女の性をしっかり焼き付けるために、女として男に犯されている自分自身の姿をもう一度思い浮かべてその悦びを反芻しながらやるようにと言いました。言われたとおり、日曜日の朝、木村と別れて家に帰ってから、私はベッドで抱かれているところを思い出しながら、時間をかけてゆっくりとオナニーをしました。やがて私は大量の白い液を吐いて果て、抜け殻のようになって、明るい日差しの中で、昼まで微睡んでいました。ずっと後で渋谷の場末で娼婦になっていた一流企業のOLが殺された事件がありましたが、その事件を扱った本で、彼女が娼婦として一晩を過ごした翌朝、明るい日差しの中でオナニーをすることが一番の楽しみだったことを知って、自分と同じだなと思いました。その本は加害者の冤罪がテーマでしたが、私はその女性に興味を持ってその本を買ったのでした。娼婦願望のある彼女の行為に共感を覚えたのです。昼過ぎになってようやく起き上がり、ブラやショーツ、ストッキングを洗濯して窓の外に干し、煙草の臭いの付いた洋服をハンガーに吊し、ウイッグやパンプスや、ハンドバッグの中の化粧品を整理したりして余韻を味わいながら、頭の中ではもう既に次の週末のことを考えています。そんな風な1週間の過ごし方を繰り返して、私は徐々に女らしくなっていきました。男の時にも無意識に脚を揃えて横座りしてしまったり、スナックで膝の上にハンカチを置いて水商売の女性に怪しまれたり、ただでさえ、尖らした爪の落とし残したマニュキュア、目の中にきらりと光るラメの残渣など、物的な証拠もたくさん抑えられているのに、ついつい出してしまう女らしい仕草のおかげで、いつも知らない間に私の机の上には会社の女性で回覧している千趣会のカタログが置かれる始末でした。
そうやって1年くらい経ったある土曜日の夕方、喫茶店に呼び出されて行ってみると、木村と見知らぬ男がいました。煙草を吸いながら私を嘗めるように見る男に木村が「いいですか?」と一言聞くと、男は嫌らしい目でじっと私を見たまま「おお。」と頷き、煙草の火をもみ消して立ち上がると、ゆっくり店の外に出て行きました。「久美ちゃん、話がある。黙って俺の言うとおり、あの男を追っかけて一緒にホテルに行って抱かれて来い。」私はびっくりして「え?」と聞き返すのがやっとでしたが、何時にもなく厳しい口調で「早く行け」と言われ、慌てて店を飛び出しました。左右を見ると、ホテルの方向の、通りの少し先に、さっきの男が煙草を吸いながらこっちを見ているのが見えました。私は小走りで男の元に行き、肩を抱かれながら近くのファッションホテルに入りました。部屋に入ると男は当然のように私にフェラチオを要求し、私をベッドに押し倒し、私の足首を掴んで脚を広げ、大きくなったものを無理矢理私に突っ込み、私は拒むことも出来ず激痛に涙を流して、ベッドの上の鏡に映った入れ墨の背中に犯されている自分の姿を見つめていました。やがて男は私の中で激しく果てました。「ふうー。」と大きく息を吐き仰向けになった男のものから、ずしりと重いコンドームを取り除き、ティッシュで綺麗に拭いてあげます。男は枕元の煙草を取って火を付け、手枕で煙草を美味しそうに吹かします。私は男の胸に顔を乗せ、男の顔を見上げるように甘えた声で「気持ちよかった?」と聞き、男は「良かったよ。よう締まるわ。」「久美子のこと、どう?女らしい?」「女以上にセクシーだよ。」男の胸を触りながら「ほんと?うれしい。久美子、ずっと女になって男の人に抱かれるのが夢だったの。本当の女になりたい。」「お前は女だよ。」「ありがとう。」私は男にキスをねだって、男は今度は優しく、濃厚なキスを返してくれました。これまで木村とはヒフティヒフティな関係でしたが、今回初めて私は見ず知らずの普通の男を女として満足させる、女としての役目を果たす悦びを知ったのです。背を向けて化粧する私に「またお願いするから。」と服を着ながら男が声をかけます。事情が分からないまま「よろしくお願いします。」と振り向いて頭を下げます。服を着終わった男は煙草を吸いながら化粧を続ける私を鏡越しにじっと見つめていましたが、口紅を塗ろうとすると立ち上がって私を振り向かせ「その前にもう一度。」と抱き寄せてキスをしました。私は体中の力を抜いて男に身を任せ、最後まで女としての役割を果たせた悦びに浸りながら、自分自身の何かが変わって行くのを感じていました。女装倶楽部に行くと木村がいてにやにやしながら「どうだった?」と聞くので「どうもこうもないですよ。いったいどういうことなんですか?」と問い詰めると、「二人だけで話がある。ちょっと外へ行こう。」と行って外に連れ出されました。近くの喫茶店に入り席に着くと木村が話し始めました。「久美ちゃん、一年間女として躾けてきて、お前もだいぶ女らしくなってきたな。仕草も本当の女と変わらず、とても自然だし、それは気持ちからお前が女に近づいた結果だと思ってる。ずいぶん色気も出てきたし、男に対する接し方も変わったな。とっても優しくなったよ。姿勢が、男を見る目が「私は貴男を受け入れますよ」って言ってるのが、男にもよく分かる。お前は女でいることを楽しんでいるし、女でいることをもっと楽しみたいと思ってる。そうだろ。」私は頷きました。「それで俺は考えたんだけど・・。お前はもう俺だけじゃなく、もっと他の男に抱かれないとだめだ。俺は言うなればもう身内だ。お前は1人の女として普通の男達の相手をしろ。それでもっと女を磨いて男に対して女の魅力を振りまいてやれ。そうすればお前は女として生きていける、本当に一人前の女になれる。それが望みだろ?」「はい。」「今日の男は満足して帰ったか?」「はい。」「そうか、それは良かった。久美子なら絶対大丈夫だと、心配はしてなかったよ。あれは連れの知り合いだけど、いつもは本当の女を相手にしてる。女装はお前が初めての経験だ。忘れられなくて、きっともう一度お前を抱かせろって言ってくるよ。」私ははにかんで下を向きました。「お前だって十分満足したろ?分かってるよ、お前はもう俺だけでは物足りないはずだ。」「そんなことありません。」慌てて否定しましたが木村は笑い飛ばしてその話はそこまでになりました。木村は翌週も別の男を連れてきました。そして木村自身はそれ以来決して私を抱こうとはしなくなりました。その翌週は2人の男の相手をしました。合間に木村が軽くお酒に誘ってくれて、最初の男との一部始終を聞きたがり、玄人の女が男をどう喜ばせるのか(私は経験したことが無いだろうからと)教えられました。そして黒のガーターベルトとストッキング、コルセットをプレゼントしてくれました。それから私は、ダークなアイシャドウに長い付け睫毛を着け、真っ赤なルージュを塗り、黒のミニのスーツかワンピースしか着ないようになりました。そして、足の爪には真っ赤なペティキュアを塗り、黒いストッキングをガーターベルトで止め、黒のコルセットで腰をギュッと括らせ、エキゾチックな香水を漂わせて、その雰囲気に自分自身が興奮しながら、毎週末、2~3人の男に抱かれました。その時私は初めて自分に娼婦願望があることを知ったのです。だから、数か月後、女装クラブの知り合いに、木村が私を紹介した見返りにお金を受け取っていることを聞いた時も大して驚きはしませんでしたし、みんなが私のことを心配してくれて、木村を出入り禁止にした時も、余計なことをしなくていいのにと思っていました。私は女として男を満足させることに喜びと充足を得ていましたから、このままずっと同じようにあてがわれた男の相手をして、毎週末、女として燃え尽きる生活を続けたい気持ちの方が強かったのです。しかし私も、みんなに逆らってまで、木村について行くことには躊躇いがありました。毎週木村がいったいどこで男を見つけてくるのか前から不思議に思っていて、こんなことをずっと続けていて何か拙いことにならないか一抹の不安もあったのです。それからぱったり木村からの連絡が途絶えました。私から木村に連絡を取ることもしませんでした。毎週使っていたホテルには近づかないようにしました。噂ですが、ヤクザ絡みの売春組織の摘発が有り、その組織がそのホテルをよく使っていたため、刑事が時々来ていたらしいのです。それが本当だとしたら、私がややこしい話に巻き込まれていたことも十分あり得たでしょう。木村からその後連絡が無いのも、もしかしたらそれと何か関係があったのかもわかりません。しかし、それからも、相変わらず週末の夜、私は女になって男と過ごしました。全て、土曜日の夜のために生きていました。時々、自分のことが永遠のシンデレラのように思えました。日曜日の朝が来ると私は女から男に戻らなくてはなりません。毎週、その繰り返し。いつまでいっても私は本当の女になれず、いつも一晩だけの夢。朝になり、自分で自分を愛撫し、果てて、そこからまた次の「下りるための階段」を上がっていく。あの娼婦体験が忘れられず、あれからも2,3度別のホテル街で立ちん坊をしました。男に「いくら?」と聞かれ、終わった後にお金を受け取っている自分自身に興奮しました。私にはあの東電のOLの気持ちがよく分かります。私たちはまるで自分の尻尾にかぶりついた蛇みたいです。自分の尻尾を咥えて同じ所をグルグル周りながら、自分自身の胃袋で自分自身を少しずつ消化して行くのです。しかし、彼女は娼婦として殺されたけれど、私は分かっています。彼女は決して後悔していないと。
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そうやって1年くらい経ったある土曜日の夕方、喫茶店に呼び出されて行ってみると、木村と見知らぬ男がいました。煙草を吸いながら私を嘗めるように見る男に木村が「いいですか?」と一言聞くと、男は嫌らしい目でじっと私を見たまま「おお。」と頷き、煙草の火をもみ消して立ち上がると、ゆっくり店の外に出て行きました。「久美ちゃん、話がある。黙って俺の言うとおり、あの男を追っかけて一緒にホテルに行って抱かれて来い。」私はびっくりして「え?」と聞き返すのがやっとでしたが、何時にもなく厳しい口調で「早く行け」と言われ、慌てて店を飛び出しました。左右を見ると、ホテルの方向の、通りの少し先に、さっきの男が煙草を吸いながらこっちを見ているのが見えました。私は小走りで男の元に行き、肩を抱かれながら近くのファッションホテルに入りました。部屋に入ると男は当然のように私にフェラチオを要求し、私をベッドに押し倒し、私の足首を掴んで脚を広げ、大きくなったものを無理矢理私に突っ込み、私は拒むことも出来ず激痛に涙を流して、ベッドの上の鏡に映った入れ墨の背中に犯されている自分の姿を見つめていました。やがて男は私の中で激しく果てました。「ふうー。」と大きく息を吐き仰向けになった男のものから、ずしりと重いコンドームを取り除き、ティッシュで綺麗に拭いてあげます。男は枕元の煙草を取って火を付け、手枕で煙草を美味しそうに吹かします。私は男の胸に顔を乗せ、男の顔を見上げるように甘えた声で「気持ちよかった?」と聞き、男は「良かったよ。よう締まるわ。」「久美子のこと、どう?女らしい?」「女以上にセクシーだよ。」男の胸を触りながら「ほんと?うれしい。久美子、ずっと女になって男の人に抱かれるのが夢だったの。本当の女になりたい。」「お前は女だよ。」「ありがとう。」私は男にキスをねだって、男は今度は優しく、濃厚なキスを返してくれました。これまで木村とはヒフティヒフティな関係でしたが、今回初めて私は見ず知らずの普通の男を女として満足させる、女としての役目を果たす悦びを知ったのです。背を向けて化粧する私に「またお願いするから。」と服を着ながら男が声をかけます。事情が分からないまま「よろしくお願いします。」と振り向いて頭を下げます。服を着終わった男は煙草を吸いながら化粧を続ける私を鏡越しにじっと見つめていましたが、口紅を塗ろうとすると立ち上がって私を振り向かせ「その前にもう一度。」と抱き寄せてキスをしました。私は体中の力を抜いて男に身を任せ、最後まで女としての役割を果たせた悦びに浸りながら、自分自身の何かが変わって行くのを感じていました。女装倶楽部に行くと木村がいてにやにやしながら「どうだった?」と聞くので「どうもこうもないですよ。いったいどういうことなんですか?」と問い詰めると、「二人だけで話がある。ちょっと外へ行こう。」と行って外に連れ出されました。近くの喫茶店に入り席に着くと木村が話し始めました。「久美ちゃん、一年間女として躾けてきて、お前もだいぶ女らしくなってきたな。仕草も本当の女と変わらず、とても自然だし、それは気持ちからお前が女に近づいた結果だと思ってる。ずいぶん色気も出てきたし、男に対する接し方も変わったな。とっても優しくなったよ。姿勢が、男を見る目が「私は貴男を受け入れますよ」って言ってるのが、男にもよく分かる。お前は女でいることを楽しんでいるし、女でいることをもっと楽しみたいと思ってる。そうだろ。」私は頷きました。「それで俺は考えたんだけど・・。お前はもう俺だけじゃなく、もっと他の男に抱かれないとだめだ。俺は言うなればもう身内だ。お前は1人の女として普通の男達の相手をしろ。それでもっと女を磨いて男に対して女の魅力を振りまいてやれ。そうすればお前は女として生きていける、本当に一人前の女になれる。それが望みだろ?」「はい。」「今日の男は満足して帰ったか?」「はい。」「そうか、それは良かった。久美子なら絶対大丈夫だと、心配はしてなかったよ。あれは連れの知り合いだけど、いつもは本当の女を相手にしてる。女装はお前が初めての経験だ。忘れられなくて、きっともう一度お前を抱かせろって言ってくるよ。」私ははにかんで下を向きました。「お前だって十分満足したろ?分かってるよ、お前はもう俺だけでは物足りないはずだ。」「そんなことありません。」慌てて否定しましたが木村は笑い飛ばしてその話はそこまでになりました。木村は翌週も別の男を連れてきました。そして木村自身はそれ以来決して私を抱こうとはしなくなりました。その翌週は2人の男の相手をしました。合間に木村が軽くお酒に誘ってくれて、最初の男との一部始終を聞きたがり、玄人の女が男をどう喜ばせるのか(私は経験したことが無いだろうからと)教えられました。そして黒のガーターベルトとストッキング、コルセットをプレゼントしてくれました。それから私は、ダークなアイシャドウに長い付け睫毛を着け、真っ赤なルージュを塗り、黒のミニのスーツかワンピースしか着ないようになりました。そして、足の爪には真っ赤なペティキュアを塗り、黒いストッキングをガーターベルトで止め、黒のコルセットで腰をギュッと括らせ、エキゾチックな香水を漂わせて、その雰囲気に自分自身が興奮しながら、毎週末、2~3人の男に抱かれました。その時私は初めて自分に娼婦願望があることを知ったのです。だから、数か月後、女装クラブの知り合いに、木村が私を紹介した見返りにお金を受け取っていることを聞いた時も大して驚きはしませんでしたし、みんなが私のことを心配してくれて、木村を出入り禁止にした時も、余計なことをしなくていいのにと思っていました。私は女として男を満足させることに喜びと充足を得ていましたから、このままずっと同じようにあてがわれた男の相手をして、毎週末、女として燃え尽きる生活を続けたい気持ちの方が強かったのです。しかし私も、みんなに逆らってまで、木村について行くことには躊躇いがありました。毎週木村がいったいどこで男を見つけてくるのか前から不思議に思っていて、こんなことをずっと続けていて何か拙いことにならないか一抹の不安もあったのです。それからぱったり木村からの連絡が途絶えました。私から木村に連絡を取ることもしませんでした。毎週使っていたホテルには近づかないようにしました。噂ですが、ヤクザ絡みの売春組織の摘発が有り、その組織がそのホテルをよく使っていたため、刑事が時々来ていたらしいのです。それが本当だとしたら、私がややこしい話に巻き込まれていたことも十分あり得たでしょう。木村からその後連絡が無いのも、もしかしたらそれと何か関係があったのかもわかりません。しかし、それからも、相変わらず週末の夜、私は女になって男と過ごしました。全て、土曜日の夜のために生きていました。時々、自分のことが永遠のシンデレラのように思えました。日曜日の朝が来ると私は女から男に戻らなくてはなりません。毎週、その繰り返し。いつまでいっても私は本当の女になれず、いつも一晩だけの夢。朝になり、自分で自分を愛撫し、果てて、そこからまた次の「下りるための階段」を上がっていく。あの娼婦体験が忘れられず、あれからも2,3度別のホテル街で立ちん坊をしました。男に「いくら?」と聞かれ、終わった後にお金を受け取っている自分自身に興奮しました。私にはあの東電のOLの気持ちがよく分かります。私たちはまるで自分の尻尾にかぶりついた蛇みたいです。自分の尻尾を咥えて同じ所をグルグル周りながら、自分自身の胃袋で自分自身を少しずつ消化して行くのです。しかし、彼女は娼婦として殺されたけれど、私は分かっています。彼女は決して後悔していないと。
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